【感想・ネタバレ】奇術師の幻影のレビュー

あらすじ

北欧ミステリの女王、渾身のドンデン返し

まさかこんな結末が待っているとは
――池上冬樹氏(本書解説より)

北欧ミステリーの女王+スウェーデン最高のメンタリスト。
最強タッグで贈る警察ミステリー、誰も予想しなかった
驚愕のラストを迎える。

地下鉄トンネル内で発見された白骨の山。やがて連続殺人だと判明した事件は、法務大臣の失踪へと予想を超える大事件へと発展した。ストックホルム警察特捜班が奔走する中、たびたび犯罪捜査に関わってきたメンタリスト、ヴィンセントのもとにはパズルめいた挑戦状が頻々と届き、彼の過去を暴こうとする……。
特捜班の刑事ミーナと、ヴィンセント。それぞれを巻き込む事件は、いずれもクリスマスをデッドラインとしていた。聖夜にいったいどんな惨劇が演じられるというのか?

事件捜査のスリルに、個性あふれる刑事たちの物語をよりあわせる警察ミステリー、最後の最後に明かされる驚愕の真相。

「すでに一作目から作者たちは、大どんでん返しの伏線をはっていたことになる(本書解説より)」。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

とうとう読み終わっちゃった
なるほどな〜……そうしてオメガに到達した彼はアルファへ帰るのかあ。

解説で言及のあったシックスセンスは観たことがないので比較できないんだけど、シャッターアイランドを思い出した。罪の重さに耐えきれなくて認知を自己改竄する話。

骨の盗難は防犯カメラの描写的にも内部犯しか考えられないしローケの自作自演なのでは?とは思ってたけどヴィンセントも無自覚の自作自演だったか…。
"家族"のそれぞれが彼だったと思うと、彼と"家族"/"家族"同士のこれまでの関係の動きも色々考えさせられるなあ。
最初に冷笑(達観)をそばに置き、それから社会(社交)性と思考(論理)性を得て、冷笑から離れて信心を携え、信心から彼が封じた記憶に最も近い幼い姿で感情を得た?
冷笑(ウルリーカ)と信心(マリア)が仲悪いのは当然な気もするし、論理性(ベンヤミン)と話すと脳内の整理や新たな発見があるのも納得だし、社交性(レベッカ)と感情(アストン)が急に仲良くなったのも彼がミーナをきっかけに心を開いて現実を見つめ直し始めた兆しと考えてよかったのかも。

はじまりのアルファへ帰ったあと、彼はやっと"人生"をはじめることができるのかなぁ。世を儚むことはないとは思うけどしないでほしいなあ。
ミーナに辿られないように現金だけ使ってたりミーナのことを考えないように意識したり、ほんとうの"人生"を始めてからやっと彼はミーナのことを考える自分を許せるのかな。

前作のラストの様子から心配だったけどミーナとナタリーと二クラスの関係が想像以上に良好でよかった。
クリスマスって日本では恋人のほうが重視されるけど欧州側では家族で過ごすことに重きを置く行事なんだっけ?それを三人で一緒に過ごすってすごい進歩な気がする。
事件後もナタリーの存在はミーナの潔癖症の改善にものすごくいい方向に働いてるし関係は良好なままみたいで安心した。しかしヴィンセントは彼女の一生消えない後悔のひとつになってしまったんだな……。

ルーベンがボロカスに悪口言ってたアマンダが最後の最後に急に出てきてびっくりした。警官御用達カウンセラーなの?
あと虫風呂に入るのはミーナほどの潔癖症じゃなくても気絶するからミーナは本当によくがんばったと思う。すごいよ……

特捜班のメンバーのその後もちょこっと見れてよかった。
ユーリアが結局トルケルともアーダムとも別れることになったのは因果応報感が強かったけど彼女にはハリーがいるから大丈夫でしょう……。
ペーデルはやっぱり死んでいいひとじゃなかったよ〜〜〜………………アネットと三つ子ちゃんもちょこっと出てきてくれたけど、今もクリステルとラッセが訪れてくれていたらいいなあ。
ルーベンがサーラにぞっこんになるのは予想外だったけど、彼のこれまでの素行をみてると婚約までに一年かけてるのは『それだけ本気』なんだろうな。
1巻からは考えられないけどクリステルが孤独から犬とパートナーを得て1番まっとうに幸せになった気がする。

また時間できたら魔術師の匣から読み直したいな。
ヴィンセントにとってミーナとの出会いがどれだけ劇的だったのかがわかるだろうし、逆もしかりだろうし。
価値(貞操)観わかんないよ〜ってなることもかなりあったけど、それだけキャラクターたちがそれぞれの価値観でそれぞれの人生を生きていたからなのかもなあ。
読めてよかった!

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2025年04月15日

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