【感想・ネタバレ】VTuber学のレビュー

あらすじ

VTuberは,インターネットとコンテンツが連綿と紡いできた文化的,社会的,産業的な試行錯誤による蓄積の結節点にいる存在である.そこからは,情報社会が進展するにつれて現れてきた可能性や課題,多層的な問いを取り出すことができる.気鋭の執筆者陣が,様々な角度からVTuberについて考えるための視座を提供する.

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Posted by ブクログ

VTuberを様々な視点から捉えて論じている本。
以下のコンテンツを含んでいて、とにかく多角的でボリューミー。これ一冊で界隈の背景を掴めそうだ。

・VTuberの歴史
・社会的影響とビジネスモデル
・中の人から見たプロテウス効果(アバターの外見が当人の行動や知覚に影響を与える効果)
・配信技術
コミュニケーションとしての特性
・イベントのレポート
・哲学的視点、VTuberとは何者か
・キーマンへのインタビュー

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

自分のPRの手段として最近よく目にするようになったのでVTuberとは何かを知るために繙いてみた.起源は1995年だそうだが、当時は全く気づていなかった.インターネットの使用率が1997年の0.2%から2002年の57.8%に急上昇し、YouTube日本語版が2007.6.19にスタートし、日本が得意としていたアニメが合流してきた由.歴史については何となく知っていたが、本書は岩波書店らしく、第III部で理論的な考察を加えている.配信者の立場、受け取る側の態度など、哲学的、現象学的、美学的等の議論は全て理解することはできなかったが、このようなアプローチがなされていることは素晴らしいと感じた.ジャズが好きなので、紅 茶々丸のサイトを覗いてみたが、しっくりこない面があるものの、よく出来ているなと思った.

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2025年04月02日

購入済み

「よう俺」と言いたくなる学術書

 1章のVTuberの歴史から、Ⅲ部における配信者とVモデルとの各種関係論に至るまで興味深い内容が盛沢山だった。
 殊に印象深いのは、先生方自らが視聴者であることを前面に押し出して分析をしている点。注釈に角巻わためさんのアーカイブが並んだり、冒頭から紫咲シオンさん語りしたりと、まさに「よう俺」と言いたくなるような書き口にクスリとした。

 ところで自分は大手からVTuber(以下、大手V)に触れたが、今はとある登録者数の少ない個人VTuber(以下、個人V)も推している。この過程で感じた「VTuberと視聴者の関係性」について本書とも絡めて記述する。
 11章富山先生の記述に、コメントや応援により、視聴者がVTuberと「因果的交渉が可能である」とあった。
 この点が腑に落ちたのは個人Vの配信に参加するようになってからの経験である。個人Vは視聴者数が少ないため、コメントを拾う事も多く、視聴者を群体ではなく個人として捉えているように思う。チャットコメントとVTuberの双方向コミュニケーションが取れることを、富山先生の「因果的交渉が可能」という言葉で説明してくれたのだと思う。
 この双方向性により推しへの熱中度が高まり、配信を楽しむ一視聴者として振る舞うと同時に、どうすればもっと伸びるか、活動をサポートできるかという運営に近い視座も持つようになった。卑近な言葉で言えばトモダチ感覚の関係性である。
 一方で大手Vの視聴者である時は、高速で流れるチャット欄は群体であり、自我を持たないでいる事が求められるように感じる。これは一方通行でコンテンツを享受する関係性だと考える。
 私が今でも双方が好きなように優劣のあるものではないが、視聴者の側に好んで双方向型の個人Vを回遊する層もいるだろう事を指摘しておく。

#笑える #深い #タメになる

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2024年10月09日

Posted by ブクログ

全3部構成の、VTuberに関する歴史・研究を取りまとめた大著。

VTuberはこれまでのキャラクターコンテンツと何が違うのか。
どこに魅力があり、人はなぜそれに惹かれるのか。
そんな潜在的な疑問が言語化されており、至極納得できた。

・ネット上に存在して、リアルタイムで同じ時を生きているという感覚を感じさせてくれることこそ、他のキャラクターコンテンツと異なるVTuberならではの新しい魅力
・「創作的ルックス」と「滲み出る本人性」とのギャップ、コントラスト、バランスがVTuberの本質かつ魅力

1部はVTuberの歴史、2部は今を取り巻く環境についての調査研究が述べられている。
論文調の文体ではあるものの、身近で馴染み深い内容のため、読み進めやすい。
声優がキャラクターになり変わって行うライブパフォーマンスとの違いなどにも言及されており、非常に共感を抱いた。
当然ながら、実在のVTuberを取り扱う内容であり、見知った名前も多数登場する。
実際の配信をソースに述べられている事も多く、親近感をもちやすい。
コラムに関しても、ANYCOLORやホロライブといった大御所へのインタビューまでもが含まれており、隙がない。

一方、3部は理論編と銘打たれ、「VTuber=配信者」であるかどうかを、各研究者が各々の哲学的観点から論じており、非常に難解。
素人目からすると言葉遊びのようにも感じてしまったが、「中の人」について、研究者が大真面目に議論するとこうなるのかと、新鮮な知見を得られた。

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2024年10月07日

Posted by ブクログ

子どもをキッカケにVTuberに興味を持ったので購入。知っている名前が出てきて面白い。論文形式で書かれており、あまり深くは読み込めなかったので、また時間がある時に再読しようと思う。

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2025年02月13日

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