小野田治のレビュー一覧
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元陸将、元空将、元海将という、自衛隊のトップクラス幹部を務めた方々が出演し、ウクライナの状況について考察を述べるYouTube番組の書籍化。
個人的にこれといったことは何もできないながら、関心を持ち続けることだけはやめないようにしようと思っている中で、プロの分析を読みたいと思い検索で見つけた。
自衛隊幹部の分析ということで、政治の延長としての戦争という現代的な定義をベースに展開される論理的な考察は、テレビでは全く聞けない具体的で実際的なものばかり。期待を上回る内容であった。
本書の元の動画は最初の5ヶ月間に公開されたものなので、2023年6月現在では新しい事実が分かっていると思われることもあるのは仕方がないところ。
専守防衛というコンセプトは個人的には賛同だが、それも攻撃的抑止力がないとなりたたないのかもしれない、ということはそう思えるようになってきた。
また、ファシリテーターである桜林氏のあとがきに興味深いことが書かれていた。
陸海空軍は基本的に別組織であり別の論理で動くものであるいうことは各国共通だが、日本の場合は同じ学び舎で4年を過ごす珍しい方式をとっていることが、統合運用の進化を比較的スムーズに進める効果をもたらしているとのこと。
こういった特長が、専守防衛というこれも珍しいコンセプトと融合して、日本式の抑止力の構築につながることを期待したい。 -
Posted by ブクログ
何年か前の本とは思うが勉強になる。最近の米露の関係性とトランプ大統領のウクライナに対する決断の意図がなんとなく想像できた気がした。ロシアは歴史的にアメリカに対する劣等感や敵対感が国全体にわたって刷り込まれていて、ウクライナ侵攻とその結果も今後の米露の関係に多大な影響を与える。アメリカ側としてはロシアとの溝を深めることは不本意で、今ここでウクライナという”小国”を見捨ててでもアメリカ国内の今後の平和のため、ウクライナに降伏を進めているのではないか。自分の認識している道理だけだと、ウクライナは侵攻されている側なので、静止するのであればロシア側だろと思うので。またロシアのウクライナ侵攻を中国は今後の台湾併合の参考として見ているという話にゾッとした…。
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Posted by ブクログ
ロシアによるウクライナ侵攻、また今後起こりうるといわれる台湾有事の予測など、昨今の国際情勢について、著者が複数名の専門家と対談する。本書は主にアメリカとロシア、中国の関係を中心に語っており、それによると、ロシアと中国は日本を半植民地と見なす、つまりアメリカと同盟国を結んでいることは完全な主権を確立していないと考えている。また日本のロシアに対する性善説は江戸時代末期からあり、実際に日露戦争の直前、桂太郎が英国と同盟を結ぶことに対し、伊藤博文は日露協商を唱えるという事例があった。さらに2022年のウクライナ侵攻時に、ロシアに経済制裁を実行したが、これは短期的に見ると効果は現れないが、相手のコストを上げるという利点があるので、制裁期間が長引くほど、ロシア側は戦争の継続が厳しくなり、そこから停戦交渉が行われると指摘する。
一方で台湾有事での中国の動向についてだが、これは明確な時期は不明であるが、中国人は周年を大事にする文化をふまえると、人民解放軍100年でかつ習近平国家主席3期目の終わりである2027年に注意すべきだという。また米ソの冷戦と異なり、アメリカと中国間には安定した対話の枠組みがないことが懸念される。それに加えて、もし台湾有事が起きた場合、日本はウクライナ侵攻におけるポーランドと同じ立ち位置になること、同時にロシアと北朝鮮の動向に注意すべきなど、他人事でないことがわかる。このように、今後の世界情勢はアメリカ一強の時代ではなく、18、19世紀のような帝国主義、多極的な世界へと変貌する。 -
Posted by ブクログ
YouTubeにちゃんねるくららなる番組があって、そこで陸海空自衛隊OBと保守系知識人が現在進行形のウクライナ戦争と日本の防衛問題について扱っていて、それを書籍にしたもの。ウクライナ戦争は細かくフォローしていなかったのでその分析がどうなのかを評することはできないが、オープンソースで説得力のある分析をしていると思う。
ロシアのBTGや黒海の封鎖、ドネツ川渡河作戦の失敗など話していて勉強になる。現状のウクライナのロシアへの逆侵攻とかどう議論しているのか気になる。あまり時間ないので見ないけど。
日本の防衛に関しては、ここでOBたちが言っていた統合司令部の創設や戦車のモスボールなどは実行に移されてきているので、OBたちが議論することで日本の防衛政策が進歩してきたことがわかる。特にOBは天下ったのでなければ組織のしがらみがないはずだと思うので、優秀なOBが積極的に防衛政策を提言するのはいいと思う。中途半端に語ろうとして現役から特定秘密に該当する情報をブリーフィングさせちゃうのとかはあり得ないけど。
安倍首相への評価がみんな高くて、おそらく参加者はみんな保守的な感じだからかと思っていたけど、実際に熊本地震での対応や平和安全法制を巡る議論で示した姿勢は大したものだと思う。 -
Posted by ブクログ
現在のウクライナ戦争、最近の米中対立と中国の台湾侵攻のリスクを中心に、国際政治的、軍事的、地政学的な観点で分析されている本
中長期的な課題として、プーチンロシアとウクライナ戦争の影響は大きいものの、日本•世界にとっての最大の脅威は中国だと指摘する。
中国は情報公開が不十分で得られるものは限られているとは言え、近年の軍拡は明らかで、台湾侵攻に関して説得力のある蓋然性が高いリスク分析がされている。
(なお、個人的にはウクライナ戦争はそのリスクを増大させるのではないかと思っていたが、ほとんどの中国政府や軍関係者は「ウクライナと台湾は別問題」と考えているとのことであった。)
また中国や欧米の強かさに比べて日本は個人レベルでも企業レベルでも国家レベルでもナイーブで楽観的で強かさがなさすぎるとの指摘が強調されている。心理戦や世論戦や影響工作への低い防御力•レピュテーションリスクの認識不足や安全保障の観点が欠如した国際的活動•中国の軍事演習への甘い対応。
そんな予測困難だが蓋然性のある紛争リスクと世界各国や国連のパワーバランスの変化に対して、憲法9条と日米安保を有する日本が今後どのように対応していくのが望ましいかについても記されている、
対談形式の本である。
やや専門的な言葉も出てきたり、戦争の話題の時に(笑)が出てくるのは不快だったが、皆さん穏やかな語り口なのはよかった。