藤沢周平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「獄医立花登手控えシリーズ」全四巻の最初の作品です。
医者になる夢を叶えるべく江戸に出た主人公の立花登を迎えたのは、はやらない町医者の叔父と、口うるさい叔母、驕慢な娘ちえ。叔父宅の居候として代診や小伝馬町の牢医者の仕事にこき使われる登は、一方で起倒流柔術・鴨井道場の高弟でもある。
小伝馬町の牢を起点にした様々な事件を解決する捕物要素に加え、柔道の名手としてのアクション要素、全体としては青年医師・登の成長物語であり、また従姉妹のちえとの恋愛模様も有り、色んな要素を含むエンタメ系連作短編です。
これらは『小説現代』に1979年1月号から1983年2月号まで連載され、連載中の1982年からはNHKにより中井貴一主演で全23話のテレビドラマ化されました。そもそも最初からTVドラマ化を視野に入れながら書かれた作品なのかもしれません。
どうしても山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を並べてしまいます。どちらも江戸の町医者を描いた連作短編で、主人公が立花登で舞台が小伝馬町牢屋敷の本作と保本登が主人公で小石川養生所を舞台にした『赤ひげ診療譚』。どちらもサスペンス仕立ての連作短編という事も有り、何度かドラマ化されているのも共通点です。
しかし、時に人間の本質に迫るような『赤ひげ診療譚』と比べ、本作は(やや苦みは多いものの)ずっと娯楽色の濃い作品です。1980年前半は藤沢周平にエンタメに走った数年間でした。 -
購入済み
心の修行でした。
ようやく時間が出来て、65の手習い?として、落ち着いて本を読めるようになり、難しくはありますが、大変読みごたえがありました。藤沢周平の世界観といいますか、精緻な資料に基づいた構成と文章に、老いてからの心の修行をしている感を受けました。今後も読み続けたく思います。
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購入済み
面白いよ
時代物の本を買ったのは、初めてだったけど、読んでて面白いと思った。
この本、シリーズものらしいから、他のも買ってみようと思ってる。
事件が短編で書かれてるから、どこから読んでもいいっていうのも読んでて楽かな。
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Posted by ブクログ
1978年初版の、藤沢周平さんの大人気時代小説。
恐らく中学生くらいの頃に読んだのですが、30年ぶり?くらいの再読。
某藩藩士の青江又八郎さんが主人公。
藩内の陰謀(藩主の毒殺とか)を知ってしまって、首魁(藩の家老)に殺されかかって、反撃して殺してしまいました。
そして面倒なことに殺した相手は、自分の許嫁の父。
その上、チャンバラして相手を殺す瞬間を、愛しい許嫁に目撃されてしまった。
取るものも取りあえず、殺されてはあかんので、脱走、脱藩して江戸に出てきました。
陰謀にまみれた地元に戻れる道はなさそうで、こうなったらいずれ、「愛しい許嫁が敵討ちに現れるだろうから、そうしたら、殺されてあげよう」という、
良く考えたらよく分からないモチベーションで裏長屋暮らし。
そして、日々の食べていく金銭のために、口入屋に通っては出来る仕事を貰ってきます。
そして、仕事のいちばんは、「用心棒」稼業。なぜなら、又八郎さんは剣術の腕が立つからです…。
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という設定の中で、一話完結でいろいろな用心棒稼業の顛末が描かれます。連続ドラマ向きですね。
(何度か連ドラ化されています。一番有名なのは、NHKで放送された村上弘明さん版でしょう)
それぞれのエピソードとしては、
●犬の用心棒…犬の元の飼い主が、女への慕情から犬を襲おうとした。
(「生類憐みの令」がベースにあります)
●娘の用心棒…以前に惚れていた悪い男が襲ってくる。
などなどがありますが、
始めから最後まで、もう一つの貫く流れとして「忠臣蔵」があります。
つまり、浅野と吉良の刃傷事件から、打ち入りまで。
その折々で、又八郎さんは浅野家浪人たちの江戸での蠢動に遭遇してしまいます。
そして、依頼される用心棒案件も、浅野、吉良の絡みの案件が増えてくる。
最後には無事に討ち入り。
その直前までは吉良家の用心棒をしていたけれど、無事に直前に(意図的に)解雇されます。
そして最終話では、地元の政治状況が変わって、
無事に地元に戻って許嫁とも結ばれてめでたし、となります。
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改めて読むと、割と淡々とした筆致で全体が貫かれて、ご都合な展開も大人の楽しみ方で読んでいけました。
白眉だったなあと思ったのは、「夜鷹の用心棒」篇。
要約すると、吉良の軍団が、陰謀を聴かれてしまっただけの理由で、夜鷹を殺そうと付け狙う。
どうして狙われているのかよくワカラナイまま、夜鷹は又八郎を用心棒に雇う。
結果的に、又八郎は夜鷹を守りきれずに、殺されてしまう…そして真相を探って復讐を…。という一篇。
夜鷹と又八郎の交流や、「守りきれなかった」と言う悔恨や敗北感、そういう湿った感じが、すごくぞくっとするほど上手く描けていました。
こういうところ、作家の持ち味というものなのでしょう。