能田優のレビュー一覧

  • テロリストとは呼ばせない

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     ジェイ・カシーム三部作の二作目ということである。前作のラストは異様であった。本作はそれを継いで始まる。ぼくは前作で、町の移民である若者ジェイが悪を倒すために国家的組織に利用される構図を、『傷だらけの天使』のヒーロー修とアキラの兄弟に例えてしまったのだが、それは本作でもあまり変わぬ印象のまま。

     『傷だらけの天使』という稀代のTVドラマをかつて青春真っただ中で体感したぼくには、木暮修たちは純情なコアの部分を持ちながら青春を精いっぱい生きる若者たちであるにも関わらず、東京という大都市に蠢く大人たちの欲望や駆け引きに否応なく利用されてしまう悲しき天使たちとして描かれていた。等身大のヒーローならま

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    2022年12月21日
  • ロスト・アイデンティティ

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    主人公はイギリス生まれのパキスタン人。ムスリムでありながら、麻薬の売人、酒も飲む、と言う設定。イギリスの組織に計略的にスパイの仲間入りをさせられる。始めは主語は一人称だが、ある時から主語が変わっていき、それと共に物語のスピード感も増す。ジハードの話?と懸念する必要はなかった。訳が上手くて、明治維新の時の戦いとかにも置き換えられそう。最後はびっくり‼️それって英国の差金かとも思った。悲しい物語。

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    2022年10月29日
  • ロスト・アイデンティティ

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    ネタバレ

    敬虔、とはいえないムスリムでありドラッグの売人でもある主人公がMI5にスカウトされて、イスラム過激派のグループに潜入する。
    なぜ彼がスカウトされ、なぜスムーズにグループに招き入れられたのか?一つのパズルがきちっと嵌り、ストーリーがしっかりと動き出す。
    根底にあるイスラムの物語の上に、主人公の軽妙さや周囲の人間との結びつきが描かれ、スピーディーな展開で面白い。
    主人公はチャチな悪党かと思いきや、母や友達を大事に思い、正義感をもった人物で本当に魅力的。
    翻訳が素晴らしい。


    が!ラスト!嫌な予感はしてたけど。
    これは一体どうなるの…?
    ここで終わるっていうことは、そういうことなんだろうけど、でも

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    2022年07月11日
  • ロスト・アイデンティティ

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    普段読まないタイプのの内容。
    とても、ハイテンポで読みやすかった。
    ムスリムについて知識はあまりない私でも分かりやすく、そして、宗教について考えさせられた。

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    2022年05月03日
  • ロスト・アイデンティティ

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     イギリス在住の作者クラム・ラーマンはパキスタンはカラチ生まれ。一歳で英国移住、ロンドン育ちの現在はIT企業会社役員、という珍しい肩書の新人作家だ。本書は、作者お馴染みの、ロンドン西部の移民率が高い自治区にあるハウンズロウに育ったムスリムの青年たちの日常からスタートする。

     主人公のジェイ・カシームは麻薬の売人だが、友人の一人は警察官、もう一人はテロリストキャンプにまで参加する民族主義者。再婚相手ができたばかりの母は冒頭からカタールに引っ越ししてしまい、父なし子のジェイは、初めての独り立ちを迎える。

     本書はそうした環境下で、青春小説、成長小説としての基盤を持ちながら、大枠ではイスラム・テ

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    2022年04月30日
  • 夜が少女を探偵にする(新潮文庫)

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    冒頭から不穏な感じで惹きつけられます。早々に犯人がわかる設定、むしろわかるようにしているのかな、と。犯人がどうしてああなったのか描写するのがメインだったような。映像にしちゃえば荒唐無稽、CG満載B級チックですが、そうなった背景があるのだと文章で説明することで重みが生まれたように思います。こうした作品でいつも思うことですが、家庭環境が酷すぎると子どもは逃避せざるを得ません。エイヴァの知識が光りますが、あれほどクレバーになったのは彼女の持ち前の聡明さもさることながら家庭環境がそうさせたのでしょう。それを思うと悲しくなります。犯人もそう。非常にヘビーな場面が多々登場し、この邦題は可愛すぎるのでは、と

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    2026年05月12日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    始まりも衝撃的だがサリーの出世の真実はもっと衝撃的。心抉られるし恐怖を感じるんだけどそれでも先が気になって読み進めたくなる。心情がすごく細やかに描かれていて深く揺さぶられた。
    サリーが周りの人の勧めやセラピー変化していく姿は好ましいがある事柄でまた元に戻ってしまう様や家族がトラウマからはなかなか抜け出せないとか連鎖してしまうとかが怖くもリアルがあった。

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    2026年05月01日
  • スパイたちの遺灰

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    ずっと読みたかった本。
    期待通り面白かったです。
    2つの時間軸、スパイたちの暗躍、騙し騙されの応酬、史実も織り交ぜての極太重厚感。
    登場人物も一癖も二癖もある人ばかり。
    何が真実で何がトラップなのかハラハラドキドキしっぱなしで、途中から一気読みでした。

    海外小説あるあるで、ただでさえ人物名がこんがらがるのに、スパイの偽名や作戦名・暗語まで入り混じって、何度も読み返しましたw
    実名や史実も少し頭に入れて落ち着いて再読すれば、もっと楽しめるかも(ネタバレではあるが)。

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    2026年05月01日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ネタバレ

    面白くて読み進める手がとまらなかった。読み終わるのが寂しいと思ったほど。でもラストが…以下完全にネタバレです。

    ラストがどうにも理解できなかった…非常にモヤモヤする。小児性愛者のコナー・ギアリーが当時11歳だったデニースから人生を奪いめちゃくちゃにしておきなながら、さらにその後誘拐したリンディの人生も奪っておいて、逮捕されて社会的制裁は一切受けず息子の車での事故であっさり亡くなるなんて罰としてぬるすぎるし、息子のピーターもリンディを解放せず最後は死なせたくせにこちらも制裁を受けずに野放し。幼い少女2人が本来は家族と過ごせるはずだった人生を完全に奪われ、デニースは自殺、リンディは再会すらできて

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    2026年03月26日
  • スパイたちの遺灰

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    過去と現在の2つのストーリーが並行して進む。古いスパイ小説が好きな私には過去の伝説の女性スパイの活躍が描かれるストーリーのほうが楽しめました。実際のスパイ活動も明らかになっている事実、疑わしい事柄、誰にも知られていない事....等々、色々とあるはずなのでこのような話の展開はまだまだ面白いものが出てきそうです。

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    2025年12月31日
  • スパイたちの遺灰

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    ある日、冴えない諜報史の准教授マックスのもとに1枚の名刺が届く。スカーレット・キング――MI6の伝説のエージェントが、半世紀にわたる諜報活動を綴った手記を出版したいと言うのだ。イギリス政府が隠蔽してきた作戦が表に出れば、世界が注目する。マックスは浮き足立つが、直後にスカーレットが殺害され、MI5に追われる身に。窮地を脱するため手記の原本を捜すうち、歴史の裏に隠された真実が浮かび――。

    ル・カレの重厚さは感じられないが、その分読みやすかった。作中に登場する作家名や小説名を見かけて思わずニヤリ。

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    2025年12月21日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ネタバレ

    サリーが養父の死んだ後その死体を焼却炉で焼いたことから始まる物語が、サリーの特異なキャラクターでもってどんどん展開していく。過去の壮絶な母親の人生と実父のおぞましい性癖、虐げられ虐待される描写には吐き気がした。途中から加わる兄の人生も悲惨であり、それがまた連鎖していくような未来が怖い。

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    2025年07月24日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ネタバレ

    翻訳とは思えないほどの読みやすさは何故なんだろうか。内容はとにかく辛過ぎる。ささやかな光しかないけど生きるというのはそういうことなんだろうなと思う、けどやっぱりきついな。同じような題材の「部屋」は同じように辛いけど、とても好きで何度も読んでいるんだけど。被害者が救われなさ過ぎる

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    2025年05月14日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ミステリー性は薄いけど、ストーリーの展開がテンポ良く、意外性もあり、イッキ読みした。結構残酷でショッキングな内容のため、読み進めるのに心が痛む描写も多い。それでも何故か作品に引き込まれた。サリーが前向きな人生を送れるように応援したくなる。

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    2025年03月20日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ネタバレ

     主人公が死んだ父を焼却炉で焼くショッキングな冒頭から紡がれていくサリーの数奇な人生は読みごたえが抜群で、サリー本人の癖がありながらも魅力的な人物像も良かった一方で女性蔑視や差別主義者、犯罪者親子などの胸糞要素が受け入れられず特に最後の二人にはもっと悲惨な目に(凄絶な殺され方とか)あって欲しかった。

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    2025年03月18日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    続きが気になってしょうがなかった。
    人はいろんな面があるし、変わろうとしても変われないっ事を教えてもらった気がします

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    2025年02月12日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ネタバレ

    この物語はトラウマの話だと思った。
    異常な親の影響を受けたサリーとピーター。
    人と繋がるために自分を変えていこうとひたむきに努力するサリーに希望があってほしい。そして自分を変えようとしないピーターは同じ過ちを起こしていく。
    このような深刻なトラウマでなくても親による心の傷を受けて育った人には響くストーリーだと思う。
    サリーもピーターも血縁を求めたけどアマンダも含めて残念だけどそれがいいとは限らない。

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    2025年01月28日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    「死んだらゴミといっしょに出してくれ!」そう言っていた養父が亡くなり、実際に養父をごみ袋に入れて焼いてしまったサリー…
    そしてそのことを隠すこともなく、「自分で焼いた!」と話すサリーには情緒の欠陥があり、変わり者と呼ばれている
    物語はそんなサリーが自分の過去を知り、自分を変えていこうとするパートと、彼女の過去に関わる重要な人物の視点で語られるパートで進んでいく
    そして徐々に明かされていく二人の過去はあまりにショッキングで…
    ダークで悲惨で、決していい読後感というわけではないが、作品はとても読みやすく、サリーのキャラクターのせいか最後までほぼ一気読みだった

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    2024年12月05日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    凄惨な過去のトラウマから情緒が不安定なまま成人した主人公サリーが、養父の死去を機に社会生活に馴染もうと奮闘する一人称の物語だが、途中から別の登場人物による一人称のパートが始まり、交互に語られていく。
    誘拐・監禁・洗脳・虐待のシーンはかなり痛ましい。
    謎解き要素が薄いため「推理小説」ではなく「犯罪小説」というところ。
    サリーの近隣住民に善人が多いのが救い。

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    2024年11月25日
  • サリー・ダイヤモンドの数奇な人生

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    ネタバレ

     面白かったです。

     冒頭はサリーの物語から始まりますが、途中からピーターの物語も始まり、その後は交互に展開。

     ピーターのパートが気になりすぎて、サリーのパートを飛ばし、先にピーターのパートを読んでしまいました。その後、改めて、サリーのパートも含め、落ち着いて読んでいきました。

     そして読み終わり。…え…?ここで終わり?
    とびっくり。

     でも、そうか、その後は読者に委ねるのかと。
    ピーターはともかく、サリーには少しでも、明るい未来が待っていて欲しい。

     例えば、コナーの母親が、少しでもコナーに良く接していれば、こんなにもたくさんの人々に影響を及ぼす事はなかったのではないか。たった1

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    2024年10月31日