エリザベスストラウトのレビュー一覧

  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    『オリーヴ・キタリッジの生活』の終盤近く、「セキュリティ」を読んだあと、どうしてもこの親子関係の先を知りたいと、その場でオーダー
    今作で描かれる74歳から86歳までのオリーヴは、前作と変わらない率直な人物でした

    オリーヴが率直な人物であるからこそ浮かび上がってくる彼女の内面
    彼女だけを主人公にしていないからこそさまざまな人々の起きるできごとや去来する思い
    いわゆる「現役」と呼ばれる時期を過ぎても人生は続くし、単純に「老後」とは括れない、それでも人それぞれの中の共感を見せてもらった気がします

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    2025年10月16日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    ピューリッツァー賞受賞の1作目より読みやすく、楽しかった。登場人物の数も多くなく、人物の繋がりも理解できて物語へすんなり入っていけた。
    人生のたそがれにあるオリーブ、ジャックと幸せな結婚生活でよかった。少し、ドラマの「最後から二番目の恋」を思い出した。
    孤独が寂しい、と言えるようになったオリーブ。前作では、孤独と向き合うことができず、そのはちゃめちゃぶりにハラハラさせられたが、今作では、ジャックとの生活で安定を手に入れて、優しさを取り戻していた。ヘンリーに対してももっと優しくしてやればよかったと。前作ではヘンリーがすてきだっが、今作ではジャックがむちゃくちゃすてきだった。本人も言ってたが、こん

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    2025年04月28日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    「オリーヴ・キタリッジ、ふたたび」(エリザベス・ストラウト : 小川高義 訳)を読んだ。

    ピュリッツァー賞受賞作「オリーヴ・キタリッジの生活」の続編。

    作者の人々を見つめる優しい眼差しから紡ぎだされる人生の機微を見事に捉えた物語の数々。

    そうなのだ、ひとは老いるのだよ。

    「自分がどんな人間だったのか、手がかりさえもない。正直なところ、何ひとつわからない」(本文より)

    本当に素晴らしい作品。

    ああ、沁みるなあ。

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    2025年02月22日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    フランシス・マクドーマンド主演のドラマを見た。
    これがまた期待を上回る出来!U-NEXTにこれだけを見るために入った価値がありました。
    そのせいでオリーヴがマクドーマンドとして脳内再生されたけど、マクドーマンドだから許されます笑 だってマクドーマンドですから!もう一度「ノマド」見ようかなと思ったくらい。

    「光」を読み終わったのは、カフェだった。涙ぐんでいたところにランチが運ばれてきた。
    「救われる」もお弁当食べながらだったから泣きながら食べた。
    読み終わるのが惜しくて噛み締めながら読んだ。

    なんだかんだいろいろある、いろいろあるけど、ここまでやってきたじゃないか、諦念が生きてきた実感に昇華

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    2024年08月15日
  • 私の名前はルーシー・バートン

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    夕日の描写が美しい。
    旧ヤンキースタジアムから見た夕日。
    実家で見た秋の夕日。

    「あれは美しいものだった。この世に私もいるのだ、と思えた。」

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    2024年06月16日
  • 何があってもおかしくない

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    ストラウトの作品の中で最も好きな小説となった。
    今まで読んだ本のベスト10にも入りそう。
    なんて作家なんだろう!エリザベス・ストラウト。
    ストラウトを好きな全ての人と語りたい気分になるほど。

    まず、「標識」がいい。
    いきなり持って行かれた。

    それから、「妹」。
    これは、また。
    口紅をしたヴィッキー…。

    ルーシー・バートンとその兄姉は、いわゆる「虐待」を受けていた兄妹なのだった。(3冊のルーシー本の中で、これを最後に読んだのだけれど)その影はずっとルーシーを語る上で欠かせないものではあった。でもそれをルーシーはとうに乗り越えて今の自分がいるわけで、具体的にどんなことが過去にあったのか、この

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    2024年05月20日
  • 私の名前はルーシー・バートン

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    エリザベス・ストラウトにやられてしまって(笑)、中毒状態になっている。
    なんですか、この魅力!

    時を経て書かれた続編なのに、「ああ、ウィリアム」との整合性が見事。ストラウトの小説はどれも断片の組み合わせで全体が描かれているのだが、一冊だけでなく、続編も含めて一つの世界の小さなパズルを埋めていくような描き方。
    こんな書き方ができる人は他には思い当たらない。
    続編を描くことで、世界が広がる描き方をする作家はいると思う。
    けれど、ストラウトの小説は、隙間が埋められていく感じだ。そんなに計算して書いてないようにみえるのだが、なぜこの人がこの時こんなことをしたのか、続編でなるほどと膝を打つような瞬間が

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    2024年04月21日
  • 私の名前はルーシー・バートン

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    淡々と語られる、ある家族の長〜いストーリー。
    家族だからこそいろいろ複雑な感情が入り乱れる。
    詩情を感じるような終盤が良い。

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    2023年12月27日
  • 私の名前はルーシー・バートン

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    読みながら自分と母親との関係、姉たちとの思惑の違い等後から後からわいてきて手を止めることもままあった。ほんの些細なことでも今思うと予想以上に心に残っていたり。そして子との関係のあやうさのエピソード。
    全てが人生のいろんな瞬間を際立たせ懐かしくも染みてくる。手元に置きたい一編。

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    2022年09月16日
  • バージェス家の出来事

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    「三分の二は逃げそこなった、と思っている。彼とスーザンは――スーザンには息子のザックも合算して――一家の父親が死んだ日から運命にとらわれた。どうにかしようとは思った。母親も子供のために頑張ってくれた。だが、うまく逃げおおせたのはジムだけだ」

    あの日、四歳のボブと双子の妹スーザン、それに長男のジムは車に乗っていた。玄関前の坂道の上に父が車を停め、郵便受けの不具合を直そうと坂道を下りていったあと、車が動き出して父は圧死した。ボブには何の覚えもないが、前の座席にいたので、学校で「お父さんを殺した」と言われ、精神科に通ったこともからかわれた。いつもぼんやりとした不安が心に潜み、弁護士になった今でも法

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    2022年08月17日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    本を読んでいて、心から共鳴する文章に出会い、ページの端を折ってしまうことがある。『オリーヴ・キタリッジの生活』『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』は、何ヶ所もページを折ることになる小説だった。なぜこの物語に惹かれるのだろう。たぶんひとつはオリーヴの人物像、ニつめはエリザベス・ストラウトの歯切れの良い文体(と見事な訳)、三つめは、私自身がある年代に差し掛かったからだろう。「光」という作品が特に良かった。

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    2022年01月29日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    「オリーブ・キタリッジの生活」の続編。主人公オリーブはさらに年老いて、前回の中高年小説からついには死や孤独という不安にとらわれる老人の小説になっている。だが、ここに書かれる人間関係の葛藤やオリーブの気持ちの変遷は、老人だろうが若者だろうが人間は同じだということを感じさせるもので、むしろ前作よりも普遍的な内容になっている。

    夫の元愛人をこき下ろしたくなる。フレンチ系の住民に対するちょっとした偏見、でもそんな教え子が有名人になっていたらちょっと誇らしく、会ったことをみんなに言いたくなる。一方でソマリ人を差別しちゃいけないという正義感。老人ホームに入っても、一緒に食事する相手や仲良しがなかなか見つ

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    2021年02月28日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    これはすべて私達のストーリーだと思える小説。誰でも少しずつオリーブと重なる経験、後悔や悲しみ、喜びを抱えて生きているし、生きていく、老いていくんだろうと思わせてくれる。

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    2021年02月27日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    自分が老境に差し掛かっているからだろうが、とにかく沁みる。老いが何をもたらすか、余すところなく描かれる。寂しさ、崩れ落ちる自信、人付き合い、子供との関係。沁み渡ったよ。

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    2021年02月25日
  • オリーヴ・キタリッジ、ふたたび

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    10年ぶりのオリーヴ!とても懐かしい人に会ったような気持ちで読んだ。
    オリーヴの70代中盤〜80代中盤が描かれる。

    いいなあこういうの。まず、安直な癒し話(傷ついて、でも美味しいごはん食べて癒される〜みたいなやつ)じゃないのがいい。過去のぐちゃぐちゃや老いや不満などのいろいろを、抱え込み、受け入れているよね。
    ズケズケ言っているようで結構相手を思いやっていたり、よろけたり漏れたりの老いる己れの身体に驚いたり困ったり、時々どうしようもない孤独や心配に襲われたり。こんな80代、アリだなー。

    『心臓』が最もグッときた。

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    2020年12月25日
  • 何があってもおかしくない

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    アメリカの田舎の人たちの生き方が丁寧に描かれていた。
    淡々としていながら、クライマックスが訪れたり、少しずつ繋がっていたりする。

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    2019年05月25日
  • 何があってもおかしくない

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    著者の前著「私の名前はルーシー・バートン」のスピンオフのような短編集で,ルーシー・バートンと何らかの繋がりがある人(あるいは,さらにそこから孫繋がりしている人)達9人それぞれが主人公の9つの短編からなる.
    自分もそうなのだが「私の名前はルーシー・バートン」を読んでいなくても全く支障は無い.
    この主人公達は,皆が心に何かを抱えている.それを丹念に,かつ,淡々と綴っているだけ,といえばそれだけなのだが,心を揺さぶられる.仕掛けの一つが,各短編の主人公達が必ず他の短編で少しだけ登場(といっても言及されるだけの場合が多いが)することで,二つの違った角度から「何か」を見ることによって,人物や出来事の造形

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    2019年03月17日
  • 何があってもおかしくない

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    ある人物やものごとを 異なった視点から見ると違う景色が見えてくるという話が好きなのだが、それを畳みかけてくる連作短編集。登場人物が言わば数珠つなぎになって、新しい人格を持つ者として姿を表すと、その都度ハッとさせられる。変な人ばかりとも言えるが、本人はそうは思っていないこともある。平凡な人々にもそれぞれに深い物語と理由(言い訳)がある。面白くて途中でやめられなかった。
    前作を読み直さなければ。

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    2019年01月15日
  • バージェス家の出来事

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    ぴかぴかとまではいかずとも、それなりに磨き上げ手を入れていたガラス窓に、ぴしりと小さなヒビが入った。じわじわと広がっていくそのヒビをくいとめる法などあるはずもなく、不安に思ううちにそれはしまいには窓は砕け散ってしまう。
    バージェス家の兄弟妹の生活が、それだ。とりあえず均衡を保っていたものがあれよあれよと崩れ落ちていく。
    きっかけは妹の息子がモスクに豚の頭部を投げ入れたことから始まる。少し昔の小説であれば、この息子の心理を探ることに物語の核があったのかもしれないが、息子のその暴挙の理由は「なんとなく」なのである。こちらのほうがいまや現実的に響くのであるから恐ろしい。
    前作のあとがきの、どんな「田

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    2015年01月26日
  • バージェス家の出来事

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    ある一家の1年ほどを描いて、問題噴出なのにどこかユーモラスで、しかもあたたかい結末。
    アメリカの抱えるさまざまな問題がびっくりするほど関わってきます。

    バージェス家のジムとボブ、妹のスーザン。
    長男のジムは、やり手の企業弁護士。
    ボブはジムにばかにされながらも慕っている気のいい弟で、弁護士なのだが法廷には全然向かない。
    二人はニューヨークに出ているが、メイン州に残った妹のスーザンから連絡が入る。
    息子のザックが事件を起こしたため来てくれというのだ。

    ジム夫婦は、社長夫妻と一緒の休暇旅行を優先して、ボブだけに行かせる。
    ザックはモスクに豚の頭を投げ捨てたのだが、軽犯罪だからすぐ帰れるといわれ

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    2014年10月26日