藤沢周平のレビュー一覧
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藩主暗殺の陰謀を知ってしまった故に許嫁の父を斬り脱藩、刺客に追われる身となった青江又八郎。
江戸の裏長屋に暮らし、用心棒稼業で糊口をしのぐが、浅野内匠頭の刃傷事件からの浅野浪士討ち入りの噂が流布するにつれ、請け負う仕事に浅野、吉良両家の争いの匂いが立ち込める。
10篇の連作は忠臣蔵に関わる浅野浪士の動きと心情をとらえている。
そして青江個人は用心棒生活を続けるうちに時として感じる堅苦しい侍暮らしからの解放感と、そんな暮らしに満足してしまいそうな堕ちていく自分を良しとしないせめぎあいに心を痛める。
許嫁の娘が自分を仇として討ちに来るならば討たれようという気持ちになる理由の一つにはそんな自分の人 -
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娘たちを捨てた父親が最後に娘たちのための一太刀が感動を呼ぶ「入墨」。とあるところでの武家の妻女との出会いから救うための算段をする町人・浅次郎と武士・塚本伊織の物語「穴熊」は爽やかさと、割り切れなさがそこはかとない叙情を感じる。従姉との心の絆が微笑ましく、色っぽさを感じさせる「恐喝」など。「冤罪」は道すがら会う女性に魅かれ、その父親の冤罪を追う源次郎。「暁のひかり」は病気から立ち上がろうとする小娘に会う都度優しい心になるやくざの市蔵。「遠方より来る」は招かざる客が押し掛けてきた何とも言えない滑稽な状況が可笑しい。主人公の人の良さが見事に描かれている。 表題作は血の繋がらない義妹との心の通い合いと
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★評価は再読後に。
新井白石を主人公として、いや、登場人物として扱った小説って読んだことあったかなぁ?少なくとも当方にとっては珍しい訳ですが、この作家の文体というか佇まいにマッチしていてなかなか面白く読んでおります。
白石については享保の改革前の停滞期の政治家みたいな印象を遠い昔に日本史の教科書で植えつけられたきりもあって、本作凄く新鮮で刺激的であります。
それにしても教科書ってやはり危険な代物、当方のような浅い人間を時の為政者の思うがままに簡単に操作できる手段な訳だから。本作の林家の描写にも繋がるようで、おそらくは作家の意図とは違うところでも当方には響いてくる上巻です。さて下巻でどうなること