井戸川射子のレビュー一覧
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◼️ 井戸川射子「ここはとても速い川」
連ね続けられる文章、別れが、刺さる。野間文芸新人賞。
井戸川射子は芥川賞を取り、書評も見かけたので興味を持っていた。地元の人らしく、関西弁がからむ文章。詩人でもあるそうで、表題作と小説処女作の「膨張」、どちらも80ページくらいの作品が収録されている。
さまざまな事情により親と暮らせない子どもたちの施設。小学5年生の集は1つ下のひじりと仲が良い。無邪気なひじりと、淀川の亀にエサをやったり、ボロアパートに住む大学生モツモツと知り合ったりと活動的に暮らしている。集は入院先の祖母の元へ通い、ひじりは病気が快方に向かう父親と会っている。親のこと、先生のこと、 -
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ネタバレ表題作は、スーパーの喪服売り場で働く中年女性が、いつもフードコートにいる中学生と話をするようになる様子を、同じスーパーで働く人たちとの交流を交えて描くお話
何か大きな事件があったり、決定的に悲しい出来事があるわけではないのだけど、日常を送る中で孤独を募らせている中年女性が、自らの子育てが終わりを迎えようとしている中で、中学生に心を開こうとするというような内容で、読んでいて切ない気分になる作品でした。
二人称で書かれているのが特徴的だけど、過去を振り返ってやさしく自分に語りかけているように感じたけれど、二人称は同時にその語りかけが読者にも向けられるように感じられるから、情報の処理のプロセスが -
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音声で聴いていたので、この小説のすごさがわかるほどのレベルに達してはいないのだが、淡々とした描写のまま何事もなく、小説は閉じられる。表現方法が特徴的とのこと。芥川賞受賞時の選評を引いておく。
平野啓一郎
「V・ウルフ風の「意識の流れ」を二人称で描くという難しい挑戦が成功している。」「「あなた」という穂賀への語りかけは、ヤング・ケアラーの少女への「あなた」へと転ずる最後の場面で、彼女の子育てを否定する、唯一の真の他者へと開かれる筈だったが、その対立性は曖昧に呑み込まれ、結局、全篇を貫く自己承認回路へと吸収されてしまう。」
小川洋子
「(引用者注:「荒地の家族」と共に)丸をつけた。」「特異なの -
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二作品収録の細くて薄いそれでいて濃いまるでカルピスの原液のような作品。
まずはじめに、ここはとても速い川ですが、これだけならよかった。少年期の目まぐるしいほど環境の移り変わりが速いなかで彼らはあまり変わることなく過ごしている感じが流されてくように感じて文学としての表現が素晴らしいと思いました。その刹那さに心がグッときます。
ただ最後の膨張に関して言えばなんだかよくわからない、どう消化すればいいのか、あるいは噛み砕けばいいのか、終わり方もパッとしません。共感が持てないのも原因かもしれませんが、おそらく概念にない話なので僕は読んでも何も思いませんでした。ただよく書けている。と言った具合です。文学と