野村泰紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文学部卒の文系人間だけど、大学生時代から関心があり、何冊も本を読んでも理解さえ出来なかった「相対性理論」「量子力学」「超ひも理論」を初めて大まかではあるが理解できた。作者の野村泰紀先生の本は他にもあるので、数冊読もうと思う。
そして量子テレポーテーションやマルチバースのように、マクロの世界では神秘的な理論が、死後の世界とのテレパシーなど、何故か量子論をもとにしたスピリチュアルな自己啓発本が多いのか繋がった気もする。
生半可にかじって、その結論をスピリチュアルに求めるのは生涯を真理の探究に費やした天才たちにも失礼なので、そうならないようにしよう。 -
Posted by ブクログ
宇宙について知ろうとするほど、ゴリゴリの文系には理解できないことばかりで、頭を抱えてしまう。そんな状態から脱却したい。「分からない」を解消したいと思い、書店で見かけて購入した本作。3回読んだ結果、「分からない」ことを解消するのではなく、「分からない」ことを知る本だと実感した。それは、宇宙があまりにも私たちの常識の範囲外にあり、かつ、宇宙の95%以上が謎に包まれているからだ。
筆者の野村泰紀氏は、カリフォルニア大学バークレー校教授、ラインウェバー理論物理学研究所所長、東京大学カブリIPMU連携研究員、理化学研究所客員研究員を併任し、素粒子論・宇宙論における理論物理学の最先端で活躍されている。そんな第一線の研究者が最新の宇宙の謎について、ただ「宇宙に興味がある」という一般読者に丁寧に解説してくれる。なんとありがたい本だろうか。
宇宙の謎は3パターンに分類される。要約すると、「タイプA:謎が解けているが、人間の直観にあっていないもの」「タイプB:理論的には説明可能だが、実証されていない」「タイプC:現時点では、完全に説明できない」。
何度も読み返して思ったのだが、宇宙初心者にはこのタイプAが非常に厄介だ。筆者は、宇宙の謎を読み解くためには、素粒子・量子・時間・重力の基礎知識が必要だと解説しているが、宇宙に関連するこれらの事項は、私たちが日常生活を送るうえで受け入れている常識から、直観的にそぐわないように感じてしまう。例えば、時間と空間の概念を変えたとされる相対性理論。「光速度不変の原理」はアインシュタインの思考実験を何度イメージしても、よく分からない。でも、分からないからと言って思考を止めてしまっては、タイプB・Cの謎を読み進めることはできない。だから、「(感覚や経験則的に)分からない」を受け入れる――分からないけど理論をいったん受け入れる――という姿勢が、ゴリゴリの文系が宇宙というフィールドについて知りたいと思ったときに必要な心構えのように感じた。「分からない」けれど、分からないなりに受け入れて次に進むための第一歩だ。それでもやはり、素粒子とか量子力学は「なんのこっちゃ」と思うけれども。
気を取り直して、解明されていない謎について見ていくと、これは純粋にワクワクする。インフレーション理論、暗黒物質(ダークエネルギー・ダークマター)、時間が一次元である理由、マルチバース、ブラックホールの特異点、宇宙の始まり。理論物理学者が未知の現象を予測する理論を提唱し、最先端の観測機器がそれを実証するために遠い宇宙を探索する。ハワイやチリの山頂から宇宙を見通す望遠鏡が、宇宙空間へ送り出され惑星を探査する人工衛星が、これらの謎を解き明かすために稼働しているんだと実感する。
宇宙やそれを解き明かすための学問は、なんだか私たちの生活とはかけ離れているように感じるけれども、宇宙の中の地球という場所で暮らす私たちの世界の話である。「分からない」からと遠くに押しのけるのではなく、「分からない」を受け入れながらも、第一線の研究者たちが取り組む宇宙の謎を知りたいと思う欲求は、両立させて良いものだと感じる一冊であった。おそらく、これからことあるごとに4回目・5回目と再読を重ねるだろう。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かったです!!
現在の宇宙物理学がどこまで進んでいるのか、
どこまで解明できていて(理論と観測の一致が確認できていて)、
正直ベースでどこが未解明で、その未解明な部分を説明しようとすると、どのような追加理論が必要となって…
ということを、僕のような素人にもとても分かりやすく説明されています。
きっと想像を絶するくらい難解な宇宙のことを、
ここまでかみ砕いて説明されるのは、本当に苦労されたと思いますし、
本質を理解出来ていないと出来ないことだと思いました。
そういう意味で著者の野村さんは凄いと思います。
(当然本業の研究分野でも凄いのだと思いますが)
はじめにやあとがきで触れられている「宇宙科学者のリアル」についても、
とても面白かったです。
(壮大な宇宙の研究していても身近な小さいことにくよくよ悩むのは普通の人と変わらない、など笑)
宇宙にがぜん興味が湧きました。
(先日JAXAに行ったくらい…笑)
ありがとうございました!
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Posted by ブクログ
宇宙を構成しているエネルギーの総量を計算してみると、驚くべき結果になる。これまで判明している素粒子から重力などのあらゆるものを足し合わせても5%にしかならない。残りの95%は未知のもので満たされていて、いまだに見えないを端的に表現するべくダークマターとダークエネルギーという呼称が付けられている。
本書のタイトルは、ここに着眼、クローズアップして、これまでに最先端で取り組まれてきた歴史を紹介しながら、難解な言い回しを避け、読者を迷路に引き込むこともなく、わかりやすく最後まで謎の興味を損なうことなく導いてくれる。数多の素粒子論や宇宙論の本が出ているが、これまで曖昧模糊としていた知識や理解が、本書を通じてスッキリ整理されていく爽快感がある。
全体の構成の中で、これまで謎と考えられている対象を3つのタイプに分類している。タイプAは、理論的に説明できても直感では理解できない「不思議」というジャンル、タイプBは、理論的には説明できそうだが、検証や確認が十分できずに疑わしさを残しつつ「不完全」というジャンル、タイプCは、理論さえ構築できない「謎」というジャンル。専門家以外では、どれもどうなっているのだろう、ちっともわからないということに対して、3つのタイプのどれに該当するのか、丁寧に説明していく。研究の最前線が見えてくる。 -
Posted by ブクログ
古い知識のまま止まっていたが、最新宇宙論の「マルチバース理論」が、こんなに刺激的だとは思わなかった!
野村泰紀教授が出演している動画「ReHacQ」を偶然見たところ、内容のあまりの面白さにハマってしまい、教授が出演している動画を探しては見まくってしまった。
私自身は完全に理系から脱落した人間。
文系にもなりきれず、今でも中途半端な感じでいるが、とにかく物理がダメだった。
高校の時に物理の授業を聞いていても、全く理解できず。
テストで0点を取ったこともあるくらい、完全に肌に合わないのだと思っていた。
しかし、こんな大人になってから教授の説明動画を見たら、メチャクチャ分かりやすいじゃないか。
そもそも宇宙には興味を持っていたし、子供の頃だって「学研の科学」を定期購読していたくらい、科学好きだったのだ。
改めて物理0点の私だが「高校の時の先生の教え方が悪かっただけじゃないか」と思い直して自分を慰めた。
今さらながら歴史を追って物理学を学んでいくと、こんなに頭に入るのか。
「なんだ、そういうことか!」と腹落ちする感覚は、大人の今だからこそ、余計に心地良い。
難しい数式は相変わらず理解できないが、こんなところで学ぶコツが見つかるとは、良い時代になったものだと思う。
学校の授業で良い先生と巡り合わずとも、こんな素敵な動画に出会えれば、それだけで勉強するきっかけになる。
調子に乗って今回教授の書籍を購入してみたのだが、すでに動画で概要を見ているだけあって、「これは面白い」とすんなり入った。
予備知識なく本書を読むと、少々難しいかもしれない。
しかし、私個人としては本当にお薦めの書籍である。
仕事に直接役立つものではないかもしれないが、充分に知的好奇心をくすぐられる内容だ。
本書を読んで宇宙に思いを馳せ、人生が豊かになるなんて、すごく素敵なことじゃないか。
改めて本書内で、読み応えを感じるのは、後半に設定された第5章と第6章。
我々の住む世界が、あまりにも良く出来過ぎているという話と、マルチバースに関する部分だ。
この2章分については、ワクワクしながら何度も読み返してしまった。
今になって子供時代に読んだドラえもんだったり、SFの世界の話を思い出してしまう。
人間の想像力は果てしないし、分からないことを探求する力も素晴らしいと思う。
宇宙については、今でも分からないことが大半で、その壮大な難問を何とか解き明かそうと日夜努力している人がいる。
それだけで、大きなロマンを感じてしまう。
東京で空を見上げても、星空はほとんど見えないが、空の遠くに宇宙があることは実感できる。
これだけ広くて大きな宇宙だから「そこに存在して当然」と思ってしまうし、変化がないものだと勝手に思っていた。
改めて、宇宙が誕生して約138億年。
今現在も加速膨張を続けているのだそうだ。
加速し続けているのだから、いつかは光の速度を超えてしまうらしい。
(加速膨張によって、光の速度を超えるのは、相対性理論と矛盾していないとのこと)
そうなると、宇宙の端から出された光はいつか地球に届かなくなり、宇宙がどこまで拡大しているのかも観測できなくなってしまうということだ。
そんな未来は何億年も先らしいので、我々人類がすでに消滅しているかもしれないのだが、そんなことを想像するだけで面白い。
こうして今でも、宇宙は大きく動いている。
そんな宇宙の存在自体が、そもそも奇跡的だと聞いたら、どういう印象を持つだろうか。
我々が暮らす「宇宙」は、実は「あまりにも良く出来過ぎている」のだという。
このことは、私自身本書を読むまで(教授の動画を見るまで)、全く知らなかった。
そもそも「地球はあまりにも良く出来過ぎている」というのは、良く聞く話で、理解はしていた。
太陽との距離がたまたまバッチリで、衛星としては大きな月が地球の自転を安定させ、温度的に熱くも寒くもなり過ぎずに、水で満たされた星として存在するなんて、それだけでとんでもない奇跡なのだ。
それと似たようなことが、我々の暮らす宇宙でも起きているらしい。
宇宙の構造や膨張を記述する理論モデルがあり、そのモデルの振る舞いを具体的に決める数値(パラメータ)が、設定されているのだが、このパラメータをほんの少し変えてしまうだけで、我々の宇宙の形にならずに、全く違う宇宙になってしまうのだという。
具体的には、我々の宇宙が誕生した時は、物質・反物質が半々だったはずが、なぜかCP対称性が破れて(こういう表現で説明するらしい)、我々が住む「物質の宇宙」が出来上がったのだという。
これだけ聞くと「なんのこっちゃ」だが、我々の常識(21世紀の知識)では、宇宙には天体があり、それらが銀河や銀河団を形成しているということだが、それ自体が本当に針の穴を通すかのごとく、偶然に出来上がっている世界なのだという。
ほんの少しパラメータを変えるだけで、「物質の宇宙」が出来上がらないはずなのに、なぜ我々の宇宙だけがあまりにも都合よく「物質宇宙」となっているのか。
さらに言うと、そんな宇宙になぜ我々のような人間が地球に生まれたのか。
(人間も当然「物質」で出来ている)
考えれば考えるだけ、「あまりにも良く出来過ぎている」のは間違いない。
この「なぜ」は未だに解明されないのだが、これも世界の天才物理学者たちが、科学的に解き明かそうとしている。
それだけで尊敬してしまう。
我々凡人に在りがちだが、目の前のほんの一部を見ただけで、それが世界のすべてだと思い込んでしまうのは、本当に勿体ないことだ。
本書内でも「とらわれている常識を外してみることが大事」と説かれているが、大きな視点で物事を捉え直してみることが大切なのだろう。
そうでなければ「我々の宇宙は無数に存在する泡宇宙の一つに過ぎない」などとは思えない。
マルチバース理論はメチャクチャぶっ飛んでいる。
単なる想像の世界ではなく、科学的に論理立てた上で仮説しているのが面白い。
どうやってそれらを証明していくのか、解き明かしていくのか、本当に興味があるのだが、我々の世界があまりにも良く出来過ぎていると感じる一方で、これからのAIの進化含めた未来がどうなっていくのか、本当に興味がある。
自分自身、どうやってこの先の人生を生きていくのかを、真剣に考えなければならないのだが、そんなことよりも、「子供の頃に想像した未来世界」が訪れることに興奮してしまう。
宇宙の存在が奇跡であれば、地球の存在も奇跡そのもの。
そんな地球に我々はたまたま知的生命体として生まれ、そしてたまたま世界の謎を解き明かそうとしたり、AIの進化も含めて、人類の存在意義が問い直される時代に生きている。
時代がほんの数百年ズレて生まれていたら、私自身まったく異なる人生を送っていたのだろう。
数百年なんて、宇宙の歴史138億年からしたら、ほんの誤差の範囲だ。
本当に「あまりにも良く出来過ぎている」と思ってしまう。
その奇跡に感謝して、知的好奇心を大いに刺激していきたい。
50代の今になって、素敵な書籍に出会えたことに感謝している。
(2025/3/9日) -
Posted by ブクログ
UCBの野村教授による一般向け宇宙解説本。語り口が変に読者に媚びたり、反対に専門用語連発で突き放すようなことをせず、極力平易な言葉、ニュートラルな表現で現代宇宙論が解説されている。宇宙専門でなかった物理出身としてはレベル感がちょうど良くとても面白かった。ダークエネルギーは要は真空のエネルギー(そう言われたらまあそうか)、ダークマターの候補として考えられているWIMPなど知れてよかった。あと超弦理論の10とか11次元とかいう空間+時間以外の次元の概念について、それらの次元軸はドーナツみたいに輪になっていてかつそのスケールが見えないほど小さいから存在しないように見えるという解釈が、素人なりに初めて腑に落ちた気がした。
自分が生きている間にダークマター・ダークエネルギーの正体は分かるのだろうか…ビックバン以前の状態は… -
Posted by ブクログ
傍線を引き、書き込みをしながら読む。
さらに、AIとの壁打ちで、本書には書かれていない部分まで、哲学的な思索を深める。
量子力学以降の宇宙論の発展とは、数式にあらわれてしまう実無限を、可能無限的に回避していくことだったと言えるのではなかろうか?
しかし、宇宙の立ち場から見れば、
「俺は、おまえらが言うところの実無限なのだから、そのまま、実無限として扱ってくれよ。そのほうが、俺の実像に迫れるぜ」
ということになるかもしれない。
『そう記述できることと、そうであることは、違う』
これが、素人哲学者のわたしなりに、宇宙論・物自体の世界を考えるうえでの、重要なキーワードである。