三牧聖子のレビュー一覧
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第三者的な立場から(日本のことも好意を持って慮ってもらえるという特殊性も加味して)日本が今後どのような道を目指すべきかを考える示唆を与えてくれる本。日本人はもっと危機感を持って現在の世界情勢を捉える必要がある、という認識を持たせてくれる。
本とは直接関係ないが、以前台湾を訪れた際に台湾における国交大臣にあたる方のスピーチを聞いた。相手に訴えかける話し方その話すスピードの心地よさ、かつ内容も理路整然としている、素晴らしいスピーチだった。現地の方に「素晴らしい政治家がいて良いですね」と話すと、「あの方よりもっと人気がある方がいますよ」と言われた。台湾の方々の政治への関心の高さと人材の豊富さ、日本の政治に対する不安な気持ちが押し寄せ、暗澹たる気持ちになった。
しかし、日本も手をこまねいてる暇はない。国民一人一人の手で日本という国家をどうしていくか、考えなければならない時が来ている。 -
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今世界で起こっている変化の底にあるのは『西洋の敗北』、宗教ゼロになりアメリカとヨーロッパがニヒリズムに陥っているからとトッドは言う。
下部構造である経済に政治は規定されるが、可視化されている経済の水面下には、教育があり、宗教があり、家族構造があるとはトッドの分析。
宗教ゾンビ化がナショナリズムを生み2度の世界大戦を起こし、戦後に宗教ゼロが始まりニヒリズムからの世界の混乱が起こっている。
トランプがいなくなってもこの潮流は止まらない。日本はどうすべきか、自分はどうすべきか、まだまだ答えは出ないが、トッドは考える方向性を示してくれていると直感的に思う。 -
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「強いアメリカ」、今の米国民、特にZ世代は「米国の弱さ」を感じ始めており、「強すぎるアメリカ」を批判し始めた。それは国内での人種差別や富の格差、脆弱な社会保障など、多くの税金が他国への軍事行動に投下され自国の社会保障や教育、特に防衛に役に立っていないと感じている人々が増えてきた、とある。米国は過去20年に世界80カ国への軍事行動で軍事費880兆円投下、90万人に及ぶ死者を出し世界からの批判も増加した。近年のロシアvsウクライナ、ガザvsイスラエルではロシアは国際規範を無視し、侵略の「正当化」を主張している。国際秩序維持に責任ある大国が「法の世界」を無視し、自国保守主義を起こしている世界は今後どのように変わるのか恐怖と感じる。
日本のZ世代も賄賂等に纏わり、裏金議員を保守する腐った自民党政権に終止符を打ち、国民生活を直に見据えた政策をとる政権への活動が欲しいところだ。 -
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『z世代のアメリカ』というよりは「''民主主義国家''アメリカのこれから」といったところ。タイトル詐欺ではあったが内容は興味深かった。
9.11は23年前。私もギリギリ覚えてるような気がするレベルな状態なのでz世代にとっては負担だけ重いのに何のための戦争?という感じだよね。強い中国しか知らなかったり、当然だけれども、世代によって見えている世界が違うというのがよく分かった。
欧州のウクライナ支援はレイシズムが根底にあることは否めないという話だったが、そうなのだろうか?
日本人からすれば台湾侵攻があった感じなのだろうか?
警察による暴力に関してなど、正直なところあまり実感がない。どこかで聞いた話だが真のフェミニズムは女性にしかわからないという。結局当事者にしかわからないんだろうな。己の想像力のなさを感じ、少しだけ悲しくなった。
みんなどこの国も大変だよね。
今年は大統領選挙があるので、その前に読めてよかったと思う。 -
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10・7に始まるイスラエルのガザ侵攻を止めることができない欧米中心の国際秩序を「リベラルのダブルスタンダード」という観点から厳しく検証する。米国の若年世代の政治動向をウォッチしている三牧氏の議論は、バイデンの筋金入りの親イスラエルぶりを指摘する一方で、米国内部が決して一枚岩ではないことを示すものとなっている。
一方で内藤氏は、トルコから見たEU、米国、イスラエルという視座を提示するが、エルドアンの政権をどう評価できるのかがいまひとつわからない。エルドアンといえば強権的なメディア統制を行っているとされるが、そのようなイメージも歐米メディアによるバイアスということなのか? ウクライナ戦争が始まる前、反米・反グローバリズムの文脈でプーチンを相対的に持ち上げるような議論が散見されたが、氏の見解は、そのような種類の言説と差異化できるのだろうか。
三牧氏は、イスラエルの侵攻を支持する欧米の動きを指して、「言葉が歪んでいる」とする。彼ら・彼女らの「言っていること」と「やっていること」との乖離を指した直観的な物言いと思うが、そもそも第二次世界大戦後の国際秩序じたいが、いくつもの虚構=擬制の積み重ねの上に成り立ったことを想起してもよい。イスラエルの建国=パレスチナ人の追放は、その虚構=擬制の最たるものの一つだろう。冷戦構造の崩壊後、30年にわたって延命させられてきた「世界」を成り立たせる約束事としての虚構=物語――近代、自由、人権、倫理、法の秩序――について、ひとつひとつのコンセプトを鍛え直すことから求められている。いま戦争と平和を語ることは、こうした歴史的なパースペクティブの下にあることを自覚するところから始めるべきではないのか? -
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アメリカの現状に関心を持つ人は読むべきだと思う。アメリカの若者(Z世代)がアメリカの現実に悲観的で絶望すらしているが、未来への希望を決して捨ててはいない状況を知ることができる。
現在、イスラエル・パレスチナ問題が世を騒がせており勿論ハマスによるテロ行為は許されるべきものではないが、アメリカがこの問題をどう扱ってきたかはきちんと知っておくべきである。既に新聞等で報じられているが、若い世代はパレスチナにシンパシーを持っている。「国益をまったく無視するわけではないが、正義や人権をますます重視する姿勢」を持つのがZ世代だと本書は言う。
『急進的』と言われる民主党バーニー・サンダースの主張は果たして『急進的』なのか?と本書は問うている。本書を読むと、メディアが貼ったレッテルが必ずしも正しくないことが分かる。アメリカは、先進国の中で唯一「有給の産休制度」を取り入れていない、という事実を知って非常に驚いた。
本書を読んで、私のアメリカについての理解がかなり大きく変わった。アメリカのさまざまな分野で、今何が起きているのかを知るには必読の一冊だと思う。 -
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昨今の国際情勢を見るにつけ、落ち込む事の多さにやるせ無い思い。そんな中で、本書のタイトルと参加者名から、明るい展望は示されていないであろう事は分かっていながらも、今起こっている事、今後起こるであろう事を整理出来る事を期待して読んだ。
ほぼ予想通りの展開で、"そうだよなぁ、やっぱり"、との思いが強く残った読後。
以下、各氏の発言で明確に言語化され印象に残った点。
・中国やインド、ブラジル、南アフリカ、イランなど、世界の国々は明らかに西洋の勝利よりロシアの勝利を望んでいます。地球はもう西洋の傲慢には我慢ならないのだと思います。(p.32)
・米国との同盟関係に裏付けられていた安全の感覚は、危険な幻想になるでしょう。(p.37)
・私が日本の長い歴史を学んで思うのは、その伝統は中立性にあるということです。同盟によって戦争に巻き込まれることではありません。(p.45)
・「狂気」「正気」という(略)指標に照らせば、今の世界では、権威主義国の方が「正気」を保っている(三牧氏p.61)
・(トランプのゼレンスキーへのあしらいについて)人に屈辱感を与えることを楽しむという背徳的な人格が表れていると感じる(p.66)
・「頼りにならない、極めて危うい本性を持つアメリカ」に国の生存を委ね続けて良いのか、という重要な問題意識(三牧氏p.76)
・違った意見や考え方を持つ人を敵とか裏切り者とみなす。人々を統合するより分断するナショナリズム(大野氏p.134)
・もし米国が台湾を巡って、日本を中国と対立させるように仕向けたとしても、最後は日本を放り出して、倒れるままにするだろう(p.174)
・目指すべき中間の道とは、一極集中でも、個人主義でもない「多元主義」です(タン氏p.199)
・(AIの時代、人間に残されたこと、若い学生たちに教えるべきは)「好奇心」「協力」そして「共助の精神」です(タン氏p.213)
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・エマニュエル・トッド、オードリー・タン、モニカ・トフトら複数の論者が、2030年に向けた国際秩序と日本の進路を多角的に論じる構成となっている。
・出発点は「西洋の敗北」が現実となった今、世界はどこへ向かうのかという問いである。
・トッドはアメリカをニヒリズムに陥ったプロテスタンティズムの危機として位置づけ、対米同盟への過度な依存に警鐘を鳴らす。
・その上でトッドは、平和主義的中立ではなく武装した上での非同盟という選択肢を示し、日本の核武装も一つの案として提起する。
・ウクライナ戦争やガザ侵攻、AI技術の台頭を背景に、戦争への欲望とテクノロジーの暴走を人類共通の課題として扱う。
・オードリー・タンはデジタル民主主義の経験を通じ、テクノロジーと社会の意思決定の関係を論じる。
・他の論者は地域紛争や安全保障、移民・教育・コミュニティ形成といった先進国共通の課題にも言及し、単一の結論よりも多面的な視点の提示に重きを置いている。 -
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この本はイラン戦争に関連した12のテーマについて各分野の第一人者が書いている論文集である。このような本は概して内容が重複してたりするものであるが、ほの本は秀逸でそれぞれのテーマがそれぞれに重要で、しかも今回のイラン戦争を理解する上で欠かせないテーマになっている。面白かったのは「トランプの論理」では、トランプらの福音派がどれだけ今のアメリカ政府に大きな影響を与えているのかと、彼らの狂信的な考え方がよくわかった。「覇権国不在の世界経済のゆくえ」というのも面白かった。アメリカが派遣国でなくなるということは、ドルがいずれ世界の基軸通貨ではなくなるということであるということ。「軍拡はAIから始まる」というのも恐ろしいことだ。今回のイラン戦争では1億2000万ものデータをAIが解析して、3分間の隙間を発見したのだ。その3分間のチャンスに1000箇所を超えるところに攻撃を加えたのだ。AIが選定したその後標的が間違っていないかチェックなんて当然無理だろう。このようなAIの攻撃に加担した企業としてイラン革命防衛隊は米国の18のテック企業を公表しているが、当然GAFAは入っているのだ。AIの軍事利用に関わっているOpen AI という会社の前には、大勢の反対者が“チャットGPTを解約しよう”という運動を行なっており400万人もの人が実際に解約しているらしいです。
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ウクライナ戦争から予想される、西洋(欧米)の敗北という書籍の流れを踏襲し、今後の世界の見通しが書かれている。
興味深いのは日本の出版社から刊行されているので、論点が「日本はどうするのか?(どうなるのか?)」が描かれている点。
当然ながら朝日新聞が刊行しているので左派的な見方が多く、当然ながらアメリカファーストなトランプが大統領の非難は多い。
もちろん共助という考え自体は悪いとは思わない。
経済的合理性、効率が進展し、自由主義が蔓延している現代社会では、格差が開き、断絶が起きていると感じることが多い。
こういった権力の集中や民族の分断が加速している世界で、どのような切り口があり、そういった対応が求められるかが語られている気がする。
しかしながら、先の選挙にしてもそうだが、世界の潮流に影響され日本でも右的な思想がぶり返してきていると感じる。
これは代表的な左派の衰退と腐敗も原因としてあるように思えるが、世界で助け合うことが理想であっても、毎日もやしばかり食べている家庭が、よその家庭に焼肉をごちそうするということはなかなかできないなぁとも感じる。
また左派的な考えも多様化してきていて、派閥内でも分断が起きているような気もする。
興味深かったのはオードリー氏の「プルラリティー」という考え方
デジタル技術を用いて新たな合意形成の仕組みを作るという流れには希望を感じる。
アンコモン・グラウンド(まれな一致点)を見つけることが、今後の世界には必要なのかと思う。 -
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エマニュエル・トッドとオードリー・タンまでの章はメッセージが明確で面白い。
それ以降については、とにかく自分の発言に責任を持ちたくないのか、どっちつかずなよく見る中庸な意見しかなく、つまらない(そういうのは社説や記事で読んでるからわざわざ本で読む必要がないと思っている)。
勿論、学者やインテリの態度としてそんな簡単にスタンスを踏めないのはわかるし、
この世の全てのことはグレーなわけでそんな簡単に白黒つけられないのも重々承知だが、
周知の事実として、グレーなことしかないこの世の中を語る時に「この問題は、(この世の常ですが、)グレーなのです!!」と言われてもねぇ…と思ってしまう(笑)
そんなこと一定の教育を受けた者なら誰でも言えることなわけで、そんな中身のない当然のことをシンポジウムに登壇して言う必要あるのかな?
という訳でトッドとタン以外の後半の章に関しては、大学院生レベルの中身のない、悪い意味で批判のしようがない論の羅列だった。
シンポジウムに登壇するなら、批判を恐れずにスタンスを踏んでほしい…
その覚悟がないなら辞退してほしい。意味がない
というわけで後半は紙面の無駄。
トッドとタンの章は読む価値あり(そこだけなら★5つ)。
オードリータンの本、『プルラリティ』も買ったから読んでみる。