あらすじ
「自分の頭で考える力」が根本から身につく!
答えなき時代に独学を深めるうえで必須の「考える技術」を、気鋭の哲学者が徹底解説。
答えのない時代には
自分の頭で考え、学びを深める力=「独学力」が必須だ!
◆勉強の質を高める哲学メソッド
◆「良い問い」と「不適切な問い」
◆「一問一答式知識観」を捨てる
◆「ソクラテス式問答法」の問題点
……など
【本書の目次】
はじめにーー答えなき時代に求められる「独学の力」
プロローグ 「考える」とはどういうことか?
ーーショーペンハウアー『読書について』から考える
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1.最近、頭に知識が入らないことが多く、学ぶすべに悩んでたので購入しました。
2.独学するにあたり、問いを立てる、分節する、要約する、論証する、物語化するの5段階を踏む必要があります。
これらをやらない限り、知識はすぐになくなります。そのため、言葉にするにあたって、この段階を踏む必要があります。
本書ではこれらの段階の必要性を説いた後、応用編として、他者との会話で気をつけることを述べています。日常何気なくしている会話の捉え方が違ってくることについてもっと気づくべきだと考えてます。
3.先日会議があって、自分の発言がかなり誤解を生んでしまうケースがありました。会話ですらこうなってしまうので、文字コミュニケーションにしたらなおさら齟齬は起きやすいのだと感じました。
Posted by ブクログ
読書の量が増えてくると何となく偉くなった気になってくるが。。。筆者はその背景に透ける「知識は単なる思考の道具であり、収集することで思考力が高まる」発想を「一問一答的知識観」と断じ、他者の考えをなぞらず「自ら思考する」ことの実践を説く。
順を追って思考のプロセスを解きほぐしていく様、とくに判断の普遍性/判断の具体性/判断の前提となる価値観の3本柱に対する「問いの立て方」や、情報群の中から有意なものを抜き取る、あるいは本の読み方まで踏み込んだ「分節力」のところは、体系的に触れることがこれまであまりなかったのでとても参考になった。
唯一、このところの「独学」ブームに乗ったのか、タイトルだけミスリーディングに感じる。むしろメインテーマの1つである「対話的思考」を押し出してもよかったような。。。
Posted by ブクログ
読書だけでは頭は良くならない、読書はあくまでも他人の考えを知るための行為であり、むしろ読書をしすぎることは思考停止につながる。
本書の前半部分では思考の大切さ、その方法、後半部分では思考の手順、その応用について書かれている。
現在の学校教育は生徒に知識を与えるだけで、思考が重要視されていないことを指摘している。コンピュータの普及により、人が真に必要とするものは知識の蓄えではなく、あくまぇも知識を道具とする思考へと変化した。
本書を通じて、思考の大切さを再確認できた。
Posted by ブクログ
・メタファーとアナロジー
・読書は思索の代用品
・価値観の交わりをめぐる問い
・重要な骨子を抜き出す→「文章」に並べていく
・要約をすることで「要約の穴」を探知できる
・粗探しを予防する寛容な読み
ただ本を読んでも知識を集めても、
思考力を高めてくれるわけではないことを
身をもって感じています。
Posted by ブクログ
哲学の専門家である著者が「独学」の指針を示した本。
本書における「独学」とは、答えがなかなか出ない(存在しない)問題について「自ら思考する」ことを指す。つまり、例えば言語学習や資格取得などの基準やゴールがある独学ではなくて、もっと広義の思考について本書では述べられる。
著者は「独学」を「走る」というメタファーを使って喩えた上で、その要素となる思考・知識とは何たるかを解説する。
またそのためのスキルとして「問いを立てる力」「分節する力」「要約する力」「論証する力」「物語化する力」を挙げて、それぞれの磨き方について説明していくという構成になっている。
内容はよくまとまっており、読みやすい。哲学という、ある意味永遠に答えがでない世界で思索を積み重ねる筆者ならではのスタンスが表れていて説得力があると感じた。
特に興味深かったのは、「問いを立てる力」と「チャリタブル・リーディング」の2つ。
順番に要約する。
「問いを立てる」とは、思考を始める前のスタート決めの段階であり、これによりそのアジェンダに至るまでの「普遍性」「具体性」「前提となる知識」を明確にする。
またそれぞれに、事例・定義・根拠という要素があるので、初めの「問い」によってこの齟齬を無くすことを狙う。
このステップで良い「問い」を議論の相手若しくは自分自身の課題に投げることができれば、その後の思考の質が高まる。これは見落としがちだが、その通りだと思うので、明文化できて良かった。
次に「チャリタブル・リーディング」。これは哲学研究では比較的メジャーな考え方で、議論の際に相手の論考を聞く時に活用できる方法である。
具体的には、「相手の思考は真理の一面を突いていると仮定した上で、その思考に漏れや欠点があればそれを補うようなアイデアを提供する」という聞き方・読み方である。
この時も対話者同士は対等な立場であり、いずれかが「教示」を与えるようなものではない。お互いの思考を切磋琢磨させることを目指したスタンスである。
この姿勢も非常に重要だと思う。
私たちは自分の考えが正しいと考えがちであり、そのために相手の論に批判的に接してしまう。だからこそ、意識的にこのような寛容なスタンスで議論に臨むことが、議論の質を高めて効率化するためにも必要なのだ。
哲学研究におけるエッセンスの詰まった、「独学」の質を押し上げるための一冊。
子細の分析・要約のスキルの解説については他の専門書に軍配が上がる(*)が、大きな考え方やスタンスにおいては非常に参考になると思う。
*波頭亮『思考・論理・分析』がおすすめ
Posted by ブクログ
読んでてなるほどなと思わせる話ではある。でも、著者の言うように、おそらくこの技法を身につけるには特殊な思考法、といっても普段はそういう方法を取らなくても生活していけるのだが、その特殊な方法を身につけ、それを駆使して考える、そして答えを見つける、といったことをしていけば、もっと、それが良いかどうかはわからないのだけど、深く人生を味わえるのかもしれない。
しかし、残念ながら、あまりというか殆ど理解できていないように思うので、まだまだ遠い道だなあ。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに 答えなき時代に求められる「独学」の力
プロローグ 「考える」とはどういうことか?~ショーペンハウアー『読書について』から考える
第1部 原理編~五つの「考える技術」
第1章 問いを立てる力~思考の出発点を決める
第2章 分節する力~情報の質を見極める
第3章 要約する力~理解を深める
第4章 論証する力~論理を繋げて思考を構築する
第5章 物語化する力~相手に伝わる思考をする
第2部 応用編~独学を深める三つの「対話的思考」
第6章 「問い」によって他者に寄り添う~対話的思考のステップ1
第7章 「チャリタブル・リーディング」を実践すする~対話的思考のステップ2
第8章 他者に合わせた「イメージ」を用いる~対話的思考のステップ3
おわりに
<内容>
哲学的に、論理的に物事を思考する方法をまとめた本。最初のショーペンハウアーの話は、少し硬いな、と思ったが、読み進むうちに、具体的な部分と抽象的な論理部分がうまくつながって、よくわかった。「チャリタブル・リーディング」など、よくわからない言葉だが、これはまず相手の話を肯定したうえで、よくわからない部分を確認したり、論理と具体の間で違和感のある部分を聞いたり、「クリティカル・リーディング」をして(これは相手を全否定したり、反論したりすることでなく、あくまでも「肯定」したうえで、その不可解な部分を聞くという感じ)、相手の説を発展的にまとめて、進めていくことを言う。説明が上手くないのは、まだ自分の中で昇華していないということ。自分たち教師が、学校で生徒に「研究」をさせているが、こうした実践をさせたうえで、現実的に落としていければ、もう少し生徒が上手く活動できるかも…。
Posted by ブクログ
序章をネットで見て、面白そうだったので読んでみました。勉強になりました。
思索を展開するための材料として知識を身につけていくべき、という主張が刺さりました。
まさに、自分も筆者が陥っていたような本の知識ハリボテな状態だったので、この読み方を導入したいと思いました。
本の表紙からは「読めば頭がよくなる本」みたいな印象を受けなくもないですが、自分は知識との付き合い方について、大切な気づきを得ることができました。
Posted by ブクログ
『独学の思考法~地頭を鍛える「考える技術」』を読んでみて、グラフィックレコーダーとして日々「考えを描く」「対話を促す」自分の現場感覚と、この本の考え方が驚くほど重なっていることに気づきました。
本書のテーマは、「自分で問いを立てて、考えを深め、学びを広げる」こと。そのためのスキルとして「問いを立てる力」「分節する力」「要約する力」「論証する力」「物語化する力」、そして「対話的思考」や「チャリタブル・リーディング」といった姿勢が大切だと書かれています。
グラレコの現場で僕が一番意識するのも、「今、この会話やアイデアの本質は何か」「どうすれば参加者が自分ごと化できるか」という“問い”の力です。本書の第1章で語られる問いの立て方は、まさに現場で地図を描くように問いを組み立てていく感覚とピタリ一致。抽象的な話も、一つの本質的な問いに変換できれば、その場の雰囲気や議論が一気に動き出します。
また、「分節する力」「要約する力」も、グラレコで重要な技術。話の流れを整理して、キーとなるポイントを色や図で分かりやすく表現するとき、「構造化と要約」がどうしても不可欠。会議で生まれる複雑な内容も、見出しや小さなスケッチに分けることで、大切な意味が残せます。「要点が一枚絵になる」快感を理論的に裏づけてくれたのが本書です。
「論証する力」についても、図解で筋道を描く自分のグラレコ・スタイルとシンクロします。論理の道筋をフローで表したり、賛否や根拠をビジュアルで対比したりするのは、まさに本書の「考える技術」の実践そのもの。抽象的な議論も、誰がみても納得できる“形”に変えていく作業が、いつもワクワクします。
第5章の「物語化する力」。これはグラレコの現場に一番大切なことかもしれません。ただの箇条書きにならないよう、感情やストーリーを含めて、参加者自身がその場を思い出せる、一つの「体験」に変える――そんな意味で、本書のアドバイスが刺さりました。
後半の「チャリタブル・リーディング」や「対話的思考」は、他者への寛容さ、相手の意図や価値を汲み取る姿勢の大切さを改めて感じさせてくれます。批判や否定よりも、「もしこの人がこう考えたかったなら?」と一歩踏み込むことで、意見の違いすら新しい意味を持つ体験に変わる。この姿勢は、グラレコ現場やワークショップで“みんなが語り合える場”をデザインするとき、絶対に外せない視点だと思いました。
全体を通して、「自分で問いを立てて描き、伝えること」がどれほどクリエイティブで、学びに満ちた営みなのか再発見できた一冊です。「楽しく描いて、みんなと語り合う」僕自身のスタイルにも大きな勇気とヒントをくれました。「見える化は考える力」。どんな現場でもこの姿勢を忘れず、“問い”と“対話”を描き続けたいと強く思わせてくれた本です。
Posted by ブクログ
文字通りの独学ではなく、長期的なもので価値のある社会的な独学の仕方について記載されていた。
(達成のための独学ではなく、探究のための独学)
・自ら思考する観点における、問いの立て方(価値観の違い、普遍性、具体性)
・伝える際のメタファー、相手を理解するためのアナロジーの認識、使い方
(人生の夕暮れ=1日の夕暮れ、アナロジーは前提や環境から)
Posted by ブクログ
現代において、学問もタイパ・コスパ重視の傾向がある。そんな現代に改めて「問いを立てる」という思考法と実践法を体系的に教えてくれる良書である。
学問とは好奇心から問いへと至り、実験という行動と結果を伴うことで成長していく。これは、学問という性質上、その時代にとって正否の方向性の質は変われど、成長する生き物だと私は思っている。
現代では簡単にAIでなんでも要約できてしまうだろう。早いうちから最新のテクノロジーに触れることは新たな時代の革新を大幅に進めることにはなるが、同時に地力としてAIに頼らず自分の頭で思索し、本の意図を読み、自分の考えを問いを立てながら練り込み、再構築という要約や基礎の本当の学力という意味で基礎を怠りできていないと、次世代の時代や文明に足を掬われるか搾取されるというということを常々自覚し、日々の思考を修正しながら学習することを私たちは歩みを止めてはいけないのだ。
Posted by ブクログ
同世代?同い年?の超頭脳明晰な人、ということで
博士課程の大学院生が、講談社から本を出せるって、この方は相当すごい人なんだろうなと思ったり。
内容的には、分節する力、要約する力、のところが面白かった。広い意味での独学ということで、独学大全的な独学ではないことに注意。
Posted by ブクログ
問いの種類
判断の普遍性を探究する問い
判断の具体性を探究する問い
判断のぜんていとなる価値観を探究すること問い
これが、どこから思考を始めるべきかという思索の出発点。
そこから、アーギュメント(議論)を組むことができる。
問いをたてるということの難しさ。
このように整理することで、問い自体が立てやすくなってくると思う。