塩﨑香織のレビュー一覧
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痛みとは組織損傷の尺度と一般的にみられているし、医師もそのように考えている。その方が説明しやすいという点もあるがそうだとすると組織が治癒したにもかかわらず持続する痛みは心因性と処理されて厄介なものとしてしか扱われない。
しかし、痛みには身体の末端から脳まで伝わる痛みの信号というのはなく、侵害受容器、侵害信号というのもがあるだけで、それを受けた脳が痛みを作り出しているだけである。
痛みは安全装置であり、免疫系などと協力して、身体を危険から保護する役割を担っている。持続痛などは継続的な痛みに脳がオーバーヒートしている状態であり、保護装置が適正に働いていない脳を適正な状態に戻すための対応が必要であり -
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ネタバレ「タコの心身問題」に続いて、哲学を生物学(または生物が活動する様子)からボトムアップした本。翻訳者が異なるからか、ことば遣いの端々に幾ばく難解なきらいがある(読点と読点の間が長い)ように思える。が、おもに頭足類を扱った前著より、時代もいきものもさまざまな分野から取り扱われていて、なんというか、「とっちらかりながらおもしろい」。本著のテーマの主格はおそらく『経験』で、これは、あっさり「どれにあってどれにない」とは片付けられない。表現しづらいが(たぶん読まれたほうが早いでしょう!)、「感覚器官で得るもの」と「得たそのものの集積」、「自他の区別(自分が他者とは別にあるという感じ)」などがいきもの、あ
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あらゆる痛みについての研究がわかりやすく紹介されている。痛みは脳の錯覚かも?(だから持続痛も痛みがないと覚えさせれば治るなど)とか、体を守ってくれるために大切、編み物セラピー(集中力、マインドフルネス)とか!おもしろかった!
p.117 注射恐術症をもつようになった子どもは予防接種を避けるばかりでなく、血液検査や歯の治療、献血などもしないらしい。
p.176 その後の研究では、人間でもこのような痛みの伝染”が起こることがわかっている。しかも、(第7章でも述べたが)この他者の痛みへの共感と理解は、見知らぬ人が痛がっているときにはずっと弱い。モーギルのチームは、私たちは知らない人に対してか -
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個人的に、この著者の本はタコの心身問題から2冊目。心、意識について、動物や植物、海洋生物の生物学的な分析、進化の過程、分離脳患者の行動などさまざまな例を駆使して説明を試みる。専門的で理解できたか自信が持てない部分も少なくないけれど、素人なりに大筋はつかんだように思う。
細胞から構成される既知の生物は、微小なバクテリアも含め、すべて世界を感知し、それに応答する能力をもっている。自分の境界を自ら定義し、自分の生命を自ら維持していく細胞は「自己」と見なすことができる。これはよく分かる。
でも例えば、通常私たちが「動物」という括りで考えている「動物たち」や昆虫、そして植物が、どこまで「感知」しているの -
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最初は皮膚の細かい組織や役割など、聞きなれない言葉が多く戸惑ったが、著者のユーモラスな語り口や実際の患者さんとのやりとりなど、内容にだんだん引き込まれていった。皮膚ってすごい!面白い!となる。
「自分の皮膚の延長であるように道具を器用に扱える。」というのがすごい。鍵を鍵穴に刺す時、感覚を拡張している、みたいなことが書いていてすごいなぁと思った。
また「帝王切開と膣からの出産では付着する菌の種類でその後のアトピーなどの発症率に差がある。」という話も印象に残った。そんなに物理的(?)な要因で決まるんだという驚き。また、タトゥーの針が免疫反応を増強させるという話も面白かった。確かに、鍼治療みたいな -
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現代社会において、数学がどのように役立っているかを述べた本。
数学は、表面的には見えなくても、いろんなところで使われています。
たとえば、電気で制御されているものは、すべて数学が使われていると考えてよいでしょう。
つまり、我々の生活にとって、数学は、なくてはならないものなのです。
「だから、数学を理解しましょう」という話ではなく、「我々の生活は数学に支えられていることを理解しましょう」という姿勢で書かれた本なので、数学的に難しいことは書かれていませんし、タイトルにもあるように、公式のようなものは出てきませんし、数式もほとんど出てきません。
本当は、こういうことは、学校で教えてもらう方がよい -
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