富山クラーソン陽子のレビュー一覧

  • 犠牲者の犠牲者

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     最初は翻訳が固くて読みにくいスタートとなったが、徐々にこなれてきたのと物語が面白すぎて、ページを繰る手が止まらなくなった。

     全体が三部構成となっている。第一部では、ろくでもない犯罪者たちが、世にも残酷な方法で殺されてゆく連続殺人事件という派手なスタート。追跡し始める捜査陣のヒーローと癖のありそうな男女の刑事、報道陣のヒロインとその経歴などの独特な個性を、通り一遍ではなく語ってゆく丁寧な章で、実に良い感じ。第二部は、事件を犯罪者側の一人称で語ったものなので、いきなり犯人がわかってしまうから、間違えても巻半ばを開いて飛ばし読みしてはいけない! そして第一部と第二部を合わせて、さらにひと捩じり

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    2022年01月28日
  • 奇術師の幻影

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    ネタバレ

    とうとう読み終わっちゃった
    なるほどな〜……そうしてオメガに到達した彼はアルファへ帰るのかあ。

    解説で言及のあったシックスセンスは観たことがないので比較できないんだけど、シャッターアイランドを思い出した。罪の重さに耐えきれなくて認知を自己改竄する話。

    骨の盗難は防犯カメラの描写的にも内部犯しか考えられないしローケの自作自演なのでは?とは思ってたけどヴィンセントも無自覚の自作自演だったか…。
    "家族"のそれぞれが彼だったと思うと、彼と"家族"/"家族"同士のこれまでの関係の動きも色々考えさせられるなあ。
    最初に冷笑(達観)をそばに置

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    2025年04月15日
  • 罪人たちの暗号 下

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    ネタバレ

    嘘だといって………………ペーデル……………………………。

    魔術師の匣で、ヴィンセントもミーナも日本人的感覚からしたら行動がちぐはぐでイマイチよくわからないし不信感もあるな〜と思いつつも、なんで最後までするする読めたかよくわかった。
    もちろん結末が気になる気持ちが中心にあるんだけども、解説にあった通り、『特捜班メンバーへの愛着』が生まれてたんだろうな……。

    前作では今作がキーになるミーナには特別大きな動きはなかったけど、彼女以外のメンバーはそれぞれ私生活において悩みつつも事件が進むのと並行してちょっとずつ私生活や意識に変化があって、事件が終わった後にはそれぞれが明るい未来への兆しを見せてくれ

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    2025年03月27日
  • 魔術師の匣 下

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     アイスランドの伝承文学サーガの簡潔な文章を目指している作家、アーナルデュル・インドリダソンを意識しているのだろうか、短文で書かれている。そのため、登場人物の多さや上・下巻のボリュームが気にならずにサクサク読み進められた。

     共に生きづらさを抱えたミーナとヴィンセントが出会い、お互いをいたわりあいながら、特捜班の個性的なメンバーと共に連続殺人事件解決に挑む。
     ミーナは潔癖症で薬物乱用から抜け出すために苦しんでいる。熱いシャワーで身体が真っ赤になるほど流し続ける。手は消毒液でガサガサ。コットンショーツは使い捨て。
     社交面で苦労しているヴィンセントは、目に入る物全てに対しての秩序と構造と偶数

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    2025年01月24日
  • 罪人たちの暗号 下

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     作者がアナグラムの数え方などに協力を依頼した「数学に適した脳の持ち主」への謝辞で、
    「彼女にとっては朝飯前のことでも、わたしたちが試そうとすると、前頭葉に結び目ができるような複雑な作業」と書いていたが、まさしく、アナグラムに、ルールが全くわからないチェスを使っての暗号など、
    私の頭には結び目が三つも四つも出来てこんがらがってしまった。

     「親子関係」をモチーフに、登場人物それぞれの家族関係が描かれていて、読み応えがあった。

     完結編の刊行がすでに予定されている三部作らしい。何も知らずに本書を読み始めたが、急いで一作目に戻らなくてはいけない!楽しみだ!!

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    2025年01月11日
  • 魔術師の匣 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    「こんまりメソッド」に「麻原彰晃」を登場させた作者は、
    かなり日本の事情に詳しいようだが、
    潔癖症のミーナが憧れる日本でも、
    さすがに手袋は奇妙に思われる、と教えてあげたい。

    そのミーナの潔癖症はかなりひどく、
    飲み物のために紙で個別に包装されたストローを持ち歩き、
    ショーツも洗濯せずに使い捨てにしている。
    彼女が日常生活の中でなにかをするたびに、
    何万もの病原体を思い浮かべて恐怖におののく様子はかなり伝染性が高く、
    読み進めている間に、
    素手でそこら辺のものを触るのが怖くなってきたぐらいだ。

    そんな彼女がヴィンセントを救うため、
    決死の覚悟で
    ミンクの死骸だらけのコンテナ

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    2023年03月16日
  • 魔術師の匣 上

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    ネタバレ

    エリカ&パトリックシリーズの作者だったので。

    女性刑事のミーナは、
    マジックで使われるような箱の中で女性が殺された事件解決のために、
    「メンタリスト」のヴィンセントに接触する。
    興味をひかれたヴィンセントは、
    プレイボーイ、三つ子の父親、ベテランの刑事たちの捜査班に加わる。
    死体に数字が刻まれている連続殺人事件だと思われたが、
    被害者たちの共通点がどうしても見つからない…。

    「メンタリスト」というドラマを見たことがあるので、
    もっと切れ味鋭い人物を期待していたのに、
    妻も家庭もコントロールできないヴィンセントにはちょっとがっかりした。
    しかも、
    その妻も前妻の妹で、不倫の末結婚したというて

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    2023年03月16日
  • 魔術師の匣 下

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    結末に向けて犯人が絞り込まれていく中、素人探偵のヴィンセントに疑惑が向いていくという立て付けは、この手の作品には有りがちですね。それと、やっぱり結末に近いところでは、主人公たちが絶体絶命な事態に陥るという事も、この手の作品には有りがちです。案の定、どちらもこの作品では起こりましたw

    途中、現在の時間軸の話の他、1982年の物語が挿入されています。当然、その挿話は物語上大変重要な事を示しているわけですが、まさかね、そんな事だっとは思いませんでした。

    本作は、3部作のの内の第1作目。第2作目も読んでみたいですね。

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    2022年12月21日
  • 魔術師の匣 上

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    スウェーデンのミステリーの女王の作品。人口900万人のスウェーデンで、20万部を売り上げたという大ヒット作品。

    っていうか、北欧ミステリーは、これまでもいくつか読んだことがあるんですが、なぜだか猟奇的な話が多いんですよねぇ。それは、欧米のミステリーとの違い。この作品も、中々の猟奇事件です。

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    2022年12月21日
  • 犠牲者の犠牲者

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    ネタバレ

    猟奇的な犯罪に対して警察が地道に捜査活動を進めていく第一部の終盤で犯行の真相に迫っていよいよと思わせるが、第二部ではガラリと趣向が変わって犯人が語り手となり最後の犠牲者を追い始めるのだがあえなく返り討ちに遭ってしまう。そして第三部でとうとう真犯人が逮捕目前となるのだが、些細と思われていた証拠により全てがひっくり返る。読みづらい凝った構成こそが肝であることが最後に納得できる作品である。

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    2022年06月04日
  • 犠牲者の犠牲者

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    680ページに及ぶ長編ミステリー。のっけからおぞましい惨殺死体の場面が続いて、デリケートな人にはとても無理な展開。私も繊細だが(苦笑)それを上回るキャラクターの巧さに惹かれて読み続ける事ができた。半ば辺りで犯人が想像できたが、これがとんでもないミスリードを促す伏線とは‥最後まで不気味な味わいを残した。

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    2022年02月09日
  • 犠牲者の犠牲者

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    犯行現場が凄まじい様相で、こんなやり方ある?というくらい。第一部はそんな感じで痛いような場面と警察の捜査場面が交錯してハラハラし通し。フラグ立ちまくってるので二部に入る前にだいたいわかっちゃいますね。さまざまな心理描写を経て三部へ。えー、と思う一方でやっぱりね、だからか、など不思議な気分に包まれました。作者デビュー作、ということもあって若干荒削り。そして、こんなラストでほんとに大丈夫?と不安になったりも。しかし約700ページの大作、惹きつける力量は十分。これからも注目したい作家さんです。

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    2021年12月13日
  • 犠牲者の犠牲者

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    ボー・スヴェーンストレム『犠牲者の犠牲者』ハーパーBOOKS。

    『犠牲者の犠牲者』という不思議なタイトルのスウェーデン・ミステリー。なかなか面白いが、御都合主義が気になるところ。一連の連続殺人事件は過去の事件の犠牲者による復讐なのか。予想外の二転三転の展開が続き、タイトルの本当の意味が明らかになる。

    第一部の冒頭から陰惨な描写が続き、登場人物たちの背景と共に被害者は全て犯罪者という異様な連続殺人事件の展開が綴られる。次々と7人にも及ぶ犠牲者が出たにも関わらず、警察はなかなか犯人に辿り着けない。時折、本編に挿入される幼い姉妹の奇妙な物語。語り手の妹が犯人なのか……

    第二部に入るとすぐに犯人

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    2021年11月21日
  • 魔術師の匣 下

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    ネタバレ

    一気に読んだ!最初あたりは停滞感強くて読むのがきつかったしチマチマ挟まれる断章に「で、何?」と思いがちだったけどだんだんそちらも不穏な感じになって気になってくるので読み切れた。
    犯人は途中でなんとなくわかっちゃったけどミステリというよりは人間ドラマ的に読めたからそこまで苦痛じゃなかったです。

    ミーナとヴィンセントの関係はなんともいえない感じ……。
    今の奥さんとの関係に改善の兆しが見えたから余計に。あとなんで前妻とそういうことになるのかまったく理解できない。禁酒して。
    ミーナもミーナで娘?がいるみたいだけど接近禁止らしい+発信機で位置を監視する行動で不信感が強くなりました。
    犯人の最期はあっけ

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    2024年11月02日
  • 魔術師の匣 下

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    ネタバレ

    魔術で使われる剣刺し箱と呼ばれる匣の中で女性が殺された。
    本来であればマジックとして剣が刺さらないように設計されているはずなのに、中に入った人間に剣が刺さるように設計されていた。
    事件解決に行き詰まった刑事ミーナは、魔術に詳しいメンタリスト、ヴィンセントにアドバイスを求める。

    メンタリストが主役の物語なので、ジェフリー・ディーヴァーのキャサリン・ダンスシリーズのような物語を想像していたが、主人公ヴィンセントを深堀りするシリーズ一作目らしいストーリー展開。
    もちろん巧妙なプロットも随所に散りばめられており、読む手は止まらないが、刑事ミーナについての回収は次作以降に持ち越されており、二作目以降で

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    2024年08月19日
  • 魔術師の匣 上

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    北欧ミステリーはミレニアムや特捜部Qシリーズが
    好きで本屋で気になって手に取り積本になってた本。

    ・殺人の被害者の視点からのシーンがリアリティあり見ていて少し自分が当事者になった気分がして少し苦しくなった。
    ・潔癖症な刑事と数字へのこだわりがすごいメンタリストがバディになって奇術を用いた連続事件に迫っていく作品。
    ・メインだけでなくサブのキャラクター心情を詳細に描かれているため、それぞれの想いを感じながら読めた。また、メンタリストの妻がなんだか悪者のように書かれているのと主人公の刑事とメンタリストに恋愛描写があるのが少し無理矢理感があった。
    ・事件が停滞しているようで、中々進展ないなーと思っ

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    2024年03月22日
  • 罪人たちの暗号 下

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    ネタバレ

    (上巻より)

    ようやく下巻になって、
    幼児の連続誘拐殺人事件の捜査が進みだす。
    ヴィンセントが今回も捜査に加わり活躍するが、
    とにかくミーナとの関係や、ショーや家族の問題に振り回されていて、
    活躍しているように見えない。
    ミーナの娘を助けようとした「ショー」は、結局ただの命懸けだったし。

    カルト教団が幼児殺害を行った動機が弱いなと思っていたら、
    誘拐された被害者家族どうしの結びつきが、
    捜査ではなくあとがきのように最後につけ足されていた。
    どういうこと?
    これまた解説によると、このシリーズは三部作らしいので、
    三作目でこの納得いかない終わり方が回収されることを祈る。

    それと、観光中の日本

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    2024年03月16日
  • 罪人たちの暗号 上

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    ネタバレ

    メンタリストのヴィンセントシリーズ第二弾。

    下巻の解説に書評家の北上次郎氏が、
    前作について「刑事たちの私生活が必要以上の分量で描かれる」と評したとあった。
    解説ではそれが今回にも引き継がれている美点だと書かれていたが、
    正直、それはどうだろうと言う感じだった。
    なにせ、前作を読んでいることが前提に登場人物たちの私生活が積み重なっていく。
    ざっくりとしか覚えていない自分としては、まずはついていけない。

    ヴィンセントの奥さんはこんな人だっけ?
    冒頭の登場人物紹介で好色漢(古いぞ)と書かれているルーベンは、
    なんでカウンセリングを受けることにしたんだっけ?
    ゴールデン・リトリバ―の活躍はなんだ

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    2024年03月16日
  • 犠牲者の犠牲者

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    ネタバレ

    2024年1冊目。
    長編北欧ミステリということで、期待して読み始めました。
    第一部は振り回され系刑事なカールに共感しつつ、事件発覚→捜査→また事件→進まない捜査の繰り返しにやや冗長さを感じる。
    刑事メンバーの掘り下げはやや中途半端で、単純にキャラクター紹介としての説明文になっていたのが残念。

    第二部のアレクサンドラパートは「親から受けた教育の犠牲者」である彼女、「毒親の連鎖」の問題提起、記憶を失っている描写から信用できない語り手であること、もうひとりの犯人の存在などなどてんこ盛り。
    もうひとりの犯人は「整形手術」「警察関係者」のキーワードからわりと早い段階で予想できてしまった。

    シーモンと

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    2024年02月01日
  • 魔術師の匣 下

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    エリカ&パトリックシリーズが好きなので迷わず読み始めた。ヴィンセントより先に犯人がわかってしまったけど物語自体が面白いのであまり問題はなかった。自分も少々潔癖なので描写を読んでいると気持ち悪くなってきてしまい、そこだけ薄目で読むようにした。

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    2023年03月12日