井戸川射子のレビュー一覧

  • ここはとても速い川

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    『とても速い川』と『膨張』の2つの話。
    決して読みやすい文章ではない。がとても惹かれる。
    主人公は養護施設の少年。感動的なことは何も起こらない展開に心が揺れた。

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    2024年02月18日
  • ここはとても速い川

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    詩人の書く小説らしく、表現が詩的で描写力が素晴らしい。
    井戸川射子さんの小説は、「詩人出身の感じ」が読みにくいという意見を見たことがあるけど、個人的にはこういう、趣向を凝らした美しい描写は好きなので楽しく読めた。
    表題作ももう一作も、人生の一場面を切り取ったような小説だった。良かったです。

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    2024年02月16日
  • ここはとても速い川

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    ポリタスで石井千湖さんが本書を紹介した時、初めて著者の名前を知った直後『この世の喜びよ』が芥川賞を受賞したタイミングで読んでみることに。
    一見すると薄い文庫本だし少年が主人公とのことなので、サクッと読めるかと思いきや予想外の展開で侮れない。水の流れに足を取られないよう足元を確かめながらゆっくり読ませる作品だった。
    大阪弁の文章が美しい。

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    2023年03月08日
  • 曇りなく常に良く

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    隣りに居るような。どこにでも居るような。日常の切り取りが素晴らしい。世の中の人たちは、こうやって生きているんだ行くんだと思いました。

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    2025年09月25日
  • この世の喜びよ

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    三編の短編集。

    表題になっている『この世の喜びよ』
    は読んでいて なかなかその文章に慣れることができなかった。
    主人公は“あなた”という二人称で語られる 穂賀という ショッピングセンターの喪服売り場で働く中年女性。
    社会人と大学生の娘がいる。

    ある日“あなた”はフードコートに頻繁に一人で来ている十五歳の少女と話しをするようになるのだが 何度か話すうちに口下手な“あなた”は 少女を怒らせてしまう。

    文章がなんとなく詩のようだ。
    “あなた”の目に映っている場面や、その時々に入り込んでくる回想を思いつくまま語っているような感じで、まとまりがなく 散らばっているような印象を受ける文章だった。

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    2025年09月26日
  • 移動そのもの

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    一編がごく短い短編集。文も通るし意味も成り立ってるんだろうけど、正直さっぱりわからん。ただ、それが難解というわけでもなく、破綻してるというわけでもなく、そういう不快感とかはない。
    たぶん、わからないままでいいんだろう。

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    2025年08月21日
  • この世の喜びよ

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    言葉という掴みどころのない有形無形な存在を、濃密でありながら象る輪郭が見えないような、不思議な気持ちになる短編集だった。
    この物語に出てくる登場人物たちは皆どこか不器用で、漠然とした不安を抱えている。
    ひとりでは不明瞭だった思いが、人との関わりの中で交差し時にぶつかりながら明瞭さを帯びていく様は、一抹の妖しさを感じると共に心惹かれるものがあった。

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    2025年08月15日
  • 曇りなく常に良く

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    女子高生の頭の中を文章に起こしたらこんな感じなのだろう。
    5人の登場人物が上滑りな会話を重ねながら、心の中ではそれぞれが大事にしていることやコンプレックスに感じていることを悶々と考えているという物語。
    どの子も母親はたいがい蚊帳の外で、その距離感が生々しく、女子高生の母としては少し寂しい。

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    2025年08月15日
  • ここはとても速い川

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    本のタイトルになっている「ここはとても速い川」と著書のデビュー作である「膨張」の2編を収録。

    「ここは-」は主人公の少年の関西弁による1人語りの形式ですが、方言で書いてあることに加えて、子どもならではの話の飛躍も多く、話の筋がよくわからなくなるところがあちこちにありました。
    ただこれが、第三者目線で筋道立てて展開される物語であれば、全く印象は変わっていたはずです。

    これまであまり小説をたくさん読んできた方ではないですが、「わからなさ」をラッピングで包まず、そのままわからないものとして差し出す潔さ。それをアリとして受け入れる小説という表現の懐の深さを改めて感じました。

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    2025年08月12日
  • ここはとても速い川

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    ◼️ 井戸川射子「ここはとても速い川」

    連ね続けられる文章、別れが、刺さる。野間文芸新人賞。

    井戸川射子は芥川賞を取り、書評も見かけたので興味を持っていた。地元の人らしく、関西弁がからむ文章。詩人でもあるそうで、表題作と小説処女作の「膨張」、どちらも80ページくらいの作品が収録されている。

    さまざまな事情により親と暮らせない子どもたちの施設。小学5年生の集は1つ下のひじりと仲が良い。無邪気なひじりと、淀川の亀にエサをやったり、ボロアパートに住む大学生モツモツと知り合ったりと活動的に暮らしている。集は入院先の祖母の元へ通い、ひじりは病気が快方に向かう父親と会っている。親のこと、先生のこと、

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    2025年08月05日
  • この世の喜びよ

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    読んでいる間はずっと灰色のイメージ。暗いと言うのは違うのかもしれないが、晴れやかな気持ちには一度もならなかった。けれど読み終えるとなんだか、まぁ人生とはこんなもんだなとしっくりくる。なにもうまくはいかないし、とびっきりキラキラした出来事もそうそう起きない。

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    2025年06月02日
  • 移動そのもの

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    ネタバレ

    短編集九編

    まさに芥川賞作家作品勢ぞろいといった一冊でこれは人には勧めにくい(笑)ちょっと良く分からないな…という作品が多いです、でもさらさらと読めます。特に独白で構成された物が良かった。

    花瓶
    妹の独白(姉に関することが多め)。

    本汚し皿割り
    詩人(ややヒモ)の独白。個人的にこれが一番面白かった。

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    2025年04月29日
  • この世の喜びよ

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     つらつらと、流れる言葉に流されてしまうかと思うが、所々に、はっとする表現がある。
    詩を書くひとの心が見える、とでも言うのか。
    流れていく言葉と、流れを止める言葉を楽しむ読書となった。

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    2025年04月24日
  • 曇りなく常に良く

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    芥川賞作家。読点ばかりで独特な文体。内容は、何を言っているのかよくわからないこともあるが、時々面白い

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    2025年04月19日
  • この世の喜びよ

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    表題作

    過去と今、未来を行ったり来たり。
    語りかけられているようにも聞こえる。

    ぼんやりと過去を懐かしんだり、
    過去を通して今を見ていたり、
    心と時間、思い出とか考えが同じ一直線上にあって、
    1人の人間の営みを内側から感じられた気がする。

    読み慣れない文章で句読点も少なく、
    流れるようで、一冊が詩集のようだった。

    新鮮、と言う意味で星四つにしました

    後半くらいまでずっと走馬燈見てるんかと思った笑

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    2025年01月26日
  • この世の喜びよ

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    ネタバレ

    表題作は、スーパーの喪服売り場で働く中年女性が、いつもフードコートにいる中学生と話をするようになる様子を、同じスーパーで働く人たちとの交流を交えて描くお話

    何か大きな事件があったり、決定的に悲しい出来事があるわけではないのだけど、日常を送る中で孤独を募らせている中年女性が、自らの子育てが終わりを迎えようとしている中で、中学生に心を開こうとするというような内容で、読んでいて切ない気分になる作品でした。

    二人称で書かれているのが特徴的だけど、過去を振り返ってやさしく自分に語りかけているように感じたけれど、二人称は同時にその語りかけが読者にも向けられるように感じられるから、情報の処理のプロセスが

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    2024年12月19日
  • ここはとても速い川

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    読み始めは中々内容が理解しづらく感じる文体であるが、読み進めていくと著者が作り出す物語の中にまるで沈んでいくようにして浸っていける。そしてそれは現実と離れすぎた内容だからわからないとかではなく、あまりにも現実すぎて物語と認識しづらいような感覚が読者に与えられる。その繊細且つ濃密な語りは、詩人でもある作者の言葉へのひたむきさと忠誠心だと捉えても良いのかもしれない。ちなみに本の詳細のページ数が288になっているが、手元の2022年12月15日第1刷発行の文庫本はどう見ても162でノンブルが終わっている。

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    2024年12月12日
  • この世の喜びよ

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    言葉(文章)の使い方が独特で、どうしても「あなた」だったり「彼女」だったりで読むリズムが崩れてしまった。

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    2024年12月04日
  • この世の喜びよ

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    音声で聴いていたので、この小説のすごさがわかるほどのレベルに達してはいないのだが、淡々とした描写のまま何事もなく、小説は閉じられる。表現方法が特徴的とのこと。芥川賞受賞時の選評を引いておく。

    平野啓一郎
    「V・ウルフ風の「意識の流れ」を二人称で描くという難しい挑戦が成功している。」「「あなた」という穂賀への語りかけは、ヤング・ケアラーの少女への「あなた」へと転ずる最後の場面で、彼女の子育てを否定する、唯一の真の他者へと開かれる筈だったが、その対立性は曖昧に呑み込まれ、結局、全篇を貫く自己承認回路へと吸収されてしまう。」

    小川洋子
    「(引用者注:「荒地の家族」と共に)丸をつけた。」「特異なの

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    2024年11月14日
  • この世の喜びよ

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    地の文と台詞、誰が今何をしているのかが掴みにくく、私の中で曖昧になってしまうことがあった。ただその詩のような文章が魅力的でもあるのだが。

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    2024年11月12日