山野弘樹のレビュー一覧
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コミュニケーションをする中で当たり前で大切なことに改めて気づくことができた1冊でした。
・コミュニケーションにおいて「議論」「対話」を分けて考えること
・相手に関心を持ち問いかけること、またそれと同じくらい自分に問いかけること
特に2番目の自分に問いかけることを忘れてしまいがちだなとこの本を読んで思いました。
今までは人の話を聞くことが大切で、自分に問いかけることをしてこず、ある意味でアンフェアなコミュニケーションだったと思います。これからは同じくらい自分にも問いかけることで、フェアなコミュニケーションができるようになりたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
日頃他人とぶつかることが多く、大概はデマや偏見を信じ込んでいる相手への指摘が跳ね除けられてのことが多いのだが、個人的にはかなり言葉を選んでいるにも関わらず度々周囲から「言い方がきつい」と言われ悩んでいたため本書を手に取った。最終的な結論としては「悪意や偏見に基づくものは意見ではなく対話のテーブルに乗せてはいけない」(これについては筆者も逆説的にではあるが触れている)、「デマを信じ込んでいる人、悪意のある人は自分の欠点に気付きたくないのでどういう言い方をしようと話を聞くことはない」となったのだが、しかしながら本書の内容は面白く、ためになるものであった。特に終盤の「対話術を日頃の会話や討論に組み込む」という頂はかなり役に立ちそうである。
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私たちが文章読解するときに行なっている内部処理を極限まで言語化した。読解力がないと思い込んでいる人でも読める。そんなハウツー本。
昨今、読解力の重要性は増している。文章を見てその内容を「理解」し、その内容に沿った行動を「出力」することが求められる。見当違いな仕事をしていては、信頼を失い、失望され、最終的には誰にも期待されなくなる。これが悪いこととは言わない。しかし、辛いものである。なので、少しでも自信のない人は本書を読んで、読解力を鍛えよう。
「20代からの」と文言から分かる通り、紹介される論理も比較的高度なものが多い。しかしながら、文章読解が苦手と思い込んでいる人にも読める。というのも、タイトル的に文章読解が苦手と思い込んでいる人こそがメインターゲットである事に加え、本書で読解能力を矯正・レベリングされるがために、存外読めてしまう。文章読解が本当に苦手な人は本書を手に取らないし、20代からのという文言がクリティカルヒットする人は、10代で文章を読んでこなかったと思いこんでいる20代だ。そういった人の多くは、文章読解の基礎自体は身についている。ダニングクルーガー効果である(能力の乏しい人ほど自身を過大評価し、中級者程度の能力のある人は自身を過小評価してしまうという心理効果)。そして、高度な論理というのは基礎的な論理の組み合わせであり、読解という行為自体が、そういった高度な論理を分解する行為も内包する。なので、本書を読む人は最後まで読み切ることが可能だという人が多くなるのではないだろうか。
大雑把にいって仕舞えば、読解とは考えることである。当たり前である。その言葉の現象、意味、意義、概念、といった言葉の内包するものを考えることも読解である。その文が何を指すのか、本当にその通りなのか、どういった理屈でルールが設定されているのか。これらを考えることも読解である。つまり、本書自体は私たちが当たり前にやっている「文を見て考える」という行為を極限まで分解して、基礎を抽出し、文章読解という形に組み直す試みであると言える。 -
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〈日本語解釈〉
日本語の文章読解をする上で必要となる"解釈"について解説されています。最初には語学力としての"意味"のとり方や解釈の定義について述べています。次に実践的に例題を通した解釈の方法について考え、筆者の意図の組み方、批判の仕方について記述されています。そして最後に発展編として文章としての枠を越えた解釈の方法についてが述べられています。
本書では首尾一貫して解釈を基礎に据えた解説を行っています。その特性は英語の参考書でしばしばみられる英文解釈の参考書の類と似ています。したがってその文章の意味や情報構造、筆者の意図することを汲み取る方法が解説されています。そして文の骨格となる「主題」「論敵(対となる考え)」「根拠」「主張」の読み取りなども解説されており、文章の解釈について非常に丁寧に深掘りされています。言うなれば英文解釈の日本語版である日本文解釈に近しいと思います。5W1Hの問を繰り返す事でその文章の意味をしっかりと理解し、批判的に読む事ができるようになる方法が例題を通じて分かりやすく記述されています。
一方で発展編ではこれまでの文章の解釈の枠を越えた「世界」、「人物」の解釈についても解説されています。これらについて受動的に解釈させられるのではなく能動的に解釈することが必要であると説いています。文章に限らず視点を広げて様々なものの解釈について考える事で適切な批判的な視点が身につくように解説されています。
レベル帯としてはタイトル通りの大学生や社会人でまだ充分な読解力に対する自身がない方におすすめです。それ以上に文章読解に自身がない方や、既に様々な哲学書や歴史書、政治・経済学の書物を読む事ができるような方々には簡単すぎるかもしれません。(未読ですが同著者の『独学の思考法』の方がレベルが高そうであるため、ある程度自身がある方はこちらから読み始める方が良いかもしれません。)理系の読み物に対してもある程度効果はあると思いますが、数字に対する解釈に対しては触れられていないため、直接的な効果は見込めません。然し、ある理系的な文章について自然科学を通した解釈であるとみなせば無意味ではないと思います。
私はつい最近まであまりこういった文章、とりわけこういった学術的文章については明るくなかったため、本を読むにさしあたり役に立ったと感じています。なにか革命的アイディアがあるわけではなく、当たり前かもしれませんが難しいかもしれないことについて解説されている点について客観的で実践的であると思います。 -
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昨日よりも良い人生になるような対話を!
対話は、議論や会話と違う。
議論での主な関心はテーマ、会話では自分、対話では相手。
相手の根拠を問いただす議論ではなく、相手の言う事を何でもかんでも肯定する会話でもなく、相手の経験を聞くのが対話。
相手の話に興味を持ち(二人称的関心で問い)、相手がなぜそう考えたか(一人称的経験を)答えてもらう、を繰り返すのが対話。
相手に問うばかりでは詰問調になるので、時折、なぜ自分が相手の話に違和感を持った(あるいはわからない)のか自分にも問い自分で答える(一人称的探究)。
人は他人には無関心なもの(そういってもらってありがたく感じる)。
日ごろから自分に問い自分で考える癖をつけて、相手の話にも興味をもてるようになれれば。
また、沈黙も大事という。
黙っている人を無理に喋らす必要はないかもしれない。
その人が、相手の言ったこと、自分で気づいたことを、頭の中で考えている最中かもしないのだ。 -
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ネタバレ二人称的関心と一人称的探究。
これこそがこの本の骨格。
対話は会話とも議論とも違う。傾聴し、相手を尊重する。自分と相手に向けて問いを出す。
問いは抽象的すぎても具体的すぎても良くない。
どう問いをだすか、筆者なりの見解が述べられている。個人的に哲学対話に興味があるので、一つ一つ言葉を定義しながら論を進めていくので、読みやすく、ハウツーのようで内容の深みもあり、満足感がある。
自分は、前に哲学対話を経験したが、ほぼ黙っていた。そして、抽象的な問いを出して、それだけ。
それって自分の信念が深まっていないということでもあるといまならわかる。
自分に必要なのは、自分の信念を深めること。問いを、出して終わりではなく、そこから考える。暫定的に答えを出してアウトプットしていく。今年はそんな一年にしたい。 -
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論理構造がわかりづらい本を理解するための方法を再履修した感覚。正直わかりづらいと理解を諦めていたが、それだとわかりやすい言葉にしか反応できなくなる。そういった状況に陥った人にとっては命綱のような本。
文章の論理構造を浮かび上がらせるための手段と、本質を見抜くための問いを与えてくれる。昨今の世の中、事実かどうかよりもわかりやすいコンテンツの影響力が強くなっている。そして自分自身そういったコンテンツに考えを左右させられてしまっていることがある。それでは何か取り返しのつかないことをしてしまうかもしれない。最悪の事実から避けるために、わかりやすさよりも事実を見抜く目を養うために、本書は良いパートナーとなり得る。 -
Posted by ブクログ
自分のPRの手段として最近よく目にするようになったのでVTuberとは何かを知るために繙いてみた.起源は1995年だそうだが、当時は全く気づていなかった.インターネットの使用率が1997年の0.2%から2002年の57.8%に急上昇し、YouTube日本語版が2007.6.19にスタートし、日本が得意としていたアニメが合流してきた由.歴史については何となく知っていたが、本書は岩波書店らしく、第III部で理論的な考察を加えている.配信者の立場、受け取る側の態度など、哲学的、現象学的、美学的等の議論は全て理解することはできなかったが、このようなアプローチがなされていることは素晴らしいと感じた.ジャズが好きなので、紅 茶々丸のサイトを覗いてみたが、しっくりこない面があるものの、よく出来ているなと思った.
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購入済み
「よう俺」と言いたくなる学術書
1章のVTuberの歴史から、Ⅲ部における配信者とVモデルとの各種関係論に至るまで興味深い内容が盛沢山だった。
殊に印象深いのは、先生方自らが視聴者であることを前面に押し出して分析をしている点。注釈に角巻わためさんのアーカイブが並んだり、冒頭から紫咲シオンさん語りしたりと、まさに「よう俺」と言いたくなるような書き口にクスリとした。
ところで自分は大手からVTuber(以下、大手V)に触れたが、今はとある登録者数の少ない個人VTuber(以下、個人V)も推している。この過程で感じた「VTuberと視聴者の関係性」について本書とも絡めて記述する。
11章富山先生の記述に、コメントや応援により、視聴者がVTuberと「因果的交渉が可能である」とあった。
この点が腑に落ちたのは個人Vの配信に参加するようになってからの経験である。個人Vは視聴者数が少ないため、コメントを拾う事も多く、視聴者を群体ではなく個人として捉えているように思う。チャットコメントとVTuberの双方向コミュニケーションが取れることを、富山先生の「因果的交渉が可能」という言葉で説明してくれたのだと思う。
この双方向性により推しへの熱中度が高まり、配信を楽しむ一視聴者として振る舞うと同時に、どうすればもっと伸びるか、活動をサポートできるかという運営に近い視座も持つようになった。卑近な言葉で言えばトモダチ感覚の関係性である。
一方で大手Vの視聴者である時は、高速で流れるチャット欄は群体であり、自我を持たないでいる事が求められるように感じる。これは一方通行でコンテンツを享受する関係性だと考える。
私が今でも双方が好きなように優劣のあるものではないが、視聴者の側に好んで双方向型の個人Vを回遊する層もいるだろう事を指摘しておく。 -
Posted by ブクログ
全3部構成の、VTuberに関する歴史・研究を取りまとめた大著。
VTuberはこれまでのキャラクターコンテンツと何が違うのか。
どこに魅力があり、人はなぜそれに惹かれるのか。
そんな潜在的な疑問が言語化されており、至極納得できた。
・ネット上に存在して、リアルタイムで同じ時を生きているという感覚を感じさせてくれることこそ、他のキャラクターコンテンツと異なるVTuberならではの新しい魅力
・「創作的ルックス」と「滲み出る本人性」とのギャップ、コントラスト、バランスがVTuberの本質かつ魅力
1部はVTuberの歴史、2部は今を取り巻く環境についての調査研究が述べられている。
論文調の文体ではあるものの、身近で馴染み深い内容のため、読み進めやすい。
声優がキャラクターになり変わって行うライブパフォーマンスとの違いなどにも言及されており、非常に共感を抱いた。
当然ながら、実在のVTuberを取り扱う内容であり、見知った名前も多数登場する。
実際の配信をソースに述べられている事も多く、親近感をもちやすい。
コラムに関しても、ANYCOLORやホロライブといった大御所へのインタビューまでもが含まれており、隙がない。
一方、3部は理論編と銘打たれ、「VTuber=配信者」であるかどうかを、各研究者が各々の哲学的観点から論じており、非常に難解。
素人目からすると言葉遊びのようにも感じてしまったが、「中の人」について、研究者が大真面目に議論するとこうなるのかと、新鮮な知見を得られた。