野村泰紀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
『95%の宇宙』を読み、宇宙について分かることが増えるほど新たな謎も増えていくという点が印象的だった。科学は「答えを出す学問」というより、「分からないことを明確にしていく営み」なのだと感じた。SNSなどでは断定的な表現が好まれるが、本書を読むと、理解が深い人ほど簡単には断定しない理由が分かる気がする。
特に興味深かったのは「時間」の話だった。時間は誰にとっても同じように流れるものだと思っていたが、相対性理論では重力や速度によって進み方が変わるという。日常感覚とかけ離れていて非常に不思議だった。一方でGPSなど実生活にも応用されていると知り、理論だけの話ではないことにも驚いた。
また、ダークマターやダークエネルギーという言葉は最初はSF作品の設定のように感じたが、実際には観測結果を説明するために導入された概念だと知った。銀河の回転速度や超新星観測から、「見えている物質だけでは説明できない」ことが分かり、そこから未知の存在を仮定していった流れが面白い。特に、宇宙膨張が減速ではなく加速していると観測から分かったという話は衝撃的だった。
全体として、本書は「宇宙の95%はまだ正体不明」という現代宇宙論の最前線を扱っており、簡単ではなかったが、その「分からなさ」こそが面白い本だった。理解しきれない部分も多かったが、宇宙や時間について考える入口として非常に刺激的だった。 -
Posted by ブクログ
現代物理学の基礎研究・理論についての分かりやすい解説書。一般向けに丁寧に順序だてた記述で、「宇宙」を解説してもらえます。読みながら「ちょっと待って、どこまで突き詰めてくの?」と言いたくなるくらい、自分の漠然とした聞きかじった宇宙・物理学の知識がいい意味で壊されていく。「カミオカンデでニュートリノが観測」とかニュースの字面では分かったつもりになっていたけれど、素粒子論と宇宙論がこんな風に同じ領域のものとはね。SF好きを自認してた自分が恥ずかしくなるくらい、この分野について無学だったことがわかりました。ビッグバンすら「宇宙」のほんの一コマでしかないって、扱ってる範囲が広すぎでしょう。ダークエネルギー、場、泡宇宙、マルチバース・・わかった気にさせてもらえました。
本書を読んでるとSF読んでるみたいです。『三体』を読まなかったら、おそらく手に取らなかった本書。本好きって楽しい♬ -
Posted by ブクログ
ネタバレマルチバース宇宙論についての一般向け解説書。おそらくこれ以上やさしく書くのは難しいと思うがそれでも理解が難しいところはある。著者が科学編集者ということなので、客観的な視点で理論を紹介・説明しているのではないかと感じた。入門書・知識の整理に良い本。
【目次】
1 私たちの宇宙――ユニバース
第1章 宇宙はどのくらい広いのか
第2章 宇宙は無限か有限か
第3章 「無」からの宇宙創成
第4章 宇宙を超巨大化させた「インフレーション」
2 無数の宇宙――マルチバース
第5章 親宇宙から無数の子宇宙が生まれた
第6章 私たちの宇宙は“幸運”なのか
第7章 物理学史上最大の微調整問題
第8章 超ひも理論が予言する宇宙
第9章 パラレルワールドとの深いつながり
3 マルチバース宇宙論は実証できるか
第10章 インフレーションの証拠は見つかるか
第11章 超ひも理論や高次元空間は実証できるか
第12章 並行宇宙の存在は実証できるか
あとがき
監修者解説 並行宇宙論の衝撃
さらに学びたい読者のためのブックガイド
図版出典
索引 -
購入済み
インフレーション、ビッグバン、マルチバース、それに多次元宇宙
これらがどのように関連するのかがわかって、
面白かった。
この宇宙が始まる前のこともいずれ解き明かされる可能性があるそうなので
まだまだ楽しみは続くね。 -
Posted by ブクログ
本書の内容は、副題にあるように現代宇宙論の初心者むけ解説書である。初心者といっても、宇宙に関心がありこの手の本を何冊も読んでいる人を対象にしていると思われる。
平易に書いてあるが、内容を理解するのは容易ではない。特にページが進むにつれ説明が早くなる気がする。より難しい最新の解釈のところほど、丁寧にゆっくり説明してほしいところだ。ブルーバックスは昔からそのような傾向がある気がする。
難解な本書だが、マルチバースがストリングスやダークエネルギーなどの理論や観測結果と矛盾しない・或いはそれらから導けることを説明したようだ。その解釈の中に本書の題名の回答がある。
将来、この解釈がどれくらい正しいと認知されるか、10年後のブルーバックスが楽しみである。