坂本貴志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『ほんとうの定年後』において、定年後の実態と働き方を提案した著者による、定年後の仕事のガイドブック。
著者は、本書の冒頭で、本書は、「定年後」に特化した仕事図鑑であり、データに基づき職種を整理し、タイトルに図鑑を銘打ったものとしては、はじめての本と紹介しています。
会社員が「定年後」に仕事を探すときの網羅的な情報がこれまで存在せず、ガイドが必要ではという思いから執筆したとのことです。
著者は、定年後の生活において、月の収支が10万円以内の赤字になることを踏まえ、無理なく労働収入を得る必要性を説きました。本書は、様々なデータを紹介しながら、具体的な職業をまとめています。職業ごとに、平均年収、平均労働時間、高齢者の就業者数と比率のランキング、男女比などを詳細に示すととともに、実際働いているかたの週の予定表やインタビューを交え、具体的な内容となっています。間もなく定年を迎えようとするかたにとっては有益な情報であると感じます。
今後、人口減少・労働者不足が深刻化していく中で、高齢者にはこういう仕事しかできない、という固定観念で見るのではなく、この仕事は誰が担うべきか、ということを考えていくことで、多くの人にとってよい職場環境を作っていけるのはないかと感じます。
▼「定年後の仕事探し」の前提
①定年後の仕事は、必ずしも現役時代の延長線上にはない
②家計の状況と照らし合わせて、その時々で働き方を決める
▼定年後に余った時間を使って無理に溶け込もうとか趣味を持とうとするよりも、無理のない範囲で地域で仕事をしてみるということが、実は現代日本人の様々な問題を解決する方法になるのかもしれない
▼人生100年時代と言われるように生活時間が以前よりも延びていく中、また公的年金だけに頼るというわけにもいかない時代背景の中で、高齢期に経済的な余裕を作り出し、かつ自身が納得をして楽しく仕事をしていくためにはどのような選択肢があるのか。
▼仕事を通じて日々の生活における経済的な余裕が生まれ、かつそれが現代人が失った高齢期の居場所を取り戻すことにもつながれば、高齢期の仕事はきっと多くの人にとってかけがえのないものになるとも感じています。
<目次>
第1部 定年後、仕事探し「以前」の基礎知識
第1章 「定年後のお金」について知る——なぜ月10万円が必要なのか?
第2章 「定年後のキャリア」について知る——仕事探しはどう変わるのか?
第2部 月10万円稼ぐ「定年後の仕事」厳選100
第3章 経験を活かせる仕事——事務・営業
第4章 マイペースでできる仕事——警備員・施設管理人
第5章 体を動かす仕事——運転手・運搬・清掃員・包装
第6章 女性が活躍する仕事——販売員・調理・接客
第7章 人とつながる仕事——介護・保健医療サービス・生活衛生サービス・生活支援
第8章 自然と触れ合う仕事——農業・林業・漁業
第9章 モノづくりの仕事——生産工程
第10章 長く続けられる仕事——その他専門職・サービス・運搬・清掃等 -
Posted by ブクログ
定年を迎え、今までいた会社でそのまま働くか、新しい人生を切り開くか、私も考えていました。
会社に残れば、知識経験を生かし、ある程度の所得を頂き働くこともできるのですが、定年を機に都市を離れて移住し、移住先で多くのことに挑戦してみたいとの思いもありました。
ただ、新たな土地・社会で生きる不安がありました。
この本を読み、今までの経験や地位にこだわらず、やり甲斐や楽しさを感じながら小さく生きるいろいろな仕事があると勇気を頂きました。
今までの会社やその友人との関係が無くなるのは不安ですが、新たな挑戦に踏み出す方が、きっと楽しく暮らせると、この本を読み何だか気が楽になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」』(坂本貴志著)読書メモ
【概要】
本書は、日本経済の現状とこれからを「人口減少」という最大の構造変化を軸に、豊富な統計データと現場取材をもとに読み解く一冊。著者は官庁エコノミストとしての経験を活かし、労働市場、産業構造、技術革新、地域経済、社会保障など多様なサブシステムを横断的に分析している。特に地方中小企業の現場事例を重視し、マクロデータと現場のリアリティを橋渡しする構成が特徴。
【主な論点と要点】
・日本は人口減少と高齢化が同時進行し、労働力不足が深刻化。
・労働参加率は女性・高齢者の就労拡大で過去最高水準。
・一方で年間労働時間は減少傾向、賃金は上昇しつつも物価上昇に追いついていない。
・医療・介護産業が今後さらに拡大し、社会保障の持続可能性が大きな課題となる。
・人手不足を補うため、省人化・自動化投資が産業横断的に進むが、中小企業では資金調達や技術習得の負担が大きい。
・地方経済では賃金格差が縮小傾向にある一方、後継者不足や人口流出などの課題も顕著。
・社会全体として「許容可能な均衡」を模索するジレンマが随所に見られる。例えば、労働力確保と労働者の負担増、技術革新による効率化と雇用の質的変化、社会保障拡大と財政制約など。
【ファクトチェック・現実との整合性】
・労働参加率や労働時間、介護人材不足などの主要データは公的統計と整合。
・建設業や物流の自動化目標も国の政策目標と一致。
・ただし、賃金上昇と物価上昇のバランス、地方中小企業の自動化投資の実効性など、現実には課題が残る。
・社会保障財源や移民政策の抜本改革など、政治的には踏み込みきれていない部分も多い。
【本書の構成意図・特徴】
・統計データだけでなく、地方中小企業の現場事例を冒頭や第二部で詳述。
・これはデータと現場のギャップを埋め、読者が変化のリアリティを実感できるようにするため。
・人口動態を主軸に据え、他の要因(イノベーション、企業ガバナンス等)はあえて脇に置くことで、構造変化の本質を明快に伝えている。
【印象と考察】
・本書はデータ重視で、感情的な議論やイデオロギー色は薄い。
・人口減少を「不可避の前提」として、現実的な対応策や均衡点を探る姿勢が一貫している。
・ただし、人口減少以外の要因や、より大胆な政策転換の可能性についてはやや踏み込みが浅い印象も。
・労働市場や社会保障の現実を直視しつつ、今後の日本社会の選択肢を冷静に考えたい人におすすめ。
【今後の課題・問い】
・賃金と物価のバランスをどう取るか
・社会保障の財源をどう確保し、世代間の公平性をどう実現するか
・中小企業や地方経済の持続可能性をいかに高めるか
・技術革新による雇用や働き方の変化にどう対応するか
データと現場の両面から「これからの日本」を考える上で、現実的な視点と課題意識を与えてくれる一冊。