岡ノ谷一夫のレビュー一覧
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著者の岡ノ谷さんが、カナダで鳥類の研究をしてゐると、いろいろあって帰国せざるを得ない状況が出る。
しかもハダカデバネズミとやらいふ社会性のネズミを押し付けられる。しかも発見し、それが社会性と言ふ奇怪な習性を持つのを発見したJ・ジャーヴィス御大の飼ひ鼠と言ふありがたすぎるものの!!
いろいろあって帰国した岡ノ谷先生は、大学といふa勉強とb動物の飼育に不適合な環境で、ジュウシマツと共にデバを飼ひつつ言語の研究をする。
なんか知らんけど、このデバさんは、ジェスチャーだけでなく、その言語のやうなものを操る能力も持つ。
最後に、「歌う!ハダカデバネズミ!」は、謎の感動が。 -
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一時期、一部の間で流行っていたらしい「ハダカデバネズミ」を、遅まきながら読んでみた。
アフリカ北東部のソマリアあたりに生息し、毛がないのは寄生虫対策との説が有力らしく、歯は口唇を突き破って生えているといった、いわゆる生態などが説明されている。
また、その生活は集団で過ごし、アリやハチのような真社会性(繁殖は女王デバの役割で働きデバなどそれぞれに役割が決まっている)を持っているとのこと。
子どもが生まれたら体温をキープするためにひたすらふとんの役目をするふとん係もいるそうだ。
研究対象としてデバを選んだ理由として、その脳と行動を調べることにより社会が特化していく際の生物学的な変化を調べることを期 -
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言語と情動の研究者である著者が、ハダカデバネズミの生態について紹介する本。
ただの生き物図鑑としてではなく、ハダカデバネズミを観察することで何が分かるのか、人間の言語についても分かるのではないかという著者の研究についても触れられていてとても面白いです。
切なかったのは、ハダカデバネズミの女王はアリやハチの女王とは違って下克上によって作られるため、死因が病死か下克上ということ。
あと兵隊のハダカデバネズミは自らを犠牲にして仲間を守るということ。
そして音の高さや低さや声の出し方でコミュニケーションを取っていて、身体の小さい個体が大きな個体に対してだけ出す鳴き方などもあるらしく、すごく面白い。 -
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楽しい!小川洋子のように、言葉遣いに意識的で異分野異文化に好奇心をもつ作者だからこその「科学者に聞く言葉の起源」。
共著者の岡谷氏は、鳥(ジュウシマツ)やハダカデバネズミを使って研究している。オスメスの求愛や集団内の社会的なコミュニケーション手段としての言語が出発点。
本書の指摘で特に面白くヘェ〜と唸ったのは2点。
一つは、言葉が時間を生み出したということ。もう一つは、コミュニケーションが持つ"つながること"そのものの魅力。
私はそれを、「言葉の持つ再生機能が『今、ここ』ではない時間と空間を可能にした、その装置の名は『物語』と読んだ。そしてそれが死という時間の流れが止まって -
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日本で最初にハダカデバネズミの飼育と研究に携わった岡ノ谷教授による、デバ(研究者は愛情を込めてこう呼ぶ)の飼育と研究、生態についての入門書。
とはいえ、生態についてはまだ知られていないことが多いようで、未知の生物に悪戦苦闘する学生さんたちの青春群像も垣間見えてなかなか楽しい。
デバはアリやハチのような真社会性を持つ希少なほ乳類である。
彼らは乾燥した砂漠の地下に延々とトンネルを掘り、一匹の女王デバと生殖担当の数匹の王デバ、時に蛇に自ら食べられることで群れを守る兵隊デバ(兵隊ではなく生け贄デバといったほうが近いかも知れない)、働きデバで群れを構成し、各構成員は均質な遺伝子をもつ。
何より驚くの -
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以前mixiレビューに書いたものをここにもUPしておきます。
岩波科学ライブラリー151です。
岩波科学ライブラリーといえば、鈴木忠先生の「クマムシ?!」がそうでした。この本は、「クマムシ?!」を編集した岩波の塩田さんが手がけて本にしたものだそうです。塩田さんの「次はデバネズミやります」で生まれた本は、クマムシに劣らず楽しい本です。
表紙から転載。
ひどい名前、キョーレツな姿、女王が君臨、哺乳類なのに変温動物?
愛すべき珍獣、その名は『裸・出歯・鼠』
動物園で人気急上昇の珍獣・ハダカデバネズミと、その動物で一旗上げようともくろんだ研究者たちの、「こんなくらしもあったのか」的ミラクル -
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『中瀬ゆかりのBOOK ソムリエ』で紹介されていた本。
『考える人』で66回に渡って連載したものを改稿・再編集しているせいか、文章の雰囲気が章によって違ったり、一人称が「俺」「私」僕」になっていたりと、バラバラになっています。それが「おっ?どうした?今回はすごくフレンドリーな文章」とつっこみながら読めるところが面白い。
動物心理学者という肩書なので、文系のお話かと思っていたら、実験はがっつり理系。論文のことになると私にはちんぷんかんぷん。それでも淡い恋愛のところや、頑固な先生たちの話にほっこり。
研究者の厳しい現状を知り、人との繋がりの良さを感じることができる本でした。 -
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鳥やクジラに見られるような、求愛の時に行われる歌のような声から言語が始まったという仮設は面白と思うし、納得感がある。
しかし、それなりに長い対談の中で刺激的な話題が他にはあまりなかったのが残念。
対談というのもは基本的にしゃべったままを記録するものなので、あまり内容が詰まったものにはなりにくいのかな。
発声というのは本質的には呼吸を制御することであるというのは目から鱗が落ちる思いだった。鳥のように上空を飛んだり、クジラのように海に深く潜ったりするためには、意図的に呼吸を制御する必要があり、その副産物として多彩な歌を歌うことができる。他の動物は無意識的な呼吸のみを行っているのだろう。人間は呼吸 -