あらすじ
「読む」ことに慣れないまま、ポイントだけつまみ食い。
ファストに、従属的に受信する快楽に身を任せてしまう。
…考えさせない時代に抗して、「批判的読解」をいかに取り戻すか?
注目の若き俊英が、深く精緻に書き尽くした本格的クリティカル・リーディング入門!
千葉雅也氏、推薦!
「誠実に読む。いま、時代に必要なのは、言葉に対して時間をとって向き合うことだと思う。
本書は、いわば「誠実な読解力」のための優れたガイドである。」
【おもな内容】
・解釈とは、自ら問いを発することによって、主体的に文脈を整理・形成する作業
・筆者の主張を成り立たせる論理構造(A=B=C=D、ゆえにA=D)をクリアに取り出す
・筆者が提示する議論の根拠を問うことで、筆者の議論の「強み」と「弱み」を見定める
・筆者の視点(その本が提示している枠組み)に忠実に沿って、その本の内容を整理する
・「XをAとして見る」という認識に自動的に組み込まれた「としての構造」を疑う
・「人文学的思考」とは、人間の精神や世界の在り方の「可能性」を取り戻すための思考
対象を「読む」ことで得られたものから、自分の手で新しく問いを設定する。
そこから生まれた思考で、世界に存在する視点を増やす――この時代に求められている、新しい「読む」力。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルはよくあるハウツー本っぽいですが、とても良かったです。
文章読解を切り口に、人文学を学ぶことで得られる視座まで射程に入っていて自分の個人的な問題意識と繋がっていたところが刺さりました。
20代に限らず色々な人に読んで欲しいです。
最後の謝辞にVtuberが並んでいてびっくりしましたが、それ関連の書籍も出されているみたいなのでそちらも読んでみようと思います
Posted by ブクログ
単なる文章読解を目指さないという点で、学校で習う国語とは異なる読み方を提示し、テクストや世界をそのまま受容する(常識を常識として受け入れる)ことに抵抗する点で、それらを批判的に見る視点を提供してくれる。
哲学を専門とする著者ならではの文章読解本だと思う。
読解とは何か?何を目指すのか?どのように行うのか?なぜそれが必要なのか?...そういった読解にまつわる疑問に著者なりの答えを出してくれる。
Posted by ブクログ
噛んで含めるような講義調は、現代のこの手の書籍では標準的なスタイルかもしれない。
前半の、”テクストに対していかに問うのか”で、野家啓一の『歴史を哲学する』のある記述をいじくりまわす部分は、具体的でよく分かった。
後半の「発展編」で、鵜呑みや従属的態度を執拗に戒めている部分は、本書としては不要かとも思う。もっともではあるが、人文学に在籍する学生に、わざわざアジテートすることではないと思う。それこそ、先生の思想を鵜呑みする学生が多いだろうから。