大暮維人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
完璧な漫画ほど、読んでいてつまらないモノはない
けど、完璧にギリギリまで近づく事が出来た漫画は理屈抜きで面白い
この『バイオーグ・トリニティ』は正に、それに当たる
とことん、画からもストーリーからも無駄を、作中に登場するコンバットナイフで1mm単位で削ぎ落としているような印象を受けた
ストイック、とも違うのだが、飢餓感が際立っているのか? 読み手からの賞賛、なんてチンケなもので腹を満たしたいのじゃなく、自己満足感を強く欲しているように思える。面白い漫画を描ける→嬉しくなる→物足りなくなる→もっと、面白い漫画を描きたくなる、これが舞城先生と大暮先生、両名の中で半永久的にループしている故に、これほどの内容でなく、作品としての質が暴力的な、最高の漫画が生み出されるに違いない
極端な話、舞城先生は大暮先生と、大暮先生は舞城先生と、一つの漫画を世に出すために、小説家と漫画家を今まで続けていたんじゃないだろうか?
一読み手に、そう思わせるだけのタッグである
バトル漫画の仮面を被った、正道恋愛漫画ってのも個人的にはツボ
また、『天上天下』級に伏線を張り巡らせて、読み手の拙い想像力を刺激してくれるのも最高である
この2巻で、改めて、藤井のアブノーマルさが浮き彫りになった
絶対に守りたい一人の為に、1mgも躊躇しない、物怖じしない、思い切りの良さが、彼が現時点で持っている『武器』の中で最も強く、何よりも恐ろしいモノだろう。ある意味、修羅の貌を持つ穂坂よりも、死の香りを漂わせている・・・
個人的に気に入っているキャラは、委員長
こう、世界全体を数歩ばかり引いて俯瞰で見れている点や、独特の恋愛観を穏やかな調子で、清らかな詩を紡ぐように語れる点など、今後、作中で重要なポジションを担いそうな匂いがプンプンする
あと、ノーマルに変態な鈴木ちゃんも、私の中では上位ランカー -
Posted by ブクログ
最高に面白い。
1巻では伏せられていた世界の設定が明らかになり、物語に輪郭が与えられ始めたので、ぐっと「わかりやすくなった」。一方でどこまでも、全く新しい漫画を読んでいるという感覚が失われない。
他の追従を許さないリッチでアグレッシヴな作画については最早言葉もないわけでコメントは差し控える。さらに、この作品を最高に新しくてチャレンジングなものにしているのは、やはり藤井と穂坂が合体してしまったことに由来する一個人内の複数人格の混在(又は、混在からの脱出)が物語のキーに据えられた点である。
同誌掲載作品「ジョジョリオン」も奇しくも一個人の内なる二人格(の融合)が物語の謎の根幹となっているわけだが、これは偶然である以上に、時代の必然と言える。現代日本の若者たちにとって、内なる複数のキャラクターの統合は最重要テーマの一つだ。哲学者・平野啓一郎の提示した「分人」概念は注目を集めており、「個性」を根本から問い直す流れは最早不可逆といってもいい。
そのような「内なる人格」の一つとしてデザインされた藤井のありようは非常に洗練されていて、あまりマンガの主人公として描かれてこなかった造形だけれども、時代とテーマにガッチリはまっている。あと、もう一人の主人公であるキワが典型的な「キャラクター」なのに、どこまでもお約束の枠をはみ出ていくような「逞しさ」を感じさせてくるのも、作り手の腕の確かさに唸った点だ。
とにかく面白い。まじで面白い。強烈にエグイつくりで一般向けとか推奨とかしづらそうだけど、自分はこういう作品を待ってた。 -
Posted by ブクログ
一流の作家と一流の漫画家がタッグを組んで生み出した作品だからだろう、余計に何処を誉めるべきなのか、まるで判別がつかん
ただ、鮮明なのは私はこの漫画を好きだし、好きになれる
テンポの良い話そのものも素晴らしいし、躍動感のある画を構築する線の一本一本が実に力強い。キャラの性格も立ってるし、印象に残る台詞も多い
それを踏まえて考えてみた結果、この『バイオーグ・トリニティ』はメカッコイイ漫画だ
人間そのものが美形ってのも魅力だが、私としては重々しい金属感のある刃物や銃器に惹かれる
特に一巻のラストの最後のページは、大暮先生の色が鮮やかに出ていると思う
間違いなく、今年、ランキング上位に食い込む漫画 -
Posted by ブクログ
最高。これだけのパワーの塊を浴びるように包まれるように味わえるのが嬉しい。大暮氏過去最もハッピーな雰囲気のある作品。
ジブリアニメーションを見るときの喜びの本質は動きに宿っていると思うが、大暮氏は絵のディテールの情報量でこれに近い「喜び」を生み出していると思う。
不思議世界の設定はひとまとめに明かされないで、どんどん後回しにされるのだけれども、絵がこれほど「喜び」に満ちているので、明かされるまでゆっくり待っていてもいいやという気持ちになる。むしろ、何も分からないままで待つ楽しさを得られる稀有な体験。それには作家への信頼が必要だけど、それを絵の力で実現させてるのがすごい。
この表現はもう流行遅れなんじゃないの、という部分もあるけれど、絵の力と仮想未来の設定によって何だか逆にアリだなという気にもさせられてしまうし、そもそも何の不満もない。何も不満がないのだ。
そして個人的にすごく好きなのが、主人公の一人である藤井が馴染みの友人に漏らした、カッコいい相棒・悪友に比べて自分はかっこわるいよなと苦笑いしながら、相手を認めていく一連の呟き。「おれ、穂坂になりたい」 …主人公の衒いのない非凡な素直さがとても新鮮。これが次代のかっこよさかなと感じる。このキャラ造形は舞城氏の案だろうか。素敵だ。 -
Posted by ブクログ
物語としてものすごく良くまとまった感じです。
そうか、この先とかはなくて、「ここ」で、すべての結論をだしたのか。
このまとまりが、予定調和なのか、物語のパワーが導いた結果なのかはわからないけれど……。でも、この物語に凄く引かれていた自分としては、後者だと思いたいですねぇ。
少なくとも、「人と人が傷つけあうのは悪い事とは思わない」という境地は、けっこう、ジャンプ系バトルが突き抜けていった先にある1つの境地だと思います。
「シャーマンキング」以外にも、この道があったかみたいな驚きがありました。
そして、最後の結論が、「キミに届け」だったというのも、なんか、凄い。でも、納得できます。