エリー・グリフィスのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
★5 名門校の同窓会で殺人事件が発生… 人間関係と語りに吸い込まれる英国ミステリー #小路の奥の死
■あらすじ
名門校の同窓会で政治家が殺される事件が発生、ハービンダー・カー刑事が事件解決の指揮をとる。その同窓会には、下院議員の政治家、ミュージシャン、女優など様々な有名人が参加。またハービンダーと同じ警察署の刑事キャシーも同席していたのだ。
かつて彼らは学生時代、共通の友人が死亡事故に巻き込まれており、今回の被害者は事故を目撃者であった…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろいっ! これぞ英国ミステリーですね。決して派手ではありませんが、読み進めるほどにジワジワと沁みてくる味わい深い作品です。
本作はハービンダー・カー刑事シリーズの3作目。前作までの話の関係性やネタバレなどはありませんので、安心して本作から読んでください。ちなみに私も1作目『見知らぬ人』は読みましたが、2作目『窓辺の愛書家』は積んでます、読まなきゃー
お話の筋としてはスタンダードなミステリーで、同窓会で殺人事件が発生、容疑者は同級生や学校関係者。ハービンダー刑事が中心となって事件解決のため捜査に奔走するという流れ。
特徴としてはふたつあり、ひとつは20年前の学生時代、死亡事故が関係しているということ。もうひとつは容疑者のグループの中に、刑事キャシーも含まれる点ですね。
一番の読みどころだと思ったのは、視点人物ごとのストーリーテリング。複数の視点人物で物語が進行、ハービンダー刑事、同窓会メンバーであり刑事のキャシー、同窓会メンバーであり教師のアナの3名。
ハービンダーは指揮をとりつつ自らも捜査や尋問してく。ミステリーの醍醐味である解決に向けた情報を読み取りがじっくりと楽しめます。また同窓会メンバーのキャシーとアナは、起こってしまった事件と過去の事故に右往左往。不安に駆られ戸惑っている様子はもはやサスペンスな読み口でした。
そして気になるには人間関係ですよね。複数の男女が入り乱れる事件ですから、そりゃ当然イロイロある。さらには学生時代の事故も関わってくるので、誰が誰と… みたいなところは、落とさずに理解してください。またひとりひとりの性格というより、名門校のエリートたちの「裏側の顔」が必見ポイントです。
ちなみに主人公であるハービンダーは同性愛者であり、さらにはインド出身。マイノリティから見る社会だったり、生きづらさも作品に込められており、いち人間として丁寧に描写がされていくのです。
さて謎解きですが、かなり終盤にならないと真相が見えてきません。誰が犯人なのか? 動機はなんなのか? 過去の事故との関係性? 正直、犯人はそれほど意外でもないですが… 過去の事件との絡み、背景にある動機なんかは、なかなかのキモさで愛せました。
面白かったですねー、じっくり読み応えのあるミステリーをご希望の方には、ぜひおすすめしたい作品でした!
■ぜっさん推しポイント
本作は名門校のエリートたちの物語、政治家や有名人など人生の成功者たちばかりなんです。しかし幸せそうな感じはまるでなく、終始みじめで不安に描かれるのです。
どんなに優秀な人であっても人間なんて弱い生き物ですよね。少しの歪みがこれまでの成果を潰してしまう可能性すらある。家族、恋人、友人など、支え合って生きることで、やっと幸せのしっぽを捕まえられるということを忘れずにいたい。 -
Posted by ブクログ
読書家の老婦人が亡くなった。
事件性はないと思われたが、彼女の部屋に侵入者があって本が盗まれ‥?
素人探偵たちが活躍します。
海辺の街に建つ高齢者向けの共同住宅で、ペギー・スミスという92歳の女性が亡くなった。
介護士の若い女性ナタルカは、部屋の片づけに入って「殺人コンサルタント」という名刺を見つけ、有名作家らの本にペギーに感謝する献辞があることに気づきます。
警察に相談し、ハービンダー・カーという女性刑事に話を聞いてもらうのでした。
ペギーは一体何者だったのか。
ペギーの友人で80歳の男性エドウィンと、行きつけのコーヒーハウスのオーナーであるベネディクトと3人で語り合い、素人探偵と相成ります。
ナタルカはウクライナ出身。一度結婚して英国籍を得ているが、今は本業に就く前の猶予期間のようなもの。
エドウィンは、元BBC勤務のおしゃれな老紳士。
ナタルカに惹かれるベネディクトは、おだやかで知的。修道士だったが信仰を失った過去があります。
それぞれ癖があるが、これが気が合う、という雰囲気が出ていて、楽しく読めます。
多くのミステリ作家に、殺人の方法などのアドバイスをしていたらしいペギー。
ミステリ作家も色々なタイプが出てきます。これって、モデルがあるのかしら‥?(笑)
ミステリ作家の話を聞くために、ついにはスコットランドまででも出向く三人組! 勢いありますね~。
「見知らぬ人」にも出てきたインド系の女性ハービンダー・カー刑事(30代)が出てきて、すっかり友達になっている前作のヒロイン、クレアもちらっと出てきますよ。
「見知らぬ人」とは、ミステリのタイプがちょっと違うかな。
ハービンダー・カーは名探偵というわけではなくて、地味だけど確かな繋ぎ役と言うのか。
読書好き、特にミステリ好きの興味をそそる部分と、大人の活躍する冒険ものといった趣の面白さがある作品です☆ -
Posted by ブクログ
イギリスの学園で起こる事件。
文学作品に絡んだ重厚なムードと繊細な描写が魅力的な作品です。
クレアは娘を連れて、地方の中等学校の英語教師として赴任してきました。
もともと文学の研究課題としていたR・M・ホランドの邸宅が校舎となっている学校で、今は放課後の成人向けのクラスでホランドについての講座も持っています。
旧館にはホランドの書斎がそのまま残されているのだった。
そしてそこで、ホランドの作品「見知らぬ人」を思わせるような事件が‥
離婚してロンドンを離れたくなり、娘のためにもと移り住んできたクレア。
以前からずっと日記をつける習慣があり、その日記の内容と、クレアの視点、娘のジョージー、女性刑事のハービンダー・カーの視点が交錯します。
その構成の妙に、興味が惹きつけられ、一読した後すぐに最初から読み直しました。
架空の作家であるホランドの意味深な作品と生涯の謎。
クレアはどんな人なのか?
日記には夫への未練は全く書かれず、どうも夫はあまり思いやりがないタイプなのだろうと推察できます。
一番気になっているのは娘の進路。難しい年頃なので、強く勧めるわけにもいかないのだ。
自分の外見や服についての描写がなく、コンプレックスはなさそう。今は恋愛に興味はないが、同僚に一方的に恋されたりもしたので、普通に美人なのか?
ハービンダーが捜査のためにクレアに会った時に、最初にいきなり反感を抱く。
これはインド系で小柄なハービンダーが色々なコンプレックスを抱えているため。後ですぐ気が変わるのだが。
クレアは長身でショートヘア、モデルのような印象的な美人、そうだったのか~自分のスタイルが決まっているのと重要な関心は文学にあるため服には悩まないらしい。
ハービンダーは30代で独身、親の家に住み、恋人もいない。そのことをかなり気にしているのだった。
インド系のインテリ家庭はそんな感じあるのかしら。他の小説でも似た設定を見かけます。
クレアは本来は知的で気丈な方、だが身近で殺人事件が続いてはたまらない。
古めかしいホランドの書斎と、昔の事件の謎、今も残るかのような恐怖の気配‥
ミステリとしては、この書き方で犯人はわからないかと。
ヒロイン同様、目くらましされたまま、意外な結末へ。
他の部分に引き込まれて読み応え十分、とても面白く読みました。 -
Posted by ブクログ
介護士のナタルカが尋ねた時には犯罪小説好きの老婦人ペギーが自宅で息を引き取っていた。不審に思ったナタルカはカー刑事に相談して友人2人と勝手に捜査を開始する。本と小説家を巡る事件の真相とは?個性的なキャラが魅力なシリーズ二作目→
謎解きとしても面白いんだけど、とにかくキャラクターがいい!
前作から引き続きのハービンダー・カー刑事はインド系の同性愛者で30代で実家住まい。
ヒロインのナタルカはウクライナ出身の20代で謎多き美人介護士。
友人のベネディクトは元修道士でカフェのオーナー。しかもかわいい嫁さんが欲しい→
80歳のエドウィンは元BBC勤務でオシャレに気を使う気のいい老人。
この4人だけでも楽しいのに、ここにハービンダーの家族やペギーが繋がっていた小説家たちもキャラが濃くて、みんながワイワイしているのを読むだけでも楽しい。
オチもしっかり驚いた。これは楽しい! 次作の翻訳も待ってます!!
(以下、読後すぐのツイート)
前作(見知らぬ人)がわたし的にハマらなかったので、期待値低めで読んだんだけど……
めちゃくちゃ面白いじゃないかエリー・グリフィス(窓辺の愛書家)
後半最高にいい。というか、読み進めるとどんどん面白くなる系のお話。じわじわくる感じ?
はぁ。楽しかった!
私は元気な高齢者が楽しく過ごすミステリが好きなんだよな。
歳を重ねても自分を大事に日々を生きているキャラがいるだけで引き込まる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ英語教師のクレアは、同僚で友人のエラが殺された事件の容疑者になってしまう。二人が勤務するのは、ヴィクトリア朝時代の怪奇小説作家R・M・ホランドの屋敷を校舎にしたため、自殺した彼の妻の霊がでると噂されるいわくつきのタルガース校。エラの殺害現場には、ホランドが短篇「見知らぬ人」に引用した『テンペスト』のセリフ、「地獄はからだ!」というメッセージが残されていた。教師の傍らホランドの文学研究をしているクレア、事件の担当刑事ハービンダー、クレアの娘でタルガース校に通うジョージアの三視点を行き来しながら、ゴシック小説とSNSテキスト文化を巧みに混ぜ合わせたポップなミステリー。
『窓辺の愛書家』より先にでた、ハービンダーの初登場作品。この人好きだ~。二作読めばもう間違いないのはわかる。作中作の作りこみが特徴なので『カササギ殺人事件』と並べて語られることもあるそうだけど、私はホロヴィッツよりグリフィス派かも。
最初からせわしなく視点が変わった『窓辺~』と違い、本作はまずじっくりとクレア/ハービンダー/ジョージアそれぞれの視点から見た事件が語られる。とにかくこの人は視点操作による情報開示タイミングのコントロールが抜群にうまく、ある人物にとって当たり前すぎて一切触れられない事柄が別視点に切り替わってから明かされて驚かされる(サイモンの再婚相手がアフロなこととか)。オシャレで気取ってる(とハービンダーは思っている)クレアやティーンのジョージアよりもハービンダーのほうが人の服や持ち物を細かく見ていいとか悪いとか品評していたり。警察官らしくもあり、コンプレックスの裏返しのようでもあり、ハービンダーに親しみを感じる描写だ。
ハービンダーがたびたび創作者や読書家たちの「ブッククラブ的な会話」にすさまじく無理解なことを言うのがかなり笑えるのだが、続篇の『窓辺~』でモロに「ブッククラブ的」なグループに彼女を放りこんでるとこからして、このキャラクター書くの楽しくて仕方ないんだろうなぁ(笑)。複数視点が入り混じるスタイルの面白さって誤解を恐れずに言えば「偏見は面白い」ということに由来していて、人にぶつけた偏見が今度は自分に跳ね返ってくるようすがちょっといじわるな大人の笑いを生みだしている。そして『窓辺~』と同じく本作でも、殺人事件の謎とは別に〈他人という謎〉が作品の大きな魅力になっている。
殺害現場に残されたメモとクレアの日記に書きこまれたメッセージの筆跡が同じという段階で、読者視点ではかなり容疑者が絞られてしまうのでフーダニットとしては少し弱い感じだが、作中作「見知らぬ人」とホランドの伝記的事実にまつわる謎がとっても面白いのでおつりがくる。死んだ妻の足あとをそのまま床マットにエンボス加工するアイデアがすごいけど、元ネタあるのかな。
スクールカースト上位の子たちがヒューズ先生みたいな”白魔女”に心を捕えられているという設定もめっちゃ面白いし、エラがいたころの創作クラスの話も知りたかったなぁ。でもジョージアの視点はあるのに、ヒューズ先生の魅力の片鱗しか読者には教えてくれないあたりにグリフィス作品から深い奥行きを感じる秘密がある。しかもジョージア作の小説の書きだしを載せて、たしかに上手いと思わせることで創作クラスに説得力をだしている。どんだけ小説が上手いんだエリー・グリフィス! -
Posted by ブクログ
海辺のシニア用共同住宅で、90歳のペギーが心臓発作で亡くなる。当然自然死と思われたが、介護士のナタルカは「殺人コンサルタント」なる肩書きがついたペギーの名刺と、部屋にあるミステリー小説の献辞にペギーの名前がいくつもでてくることを見つけ、警察に相談する。話を聞いたハービンダー刑事部長は捜査を開始するが、ナタルカもまた、生前のペギーと親しかったエドウィンとベネディクトを巻き込み、ペギーに献辞を捧げた作家たちに会いに行ってしまう。素人探偵団と刑事たちの群像ミステリー。
面白かった!くっちゃべりながらメシ食って、旅行気分で調査するコージーミステリー。表紙のおどろおどろしくオールドスクールな印象とはまったく違い、メインキャラクター4人の視点を細かく切り替えるめちゃくちゃ今っぽい語り口でサクサク読めるし、会話がとにかくうまい。
私にとってはなによりも群像劇として魅力にあふれた小説だった。メインキャラだけでもウクライナからの移民であるナタルカ、元修道士で今はカフェを営むバリスタのベネディクト、定年前はTV局員をしていたゲイのエドウィン、インドからの移民2世でレズビアンのハービンダーと生まれも育ちもばらばら。三人称小説だが、「視点が変われば偏見も変わる」というのを利用して饒舌に垂れ流されるそれぞれの思考の流れを読むだけで面白い。ミステリーとしても視点操作で巧みに情報コントロールされていると思う。
この物語のテーマは「すべての人の人生は謎だ」なんじゃないかと思う。ただのミステリー好きのおばあちゃんと思われていた女性が広大なバックグラウンドを持っていて、遂にそのすべてが明かされることはない。ジョーン、ヴェロニカ、シーラについても。だが、”出窓仲間”たちの姿をナタルカたち4人と重ね合わせて、彼女たちの友情のありようを想像してみることはできる。
読んでいて連想したのはルシア・ベルリンの『掃除婦のための手引き書』だった。故郷から遠く離れて暮らし、人生の段階ごとにまったく異なるいくつもの「私」を持っている人たちがこの小説にはたくさんでてくる。ナタルカがさらりと客室掃除係をやっていたと言うところや、出版エージェントのジェリが介護士や軍人の経験もあると語るシーンは印象に残る。読み終えて人生賛歌のメッセージを感じるのは、こういうさりげないバックグラウンドの書き込みの力でもあると思う。
最初のほうに「彼女は親友だった。この年で新しい友だちを作るのはむずかしいからね」「いくつでもむずかしいですよ」というエドウィンとベネディクトのやりとりがある。ナタルカたちの旅をラストまで見届けたあとには思いださずにいられないセリフだ。大人しかでてこない、しかもシニア用共同住宅が舞台の作品なのに、青春小説を読んだようなのだ。作中でも「居心地のいい犯罪[コージー・クライム]か。矛盾した表現だな」と自己言及的なセリフがあるけど、とても利己的な連続殺人の真相が明らかになっても、読後感はどこまでも爽やか。読むとブラウニーとショートブレッドがほしくなる。 -
Posted by ブクログ
「見知らぬ人」に出ていたハービンダー・カー刑事が登場するミステリ。前回は誰にも愛着が湧きにくかったが、今回の話はカー刑事(とその家族)も含めて魅力的で読んでいて楽しかった。90歳で亡くなったペギー・スミス。彼女はミステリ本の謝辞に、頻繁に載っていたことが分かる。彼女が言っていた”殺人コンサルタント”とは?彼女はもしかして殺されたのでは?ウクライナ出身の女性、もと修道士の男性、ペギーと友人だったゲイの老人と、一見チグハグなトリオが謎に向かって突き進む。そこにカー刑事も加わって・・・。どんでん返しも何度もあり、前回同様、犯人は全く分からなかった。もっと英語が分かれば楽しかったかも。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ見立て殺人とフーダニットに焦点を当てたイギリス発のミステリ。
イギリスの中等学校タルガース校に勤める英語教員のエラが何者かによって殺害されることから物語は始まる。
サセックス警察のカー部長刑事は、エラを殺した犯人はエラの知り合いであろうという推測の元、エラの同僚であり友人だったクレアやその同僚、タルガース校の生徒たちに聞き込みをし、犯人の足取りを追う中で、第2の殺人が起き……。
この物語は3人の主要人物たちが見聞きしたことと架空の短編小説『見知らぬ人』とが足りない情報を補い合う形で物語が進んでいく。実は読者が犯人に気がつけるように少しずつヒントが散りばめられているのだが、かなり注意深く読んでいないと犯人には辿り着けないようになっており、犯人の正体が分かった時に思わず唸ってしまう作品である。
この作品に登場するカー部長刑事が登場する作品がまた出ているようなので、続きも読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
前の2作に続いて、ハービンダーの外見をイメージできない。そんなことを考えながら読む、ということはあんまりない、というか初めてかもしれない。
だってイギリス生まれの小柄なインド系女性でレズビアン、だもの。眼は茶色とか身長何センチとか描写はあるけどなかなかイメージが膨らまない。
犯人は最初に登場した時点で、犯人だろうな、と見当がつく。でも、さらっとではあるけれど、一人ひとりの人間が様々な角度から描かれているので、その後もそれぞれの登場人物すべてが、もしかしてこの人が犯人かも?と思えてくる。上手い。
で、結局やはり犯人は最初の人。意外性は全く無し。残念。