あらすじ
ひどい名前、キョーレツな姿、女王君臨の階級社会。動物園で人気急上昇中の珍獣・ハダカデバネズミと、その動物で一旗あげようともくろんだ研究者たちの、「こんなくらしもあったのか」的ミラクルワールド。なぜ裸なの? 女王は幸せ? ふとん係って何ですか? 人気イラストレーター・べつやくれい氏のキュートなイラストも必見!
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吉田重人
1980年滋賀県長浜市生まれ。2003年千葉大学文学部行動科学科卒業。2008年千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(理学)。2007年より日本学術振興会特別研究員
岡ノ谷一夫
1959年栃木県足利市生まれ。メリーランド大学大学院修了、Ph.D.取得。1994年より千葉大学文学部助教授、2004年より理化学研究所チームリーダー
〈生きもの〉 ハダカデバネズミ-女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー)
by 吉田 重人、岡ノ谷 一夫
東アフリカのケニアあたりにいる動物(図3) で、地下にトンネルを掘って集団で暮らしている。ネズミなのにハチやアリと同じように女王がいて、これが集団内の繁殖を一手に引き受け、これ以外はおもにワーカー(働きデバ)やソルジャー(兵隊デバ)として生きる。定期的に女王の巡回があり、さぼっているとどやされる。どやされた個体は「服従のポーズ」をとり、反省の意を示す(図4)。これには打ちのめされた。服従のポーズなんて、『家畜人ヤプー』(沼正三、幻冬舎)みたいじゃない
ハダカデバネズミは、なんと一七種類もの鳴き声をもち、状況に応じてこれらを使い分け、視覚が役に立たない地下のトンネルの中でうまいことコミュニケーションしているのだと
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シンプルに面白かった。動物園で何度かみたことのある動物ではあったが、どのように生活しているのかほぼ知らなかったため、「そうだったのか」の連続であった。「よくわからないけれどなんだか見ていて面白い動物」から「見た目だけではなく全てが面白い」という見方に変わった。見た目が変でよくわからない生き物でも、その生き物なりに一生懸命生きていて、かつその生活様式的には理に適っているということを、ハダカデバネズミを通してまな無ことができたのがなんだか不思議である。
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小川洋子さんの本紹介より手に取った本。ハダカデバネズミという特異な生き物の生態も興味深いが、「17の鳴き声を使い分ける」というところから人間の言語の謎に絡めて研究をしようという研究者さんたちの発想が面白い。
それにしても「真社会性動物」の面白いこと。しかも遺伝で全てが決まるのではなく、周囲の状況から女王にのし上がったり、兵隊になったり王様になったりするという。流石に昆虫よりも複雑な仕組みで動く社会のようだ。
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岩波科学ライブラリーの、ハダカデバネズミの本。
裸・出歯・鼠。ひどい名前だけど、姿を見たらまさにその通りだから仕方がない。
ハムスターの赤ちゃんのような姿だが、一生裸。げっ歯類特有のインパクト大の門歯。あるのかないのか分かりにくい、小さすぎる目。いわゆるキモカワイイというのはこの子たちのことなんだなと納得してしまいます。
アリやハチのように真社会性を持つ哺乳類。厳然たる職業階級(カースト)制度。女王と生まれた新生児たちのふとんになるだけの係があるとはびっくりしました。が、その写真を見てそこはかとなくかわいく思ってしまうのはオイラだけではないはず。
ピンク色した肉ぶとん係のハダカデバネズミたちの上に、女王と子供たちがもごもごしている姿は可愛いではないか。
カラー写真も多く、小学生の高学年くらいなら興味があれば読み進められてしまうと思います。
これを読んで、千葉大学のサイエンスプロムナードで暮らすデバたち(愛称チバデバ)に会いたくなりました。
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本書は東アフリカに生息し、地中で集団生活を営んでいるハダカデバネズミの本である。著者が熱烈なラブコールのもと国内へ持ち込み、地味で根気のいる研究に青春を捧げた研究者たちの成果をまとめたものだ。千葉大学や理化学研究所で愛情をもって飼育をしている写真や、キュートなイラストをふんだんに使って、ハダカデバネズミの魅力を余すことなく紹介している。
彼らの容姿は「出歯で毛のないネズミ」で、誰もが一瞬にして釘づけになるほどインパクトがある。穴の中では快適で秩序ある社会生活をおくり、愛らしい鳴き声を巧みに操りながら言葉同様のコミュニケーションをとって生活する。それにしても、もう少しハイセンスな名前はなかったのだろうか。英名では「ハダカモグラネズミ」、ラテン語では「ヘンテコ頭の毛のないやつ」と、どれも似たり寄ったりである。そんなハダカデバネズミを筆者は敬愛をこめて「デバ」と呼ぶ。
デバは平均80匹の仲間と集団をつくり、一匹の女王を頂点とするコロニーを形成して暮らしている。よってデバの群れで子供を産むのはたった1匹女王のみで、繁殖を一手に引き受ける。女王は集団の中で一番のビックボディで王様1~3匹のお相手をこなす。その上、強くて賢い。女王の独断で「お声かけ」があり、王様はNOとは言えない立場で交尾となる。なんともたくましいではないか。そして女王のお世話係の中には「ふとん係」なるものが存在し、女王は毎晩ふとん係のネズミの上で寝ている。想像を超える真社会性は女王の貫録からも理解できる。
女王は年間に最大4回ほど出産し、一度に1~20匹の子供を産む。コロニーの女王と聞くと食べ物を与えられ、子供を産むことだけに専念していればよいというイメージがあるが、デバの女王の現実は甘くはない。彼女は生まれながらではなく、厳しい戦いに勝ち抜き女王になる。デバは裸なネズミにもかかわらず寿命が30年以上で、想像以上に長生きするため、その長い人生の中で次の女王の座を狙うものや仕事をさぼろうとする者たちを、常に監視し威嚇行為により圧力をかけ、自らの権威を保持し続けねばならない。ストレスホルモンの研究結果では女王デバが最も高い数値が出ており、集団の中で睡眠時間が一番少ない。そんな気苦労の絶えない女王の末路は、死病するか下剋上でその座を奪われるかしかないと言うから寂寥感に苛まれる。
一方、王様は完全に女王の尻にしかれる。女王のご機嫌さえとっていればよいわけで一見楽そうに思えるが、王様になったとたん痩せ衰えてゆく傾向にあり、男性ホルモンの関係上病気にかかりやすい。女王復権を企む「下剋上事件」はまず、王様暗殺から始まるという。最期となる事件の際は、女王の前に命を落とす運命にある。
働きデバは一番数が多く、仕事内容も餌さがし、巣の掃除や拡張、子育てやふとん係と多岐にわたる。巣の拡張の際、出歯を使って1年間に30キロも掘り進めることもあるという、意外にアクティビティなのだ。そのため低酸素、高二酸化酸素に対して耐性が高い。そして、デバは体温調節機能を持っていないので、寒さに弱い。ふとん係は子供や女王の敷布団の代わりになって押しつぶされたようになって寝る。呼吸ができるのだろうかと心配になるのだが、どんな状態でも何食わぬ顔をして寝ている。
兵隊デバは普段はごろごろしている。しかし外敵があらわれると、真っ先に戦いを挑み、進んで自己犠牲を払い自らの命をささげる役となる。なんとも切ない話ではあるが、生態系の秩序のうちなのだ。
ご多忙にもれず、デバにもメタボなデブが存在する。デブデバはほとんどがオスで来るべき日に備えるためである。デブデバは将来、旅に出て新たな集団を創設しなくてはならない。毛のないネズミが一人ぼっちで巣から旅立つとは、こころから応援したくなる。極めて少ない確立の新社会創設にかけるチャレンジャーなのだ。
女王同様、働きデバや兵隊デバの役割分担は生まれつき決まっていない。大人のデバに成長すると最初は働きデバとなるのだが、その後体格や群れの仲間との関係に応じて変化してゆく。しかも働きデバが不足すると兵隊デバが働きデバ的行動をとるという人事異動が可能な社会なのだ。では、どうやってその時々のポジションを仲間同士で見分けるのか。それは彼らの挨拶にある。
その見た目に反してデバはかわいらしい声で鳴く。そしてヒト以外の動物はあまり使うことがない「ぱぴぷぺぽ」が発音できると言う。普段の生活のなかで17種類の鳴き声のパターンがあり、それぞれに意味を持たせコミュニケーションをとっているらしい。「こんにちは」のあいさつは自分たちの階級の確認に行う。しかも正確に理解できるように回数や声の強弱をつけ、カースト制度を遵守している。そのほか「餌があったよ」であるとか、「ごめんなさい」とか言った具合に自由に会話を楽しんでいる。驚いたことに歌うこともあるようだ。ハーモニーを奏でるデバのご機嫌な様が想像できるが、なぜ歌うのかは今後の研究課題とのことだ。暗がりの地下社会で暮らすハダカデバネズミにとって音声は重要なコミュニケーション手段なのだ。
こうした多様な生活を営むハダカデバネズミの研究は、今後大いに注目すべきであろう。長寿の秘密や低酸素・高二酸化炭素の耐性、真社会性と音声によるコミュニケーション能力など、どれをとっても興味深い。特に生物言語研究において「ハダカデバネズミの音声と脳」の研究計画に文部科学省から補助金も出ており、現在研究が進んでいる。彼らの特殊性を解明できれば、近い将来わたしたちのことばの起源を解き明かす糸口になるのではと期待されている。
そしてその陰で、ハダカデバネズミと向き合う研究者たちの葛藤の日々を忘れてはいけない。地下で暮らす動物を研究所で飼育する苦労やプレッシャーもあるだろうし、夜間のデータを地道に取り続ける努力に頭が下がる。しかし、彼らだけにハダカデバネズミを独占されては惜しい気がする。ぜひとも続編を期待してやまない。それもひとえにハダカデバネズミの魅力のなせる技であろうか。
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小川洋子「とにかく散歩いたしましょう」にて紹介されていました。
強烈な題名に惹かれて読んでみました。
研究者が研究を愛し、研究対象を愛し、そして弟子たちを愛する
姿が目に浮かんで、とても好感のもてる、しかも
研究の醍醐味もよくわかる良書だと思いました。
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「ハダカデバネズミ」という不思議な生き物についての本。
いろいろ考える。
ハダカデバネズミ。
行動、生活パターン(というのか)は、非常に愛くるしく、人間社会に照らし合わせると、切ないし、さらにいとおしくなる。
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「ハダカデバネズミ(以下デバ)」あぁなんてひどい名前、そして可愛いその姿。べつやくれいさんのイラストのデバも実物のデバも、もう「可愛いっ!!」としか言いようがないです。
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ハダカデバネズミのことを知るのに十分な本だった。上野動物園で初めてハダカデバネズミに遭遇した。ミチミチに狭いトンネルに詰まった裸のネズミたちに不気味さを覚えつつ、大変惹かれた。アリのような社会性の構築、役割分担、見た目の奇妙さ、鳴き声(歌声?)。どれをとっても珍獣にふさわしい動物だと思う。本書で魅力的な項は「飼ってみる」だ。一筋縄ではいかない珍獣を飼う(そして何度か失敗する)様子は、実に興味深く面白かった。
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ハダカデバネズミなかなか興味深いいきもの。真社会性動物らしい。アリや蜂のように近親者でコロニーを作り子供を作るのは女王一匹と数匹の王様だけ、残りは働きデバ。ということはこういった形態には合理性があるということか。昆虫と哺乳類と違っても似た形態をとる。研究者達の苦労話も生々しくて面白く読めた
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著者の岡ノ谷さんが、カナダで鳥類の研究をしてゐると、いろいろあって帰国せざるを得ない状況が出る。
しかもハダカデバネズミとやらいふ社会性のネズミを押し付けられる。しかも発見し、それが社会性と言ふ奇怪な習性を持つのを発見したJ・ジャーヴィス御大の飼ひ鼠と言ふありがたすぎるものの!!
いろいろあって帰国した岡ノ谷先生は、大学といふa勉強とb動物の飼育に不適合な環境で、ジュウシマツと共にデバを飼ひつつ言語の研究をする。
なんか知らんけど、このデバさんは、ジェスチャーだけでなく、その言語のやうなものを操る能力も持つ。
最後に、「歌う!ハダカデバネズミ!」は、謎の感動が。
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グロカワイイ?
毛がほとんど生えていないしわくちゃの皮膚、
目が退化してあるのかないのかわからない、
デカイ鼻の下には突き出したげっ歯類の歯、
脚が短く胴長。
その名は、ハダカデバネズミ。
哺乳類なのに変温動物、昆虫に特有の女王を頂点とする真社会性を有する。
しかも寿命は破格の三十年以上。
なんなんだ、こいつら。
そんなハダカデバネズミたちの生態について。
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一時期、一部の間で流行っていたらしい「ハダカデバネズミ」を、遅まきながら読んでみた。
アフリカ北東部のソマリアあたりに生息し、毛がないのは寄生虫対策との説が有力らしく、歯は口唇を突き破って生えているといった、いわゆる生態などが説明されている。
また、その生活は集団で過ごし、アリやハチのような真社会性(繁殖は女王デバの役割で働きデバなどそれぞれに役割が決まっている)を持っているとのこと。
子どもが生まれたら体温をキープするためにひたすらふとんの役目をするふとん係もいるそうだ。
研究対象としてデバを選んだ理由として、その脳と行動を調べることにより社会が特化していく際の生物学的な変化を調べることを期待した、とのことだが、成果はあったのだろうか。
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ああ、『クマムシ』と同じ人の企画・編集なのね。さもあらんってとこ。
いやもう、反則に近い。例を挙げれば、小学校低学年の男子に「うんこ」をテーマにしたギャグを言うようなもんで、こんなインパクトでかい動物をテーマにした本で、面白くならないわけないわな。
著者やその他登場人物の「デバ愛」を感じる良書。
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言語と情動の研究者である著者が、ハダカデバネズミの生態について紹介する本。
ただの生き物図鑑としてではなく、ハダカデバネズミを観察することで何が分かるのか、人間の言語についても分かるのではないかという著者の研究についても触れられていてとても面白いです。
切なかったのは、ハダカデバネズミの女王はアリやハチの女王とは違って下克上によって作られるため、死因が病死か下克上ということ。
あと兵隊のハダカデバネズミは自らを犠牲にして仲間を守るということ。
そして音の高さや低さや声の出し方でコミュニケーションを取っていて、身体の小さい個体が大きな個体に対してだけ出す鳴き方などもあるらしく、すごく面白い。
あとハダカデバネズミとは一切関係ないけど、共著者である吉田君が書いている部分の「新しいことを発見するとすぐに他人に報告したくなる僕は(でも決して秘密が守れないわけではありません」というところにときめいた笑
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デイリーポータルZでべつやくさんのハダカデバネズミ愛を知っていたし、本に関わったとかちらっと聞いていたので、本屋で見かけて足買い。
イラストがやはり良い。内容としては、大学での研究で論文とか博士号とかそういうワードがよく出てくるのが気になったが、まあ全体的にハダカデバネズミを知ってもらいたい感がよく伝わってくるので、こちらも千葉大学に見に行きたくなったりしてしまった。
やはり中々に強力な見た目の生物で、イラストだけではなく写真もチラホラあるので、ご飯食べながら読むとかは余りオススメできない、とご飯を食べながら読んで思った。
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タイトルにある”ふとん係”が気になって手に取りました。
この変わった外見と驚きの生態をわかりやすく、かわいいイラストとともに教えてくれます。
同じ地中に住む生物でありながら、モグラは毛があるのに、なぜ彼らは毛をなくしたのか・・・どんどん謎は深まるばかりの不思議な生き物です。
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ハダカデバネズミの生態や研究の歴史、現在進行形の研究についての報告等、ハダカデバネズミファン必携の書。
大学などでの研究ライフを垣間見る事も出来ます。
本書で紹介されている鳴き声や行動などが、ウェブサイトで観たり聞いたり出来るようになってます。痒いところに手が届くとは正にこの事!
最年長の女王デバが、私より年上だった事には驚きました。ああみえてご長寿!
ハダカデバネズミなんて身も蓋もない名前で、更にその名前の通りのルックス。あの姿と暮らしを選んだ進化の過程に思いを馳せれば、そりゃ興味深い研究対象だろうなあ。
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成毛眞さんが、『儲けたいなら科学なんじゃないの』で薦めていた本。
役割分担をしてコロニーで暮らすハダカデバネズミには、ただひたすらに子ネズミを暖める「肉ぶとん」階級なるものがあるという。
そのユニークさに興味を持ち、購入した。
王座を巡る熾烈な闘い。ストレスを受けたり、コロニー内の個体数が増えると子ネズミを食べてしまう。階級差による鳴き声のルール。
ぷっと笑ってしまったり、信じられずえ~と唸ったり。
超ユニークな生き物の生態を楽しんで読める。カラー写真も満載。
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裸で出っ歯のネズミ、名が体を表しすぎているハダカデバネズミ。その生態や研究生活を記したこの本、中高生向けか?挿絵も写真も豊富でとてもわかりやすく、楽しく読むことができました。女王は実はストレスフルとか、肉ぶとん階級など興味深いデバの暮らしが丸わかり!デバかわいい。
Posted by ブクログ
アリやハチの社会は階級社会というのは有名な話だけど、珍獣ハダカデバネズミも階級社会ということに興味津々。その強烈な姿。ひどい名前。でも読み終えるととってもかわいい動物なんだと思い、機会があれば是非動物園に行ってみたいと思わされる一冊。
Posted by ブクログ
日本で最初にハダカデバネズミの飼育と研究に携わった岡ノ谷教授による、デバ(研究者は愛情を込めてこう呼ぶ)の飼育と研究、生態についての入門書。
とはいえ、生態についてはまだ知られていないことが多いようで、未知の生物に悪戦苦闘する学生さんたちの青春群像も垣間見えてなかなか楽しい。
デバはアリやハチのような真社会性を持つ希少なほ乳類である。
彼らは乾燥した砂漠の地下に延々とトンネルを掘り、一匹の女王デバと生殖担当の数匹の王デバ、時に蛇に自ら食べられることで群れを守る兵隊デバ(兵隊ではなく生け贄デバといったほうが近いかも知れない)、働きデバで群れを構成し、各構成員は均質な遺伝子をもつ。
何より驚くのは女王デバが37歳(当時)という齧歯類では特異な長寿を保っていることである。先日、NHKの番組でこの女王デバがまだ健在だといっていた。
デバの研究はまだ始まったばかりで、分からないことだらけである。読んでいてもなんだか歯がゆい思いをすることもあるのだが、それはすなわち研究の進行をリアルタイムで見守っていけるということでもある。
今も研究を続けている若手研究員さんたちの活躍を期待したい。
そして、今関東に偏っている飼育施設が全国に広がってくれたらなぁと、いちデバファンは思うのである。
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以前mixiレビューに書いたものをここにもUPしておきます。
岩波科学ライブラリー151です。
岩波科学ライブラリーといえば、鈴木忠先生の「クマムシ?!」がそうでした。この本は、「クマムシ?!」を編集した岩波の塩田さんが手がけて本にしたものだそうです。塩田さんの「次はデバネズミやります」で生まれた本は、クマムシに劣らず楽しい本です。
表紙から転載。
ひどい名前、キョーレツな姿、女王が君臨、哺乳類なのに変温動物?
愛すべき珍獣、その名は『裸・出歯・鼠』
動物園で人気急上昇の珍獣・ハダカデバネズミと、その動物で一旗上げようともくろんだ研究者たちの、「こんなくらしもあったのか」的ミラクルワールド。
なぜ裸なの?女王は幸せ?ふとん係って何ですか?人気イラストレーター・べつやくれい氏のキュートなイラストも必見!
キュートなイラストというか、最初はあのイラストなので見れるともいえます。はっきり言って写真は見慣れないと気持ち悪い。大人のハダカデバネズミ(以後デバと表記)でも、生まれたてのカンガルーの赤ちゃんやパンダの赤ちゃんに似てます。似てるけどしわしわなので、ぱっと見可愛くない。連想してはいけないと思いつつ、いもむしを連想したりして・・・・。
それがなぜかあの愛情こもったイラストに親しんでから写真を見ると、あら不思議。可愛いじゃないのこのデバたち!
私はこういう研究をしている人は理系の研究者だと思ってました。それが岡ノ谷先生は今では理化学研究所にいらっしゃいますが、最初にデバ研究を始めたときは千葉大文学部の助教授だったのです。言語と情動の研究から、生物言語研究へ、そのひとつとしてデバ研究があったのです。デバの前にはジュウシマツの歌の文法の本も出されてます。へえ~っです。
デバは飼育がなかなか難しい動物ですが、生物言語学から言うと興味深いことが多いとのこと。
多くのネズミが鳴き声でコミュニケーションをとることは知られていますが、人間に聞こえない音も使っていることが多いのです。しかしデバはネズミの中では耳が悪い。悪いという表現はちょっと違うかもしれませんが、ほとんどは人間に聞こえる鳴き声を使うのです。しかも鳴き声の種類がとても多い。
すごく面白くて、まだまだ続いている先生たちの研究は『言語の起源を解明』しようというもの。
いろんな研究をしている人がいるんだなあと思うと、楽しくなりました。
Posted by ブクログ
成毛眞氏「面白い本」の一冊。
奇妙な外見のネズミ。東アフリカの乾燥地帯に地上下50cmに3キロものトンネルを掘って鎖国状態で暮らす。たった1匹の女王が母親で、1〜3匹のオスのどれかが父親だけど、母父も兄弟のこともあるという近親相姦密室家族。働きアリや兵隊アリに相当する子供達。でも、階級は生まれながらに決まっているわけではないところはアリとは違う。哺乳類のくせに自分で体温を維持できない。ネズミのくせに何十年と生きる長寿。
もうこれだけで十分、おもしろいよね。
勢いで同じシリーズの「シロアリ」も買っちまいました。
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【読み物】
このような動物がいるとは!
毛がなくて出っ歯のネズミ、パッと見た瞬間少しヒキますが、よく見ると可愛く見えます。
ハダカデバネズミは群れで生活します。社会環境も成り立っており、しかも哺乳類ですが、変温動物のため30年以上も生きるのです。
すごいですね。
変温動物であるゾウガメも200~250年も生きるそうです。それだけ生きれば、「この短い人生では何もできない」とは言えません。なんでもできそうです。しかし、なんでもできると思って、活発に動くと寿命は短くなるのでしょうね。おそらく。。。
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そもそもなぜ、「ハダカデバネズミ」に関する本を読んだかというと、僕の記憶違いでなければ、『新世界より』(貴志祐介著)という小説の中に「バケネズミ」というキャラクターが登場するのですが、それの祖先だったかモデルだったか(ここらへんがあいまいで...)が「ハダカデバネズミ」ということで、まあ頭の片隅に残っていたんでしょうね、読んでみたということです。
『ハキリアリ』という本を読んだときも感じたことなんですが、いやー彼らはすごいですね。もう人間と一緒ですよ。非常にシステマティックな世界です。本書から得たことをちょこっとメモ風に書いていきますね。
・個体識別するときは背中に小さな入れ墨をする。
※『新世界より』のバケネズミは額に入れ墨をしていたなあ。
・一つの群れには80~300匹ほどおり、女王、繁殖オスが1~3匹、兵隊デバ、働きデバの階級制である。兵隊デバは普段は巣でゴロゴロしているんだけど、他のコロニーから襲撃があった場合に出撃する。働きデバは主にエサ探し、巣の清掃と子育ての手伝い。働きデバの一部は、仔の養育期間のみ「肉ぶとん」係になって、子どもたちのふとん係に徹する。
・デバの役割分担は体の大きさや、群れの仲間との関係に応じて変化してゆく。※シロアリの役割は生まれつき決まっている。
どうですか?ちょっと興味湧いてきませんでしょうか?本書にはカラーの図も収録されてるので、視覚的にも理解しやすいですし、薄いので(でも内容は濃い)すぐに読めちゃいます。ネズミの本とかってよほど好きな人じゃないと手に取ろうと思いませんよね。でも、人間以外の動物の世界って思ってるよりもすごいです。ぜひご一読を。
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漢字で書くと「裸・出歯・鼠」ですね。カタカナよりもインパクトが強くなります。
このネズミ、蟻みたいに女王ネズミや兵隊ネズミなどに分かれているそうです。兵隊ネズミが仕事をサボっていると女王ネズミに叱責されます。そうすると兵隊ネズミは謝罪するそうです。その姿がユーモラスです。
このネズミを見られる場所も何箇所かあるようですが、現物を見る前に本書を読んで基礎知識を得てからのほうが、数倍楽しめそうです。