あらすじ
待ち受ける意外な犯人。
世界60か国で3000万部の巨匠の最新ミステリー。
加速するサスペンス、悲しみの真相。北欧ミステリーの真骨頂たる第1弾。
被害者の身体に刻まれた数字。犯人からの挑戦状。連続殺人犯の目的は何か。ともに生きづらさを抱えた女性刑事と男性メンタリストのコンビが“奇術連続殺人”を追う。40年前、牧場に住む母子に何が起きたのか? 加速するサスペンス、意外な犯人、そして痛ましい真相。本国で20万部突破、ミステリーの女王の新シリーズ誕生。
生きづらさを抱えた女性刑事と男性メンタリストの探偵コンビ――刑事ミーナは空気の読めない発言や極度の潔癖症、メンタリストのヴィンセントは偶数に執着してしまう心の偏り、それぞれに生きづらさを抱えた二人が連続殺人に立ち向かうのが、本書の魅力です。信頼できる相棒を得たミーナが、捜査を通じて居場所を見つけてゆくさまも感動的な傑作ミステリーです。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アイスランドの伝承文学サーガの簡潔な文章を目指している作家、アーナルデュル・インドリダソンを意識しているのだろうか、短文で書かれている。そのため、登場人物の多さや上・下巻のボリュームが気にならずにサクサク読み進められた。
共に生きづらさを抱えたミーナとヴィンセントが出会い、お互いをいたわりあいながら、特捜班の個性的なメンバーと共に連続殺人事件解決に挑む。
ミーナは潔癖症で薬物乱用から抜け出すために苦しんでいる。熱いシャワーで身体が真っ赤になるほど流し続ける。手は消毒液でガサガサ。コットンショーツは使い捨て。
社交面で苦労しているヴィンセントは、目に入る物全てに対しての秩序と構造と偶数に振り回されている。
二人の精神世界は読んでいて、く、る、し、くなるほどだ。しかし、犯人側ではない主人公の持つ心の闇の部分が書かれているのが、話に深みを持たせていて、私の好きなスタイルだ。
著者はここ数年、難民問題に取り組んでおり、右翼に対しては厳しい姿勢で臨んでいるらしい。が、安全な国とされていたスウェーデンが、現在は大量の移民受け入れのため、先進国で最悪の「強姦大国」になってしまった。だからだろうか、本作の中での
「そんな浅はかな考えだから、この国はこんなになってしまったんですよ。」「残念なことに、人種差別主義者でさえ正しいこともある。」とのボヤキに、作者の嘆きが重なる。ミステリーでその国の社会が垣間見られるのも興味深い。
こんまりメソッドに麻原彰晃、スバル・レガシー、ハチ公映画の「HACHI 約束の犬」、手袋にマスクで堂々と街を歩ける日本が潔癖症ミーナの理想。日本に対する記述が随所にあり笑ってしまう。
二作目から一作目に戻って読んだので、なるほどと納得できてスッキリした。
殺人に関しては大掛かりな仕掛け有りで、かなり刺激的だった。
三作目発刊が待ちきれない。
Posted by ブクログ
(上巻より)
「こんまりメソッド」に「麻原彰晃」を登場させた作者は、
かなり日本の事情に詳しいようだが、
潔癖症のミーナが憧れる日本でも、
さすがに手袋は奇妙に思われる、と教えてあげたい。
そのミーナの潔癖症はかなりひどく、
飲み物のために紙で個別に包装されたストローを持ち歩き、
ショーツも洗濯せずに使い捨てにしている。
彼女が日常生活の中でなにかをするたびに、
何万もの病原体を思い浮かべて恐怖におののく様子はかなり伝染性が高く、
読み進めている間に、
素手でそこら辺のものを触るのが怖くなってきたぐらいだ。
そんな彼女がヴィンセントを救うため、
決死の覚悟で
ミンクの死骸だらけのコンテナに飛び込んだことが、
結局無駄だったのがかわいそうだった。
全体としては、謎解きやヴィンセントの過去が面白かったが、
癖のある主人公たちになかなか感情移入できないのがちょっと不満。
Posted by ブクログ
結末に向けて犯人が絞り込まれていく中、素人探偵のヴィンセントに疑惑が向いていくという立て付けは、この手の作品には有りがちですね。それと、やっぱり結末に近いところでは、主人公たちが絶体絶命な事態に陥るという事も、この手の作品には有りがちです。案の定、どちらもこの作品では起こりましたw
途中、現在の時間軸の話の他、1982年の物語が挿入されています。当然、その挿話は物語上大変重要な事を示しているわけですが、まさかね、そんな事だっとは思いませんでした。
本作は、3部作のの内の第1作目。第2作目も読んでみたいですね。
Posted by ブクログ
一気に読んだ!最初あたりは停滞感強くて読むのがきつかったしチマチマ挟まれる断章に「で、何?」と思いがちだったけどだんだんそちらも不穏な感じになって気になってくるので読み切れた。
犯人は途中でなんとなくわかっちゃったけどミステリというよりは人間ドラマ的に読めたからそこまで苦痛じゃなかったです。
ミーナとヴィンセントの関係はなんともいえない感じ……。
今の奥さんとの関係に改善の兆しが見えたから余計に。あとなんで前妻とそういうことになるのかまったく理解できない。禁酒して。
ミーナもミーナで娘?がいるみたいだけど接近禁止らしい+発信機で位置を監視する行動で不信感が強くなりました。
犯人の最期はあっけなさすぎて「あ、へえ…」て感じ。でも死の間際の母親視点が挟まれたのはけっこうきつかった。悲しい…。ヴィンセントが「自分のせいじゃない。あのときは子どもだったから仕方ない」で済ませてて、それで話が終わったのはちょっと消化不良。
いろいろ回収されてないところもあるから次巻も読む!
Posted by ブクログ
魔術で使われる剣刺し箱と呼ばれる匣の中で女性が殺された。
本来であればマジックとして剣が刺さらないように設計されているはずなのに、中に入った人間に剣が刺さるように設計されていた。
事件解決に行き詰まった刑事ミーナは、魔術に詳しいメンタリスト、ヴィンセントにアドバイスを求める。
メンタリストが主役の物語なので、ジェフリー・ディーヴァーのキャサリン・ダンスシリーズのような物語を想像していたが、主人公ヴィンセントを深堀りするシリーズ一作目らしいストーリー展開。
もちろん巧妙なプロットも随所に散りばめられており、読む手は止まらないが、刑事ミーナについての回収は次作以降に持ち越されており、二作目以降で回収していく意向と思われる。
また他の登場人物も個性的な面々が揃っている。ヴィンセントの家族、元妻、ミーナと同じ捜査課の面々など、一癖も二癖もあるキャラが揃っており、ある意味賑やかなエンターテイメントになってはいるが、ドタバタ感は否めず、この物語全体のリズム感が最後までつかめないよう感じも覚えた。
と言いつつも、ミーナの過去が気になるので、二作目は読むとしよう。
Posted by ブクログ
エリカ&パトリックシリーズが好きなので迷わず読み始めた。ヴィンセントより先に犯人がわかってしまったけど物語自体が面白いのであまり問題はなかった。自分も少々潔癖なので描写を読んでいると気持ち悪くなってきてしまい、そこだけ薄目で読むようにした。
Posted by ブクログ
群像劇かつバディもので人物描写が多く、奇術の蘊蓄も盛り沢山なため、肝心の事件の記述が薄い。バディどちらにも感情移入出来ず、とくにヴィンセントはどんな過去があったにせよ、結構反吐が出る私生活。