藤沢周平のレビュー一覧
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藤沢周平の連作時代小説『新装版 愛憎の檻―獄医立花登手控え〈3〉』を読みました。
『麦屋町昼下がり』、『春秋の檻―獄医立花登手控え〈1〉』、『風雪の檻―獄医立花登手控え〈2〉』に続き、藤沢周平の作品です。
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娘の病を治したお礼に未解決事件の情報を教えてくれた男が牢内で殺害される。
悠々と出牢した犯人を追い、登は江戸の町を駆けるが。
藤沢周平の代表的時代連作集「立花登」シリーズ全4巻の3巻目。
医者になる夢を叶えるべく江戸に出た登を迎えたのは、はやらない町医者の叔父と、口うるさい叔母、驕慢な娘ちえ。
居候としてこき使われながらも、叔父の代診や小伝 -
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立花登は、20代の若い町医者にして、獄医、そして柔術の達人という設定である。町医者だから底辺の庶民の暮らしの中にいる。獄医なので犯罪仲間や冤罪等々凡そ世の事件の様々に関わるし医師だから彼らの本音と向き合いやすい。そして柔術達人なので、危ない橋を自ら渡り早急な解決も可能である。尚且つ、若いので、熟れた女房の女の匂いに敏感だったり、下宿先の姪となし崩し的に恋仲になったりする。清廉潔白のスーパーマンでないところに、読者の共感も得やすいだろう。本書が連作短編でありながら、四集まで続いたのも宜(むべ)なるかな。
なし崩し的に三集までレビューしたので、最終巻まで付き合うことにした。最終巻なので、最初叔父 -
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(1)で止めようと思ったのだけど、ブリが付いてやめれなくなった。若いイケメン獄医と不良娘あがりの美人の従姉妹との進展も気になり、本巻はまるまる五つの短編を通して獄医の柔術仲間・新谷弥助の転落を後一歩で止めるという顛末も描かれていた。次第とシリーズモノらしき仕掛けも増えてくる。
文庫うしろにある年譜を見ると、1978年「小説現代」に連載を始めた頃、藤沢周平は月に2つも3つも短編を書いていて「隠し剣」や「用心棒日月抄」シリーズを次々と産み出していた。80年6月に(1)を刊行、81年3月にこの(2)を刊行している。脂の乗り切った頃の作品である。
それぞれに哀しい女が出てくる。
悪人を避けて何度も -
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「獄医立花登手控えシリーズ」全四巻の第三巻です。
起承転結に当てはめれば「転」のはずですが、むしろ少々中だるみ感が有ります。
不良娘だった従姉妹のおちえもすっかり大人しく、悪く言えば平凡になり、口煩かった叔母も登に頼る事が多くなって、そのぶん登を大切にするようになって、なんだか淋しい(笑)。登の身辺が波立たなくなると、どうしても捕物要素頼りになってしまいます。
代わってと言えば変ですが、おちえの友達が活躍。「片割れ」ではおちえの最近の友・おちかのとんでもない悪相の亭主が捕物を惑わせ、「奈落のおあき」では昔の友で登に懸想するおあきの転落が描かれます。
とは言え、単純明快な捕物に仕立てること無く、 -
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「獄医立花登手控えシリーズ」全四巻の第二巻です。
何度目かの再読です。新装版では無く、昭和58年の講談社文庫の第一刷。本は崩壊寸前です。
主人公の登は牢医という仕事にもすっかり慣れ、時には与力にも強く抗議するまでになっています。また、蓮っ葉だった従姉妹のおちえは事件に巻き込まれた(前巻)事に反省したのか、次第に落ち着いてきます。なんと、これまで呼び捨てにしてたのが「登兄さん」と呼ぶようになり、登もまんざらでは無いようです。
登と共に鴨居柔術道場の三羽烏の一人である新谷弥助の行状不良を背景にして、牢内の罪人たちの話を聞き、例によっておせっかいにも首を突っ込み、事件を解決して行く連作短編です。
丁 -
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「獄医立花登手控えシリーズ」全四巻の最初の作品です。
医者になる夢を叶えるべく江戸に出た主人公の立花登を迎えたのは、はやらない町医者の叔父と、口うるさい叔母、驕慢な娘ちえ。叔父宅の居候として代診や小伝馬町の牢医者の仕事にこき使われる登は、一方で起倒流柔術・鴨井道場の高弟でもある。
小伝馬町の牢を起点にした様々な事件を解決する捕物要素に加え、柔道の名手としてのアクション要素、全体としては青年医師・登の成長物語であり、また従姉妹のちえとの恋愛模様も有り、色んな要素を含むエンタメ系連作短編です。
これらは『小説現代』に1979年1月号から1983年2月号まで連載され、連載中の1982年からはNHKに