井戸川射子のレビュー一覧
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「ここはとても速い川」
施設で暮らす主人公「集」は5年生。
一緒に生活している一つ下の親友「ひじり」とのやり取りや、ひょんな事から知り合う若者「モツモツ」と決行したある作戦、夏休みの宿泊訓練など、日々の出来事が集の目線で語られます。
ダダーっと一気にしかも次々に話題が移っていくこの文体がすごくいい。整っていなくて子どもが話しているそのままの感じ。あっちこっちに飛びながら時々フッと出てくる言い回しや比喩によって、この世界にググッと近づく感覚が読んでいておもしろい。
子どもらしい文章の中に急に差し込まれる、集やひじりの抱える問題にギクッとしたり。集の心境が垣間見えて切なくなったり。出てくるアイテム -
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ネタバレ井戸川射子さんは詩人だそうだ。
詩はまだ読んでおらず、この小説が凄いと、石井千湖さんの紹介をきいて、手に取った。
なんという繊細にして大胆な子どもらの描写。
ワンパラグラフが長いように思う。そして、あまりに息継ぎもなく、流れるように、日常の中で意識が止まらないのと全く同じように、主語、語り手である集くんの、頭の中によぎることや確信に至るか至らないかに限らず考えていることが、情景風景ほかの人との会話なども絡みながら、さらさらと、ちくちくと、織り出されていく。
パラグラフは一気に読まないとダメだし、一気に読ませる。ここに伝えたいこと、他人じゃなくても自分に言い聞かせたり残しておきたいことだから息 -
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あなたは、嘗ての幼い娘達と多くの時間を過ごしたショッピングセンターの喪服売り場で働く。そんなあなたは、そこのフードコートの常連である少女と知り合う。一歳の弟の子守りに苦労していると語る少女の姿に、あなたは嘗ての自分を重ね合わせる———
(この世の喜びよ)
語り手はフードコートの少女と、かつての自分を重ねている。1歳の娘を持っていたかつての自分と、1歳の弟の世話を焼く少女を。少女の目線から見れば、語り手の存在は、子育ての先輩という面も持っていたが、同じ悩みを持つ友人と思っていたのではないかと思う。それは、語り手自身が、人と会話するときに、自分と相手の間に若いときの自分を一枚挟んでいることが原因 -
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家族に、友人に、将来に、そして自分自身に悩む。そんな日々を送る高校二年生の仲良し五人組。彼女達の悩みは多感な今の時期であるからの悩みであり、今の時期であるからこそ、結果を望む。なんともない日々も思い出となり、未来の自分へと繋がっていく———
良い。
高校二年生。彼女達は様々な悩みを抱えるのが常。母の再婚で姉となったり、恋愛に明け暮れたいがスポーツにも取り組みたかったり、自らの顔の一部がコンプレックスだったり、自らの空気の読めなさを自覚していたり、姉妹で仲が悪かったり、家計のためにアルバイトに打ち込んだり。そこでの日々は様々な事象から悩みを刺激されていく。友人間での会話、先輩との会話、家族との -
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1980年
1987年
1993年
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2003年
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1996年
2004年
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2022年
2024年
家族のことが淡々と語られていきます。
父がいない家庭で、兄弟にもまれて貧乏性に育つ女の子は、なぜか母を引き継ぐように父がいない子を育てていく。
そして起こる2度の震災。。。
忘れたいけど忘れられないトラウマを持ちながら、日々を暮らしていくしかない。
母がばばになり亡くなる。子どもだった自分が母になる。そして、、、
人って何でしょう。生きていくってどういうことでしょう。。。
淡々と、営々と続きます。
そこに勝ち負けはあるのでしょうか?
そこに生きがいは -
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詩のように書かれた物語。本来なら句点で区切られるような文章が読点で繋がれてゆき、不思議なところで句点が打たれる。解説を読み、まるで川のような文章だと思った。道端を這う水が流れ行く先を見ようと水を辿っていくが、思いもよらないタイミングでその水が途切れるような、そんな感覚。視点もそのように移り変わっていく。“あなた”の目の前の出来事が書かれていると思いきや、段落を変えず次の文章では、“あなた”の過去の出来事に視点が移り変わる。思考の自然な揺らぎを文章で読むことにしばらくは慣れなかったが、慣れると意外にも読める。目の前の少女と、自分の二人の娘の小さな頃を重ねる“あなた”。親として娘たちを大切に思う気