藤沢周平のレビュー一覧

  • 用心棒日月抄
    やっぱ、カッコいいなぁ。

    ……おおっと!
    うっとりしているだけではありません。

    ワケあって国を出て浪人生活を送り、用心棒の仕事などを
    しながら日銭を稼いで暮らしている主人公・青江又八郎と、
    その周辺に見え隠れする赤穂浪士・敵の吉良の手の人々……

    歴史は「だれが良い者でだれが悪者」ということを決...続きを読む
  • 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)
    主人公の獄医・立花登と、その居候先の娘・おちえとの仲が次第にニヤニヤした感じになっていくところが良い。初めは心底嫌っていたくせに気付けば…。

    登場人物の成長に一喜一憂できるのは長編の魅力。
  • たそがれ清兵衛
    江戸時代の名もない剣士の物語が集められた短編集です。
     しかも、8人の剣士とも華々しい生活というよりも、ちょっと日陰な境遇の人達。ひっそりと生きる男たち。
     自分の力を誇ることなく、ひけらかすことなく、おごることなく生きるその姿こそ、まさに「卑怯」という言葉を一番に嫌う「武士道」そのもののように見え...続きを読む
  • 雪明かり
     古さを感じさせない、美しい文章。読後に激烈な感情はなくて、なんとなくほんわかしたり、切なくなったり、そういう柔らかい感情を招き寄せてくれる。
  • たそがれ清兵衛
    一昨年くらいに映画化され、ずいぶん話題になっていたのでためしに読んでみた。

    地方藩士の姿をうつした短編が8編入っている。
    あまり裕福でもなく、容貌も性格も地味だが筋の通った生き方をしている普通の人々の話だ。
    表題となった短編も、病気の妻を療養に出すため藩の政変で働く事になった「たそがれ清兵衛...続きを読む
  • 雪明かり
    短編小説がいくつか。そのどれもが切なくて、やるせなさがこみ上げてくる。もの悲しい物語の中に、人の情がやっぱりあたたかくって、じんじんしました。
  • 決闘の辻
    剣豪たちの決闘や生きざまを描いた5編からなる短編集。お勧めは愛洲移香斎の短編。たぶん架空の人物・住吉波四郎が、父のかたき移香斎を求めて旅に出る話。兵法者の住む苛烈で荒涼とした世界を見た波四郎の決断がなんとも言えず良かった。
  • 用心棒日月抄
    以前、蝉しぐれの周辺を調べた際に、蝉しぐれの映画化の折に出版されたムック本で、作家たちが好きな藤沢作品は?ときかれて、この本を挙げるひとが多いのをみて、私も気になって読んでみた。
    事情があって脱藩した青江又八郎が、江戸に出て、ちょっとわけありな仕事斡旋業者、相模屋のタヌキ親父・吉蔵に頼んで、主に用心...続きを読む
  • 市塵(下)
    新井白石ってすごい人だったんだなぁ、というのが感想。
    下積みを経て徳川家宣に信頼され重用を受け幕府の頭脳とも言える働きをし家継の世もサポートして、白石がいなければ日本はどうなっていたのだろうと思わせる存在になりながら吉宗の世になると一気に凋落と言って良いような扱いを受けるようになる。弊履を捨つるが如...続きを読む
  • 長門守の陰謀
    どれもしみじみとして味わい深い。
    「夢ぞ見し」昌江視点で語られ、非常にユーモアあふれ笑え最後はほのぼのさせられた。

    「夕べの光」女の幸せに揺れながらも血を分けた子でない幸助との母子生活に帰するさまが情感溢れる。
  • 用心棒日月抄
    藩主暗殺の陰謀を知ってしまった故に許嫁の父を斬り脱藩、刺客に追われる身となった青江又八郎。
    江戸の裏長屋に暮らし、用心棒稼業で糊口をしのぐが、浅野内匠頭の刃傷事件からの浅野浪士討ち入りの噂が流布するにつれ、請け負う仕事に浅野、吉良両家の争いの匂いが立ち込める。
    10篇の連作は忠臣蔵に関わる浅野浪士の...続きを読む
  • レジェンド歴史時代小説 義民が駆ける
    三方国替えの義民騒動を描く。庄内の百姓たちの計画的で、周到な準備のもとでの騒動がよく描かれている。決して英雄的というものでもなく、幕末の徳川末期の時代的背景も後押しての成功と思います。
    百姓たちの行動、気持ちがよく描かれています。
  • 風雪の檻 獄医立花登手控え(二)
    2017.11.27 完了
    登氏は正義感が強いね
    江戸の男という感じ
    内容としては可もなく不可もなしという感じ
  • 決闘の辻
    小衣は二十半ばにさしかかっているが、子供を産んだことのない身体は、まだ娘のように若い皮膚を隠し持っていた。
    (中略)
    皮膚は枯れ、その下を流れる血の通いも、あるのかないのか心ともなくなって来ている一刀斎は、小衣の体に触れる時だけ、体に人なみのぬくもりが戻るのを感じるのである。

    収蔵されている短編「...続きを読む
  • 雪明かり
    娘たちを捨てた父親が最後に娘たちのための一太刀が感動を呼ぶ「入墨」。とあるところでの武家の妻女との出会いから救うための算段をする町人・浅次郎と武士・塚本伊織の物語「穴熊」は爽やかさと、割り切れなさがそこはかとない叙情を感じる。従姉との心の絆が微笑ましく、色っぽさを感じさせる「恐喝」など。「冤罪」は道...続きを読む
  • 用心棒日月抄
    家の事情にわが身の事情、用心棒の赴くところ、ドラマがある。青江又八郎は二十六歳、故あって人を斬り脱藩、国許からの刺客に追われながらの用心棒稼業。だが、巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれて、請負う仕事はなぜか、浅野・吉良両家の争いの周辺に……。
  • 人間の檻 獄医立花登手控え(四)
    内容(「BOOK」データベースより)

    子供をさらって手にかける老人の秘密。裁きを終えた事件の裏に匂い立つ女の性。小伝馬町の牢内に沈殿する暗く悲しい浮世の難事を、人情味あふれる青年獄医がさわやかに解決する。だがある日、かつての捕物の恨みから、登の命をもらうと脅す男が現れた―。著者が五年にわたって書き...続きを読む
  • 風雪の檻 獄医立花登手控え(二)
    内容(「BOOK」データベースより)

    登の柔術仲間、新谷弥助が姿を消した。道場に行くと言って家を出たまま、その後、深川の遊所でよからぬ男たちと歩いているところを目撃されたという。行方を追う登の前に立ちはだかる悪の背後に、意外や弥助の影があった。何が彼を変えたのか―。熱血青年獄医が難事件の数々に挑む...続きを読む
  • 愛憎の檻 獄医立花登手控え(三)
    内容(「BOOK」データベースより)

    娘の病を治したお礼にと、登に未解決事件の情報を教えてくれた男が牢の中で殺された。大胆な殺しの後、ゆうゆうと出牢した犯人を追い、登は江戸の町を駆ける―。家では肩身の狭い居候だが、悪事には敢然と立ち向かう若き牢医師・立花登が、得意の柔術と推理で事件を解き明かす。大...続きを読む
  • 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)
    内容(「BOOK」データベースより)

    江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登。居候先の叔父の家で口うるさい叔母と驕慢な娘にこき使われている登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った―。起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く。...続きを読む