読書猿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ"無力感の裏返しである全能感" p.88
"人間の想像力は、意味の空白を嫌い、なんとかそれを埋めようとする。" p.101
"アリストテレスは「ヒトは知りたがりの動物だ、それも理由を知りたがる動物だ」と言っている。" p.105
"原因究明の罠
前述したが、アリストテレスが指摘したように、ヒトは原因を知りたがる動物である。この傾向はとても強くて、相関関係(Aが大きくなるとBが大きくなる〈小さくなる〉、という場合のAとBの関係)がある場合はもちろん、本当は難の関係もない場合にすら、そこに因果関係を見つけてしまうことがある。
つまり原因を求めすぎるヒトの特性は、我々が日頃行う原因究明を誤らせるところにまで至っている。単純に「この問題の原因は何か?」と問うだけでは、ヒトはさまざまな認知の誤り(バイアス)の影響を逃れられないのだ。" p.123
著者は碩学なのであろう。だが、随所にちょっと苦しいんでないかい?と思われる表現がある。たとえば、エジソン・ノートの用途用例はヤケクソすぎと感じられる。
哲学的な考え方を好んでいて、そうであるものに対して好意的に分厚く紹介する一方、嫌いだけど仕方ないから紹介するみたいな書かれ方をしているものがある。
それぞれのメソッドに優劣はつけていないが、バイアスがある印象なので、採用を検討する際にはよそから光を当てる必要があると感じられるのが残念。分厚い本を読むからには一冊で済ませたい。大全と名乗るからには、著者にはフラットな記述を願いたい。
p.261で『アイデアのつくり方』に触れていて、否定的な見解を述べている。確かに、ここに紹介されたメソッドはいずれも『アイデアのつくり方』の方法よりは具体的である。しかし、蓄積がモノを言う点では本質的には同質のことを語っており、インスピレーションは一日にしてならずといったところ。
終盤で紹介されたものは特に、技法というよりは、一生懸命考えなさい、その上で祈りなさいと言ってるように思えなくもない。
発想法の原典は哲学であるようだ。記録が残されているという点で古代ギリシャまで遡れる。それ以前だと亀卜のような占いになるらしい。
「カイヨワの<対角線の科学>」を読んでいて思いを新たにしたこと。西洋哲学は人間中心すぎる。自然を人間のように考えすぎる。人間が自然の一部という考え方をしないので、どうにも歪んでみえる。現実にも欧米中心主義を問題視するムーブメントがあるようで、哲学の門外漢にも疑問を抱かせるのであれば、さもありなん。
イシドルスがプログラマーの守護聖人だというのは知らんかった。
項目を割いてはいないが「テヅカチャート」なるものが紹介されていた(p.108)。
一部のメソッド名称は著者のアレンジによるものだろう。どうでもよいがそれらに「テンサーのマジックハット」的なAD&D味を感じた。 -
Posted by ブクログ
第1部の読書感想文についての話は、夏休み最終日に切羽詰まって課題本をめくっていた中学時代の自分に読んで欲しいと思った。
あの頃はファンタジーやミステリーものを読むことは好きだったけど、課題図書というたいして自分が興味を持てない本を読まないといけないことが苦痛でしかなかった。
自ら読書に楽しみを見出せる子もいれば、読書が苦痛でしかない子もいる。別に読書を好きになる必要はないけど、読書を通して得られる充足感はちっぽけだった自分の世界を大きく広げてくれるという事実を私は知っている。
読書感想文で読書に対する苦手意識を助長させてしまうのは勿体ない!
この本の第1部に書かれている、問いを持ちながら読むなど読書を楽しみながら行う方法を学校でもっと教えて欲しいと思ってしまった。
『本を読むことは、作者が書いた言葉と、読み手がそれを理解するために持ち出す知識やイメージが協力しあってはじめて成り立つ。』
『書物が読む人を、実人生を超えたところまで誘うために、〈描写〉は必要』
上の2つは、この本で文章化されて、ああ確かにそうだなと改めて納得したフレーズ。
だから読書はますます面白い。 -
Posted by ブクログ
独学の役に立つ55の技法を紹介した本。著者のオリジナルの技法ではなく、先人の知恵をまとめたものである。
55の技法は、下記のように分かれている。
第1部 なぜ学ぶのか *[15技法]
第2部 何を学べばよいか *[18技法]
第3部 どのように学べばよいか *[22技法]
ご覧のように、「どのように学べばよいか」が22技法と最多である。そのうちの半数以上の13の技法が「読む」に含まれている。独学では、読むことが基本で、もっとも重要であることが現れているといえるだろう。
「読む」の一覧は以下のとおり。
速読【技法34】転読
速読【技法35】掬読=skimming
速読【技法36】問読
速読【技法37】限読
平読【技法38】黙読
平読【技法39】音読
平読【技法40】指読
精読【技法41】刻読=Marked Reading
精読【技法42】段落要約
精読【技法43】筆写
精読【技法44】注釈
精読【技法45】鈴木式6分割ノート
精読【技法46】レーニンノート
音読、黙読は、一般的な言い方だが、技法35の「掬読(きくどく)」という言葉は初めて見た。これは速読法のスキミングのことである。英語で併記されているものの、聞きなれない漢字で表記するより、知名度の高いカタカナ語で書かれていた方が、わかりやすかった。
本書は788ページで、5cmの厚さがある。一見とっつきにくそうに見えるが、単行本2~3冊分のボリュームなので、通読してもそれほど時間はかからない。読書術や勉強法などの本を多く読んでいる人なら、既知のことも多いから意外と速く読めるはずだ。
本書を読もうとしている人は、「なぜ学ぶのか」、「何を学べばよいか」は、すでに答えが出ているのではないだろうか。そのような人は、「どのように学べばよいか」から、自分の必要なところだけを読むのもいいだろう。
本書からの言葉を引用しよう。
不要なものを読まないことは、最も高度で効果が高い速読の方法である。(p487)