井戸川射子のレビュー一覧

  • ここはとても速い川

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    詩的。文章の密度は濃いが、独特な柔らかいことば遣いの表現は心にしみ入るように伝わってくる。
    子どもの心情を深く描き出していると感じた。劇的な展開のある物語ではないが、語り口の柔らかさと伸びやかさが、タイトルに反するように、緩やかな大河の流れを想起させる。

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    2024年11月07日
  • この世の喜びよ

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    内側から溢れ出る水を、言葉の形に押し留めているような詩的な文体。頭の中で響く言葉のように、連綿と読点で繋がれ流れている。「私の頭は私の考えにいつも付き合ってくれる」自分の記憶を呼び起こせたことをあたたかな言葉に紡げるのが素敵。

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    2024年10月31日
  • ここはとても速い川

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    『とても速い川』と『膨張』の2つの話。
    決して読みやすい文章ではない。がとても惹かれる。
    主人公は養護施設の少年。感動的なことは何も起こらない展開に心が揺れた。

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    2024年02月18日
  • ここはとても速い川

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    詩人の書く小説らしく、表現が詩的で描写力が素晴らしい。
    井戸川射子さんの小説は、「詩人出身の感じ」が読みにくいという意見を見たことがあるけど、個人的にはこういう、趣向を凝らした美しい描写は好きなので楽しく読めた。
    表題作ももう一作も、人生の一場面を切り取ったような小説だった。良かったです。

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    2024年02月16日
  • ここはとても速い川

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    ポリタスで石井千湖さんが本書を紹介した時、初めて著者の名前を知った直後『この世の喜びよ』が芥川賞を受賞したタイミングで読んでみることに。
    一見すると薄い文庫本だし少年が主人公とのことなので、サクッと読めるかと思いきや予想外の展開で侮れない。水の流れに足を取られないよう足元を確かめながらゆっくり読ませる作品だった。
    大阪弁の文章が美しい。

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    2023年03月08日
  • 私的応答

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    銅子と厚美が、自分には無い観点で物事を捉えていて面白かった。なんとも人間らしいというか、それぞれの登場人物のリアルな人間味を感じて少し薄暗い気持ちにもなった。家庭環境って、そのひとを作り上げる大きな要素だよな〜と改めて感じた。

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    2026年04月02日
  • この世の喜びよ

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    ネタバレ

    表題作は、他者の思考の流れをそのまま読んでいるようで居心地が良いとは言えなかった。
    母親は子育ての思い出をおそらく美化していて、はじめは優しいお母さんなのかと思っていた。でも娘ふたりは母親に対して少なからず不満を持っている。勤務時間に売り場にいないことや、自省することがなく他人のせいにするところなど、娘の登場によって明らかにされる母親の本当の姿が見えた時に驚いた。
    少女に言われたことも本当に理解したのかは怪しく、善意の正義感だけはあり、やんわりと強情で、この人物をどう捉えたらいいのかと途方に暮れた。わたしには母親が終始ズレているように感じられたのだ。
    この世の喜びとは、あなたに何かを伝えられる

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    2026年03月31日
  • 私的応答

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    母娘三代の日常を訥々と綴っている。
    その間には、1995年と2011年の大きな震災があった。
    そのときに経験した思いも母や娘では感じ方が異なっていても大筋では変わらない…それは日常に不変が入り込んだもので一生分を思うと過ぎてしまったことになる。

    「写真なんて余韻よ」と母。
    「余韻こそ大事やんか。残るもんは余韻だけやんか。」と娘。
    その何気ない応答が、後から何かをするたびに思い出すことなんだろうと感じた。

    母が娘にそして孫にと伝わるものは、言葉でありそのときの記憶である。
    同じように時間は進むのだが、記憶は薄れても残っている僅かはきっとあるに違いないと…。




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    2026年03月30日
  • 曇りなく常に良く

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    ネタバレ

    5人の女子高生とその家族の考えの違いや行動の変化を読み取るのが面白かった。
    ハルアは何だかんだ弟妹に愛があり、シイシイのにくめなさと素直さが好きだった。
    少し読みにくいこともあり、あまり人に勧めようとは思わないが、自分の心に残るフレーズはいくつかあった。

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    2026年02月08日
  • 曇りなく常に良く

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    隣りに居るような。どこにでも居るような。日常の切り取りが素晴らしい。世の中の人たちは、こうやって生きているんだ行くんだと思いました。

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    2025年09月25日
  • この世の喜びよ

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    三編の短編集。

    表題になっている『この世の喜びよ』
    は読んでいて なかなかその文章に慣れることができなかった。
    主人公は“あなた”という二人称で語られる 穂賀という ショッピングセンターの喪服売り場で働く中年女性。
    社会人と大学生の娘がいる。

    ある日“あなた”はフードコートに頻繁に一人で来ている十五歳の少女と話しをするようになるのだが 何度か話すうちに口下手な“あなた”は 少女を怒らせてしまう。

    文章がなんとなく詩のようだ。
    “あなた”の目に映っている場面や、その時々に入り込んでくる回想を思いつくまま語っているような感じで、まとまりがなく 散らばっているような印象を受ける文章だった。

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    2025年09月26日
  • 移動そのもの

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    一編がごく短い短編集。文も通るし意味も成り立ってるんだろうけど、正直さっぱりわからん。ただ、それが難解というわけでもなく、破綻してるというわけでもなく、そういう不快感とかはない。
    たぶん、わからないままでいいんだろう。

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    2025年08月21日
  • この世の喜びよ

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    言葉という掴みどころのない有形無形な存在を、濃密でありながら象る輪郭が見えないような、不思議な気持ちになる短編集だった。
    この物語に出てくる登場人物たちは皆どこか不器用で、漠然とした不安を抱えている。
    ひとりでは不明瞭だった思いが、人との関わりの中で交差し時にぶつかりながら明瞭さを帯びていく様は、一抹の妖しさを感じると共に心惹かれるものがあった。

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    2025年08月15日
  • 曇りなく常に良く

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    女子高生の頭の中を文章に起こしたらこんな感じなのだろう。
    5人の登場人物が上滑りな会話を重ねながら、心の中ではそれぞれが大事にしていることやコンプレックスに感じていることを悶々と考えているという物語。
    どの子も母親はたいがい蚊帳の外で、その距離感が生々しく、女子高生の母としては少し寂しい。

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    2025年08月15日
  • ここはとても速い川

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    本のタイトルになっている「ここはとても速い川」と著書のデビュー作である「膨張」の2編を収録。

    「ここは-」は主人公の少年の関西弁による1人語りの形式ですが、方言で書いてあることに加えて、子どもならではの話の飛躍も多く、話の筋がよくわからなくなるところがあちこちにありました。
    ただこれが、第三者目線で筋道立てて展開される物語であれば、全く印象は変わっていたはずです。

    これまであまり小説をたくさん読んできた方ではないですが、「わからなさ」をラッピングで包まず、そのままわからないものとして差し出す潔さ。それをアリとして受け入れる小説という表現の懐の深さを改めて感じました。

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    2025年08月12日
  • ここはとても速い川

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    ◼️ 井戸川射子「ここはとても速い川」

    連ね続けられる文章、別れが、刺さる。野間文芸新人賞。

    井戸川射子は芥川賞を取り、書評も見かけたので興味を持っていた。地元の人らしく、関西弁がからむ文章。詩人でもあるそうで、表題作と小説処女作の「膨張」、どちらも80ページくらいの作品が収録されている。

    さまざまな事情により親と暮らせない子どもたちの施設。小学5年生の集は1つ下のひじりと仲が良い。無邪気なひじりと、淀川の亀にエサをやったり、ボロアパートに住む大学生モツモツと知り合ったりと活動的に暮らしている。集は入院先の祖母の元へ通い、ひじりは病気が快方に向かう父親と会っている。親のこと、先生のこと、

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    2025年08月05日
  • この世の喜びよ

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    読んでいる間はずっと灰色のイメージ。暗いと言うのは違うのかもしれないが、晴れやかな気持ちには一度もならなかった。けれど読み終えるとなんだか、まぁ人生とはこんなもんだなとしっくりくる。なにもうまくはいかないし、とびっきりキラキラした出来事もそうそう起きない。

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    2025年06月02日
  • 移動そのもの

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    ネタバレ

    短編集九編

    まさに芥川賞作家作品勢ぞろいといった一冊でこれは人には勧めにくい(笑)ちょっと良く分からないな…という作品が多いです、でもさらさらと読めます。特に独白で構成された物が良かった。

    花瓶
    妹の独白(姉に関することが多め)。

    本汚し皿割り
    詩人(ややヒモ)の独白。個人的にこれが一番面白かった。

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    2025年04月29日
  • この世の喜びよ

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     つらつらと、流れる言葉に流されてしまうかと思うが、所々に、はっとする表現がある。
    詩を書くひとの心が見える、とでも言うのか。
    流れていく言葉と、流れを止める言葉を楽しむ読書となった。

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    2025年04月24日
  • 曇りなく常に良く

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    芥川賞作家。読点ばかりで独特な文体。内容は、何を言っているのかよくわからないこともあるが、時々面白い

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    2025年04月19日