南川文里のレビュー一覧
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ネタバレすべての人間は平等の下、合衆国は奴隷制は維持される中、1865年に奴隷制が廃止、しかしながら黒人と白人が公共施設、学校などで隔離するジム•クロウ制度の為に人種不平等が続いた。ローズヴェルト大統領のニューディール政策下白人への優遇は続き、ジョンソン政権下1964年公民権法制定とともにジム•クロウ制度は解体。ただし人種を理由とした隔離、雇用とサービス提供の拒否の禁止するだけでは今までの不平等は放置されるだけで何も変わらない。これらの不利な立場の中で能力を発揮できない人を支援しようと言う新たな人種正義の実現に向けてアファーマティブ•アクションが生まれる。1970年代に入りマイノリティを優遇する政策が
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アメリカにおける差別撤廃とアファーマティブ・アクション(以下、AA)の苦闘の歴史を紹介・解説した本。
面白くて、めちゃくちゃ勉強になります。
いろいろと紹介したい内容も多いのですが、ひとまず二点のみ、私的感想。
①AAは、アメリカでは決定的な事例で違憲とされた判例もありますが、かと言って過去の遺物として全否定できるものでは当然なく、わかりやすく低コストの施策として、今後も条件付きで一定の有効性は認められると思う。
②AAは多様な観点から評価されるべきもので、例えば男女差別といった一面だけをとり上げて実行するのは難しい…というか、基本的にすべきではない。差別や格差もまた多様なので、AA実行の前提 -
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自由に生きるための知性
これはいってしまえば=教養なのかなと思った
第一部が特に心に残った
教養を学ぶ意義
教養と社会の関係について整理できた
いま、教養が大事だと改めていわれている理由
→教養から専門知に傾いて
専門家と一般人のコミュニケーション
が上手くいかず、さらには
非対称な垂直な関係になり
専門家と一般人の間の信頼が崩れた
→終身雇用制度が崩壊しており
学び続ける力が必要になってきている
=エンプロイアビリティ
一方で、教養・リベラルアーツとは、
それがある人とない人を隔てる垣根であり
いま社会から求められている教養との間に
ジレンマが -
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アファーマティブアクションが、アメリカにおいていかに必要とされ、どのような変遷を経て、2023年違憲判決が出て廃止に追い込まれたか、その歴史とその意義について書かれた本である。
違憲判決が出たのは、白人側からの「逆差別」だという反発があったのは想像できたが、最後の引き金になったのはアジア系アメリカ人、特に中国系エリート移民が信じるメリトクラシーにA.Aが反するということで起こされた裁判であったのは、ちょっとショック。
しかし、AAを取り入れて成功している国もある。カナダである。そこに1つの希望がある。
さらにアファーマティブアクションの考え方に変わり、「インターセクショナルリティ」(特定 -
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差別是正が、別の不平等を生むというジレンマ
本書は、アメリカで長年にわたり議論されてきた「積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション=AA)」について、その誕生から現在に至るまでの経緯を丁寧にたどった一冊である。
1960年代の公民権運動を契機として導入されたAAは、単なる差別の禁止にとどまらず、過去に不利な立場に置かれてきた黒人やその他のマイノリティを積極的に支援するための施策として始まった。その後、大学入試などの領域でも、多様な人々が参画できるようにする制度として定着していく。
近年では、企業や大学において「多様性・公平・包摂(DEI)」という概念が重視されるようになり、AAは -
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ネタバレ①黒人の技能職の雇用で目標達成を求める。
②入学枠に特別枠を設ける。
③選抜に際して高校の成績、SATの成績、などと合わせて人種を考慮する。
2023年に③のような穏健なアファーマティブ・アクションも違憲とされた。
クォーター制やバリテ制度は世界で今でも議論されている。日本では理系大学に女子枠を設けた。
奴隷制廃止以降、「分離すれども平等」という原則のもとジム・クロウ制度で隔離政策が続いた。1964年の公民権法以降も、表面的な差別が解消されても平等にはならないことが現実化した。負の連鎖でマイノリティが不利になる。
制度的な意図はなくても、その蓄積として統計データに表れる。
ジョンソン大統領が -
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ネタバレ本書は、不平等という社会課題に対し、アファーマティブアクションという手法がどのように位置づけられ、活用されてきたかを歴史的に検討している。冒頭では、アメリカにおけるアファーマティブアクションの成立から2023年のSFFA判決に至るまでの経緯が詳しく解説されており、制度が果たしてきた役割と変遷を理解できる内容となっている。最終章では、日本の現状についてもアメリカと対比しながら論じられており、日本における制度的遅れが指摘されていた。 読後の考察として、アファーマティブアクションは時代背景や社会状況に応じてその定義や意味づけが変化していくものであると感じた。そのため適切に運用するには、まず不平等を
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