白蔵盈太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ敗死の後、死に戻り続ける大谷吉継によって改変されていく関ケ原。2回目以降は敗死することにより、本来の歴史では知り得なかった情報を徐々に大谷吉継が蓄積していく。この情報が局地戦ではない大局としての関ケ原を描いていて、この部分は実はifではなく史実(通説)どおりなのがポイント。その情報を元に大谷吉継が歴史改変をしてifルートに入る。トライ&エラー!!一見無茶苦茶な設定のようで、実は普通の関ケ原も味わえ、上手い構成だなと感じた。さらに、死に戻るごとに大谷吉継のやることが戦術的な改変から戦略、政略へとだんだん拡大していっているところも見逃せない。これは得られる情報の質とシンクロしていると思う。このシミュレーションゲームで手筋を変えてやり直すような楽しさとは別に大谷吉継の心情変化の描写が面白く、また共感もでき、そりゃそうなりますよね〜……。切腹に慣れすぎて無機質な作業になってくるあたりとか、序盤の石田三成評とか笑える。
というわけで、終わらないと言いつつ紙幅の関係で(もないか)5回目がラストの関ケ原の結果、歴史は変わってしまうのか?大谷吉継は結局どうなってしまうのか?そもそも彼の前に現れたデウスはなんなのか?……それは読んでのお楽しみ。 -
匿名
ネタバレ 購入済み関ヶ原合戦で小早川秀秋の裏切りを受けて敗れ、切腹して果てたはずの大谷刑部吉継の前に、神デウスが現れ、
何故敗れたのかと問い、さらに時を戻して復活させるから、今度は勝てと言う。
大谷刑部は、小早川秀秋を離反させないようにしたり、毛利や前田をうごかしたり、石田三成を説得したりするが
3年前に戻ったのでは、やはり毎回徳川家康に敗れてしまう。
最終的に10年前に戻り、生前の豊臣秀吉の唐入りをやめさせようと試みるが、秀吉の怒りを買って殺されてしまう。
さて、何度も刑部を復活させるデウスの思惑は・・・?
という「関が原合戦で××だったら?」という、戦国時代好きには面白い命題に挑戦した作品だと思います^^
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Posted by ブクログ
2026.08.09
笑いと哀しみとを兼ね備えた作品。
切腹がうまくなるなんて哀しさしかないはずなのに、笑えるのはこの作品ならでは。大谷吉継という歴史を動かせそうで動かせない人物を主人公に据えての関ケ原のやり直しというのは着眼点が素晴らしい。そのやり直しを愚直に受け止め続ける大谷吉継というのもいかにもありそうなところがよい。歴史的のIFだと荒唐無稽というか、無理がありすぎる歴史にならざるをえないことが多い。しかし、本作では、そのバランスがよく、本当のこととして、ありそうで、無さそうで、と絶妙なバランスを保っているように思える。これが文庫書き下ろしというのだから、読者にはありがたい。 -
Posted by ブクログ
大谷吉継という現代の福井県は敦賀市の戦国大名。豊臣秀吉に仕え、同人の奔放さ、快活さ、そして身を震えさせるほどの残忍さを見てきた武将。
時を同じくした石田三成に比べればビッグネームとまでは言えない人物だが、関ヶ原の合戦を語る上では彼の名は外せない。なぜなら、小早川の寝返りで開戦後一瞬で戦国の世から消し去られることになり、彼の怨嗟と悔悟の残滓は、はらわたと共に関ヶ原へ垂れ流しになったであろうからだ。
そんな大谷吉継が、ひょんなことからタイムリープをし、何度も関ヶ原を繰り返すことになる本作。何度やっても足の引っ張り合いや「にん」の為す悶着が混沌としうまくいかない。
関ヶ原の合戦の繰り返しを終わらせる方法は、徳川家康に勝つこと。どんなバタフライエフェクトでもいい。徳川家康を倒すにはどうしたらいい?作中の大谷吉継と読者の想いとは裏腹に、結末は思いがけない仕掛けがからくりされていた。
最後の一行。まるで百万回のカルマをしても拭えない大罪人の名が出てきて、大谷吉継がタイムリープしてきたことは、すべてはこの人の煉獄を終わらせる証人出廷だったのだと分かりました。
白蔵盈太先生は天才です。 -
Posted by ブクログ
旅のご隠居が実は先の副将軍だったとか、旗本の次男坊が実は将軍様だったとか、時代劇でよくある「実は…」の設定。
が、これだけ「実は…」がてんこ盛りなのは見たことない。
登場人物それぞれに“裏の顔”をもっていて、それをひた隠して表向きの日常を送っている。
ある事件をきっかけに、それぞれが互いの思惑・目的に向かって交錯していくことに。
ありそうでなかった時代小説。
黒幕の正体とか、ラストの展開とか、途中でなんとなく読めてしまうのだが、水戸◯門とか◯れん坊将軍とか、ご長寿時代劇って、みんなそんな「お決まりパターン」で愛されてきたわけだし、そういうところも含めて、最初から最後まで楽しく読めた。
というか、気づいたら1日で読み終えていた…。
傑作時代エンターテイメント。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこんな時代小説、初めて読んだ。プロットが面白すぎる。登場人物一人一人主役級。シリーズにもしても良さそう。
端々に描かれる心意気の痛快感。
先の読めない展開。
ボスは何となく想定できたけど、最後にあのお方が。また、そこに張られていた伏線は時代劇のドラマ好きな自分が気づけなかったのは、悔しいけどやられた!
今回も、歴史トリビアと人情を、エンタメ(ストーリー)を楽しみながら味わえる。
・永代橋は、町衆が負担して共同で支える橋だった
・契約書の中の細かい文字での詐欺
・全く最近の御公儀はいつもそうじゃ。弱き者はいつも虐げられる
・行き場を失った鬱憤を誰か顔の見える相手にぶつけぬことには、腹の底から次々と湧いてくる、この煮えたぎる怒りが収まらない。
・人はなぜか、あるくと考えが勝手にわいてくるようにできている。
・人それぞれの体に合った剣の道も十人十色にござります。
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Posted by ブクログ
ネタバレとても面白かったです。著者は、いつも面白いタイトルの本を書いていますが、内容は史実に則ったわかりやすいものばかりです。
今回の作品は、フィクションではありましたが、本当にうまく作られているなと感心しました。
話は、江戸中期。吉宗の治世。
主役は、深川で棒手振り(天秤担いで野菜売り)をする八五郎。何の取り柄もなく、影が薄いのが特徴。
まわりに住む人たちは、皆いい人ばかり。
隣に住む侍崩れの雲井源次郎。
思いを寄せる浜乃。その父藤四郎。
親方の辰三。
たまに出現する旗本の三男坊新さん。
また、八五郎は定回り同心(犯罪の取締役)の村上典膳に情報屋として雇われている。
実は、これらの人々は皆裏の顔を持っている。
源次郎は、主君の仇を討つため、江戸市中に現れる鳴かせの一龍斎として、命は奪わないまでも、悪い噂のある者たちを追い詰める。
浜乃は、公儀御庭番として吉宗直属のくノ一として、あくどい老中を追い詰める。
村上典膳も隠密影同心として、尾黒屋とともに黒吉原なる裏の吉原を作った勘定奉行蓼井氏宗を追い詰める。
辰三親方は、八ツ手小僧という泥棒として、金持ちから金を盗み、貧乏人に届ける鼠小僧のような人。
彼らが活躍し、勘定奉行や老中小清河為兼、尾黒屋を成敗する。
でも実は影の薄い八五郎が、その影の薄さから気づかれずに、建物に侵入したり、彼らの正体を見抜いたりと活躍をする。
そして、最後に新さんに労われた八五郎は、その正体が将軍吉宗と気づく。
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匿名
購入済み副題「天下分け目の小牧・長久手」とあり、作者さんが「はじめに」と「あとがき」で
「小牧・長久手は誰が天下人になるかを決める戦い」だと仰っているけれど、
話は合戦そのものだけを描いたものではなく、
織田信長が斃れた本能寺の変からスタートして、
織田家の跡目相続の話が
要は信長の息子たちの不甲斐なさのために、
羽柴秀吉VS徳川家康に集約していくところや、
「合戦に勝ったのは家康だが、戦いに勝ったのは秀吉」
という結果になったことが
秀吉と家康の交互の独白によって、わかりやすくかつ面白く書かれていました。
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ネタバレ 購入済み
朝廷と一線を画す武士の時代を確立した源頼朝(源義朝三男)と、類稀なる戦術家義経(九男)兄弟の間に挟まれて、イマイチパッとしない六男蒲殿範頼を語り手にした珍しい源平合戦記。
実はあまり期待しないで読み始めたのだけど、敵の平家などより、冷徹な兄と、無邪気な弟の板挟みになって翻弄される凡人(?)ゆえの苦悩が描かれていて、後半になるほど引き込まれました。
部下の天野遠景が優しい(^^)あと、犬のようなと表現される義経が好みかも(^o^)
しかし、戦に兵糧は大事^^;