さくだゆうこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説を読むのは久しぶり。
どの主人公も悩みや葛藤を抱えているが、司書の小町さんからの付録がカギとなり前向きに進んでいこうとする。
中でも夏美さんは同じ働く母ということで嫌でも心境がわかってしまって苦しかったけど、救いのある話でよかった。うまくいきすぎていてそれはそれで羨ましかったけど。
あたたかく前向きな気持ちになりたいと思って手に取った本だから、今回はうまくいきすぎているくらいがちょうど良い。
自分には関係ないと思いこんでいる本でも、物でも、何かしらのきっかけになったりする。思いがけない出会いも楽しみたいと、そんなことも改めて気付かされた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を開いた瞬間から、すーっと言葉が心に馴染んでいく感覚がありました。文章がとても軽やかで読みやすく、夢中になってページをめくっているうちに、あっという間に物語の終わりを迎えていました。大きな事件が起きるようなドラマチックな起承転結があるわけではないのに、読み終えた後はじんわりと温かく、ほっと肩の力が抜けるような優しい余韻が残ります。日々の生活で少し心が疲れてしまったときに、そっと手に取りたくなるような大切な一冊になりました。
図書室の司書である小町さゆりさんの佇まいは、どこか『不思議駄菓子屋 銭天堂』を思わせる不思議な魅力と存在感があり、物語全体に懐かしく温かい空気を与えてくれています。この本をきっかけに、昔大切にしていた絵本をもう一度読み返してみたいという愛おしい気持ちが芽生えています。
各章ごとに主人公が変わる連作短編の形式をとっていますが、それぞれのストーリーが完全にブツ切りになっているわけではなく、登場人物たちが少しずつ交差し、伏線が優しく回収されていく構成も非常に鮮やかでした。物語の結末はどれも主人公たちが一歩前を向き、ハッピーエンドへと向かっていくため、読後感が本当に爽やかです。
特に自分自身の姿を強く重ね合わせてしまったのが、第二章のひなです。彼女の考え方や性格に深く共感しながら読み進めていたのですが、作中で語られた「世界は何で回っていると思う? 信用で回っているんじゃないか」という言葉にはハッとさせられました。今までそんな視点で考えたことがありませんでしたが、日常で買い物をすることや、誰かと約束をして会うことなど、すべての営みの根底には確かに「信用」が存在しているのだと、深く納得させられる大きな学びがありました。
一方で、第三章のストーリーは自分とは異なる価値観に触れる時間となりました。子どもが生まれたことでキャリアが思うように進まなくなってしまい、我が子を素直に可愛いと思えなくなってしまう主人公の葛藤には、もどかしさやイライラを感じる部分もありました。しかし、そうした率直な感情を通して、これまで知ることのなかった誰かの切実な悩みの内側に触れ、「こういう気持ちを抱える人もいるのだ」と視野が広がるような感覚を覚えました。
また、第三章に登場する「どんな本もそうだけど、そのものに力があるというよりかは、あなたがそういう読み方をしたというそこに価値がある」という言葉は、私の心に深く刺さりました。本の中に書かれた事実をそのまま受け取るだけでなく、自分自身の経験や感性を通して解釈し、自分だけの宝物を見つけ出していく。読書とはまさに、自分だけの宝探しのような素敵な時間なのだと教えてもらった気がします。
そして、物語の中で最も私の心を揺さぶったのが、第4章のニートの青年を描いたお話でした。具体的な言葉で表すのが難しいほど胸に迫るものがあります。いちばん泣けました。物語の終盤に登場する「俺は今生きている」というシンプルな一文を目にした瞬間、全身に鳥肌が立つほどの強い衝撃を受けました。
登場人物たちがそれぞれの場所で、自分の足で踏み出していく姿に背中を押される、本当に愛おしく心に残る名作です。
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Posted by ブクログ
「お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?」
町の小さな図書室との出会いをきっかけにして描かれる、仕事や人生に対する迷いを抱えた5人の連作短編集。
物語に共通して登場するのが、「ものすごく、大きな女の人」こと小町さゆりさん。
毎話すこしずつ違った表現で形容されるその小町さんの描写が絶妙に可愛い。
不愛想なのに包容力のあるその声や、悩みに寄り添った選書たちと最後に加わる一見関係の無さそうな一冊、そしてそっと手渡されるおまけから伝わってくる洞察力に、一話読み進めるたびにどんどん魅了されていきます。
なにか大きな事件が起きたり、クライマックスがあったりするわけではないけれど、言葉に触れているなかで心が少し癒される。本を手に取って言葉を読むことが少し楽しくなる。
そんな、青山さんの温かさに満ちた一冊。 -
Posted by ブクログ
最近なんだか疲れていて、癒されたくて手にとりました。
青山美智子さんっていったい人生何周目なんでしょうか?
うんうんと共感したり、はっと気づかされたり、日々に忙殺されて忘れていたことを思い出させてくれたり、優しく導いてくれる、そんな作品が多いように思います。
連作短編集ですが、すべてが少しずつ繋がっていて、そこに気づくのも嬉しくなります。
あらすじは本紹介にありますので、割愛するとして、司書の「小町さゆり」さんのキャラがすごいたってる笑
図書室に訪れるそれぞれの心の声が、ベイマックスみたいだとか、らんま1/2のパンダ早乙女玄馬みたいだとか。
レファレンスコーナーのL字カウンターに埋まるくらいとあるように、恰幅のよい姿が目に浮かびます。
趣味は羊毛フェルトで、白のざっくりしたカーディガンを羽織り、ひっつめお団子には白いお花のかんざしを刺していたり、どこか可愛らしい。
どのお話も良かったですが、個人的には3章のお話がいちばん心に残ったというか、刺さりました。
あ〜〜わかるなぁ、と共感の嵐。
ここのお話で出てくる『月のとびら』いつか読みたいなと思いました。
――――私たちは大きなことから小さなことまで
「どんなに努力しても、思いどおりにはできないこと」に囲まれて生きています。
本当に、ままならないことばかり、でもそれが思いもよらない方向に進んだり、人生って何が起こるか分からない。
またいつか再読したい本のひとつです。