正高信男のレビュー一覧
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コミュ障の人こそ、人間の「脱生物化」を成功させた貢献者
コミュ障、とよく聞くが言っている本人と話すと「そんなことはないのにな」と感じることがある。
そもそもコミュ障とはどんなものなのか?と本書を手に取った。
コミュ障は相手がどう感じ、どう思っているのかを想像することが難しいと言う。
怒りの表情の認知がコミュ障は迅速にできないらしい。
動物的直感が発動されないという。
読んでいくと「もしや自分もそうかも」という節がいくつも出てくる。
レオナルド・ダヴィンチ、エジソン、アインシュタインみなコミュ障とのこと。
時代を変える大発見はコミュ障のなせる技でもある。
そこを間違えてしまったのが、STAP細 -
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定住が生み出したいじめ。引きこもりもサルに見られるように動物的には異常な行動ではない。現代においてこの二つが社会問題として大きく取り上げられるのは社会によって生み出された問題を社会が解決しようとするなんとも矛盾な行為。昔からこの二つの問題があったにせよ、注目されなかったのは個々に焦点が当たることなどなかったからではないか。本当にこの問題を解決しようと思えば社会的生活を半分脱せるようになることが必要。その時々で選べるといいかも。今は全員が社会で生きなければならない。そうでない山で暮らすような人もいるがかなり困難。そこのサポートがいるのではないか。
半遊動的、半社会的動物に生きることこそが平等にな -
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ネタバレコミュ障と呼ばれる人の要素として、1怒りの表情が読み取りにくい 2そもそもコミュニケーションの必要性を感じていない の2点が挙げられる。
怒りの表情については、人間の本能にある危機への対応力の弱さがあり、必要性については、自分自身の興味の隔たりが背景にある。
「普通の人」としての接し方は、自分は理解力があるとは考えず、相手が何を求めているのかを考えるのが良い。
また、怒りの表情を読み取る力を高める必要性があるとも感じた。
コミュ障の人は、社会に認めてもらう(振り向いてもらう)ことをふつうに願っている。しかし、一般的に認められる方法ではなく、ネガティブな反応をされやすい行動をしてしまうことが往々 -
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長年サルを研究してきた著者によるコロナ文化論が展開している。
この本は、新型頃コロナウイルス感染に対する人々の行動について考察したものだ。自粛する人としない人、さらに第1波のときは自粛したが、第3波になると自粛しなくなるなど行動様式に違いが見られる今の日本社会。
ヒトもサルも危機を感じると保守的になると著者は述べている。ヒトもサルも嫌な体験は忘れることなく記憶され続ける。
人と違ってサルには嫉妬心がない。人に近いと言われるので、嫉妬心の一つでもあるのかと思っていたのでビックリ。ヒト以外の動物は自分の置かれている状況や立場を、仲間と比べてどうなのかできないからだと考えられ -
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参考文献に、井上章一や栗本慎一郎。好みはあるだろうが、わりと好物のテーマ。人間をサルから考えて、パンツを履いたサルとか、そんなシリーズ。本著は、新型コロナ禍による〝マスク“をテーマに。
そもそも、人間の着衣とは、女性の生理により外敵に脅かされる生命の危険を隠す行為から始まった。真相は分からぬが、語り口はそこからスタート。ゴールを迎える頃、我々は人間にとってのマスクの意味に辿り着く。
霊長類のエロスを語る。しかし、品があるのは霊長類学の教授として、しっかりした研究に基づく中身だから。変に茶化した娯楽文書に成り下がらないロジックが素晴らしい。 -
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生物学者による団塊世代批判書。ニホンザルなど動物の行動形態に多くのページが割かれていることは気になるが、団塊世代の生まれてからの生い立ちや、現状分析、行動の傾向は、納得できる内容である。著者の団塊世代に対する批判も、おおむね同意でき、まともな意見が述べられていると思う。
「過去100年、200年と日本人の生活を遡った時に、どの世代が一番生活に困らなかったのか。一番お気楽で極楽に暮らせているのは、1945年の敗戦直後に生まれた団塊世代でしょう」p44
「平和な組織を構築するためには、内部に厳格なヒエラルキーがあった方が都合がよい。ヒエラルキーのもと、上に立つ人間が下の階層で生きる者たちをしっか -
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イマイチ評判の良くない『ケータイを持ったサル』と同じ著者ですが、ブルーバックスから出ているので気になって読んでみました。
「コミュ障」の定義から始まり、知的活動への極度の依存(とは書いてないが、いわゆる依存している状態)を、否定的に見るのではなく、客観的に捉えるところがなかなか面白かったし、チェスのボビー・フィッシャーを引き合いに出してくるあたりも面白いし読ませる。
高度なコミュニケーションを常に求められる現代に、やっとの事でも追いつけない。それはよく言われているように人間的な能力の不足ではなく、低次の動物的なコミュ力がイマイチだからだ、という定義がおもしろい。 -
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著者は霊長類の研究者で心理学の専門家。そのため、猿などの実験を通して動物と人間の比較からの著書が多いようです。今回は職場などの人間関係に難のあるコミュニケーションに障害のある人、いわゆる「困ったちゃん」をどう扱うか。副題に正しく理解し能力を引き出す、とあります。実際にコミュニケーションの言葉が日々絶えない職場にあって頭を痛めている自分にとって、まず正しく理解しているのか、と考えていたので、この本にある実験結果を読んでなるほどと納得できました。コミュ障の人のコミュニケーションスタイルの違いが認識できたということです。最近科学者ばかりでなく世間を賑わしたあの話題の人も引き合いに出されていたりして、
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「IT世間につながれた現代人」の思考やコミュニケーションを、「他者」、「世間」との関係に注目しながら分析し、いかに現代日本人が「サル化」しているかを述べたもの。日本人独特の他者との境界をあいまいにしたり、他者を意識してなるべく目立たないようにしたり、といった気質が、IT世界と結びつくことでどのような現象として現れているかといったことが話題となっている。
「『情報の共有』自体を共有することにコミュニケーションの重きが置かれている」(pp.36-7)など、おれの周囲にもそういう人たちがいる&いたなー、ということを実感させられる部分が少なくない。そういうおれも高校3年の時に、卒業する時にケータイ