井戸川射子のレビュー一覧

  • ここはとても速い川

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    2つの物語は繊細で、むなしさが残りました。
    全てが報われるとは思っていませんし、自分の価値観を押し付けるのは違いますが、やっぱりどこかで報われていてほしいなと思いました。

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    2024年07月03日
  • 共に明るい

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    さて、いきなりですが次の文章を読んでください。

     『誰かは車を運転している時、自転車が当たってきたことがある』

    いかがでしょう?『誰かは車を運転している時』という表現自体に微妙に引っかかりを感じます。そもそも、『誰かは』『自転車が当たってきたことがある』と続けて読むと全くもって意味不明です。では、もうひとつ、この文章はどうでしょうか?

     『外側で、どういう風を受けていたんだろうと誰かは思う』

    再びですが、いかがでしょう?『誰かは思う』という末尾の言葉にその前にある言葉が接続していないのではないか?そんな違和感を感じます。一体全体『誰か』という言葉を使うこの不思議な文章はなんなのでしょう

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    2024年06月26日
  • ここはとても速い川

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    あなたは、”施設実習”という言葉を知っているでしょうか?

    保育士の資格を取るために欠かせないもの、それが”施設実習”です。保育園や幼稚園へと赴く『実習』の他に、『児童養護施設』や、知的障害者施設など様々な施設へと、泊まり込みや住み込みで10日程度赴く必要があるという”施設実習”。子どもを相手にする保育士の仕事として保育園や幼稚園はそれを直接にイメージし、目指される方が多いのに対して、”福祉職”でもある視点から用意されている”施設実習”には戸惑いを覚える方もいらっしゃるようです。

    では、『実習』へと赴く方たちは、『施設』の中で日常を送る子どもたちからどんな目で見られているのでしょうか?

     

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    2024年06月24日
  • ここはとても速い川

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    二作品収録の細くて薄いそれでいて濃いまるでカルピスの原液のような作品。
    まずはじめに、ここはとても速い川ですが、これだけならよかった。少年期の目まぐるしいほど環境の移り変わりが速いなかで彼らはあまり変わることなく過ごしている感じが流されてくように感じて文学としての表現が素晴らしいと思いました。その刹那さに心がグッときます。
    ただ最後の膨張に関して言えばなんだかよくわからない、どう消化すればいいのか、あるいは噛み砕けばいいのか、終わり方もパッとしません。共感が持てないのも原因かもしれませんが、おそらく概念にない話なので僕は読んでも何も思いませんでした。ただよく書けている。と言った具合です。文学と

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    2024年06月24日
  • 共に明るい

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    どれも長い詩みたいだった。
    頭の中を全部書き出していくような。
    文章に呼吸を合わせていくと、ほの明るい静かな気持ちになる。

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    2024年03月07日
  • 共に明るい

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    短編になるとなおさら一文がミニマムに。句読点で視点の切り替えだけでなく話者の切り替えまでおこなってしまう。気付けばずぶずぶと、この文体に飲み込まれる。

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    2024年02月29日
  • ここはとても速い川

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    もともと詩を書かれてた作者さんだからか、比喩表現が多く、癖のある独特な文体にはじめは苦労したがそのうち慣れる。
    その比喩表現のところに話の核となる関係性の象徴など現れている感じなので結構かみくだいて読んだ。
    淡々と思考が湧き出てはとめどなく流れるように綴られていく。初めは違和感あったけど、普段私たちもこうやって思考が流れ、湧き出てをくり返しているのだろう。
    ストーリーも、文の感じもまさに表題のように流れの速い川のよう。また暫く時間を置いて、再読時は流されないようにじっくり読みたい。

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    2024年02月22日
  • 共に明るい

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    独特の文体に
    ワンフレーズ読んでは立ち止まり読み直した。視点がコロコロ変わる。
    でもその描く世界が癖になった。

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    2024年02月18日
  • 共に明るい

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    短編集5篇
    新神戸駅からのバスの中の風景の「共に明るい」、レオパを飼育する新しくできた彼氏との日々を描いた「素晴らしく幸福で豊かな」が良かった。人との距離感、関係性に独特の感性を持つ作者の表現が面白い

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    2024年01月18日
  • 共に明るい

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    芥川賞作家で詩人でもあるらしい。
    読点の位置が、フツーの感覚とはずれていて、倒置法とか連帯どめとかが多用されてて、慣れるまで、ことごとくつっかえる感じ。
    内容は、あまり残ってない。「素晴らしく幸福で豊かな」が中では1番面白かった。

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    2023年12月10日
  • ここはとても速い川

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    児童養護施設に暮らす小学5年生の集(しゅう)。園での年下の親友・ひじりとの楽しみは、近くの淀川にいる亀たちを見に行くことだった。

    ▽感想
    子どものような日記で、何となく句読点や文章が幼く感じる。子ども目線で物事がかかれており、慣れるまで読みにくさが多少あった。

    話の道すじもまっすぐではなく、あっちにいったり、こっちにいったり。

    モツモツと集とひじりで紫色の花の世話をしたり、養護施設の中の様子を話す様子も全部、愛しい子どもたちの目線だった。

    子どもならではの狭くて、だけどいろんなところを見てる独特な視点をよくここまで書き込んだなと思った。

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    2023年11月07日
  • ここはとても速い川

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    ネタバレ

    モツモツのアパートから集やひじりが移動させた紫色の花が、まるで集たち自信を表しているようでなんとも言えない気持ちになった。

    どこから来たのかも分からない、なぜそこにあるのかも。

    まるで孤児である集なようで、

    また、
    おばあちゃんの家に移された花も一見育ちやすい、幸せそうな環境になったようには見えたが、

    おばあちゃんに掘り返されたかどうかは謎なまま。

    まるで、
    お父さんの元へ帰ったひじりのようだった。

    なにが本当の幸せなのか考えさせらる本だった。

    P48
    浅いところは石で痛くて、深いところは怖いんやった。注がれてくる水が水をまたいで、川は群れでめっちゃ飲んでしまう。勢い、流れ落ちひ

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    2023年05月22日
  • ここはとても速い川

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    子供目線で書かれているのが新鮮で気付かされることが多かった。

    私自身もこういう思考の時代があったのかなと考えるが今では全然記憶に残っていない。
    子供は大人より狭い生活範囲で行動しているから思考は見えているものだけであり俯瞰してみることはあまりない気がする。でも俯瞰してみることで遠回りの思考になることがある。たまには子供の思考に戻って見える範囲を整頓することで気付かされることもあるから子供の思考も尊重されるべきだと思った。

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    2023年05月18日
  • ここはとても速い川

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    文章が独特で馴染みづらかった。作者が詩人とあとで知って納得。慣れるまでつまらなく感じ、終盤やっと慣れて途端にすごくおもしろく感じた。丁寧に読まないと、お話の流れこそとても速い川のようなので、足を掬われてしまう。時間の説明がなく、区切りのわからない散文を読んでる感覚になるのかなと。
    大人びた少年の感情の抑制と放出。園長に胸の内を話すシーンは泣いてしまった。

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    2023年04月19日
  • ここはとても速い川

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    とても濃ゆい作品で咀嚼に時間がかかった。
    子どもながらの素直さというか、こういう風に見えたりするんだな〜と真っ直ぐな言葉だからこそ刺さる部分があった。不安に感じたり不快に感じたり、子どもは子どもなりに大人との付きあい方と向き合って過ごしているんだなと。
    自分のいる環境で、友達との違う部分を感じたり、子どもだけど大人びているところがあったり、切ないところもありました。
    どんな大人になるんだろうか。

    膨張。ウオは大人になって何を思うのだろか。
    あいりはなぜ千里を好きだったのだろうか。

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    2023年04月11日
  • ここはとても速い川

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    ネタバレ

    全体的にやわらかな文章。けれど中身は濃く、たまに鋭く容赦なく突き刺してくる印象の一冊。

    児童養護施設で暮らす小学5年生・集(しゅう)の物語『ここはとても速い川』と、特定の住所を持たず生活拠点を点々としながら生活するアドレスホッパー・あいりの物語『膨張』。
    両者は全く異なる物語のようだけれど、私にとってはとても近い世界の物語のように思えた。
    大人の都合で生活拠点を決められた子供たち。"普通の暮らし"が何なのか。どんな生活ならいいのか。そんなことは人それぞれの価値観だからどうでもいい。けれどそれに従うしかない子供たちの気持ちはどうなるのか。読みながらずっともやもやしてしまった

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    2023年02月04日
  • ここはとても速い川

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     本書の著者・井戸川射子さんは、高校国語教師→詩創作開始→中原中也賞→小説デビュー→本作で野間新人文芸賞→『この世の喜びよ』で2022下半期芥川賞候補(1/19発表予定)と、異色の経歴をお持ちのようです。
     本書は2編の短編集で、井戸川さん初読でした。

    ○表題作「ここはとても速い川」
     児童養護施設に暮らす子どもたちの日常を、主人公の小学生の視点で綴った物語
    ○小説デビュー作「膨張」
     定住する特定の家を持たず、居住先を転々とするアドレスホッパーの人々の物語

     2編の共通点として、主体としての子ども・大人の違いはあれど、社会の中での生きにくさを扱っている点が挙げられるかなぁ‥。
     とりわけ

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    2023年01月03日