あらすじ
「自分」が皮膚の内側に隠れていると思ったら大間違い。皮膚こそ、自分そのものであり、つねに私たちを語っている。とくに、アイデンティティとの関連では皮膚の色に格別の関心が置かれがちだが、皮膚はもっとずっと多彩なやり方で私たち自身を形作っている。そして、健康、美容といった生活面はもちろんのこと、「哲学や宗教、言語にまで、単なる物質的なあり方をはるかに超えた影響力を及ぼしている」と著者はいう。本書が提供するのは、著者の専門である科学・医学はもちろん、社会・心理・歴史などの領域を含む、広大な皮膚の世界を巡る旅だ。ポケットから鍵を取り出してドアを開けるという動作一つとっても、皮膚がどれほど精妙に機能しているか、もしあなたが意識したことがなかったなら、きっとこの本の随所に発見が待っている。卓越した案内人である著者とともにこの大きな旅を終えたときには、知りたかったことすべてを見て回ったように感じられるだろう。自分の皮膚の実力を知るだけで、私たちは小さな支えを得る。なぜなら、「それはつまり、私たちが何者であるかを理解すること」だからだ。米英で大好評を得た2019年《英国王立協会科学図書賞》最終候補作の、待望の邦訳。
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Posted by ブクログ
メモ
・抗酸化サプリは今のところエビデンスなし
・やっぱり日焼けは良くない。ビタミンDはサプリで取ればいい
・ニキビの原因は脂肪より糖質
・肌にいいのは結局よく寝ること、いい食生活
・皮膚の常在菌(マイクロバイオーム)は個人で違う、家族は似る。触れ合う=菌の交換
・腸の調子は皮膚に影響する、皮膚の調子はメンタルに影響する。それぞれ逆も成り立つ
・ハンセン病は感染力は極めて低いもののけ姫のあの人たちや大谷吉継…)
Posted by ブクログ
単に皮膚の説明というよりは、皮膚をめぐる病気を説明している。皮膚がんから梅毒AIDSライ病までさまざまな病気である。さらに太陽の光とその皮膚への影響まで説明している。みすず書房で、皆が読まない出版社であることがもったいない。余白も十分ある単行本であるので、講談社ブルーバックスで出版されればヒット間違いなしであろう。
Posted by ブクログ
化粧品というものに関わる仕事柄、美の対象としての皮膚に興味があり手に取ったが、これは名著だと感じた。皮膚という臓器をここまで様々な角度から切り取り、しかも学術的な知見を素人にも読みやすくドラマティックにまとめている。
Posted by ブクログ
鍼灸師を含めて皮膚を介した医療で仕事をしている人全てに読んで欲しい。
解剖学や組織学など様々な知識を串刺しにしかもドラマティックに書いています。
Posted by ブクログ
最初は皮膚の細かい組織や役割など、聞きなれない言葉が多く戸惑ったが、著者のユーモラスな語り口や実際の患者さんとのやりとりなど、内容にだんだん引き込まれていった。皮膚ってすごい!面白い!となる。
「自分の皮膚の延長であるように道具を器用に扱える。」というのがすごい。鍵を鍵穴に刺す時、感覚を拡張している、みたいなことが書いていてすごいなぁと思った。
また「帝王切開と膣からの出産では付着する菌の種類でその後のアトピーなどの発症率に差がある。」という話も印象に残った。そんなに物理的(?)な要因で決まるんだという驚き。また、タトゥーの針が免疫反応を増強させるという話も面白かった。確かに、鍼治療みたいなイメージがないこともないので、なるほどなぁ〜となった。
こんなにすごい臓器を持っているんだから、自分の体・皮膚・組織や細菌を尊敬しようという気持ちになった。