グルナ編集部のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
九龍城砦や寂れた中華街あるいは
九龍城砦や寂れた中華街、あるいは、どこか異国のような(でも何故か看板は日本語や英語で読むことができる。しかし、それもどこか明治大正のような古びたものを感じる)不思議な街。
異世界!という感じで面白いです。
でも、赤いランプの扉からは「化け物」が出て来る。
1話を読んで、平和な死者の街かと思いこんでいたのですが、何やら不穏な気配。
ヒーローみたいなトウカさんにも思惑があり……と、この謎めいた感じが好きです。
ところで、水魚飯店のメニュー沢山ありますね!?
老舗のお店っぽいメニューの染み、これは絶対美味しいお店。そりゃトウカさんも推す訳です。ほかほかの肉まんを見ているとちょっとお腹が空きました。
シナリオを追っていくだけでも楽しいんですけど、細かいところを見ているとより世界観を感じられるような気がします。
今回の死者は、女性問題を抱えた方だったんでしょうか……。
髪の長い女性、髪の短い女性、癖毛の女性……女性たち(おそらく具現化した記憶)に取り込まれて、肉塊の化け物になっていく。
何かしらおぞましい過去がありそうな死者に対しても、トウカさんは祈ろうとする。
「祈り方がわからない」「祈る気持ちがあればそれでいいはずなのに」という悩みが、トウカさんの優しさだと思います。
でも、そのトウカさんのお部屋が殺風景で……。
ワンルームだと思うんですけど、簡素なテーブルと椅子、パイプベッドといった最低限の家具しかないところに、トウカさんの陰のある部分が際立つような気がします。とはいえ、本棚には本が沢山詰まっているんですよね。何の本なのでしょうね。気になるところが沢山ある~。
そして、「結月さくら先生の画だ……」と思う点なんですけど、本棚やテーブル、キッチン台(戸棚?)など、木製の家具の木目が細かいこと!
こういうトーンなのか、手描きなのか……ともかく、「年季が経ったもの」を描くことに定評のある結月さくら先生、流石です。
寂しさの中にも、トウカさんを気遣うトアさんの人肌のぬくみが優しかったり、コウさん(店長さん)の人情味が暖かかったり、「トウカさんは一線を引いているような気がする」と言いつつもトウカさんを飲みに誘うアカリヤさんが居たり。
人の善性を感じるので、どの登場人物も好きだなー!としみじみしますね。
トアさんの表情の変化がめちゃくちゃ可愛い。
「恋」じゃなくて、「親愛」なんだろうなと思える雰囲気、微笑ましいです。 -
ネタバレ 購入済み
なつかしき日々の、忘れ難き宝物
荒れ狂う河のように流れてゆく過去の残骸、打ち壊されたものたちの中に、
かけがえのない思い出の欠片が浮かんでいる。
どうしようもなく捨てることができなかった記憶は、
「わたし」が「あなた」を思い出す道標となる。
人である以上、全てを持って行くことができないのならば、見送る者が必要だ。
終端街の在り方を知るトウカは、人と共に在る人でもある。
彼は誰もを見捨てるものかと、死者の手を取る。
「あなた」がいたことを忘れまいと言うかのように、
まるで星々の輝く夜に空を迷い見上げるように、
いずれ朝の光に溶けゆく彼らの、最期の輝きを憶えている。 -
匿名
購入済み背景の旨味がすごい
寂しそうに笑うトウカさん、あまりにも顔が良い。こんな男、秒で好きになってしまう。
冷めた表情の皮肉げな死神かと思いきや、優しさとぬくもりを内包した情の深い行き先案内人で、こんな人(※見た目は人だけど実は人じゃないかもしれない…?)に見送ってもらえる世界なら死ぬのも悪くない――と思ってしまうようなお話でした。読後には気持ちが穏やかになります。1話の完成度だけでもすごいのに、このお話、まだ続くんですか? 最高じゃないですか。ありがとうございます。
過去作で「死さえも歪める魔法使いたちの物語」「生きているからこそ苦悩や絶望がある、しかし優しさも共に在る世界の物語」を描いてきた結月さくら先生の新作が「死者たちの世界」と聴いて、わくわくが止まりません。
また、精緻でアナログらしいざらつきを感じる筆遣いが美しいです。
具現化した記憶が降って来るシーンは恐ろしく。
人物の髪はどこまでも繊細で。
(髪が頬や肩にあたってたわんだり、ほつれたり、襟に当たって跳ねたり。髪の動きにフェチを感じます。すごい)
古びた路地裏は、埃や油、錆びの匂い、砂利が足に当たる感触までも想像できそうで、背景美術としても素晴らしいです。
お気に入りポイントは扉絵です。
3人の登場人物が並んでいる→次のページでは誰もいなくなり、赤いランプが煌々と光っている……という、不穏な空気がぞわぞわして好きです。
まだまだ謎が沢山ありそうな終端街、次回も楽しみにしています。