あらすじ
年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70代男性の就業率は45%、80代就業者の約9割が自宅近くで働く……知られざる定年後の「仕事の実態」とは?
漠然とした不安を乗り越え、豊かで自由に生きるにはどうすればいいのか。豊富なデータと事例から見えてきたのは、「小さな仕事」に従事する人が増え、多くの人が仕事に満足しているという「幸せな定年後の生活」だった。日本社会を救うのは、「小さな仕事」だ!
【目次】
第1部 定年後の仕事「15の事実」
事実1 年収は300万円以下が大半
事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
事実3 稼ぐべき額は月60万円から月10万円に
事実4 減少する退職金、増加する早期退職
事実5 純貯蓄の中央値は1500万円
事実6 70歳男性就業率は45.7%、働くことは「当たり前」
事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数
事実8 多数派を占める非正規とフリーランス
事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少
事実10 デスクワークから現場仕事へ
事実11 60代から能力の低下を認識する
事実12 仕事の負荷が下がり、ストレスから解放される
事実13 50代で就労観は一変する
事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活
事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である
第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍
事例2 週末勤務で会社を支える
事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立
事例4 近所の学校で補助教員として働く
事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
事例6 幕僚幹部から看護師寮の管理人に
事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する
第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済
1.定年後も働き続ける人に必要なこと
2.高齢社員の人事管理をどう設計するか
3.労働供給制約時代における経済社会のあり方
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Posted by ブクログ
50代半ばに入った自分にとっても、若い方々にとっても現時点で必読の価値がある。若い著者が現実を冷静に分析している点も良い。
様々な指摘に大いに賛同するが、特に強く共感できたのは以下の点。
・消費者優位の市場から生産者に主権を委譲
安すぎて質が高すぎるサービスに文句を言う日本人(自省も含め)は大いに反省し、無理のない仕事と豊かな消費生活を両立できる社会の実現に国全体で努めたいと感じた。
Posted by ブクログ
定年後の仕事の実態をきちんと調査で示しつつ、実際に定年後に再雇用などで仕事を続けている人々の実例を示す。最後に、少子高齢化と労働力不足が進む日本において、高齢者が小さな仕事を楽しみながら続け、経済的にも安定した生活を送れるようにすることこそが、この先の日本の現実的な進むべき道であると指摘し、そのために高齢者が安心して小さな仕事に従事できるような制度、環境面での整備が必要だと提言する。
筋の通った社会学的な論文だと思うし、個人的にも腹落ちする内容でした。
Posted by ブクログ
現代の定年後がデータを元にとてもわかりやすくまとめられている。
「定年なんて先のことで、その時に考えればいい」とか「なるようになるだろう」と思っていたけど、逆で、定年を考えることで今の仕事や働き方、生き方を考え直せると思った。
20代や30代でさえ、日々の変化に一喜一憂し、今をなんとか生きようとする。それは定年間近になっても同じで、再雇用されようか、パートで働こうか、でもプライドが、と考えることは多い。でも、この中にある事例やデータでは、勤めていた時よりも幸福であることが記されている。そんな働き方が若い頃からできると思うし、みなが幸せに働くことができれば国もハッピーになる。
『ほんとうの定年後』では、定年者のマインドチェンジと、「小さな仕事」に適切な対価(環境や賃金)を渡す社会構造が必要だと説かれていた。ぼくが思うに、一人一人のマインドセットをすることだと思う。定年後を考えるのみならず、安さを求めた先や、自己理解や社会理解のないままに選択をすることを考えなければならない。みなが考える前提の民主主義を発揮するのか、もしくはまた別のシステムを構築するのか…。とても考えさせられる一冊でした。
Posted by ブクログ
「仕事とは自身の生活を豊かにするために、またその結果として誰かの役に立つためにあるのであって、キャリアの良し悪しを他者と比較して競うためにあるものではない」
定年後という最も知りたいところであり、企業が関与しない部分を、知的なエコノミストが定量定性の両面で明らかにした著書。多くの会社員が直面する壁にどう向かうかを教えてくれる必読の書
Posted by ブクログ
老眼がはじめり何となく定年という文字がちらついてきた今日この頃,ストレートなタイトルに惹かれ手に取った本.圧倒的なデータを通じて定年後の生活費のあり方について考察している.定年退職後,収入は激減して収入不足になるとか,それに対応するためには2,000万円必要とか叫ばれているが,年金を土台にしてプラスα程度の収入があれば問題ないとわかって安心した.大切なのは表題にもあるように,いかに自分に合った小さな仕事を見つけて日々充実させているかだ.今のうちから細々と小金を稼ぎながら充実した生活が送れるように準備していきたい.
Posted by ブクログ
現代日本における定年後の仕事の実態を、データとケースインタビューを元に描き出し、その実像の解釈と国として向かうべき方向を論じた本。
世代間論争が加熱している昨今、定年後の生活ってほとんどイメージできないし知らないなぁと思い、手に取った。
働き盛りの若者も、定年輪際のベテランも、全員が一読すると世界が良くなる本だなぁと感想を持った。
第1章で述べられるデータはどれもおもしろく、中でも「70歳男性の就業率45.7%」は自分のイメージと大きく食い違い、認識を改めることとなった。仮想敵として描かれる「年金頼み生活の老人」というのは既にマイノリティなのである。
一方、年金とパートタイムワークの両輪の暮らしは稼得責任の負荷が高くなく、その時の自分に適した仕事を選ぶことが出来るというのも認識を塗り替えられた。
第2章のケースインタビューでは、バリバリのキャリアを歩みつつも定年後は専門から離れ、地域にゆるく貢献するパートタイムワークに充実感を感じている人たちの話が印象的だった。
いま現役世代の自分は、背負った稼得責任からそのレールを降りることが想像できないけども、その呪いから放たれて地域に根ざす生活というのはとても良いなぁと感じた。早くそれになりたい。
常日頃「定年後の人たちがゆるく働いて社会貢献をしてくれたら、よりよい社会になりそうだ」と考えていたけども、その動きはとっくに始まっていたらしい。定年後がイメージできていない現役世代の人は是非読んでみて、いいスタートを切るための算段を考えてみてはいかがだろうか。
Posted by ブクログ
私もそろそろ定年が近づいてくる年齢になっているので、その備えの一助にと思って手にした書籍です。
定年後も働き続けて幸せに暮らすには、そこそこの収入とあまり責任の重くない仕事と人間関係に苦労しない職場が理想のようですね。
Posted by ブクログ
急速な人口減少が進むなか、かつての経済大国としての日本を取り戻すことはこの先おそらく訪れない。
そうなれば定年後の豊かな生活とは、小さな仕事でも無理のない範囲で働き、社会と共存しながら過ごせる世の中になればいい。
人生は暇つぶしという考え方もあるが、ひたすらあくせく働くか、ぼーっと過ごすか、スローライフで過ごすか。本書からさまざまなことを考えさせてもらった。
Posted by ブクログ
4年前のデータで、少しインフレ分を加味する必要はあるが、さまざまなコスト、税金、退職金、バイト代、社会保障、就業率など、残酷な数字も多いが、とても具体的な数字で平易に示してくれたので、イメージが湧いた。
年金を考慮すれば、月10万円稼げれば、それなりの生活ができる!ということで、一安心。
健康なうちは働いて、年金受給を後ろ倒しにし、、、と上手くやれるように「健康第一」で乗り切って行こうと思った。
Posted by ブクログ
定年後の仕事(15の真実)統計から見て
やっぱりと納得しました。
(経済とは小さな仕事の積み重ね)
心配していた医療費負担はそれほど心配しなくても良い事、シニア世代はストレスが少ない事、定年後の再就職で(小さな仕事に確かな義務を感じる事)等々、憂いをもって先々を心配しすぎる事はないと思った。ある意味、指南書的内容でした。
Posted by ブクログ
小さな仕事に従事する人が増え、多くの人が仕事に満足しているという「幸せな定年後の生活」だった。日本社会を救うのは、「小さな仕事」‼️【目次】
第1部 定年後の仕事「15の事実」
事実1 年収は300万円以下が大半
事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
事実3 稼ぐべき額は月60万円から月10万円に
事実4 減少する退職金、増加する早期退職
事実5 純貯蓄の中央値は1500万円
事実6 70歳男性就業率は45.7%、働くことは「当たり前」
事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数
事実8 多数派を占める非正規とフリーランス
事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少
事実10 デスクワークから現場仕事へ
事実11 60代から能力の低下を認識する
事実12 仕事の負荷が下がり、ストレスから解放される
事実13 50代で就労観は一変する
事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活
事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である
第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍
事例2 週末勤務で会社を支える
事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立
事例4 近所の学校で補助教員として働く
事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
事例6 幕僚幹部から看護師寮の管理人に
事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する
第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済
1.定年後も働き続ける人に必要なこと
2.高齢社員の人事管理をどう設計するか
3.労働供給制約時代における経済社会のあり方
Posted by ブクログ
55で役職外され、60で退職再雇用、65で雇用は打ち止め、個人事業主として業務委託を受ける。70以降は何もない。節目毎に処遇は下がり、期待される役割も低いものになる。途中で会社との関係を絶ち、生き甲斐求めて自らの道を行く人も。衰えた能力に負荷を軽くするのは仕方ない。収入は低下するが生活費も下がる。6割は仕事に満足しているという。…定年後の現時点での定点観測。進む少子高齢化。5年後、10年後はわからない。支える世代が減っていく。高齢者が小さな幸せみつけて満たされていた時代が羨ましくなるかも。備えよ、考えよ。
Posted by ブクログ
老後2000万円問題、あるいは年金不払い・逓減の恐れ等、老後の問題に関する話題は巷間かまびすしい限りであります。
しかし、実際はどうなの?というと、ファクターが多すぎてようわからん、となってしまいがちです。もちろん、絡まった糸を解けば分かるのですが、日常で忙しい多くの方には難しい。
そのよく見えない老後の解像度を、本書はかなり上げてくれると思います。
・・・
私が一番良かったなと思うのはやはり、第一部定年後の仕事「15の事実」。
とりわけ定年後の収入と支出のデータを年齢別にグラフで示している点。
ざくざくザックリ言えば、65歳以降の2人以上世帯の平均収入は25万円程度、平均支出は32万円程度、とのこと。
支出の細目も出ていますが、一番大きなものはその他。つまり家賃でも医療費でも食費でもないと。加えて個々人で費用の性向が異なることを考えるならば、より減らすことは当然ながら可能。加えて年を経るごとにこの平均支出32万は逓減し、80代で25万強まで減るそう。
一方収入ですが、主に年金になることが予想できますね。公的年金の平均給付は19万円程度だとのことです。ですからグロスの平均25万と公的年金等の19万の差し引きがバイト等の稼ぎとなります。
・・・
うちのようにキャリアの途中で海外に移住してしまうと、基礎年金は任意加入可能ですが、厚生年金は当然加入できません。ですので給付も少ないので上記の限りではないです。
とは言え、上記から分かるのは、「平均なみ」に生活するのならば月々10万弱のバイト(しかも二人以上世帯、両輪駆動なら一人5万)で概ね貯金を減らさず生きていけることになります。
もちろんこれに加えて資産がある方は緩やかに使ってゆくことで労働から解放されることになります。
これなら、なんとかいけそうな気がする、って思えてきませんか?
・・・
なお本書の後段では、生き甲斐としての労働に焦点を当て、40代・50代から「いつまでも出世レースに居れない」ことの現実を見る旨を促すことが再三繰り返されます。
窓際を自称する私も、反面はルサンチマンの塊であり、このあたりはどうしたものかと苦慮するものであります。頑張りたい!偉くなりたい!褒められたい!これが本音。
しかし筆者は、出世コースからおりて、この一種の諦め・諦念が得られたのちは、より「小さい」仕事・単純労働・エッセンシャルワークに生きがいを見出せる可能性が高いということでした。
性欲も食欲も落ちたけど、そのあたりの自己顕示欲はまだ落ち切っていないなあ、と感じる今日この頃。
・・・
加えてですが、お金の心配は実はそこまで起きないかもしれない、と個人的には本書を読んで安心しました。もちろん、まだまだ全く気が抜けませんが。
むしろ問題は、じゃあ今を・今以降をどう生きるか、ということ。どのように定年後に備えるか。
そこでやはり参考になるのは、この前読んだ『DIE WITH ZERO』です。お金を使い切るということにも増して、必要以上に稼ぐよりも、貴重な今を楽しむためにお金を使う・経験をするべし、と説いていました。
坂本氏による本書でも、飽くまで健康を維持できた人々の定年後の勤労を描いている、という話もありました。『DIE WITH ZERO』でも自分・家族・親友などがいつ健康を害するか分からないと。
だからこその今であり、健康に配慮することもスタートさせるのだ、という事になります。そして今、やりたいことをやる、という事になります。
・・・
となると私なぞはマジで仕事をやる気が失せてしまうのです。
昇進や大きな責任を持つことは状況的にほぼない。現在の業務に関する難関資格のチャレンジも考えましたが、日本全体で65歳以上の95%以上は会社に残ったりしないことを考えると、そして定年後もちょびちょび稼げばよいことを考えると、前向きな取り組み姿勢も出来かねます。
やっと50になろうかという事ですが、現在やる気ダダ下がりで本人困っています。本が読めまくっているのもそれが一端であります。困った。
・・・
ということで、定年後の労働についての本でした。
個人的にはお金についての心配は結構取れました。
残りは、これからの人生をどう生きるか。それを考えるのがこの一年ですが、大きなこと(会社を買う、難関資格に挑む等)をするのはタイパ的に無駄な気もしており、悩むところです。
近々、ジャーナリング、ブレインダンピングをして気持ちを改めて整理したいと思います。
Posted by ブクログ
定年を迎えた高齢層がけっこう仕事をするようになっている現代。彼らが「小さな仕事」をけっこう満足感をもってやっている実態が紹介されている。正直なところ、定年後も働いている人って、経済的に働かざるを得なかったり、あるいは現役時代の七光りのおかげで名誉的な立場があったりというのが主要なイメージで、もちろん働きたくて働いている人もいることは想像つくけど、それほどの数でもないような気がしていた。ところが、実際には多くの人が60歳や65歳といった定年を迎えた後も働いていて、しかも現役時代とは異なる仕事をしていることも多い。そして、現役時代のプレッシャーから逃れ、けっこう気ままに楽しく働いている像が見えてきた。肝心なのは、現役並みを目指して奮闘するよりも、どこかで気持ちやワーク・ライフ・バランスを切り替えて、収入は減るけどプレッシャーのない仕事にシフトチェンジすることなのだと思う。お金のことはそれほど心配しなくても「小さな仕事」と公的年金で何とかなりそうな気がする。時代の変わり目でそこからこぼれそうな人たちのセーフティーネットはしっかり張っておくべきだけど。
そして、そういう「小さな仕事」があちこちでなされるからこそ、これからの人口減少時代が何とか回っていく。そのためには「小さな仕事」でもそこそこ暮らしていけるような社会の仕組みや人々の意識を整えることが必要だというところまで論は進む。経営が厳しい企業が安価な労働力を求め、外国人雇用に走ることなどにも巡り巡って「小さな仕事」の担い手が不利を被るからと警鐘を鳴らす。
これは定年世代に限ったことではなく、これから多様で柔軟な働き方を取り入れることで、仕事以外の生活も充実させていく全世代にとって必要なことだと思った。そういう点が定年後世代に顕著に表れるということなのかもしれないけど、書題からするとその世代だけに限ったことになってしまいそうでもったいない。
p.143で紹介されていた「年齢別の付加価値創出額の変化」の表。2007年と2019年を比較しているんだけど、ちょうど自分の世代に限って、平均給与が下がってる。世代ごとの経済規模では上位3位に入るのに。日本の雇用環境ではいつでもこの世代がこういうことになるのかもしれないけど、いわゆる氷河期世代、ロスジェネゆえかもしれないと思うと損した気分。実際のところどうなんだろう。
また、p.248の「サービス品質の日米比較」の図。日米比較すると日本の人もアメリカの人も日本のサービスの質のほうが高いと評価している。にもかかわらず日本はサービスへの代金が安い。日本の産業は生産性が低いといわれるけど、それは仕事のしかただけでなく、そこから生み出される代価の多寡にもよるのだから、代価が低ければ当然のように生産性が低いことにされてしまう。いまさらながらだけど、生産性ってやつもあやしいもんだ。
Posted by ブクログ
50代半ばに差し掛かる世代としては気になるテーマ。メディアが煽る2000万円必要とか漠然とした不安に踊らされないために読んでみました。
各種データを紐解き、この世代のライフスタイルや必要コストを分析しており、「定年後の生活」の解像度が少し上がった気がします。
そのような中、後は自分を取り巻く環境(家族、会社、拠点など)を考慮しつつ、自分がどういう価値観でどういう風に社会と関わり、人生の最終コーナーを楽しんでいきたいのか、ボチボチ考える為の良書だと思います。
Posted by ブクログ
★50歳代になったら、読んでおいて損はない本!
【この本を読む目的・きっかけ】
●ネットか新聞で、この本が紹介されているのを見かけて、今後の参考までに読んでみたいと思っていた。
●本屋さんでこの本を実際に手に取ってみると、目次だけみてもためになりそうだった。
【自分の意見・気づき】
●定年後の仕事は、地域に根差した小さな仕事で働くことで、自身の生活と社会貢献を両立させる。
(接客・販売)
●「年金繰り下げ」が、自身の経済的リスクヘッジには有効。
●現場の一プレイヤーとして、会社に利益を上げ続けられるよう、知識のアップデートは必要。
●この本によれば、現在の会社での定年再雇用を選んだのは、間違いではない。
Posted by ブクログ
世の中にあふれる定年後のキャリア論は、入念に準備することで「輝かしい仕事」に就いた人たちをクローズアップしがち。そうした役立たずで不安をあおるだけの論調に嫌気がさしていた。本書は、大多数であろう普通の人にとって、地に足のついた良書だと思いました。身体が動くのであれば無理のない程度で「小さな仕事」を本人が楽しみながらする事が、個人にとっても社会にとってもいいとありました。
Posted by ブクログ
老後のことも気になる50歳を超えたこともあり、書店で、装丁とPOPから購入。老後2000万円とか話題にもなりましたが、一線を退いた方々の経験談はわかりやすく、これから10年後以降に定年を迎える自分にとって、老後へのポジティブなイメージを持つことできた。著者のデータに基づく考察も大変勉強になりました。
Posted by ブクログ
具体的な数字やインタビューで60歳以降から70歳後半までの働き方や賃金、年金や生活の様子などが明らかにされている。
200万程度の年収でうるおいある生活とストレスなく楽しく仕事ができる。
精神力も体力も無理なく背伸びせず、働く。
利害関係のない人間関係を楽しむ。
健康的な生活リズムを仕事によって刻める。
外出の機会につながる。
定年後も仕事をする理由、または選ぶ根拠。
Posted by ブクログ
【ゆるい仕事】
わたし自身、死ぬまで働くことに異論はなく、そうしたいと思っています。
老後はのんびりと悠々自適に暮らしたいと思っている人もいるかもしれませんが、そういう人は現役で働いている時期に、ほんとうの意味で好きな仕事をしていなかったと言えます。ストレスのかかる仕事をずっとしてきて「死ぬまでそれを続けるなんて無理だ、早く引退してストレスから解放されたい」と考えるのでしょう。
これは前提として「ストレスのかかる仕事」をしていると言えます。
自分の好きなことで寝る間も惜しんで没頭するような仕事であれば、早く引退して老後はのんびりと悠々自適に暮らしたいとは考えないでしょう。
つまり、やっていることが好きではなく経済的な問題(単純にお金が必要)で仕事をしている場合は、死ぬまで働きたいとは思えなくなり、早く引退したいとなります。
家のローンがほとんど終わり、子供も社会人となり、役職定年を迎えた時期であれば、それほどお金も必要ありません。フルタイムで働き、残業もして稼ぐ必要はないのです。
給料は少なくなるかもしれませんが、好きなことをするのも一つですし、仕事を変えてもう少しのんびりとした業務を行ってもいいのです。
もし、どうしても今の仕事を続けなければならない状況であれば、週休4日で給料は5分の3の60%にして、休みを増やしてその休みで自由な活動をするのもいい方法だと思います。
Posted by ブクログ
多くの方の評価通り、良書でした!本書は「定年後」のことだけと思わず、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。働き方や主に中高年が定年へむけてどのようにキャリアへの考え方を転換していったらいいかなど、「働くこと」について、たくさん考察できると思う。
私の定年退職はまだ先だけれど、早期退職も視野に入ってきて、経済的に困っていない人たちが早期退職を狙っているという噂を耳にしたり、今の働き方に疑問を持ったりしているうちに、本書が目に留まり、読み始めた次第です。
本書は大きく分けて3つにわけて構成されている。
第一部ではデータに基づいて、定年後の仕事の実態として、15の事実があげられている。
ここでは、たくさんのデータに基づいた現状が語られ、そこから、筆者の考えが押しつけがましくなく展開されている。ここは表やグラフなどがたくさん示されているからこそ、かなり説得力があった。老後に漠然とした不安を抱えている人にとって、その「老後の不安」は結局「お金の不安」と言い換えられるのではないかと考えると、案外、老後の支出は少ないものだという事実などには、安堵するのではないだろうか。その他にも、「持ち家か賃貸か」、「年金は繰り下げ受給すべきかどうか」など、正解がなく、その人その人にあった選択肢を選んでいく必要がある事柄について、自分はどうすべきかどう考えるべきかのきっかけ・ヒントになるとても素晴らしい手引きだと思った。
定年後の働き方にヒントを与える本書の趣旨からは少しずれてしまうが、どうしても今の自分の働き方や、仕事の必要性などに疑問を抱いている私としては、「事実10」がとても響いた。
著者曰く「日本社会は人の生活に不可欠な仕事が正しく評価されていないという現状に、もっと正面から向き合うべきではないか。そして、デスクワーカーの待遇改善を行うよりも、むしろ現場仕事の待遇改善によってこのミスマッチを改善すべきではないのか。」。
なんとなくくすぶっていた思いを端的に言語化してくださっていた。
また、ホワイトカラーでキャリアを追い求めることが社会的に望ましいとなってしまったが、デスクワークの仕事に対する需要はそこまで大きくない。なぜなら、IT化でデスクワークの仕事は効率化され、デスクワーカーがすべき仕事は減っているからだ。それなのに、従業員の雇用を維持するために無理をして仕事を作り出している側面もあるのではないか、とまで考察されている。「無理をして仕事を作り出している」わけではないとしても、私も常日頃から「事務のための事務」をしているようだと感じているし、あまりにも無駄な作業に、なぜITを利用しないのか、と憤慨する場面が多々ある。
このようなホワイトカラーの事務職・管理職に対して、エッセンシャルワーカーとも呼ばれる「現場仕事」の必要性、その待遇改善の必要性を唱えておられ、大いに賛同した。
そうした著者の主張は、「定年後」とどうつながっていくかというと、つまるところ、生活に必要で、生活を豊かにしてくれるこのような現場仕事をどこかで自分より下に見て、生涯そのような職に就くことはないと決めつけていないか。そのようなホワイトカラーのキャリア志向は生涯にわたって必要だろうか。今後いくら情報技術が発達してもなくならない現場仕事を自分と無縁とは思わず、生涯のライフサイクルのどこかで無理なくそのような職に就き、社会に貢献することを考えてもいいのではないか。
だから「事実10」は「デスクワークから現場仕事へ」となっているのだ。
もしも、デスクワーカーの仕事が本当に必要なものだけになって人員整理が行われたり、デスクワーカーより現場仕事の待遇改善が優先的に行われたりしたら、私にとっては自分の首を絞めることになるのだけれど、そうなったとしてもこれは本当に正しい主張だと思った。そして、この著者の主張は第3部への提言にもつながっていく。
第二部は定年後の就職者の事例が7人分。具体的にどんな仕事をしているかが参考になるというよりは、仕事や暮らしに対してどのような考え方、向き合い方をして、その仕事を選択するに至ったかが大変参考になると思う。著者も何度か触れられている通り、50歳前後で、仕事への向き合い方に転機が訪れる人が多いようで、そこも含めて7名の定年後の働き方が示されていた。私の場合は少し早いけれど、「出世を目指したいのか」「適当に楽な地位にいたいのか」「育休で(出世が)遅れた分どうするのか」などなど悶々と考えていることが「仕事への姿勢の転機」だと考えると、これが定年後または早期退職後の働き方への考えにうまくつながっていってくれたらいいなと思えた。ここでのまとめとしては、「健康的な生活リズムに資する仕事」「無理のない仕事」「利害関係のない人たちと緩やかにつながる仕事」が定年後の豊かな仕事の共通点であるということだった。
第三部は第一部、第二部を踏まえて、社会が定年後の仕事に対してどのように向き合っていけばよいかについていくつかの提案があげられている。
これまで長い間デフレだった日本においては、質の高いサービスや高品質の物を低価格で求めるという姿勢が多くの消費者にしみついているように私は感じていて、著者も同様に考えているようで「日本の消費者がこうした利益を放棄し、小さな仕事で働き続ける人に適正な対価を支払う覚悟を持てるか。働き手が不足し、その希少価値が高まっている現代において、こうした痛みを日本に住む全ての人が受け入れ、消費者優位の市場環境を転換させていくことができるかが、今問われている」と書かれている。また、「日本社会は小さな仕事で働き続ける人たちにたいして、あまりにも冷たい社会なのではないかと私は感じるのである。」、「これからの時代、日本社会にとって本当に必要な仕事が何かが見えてくるのではないか。私たちは身近な仕事の重要性に立ち返る必要があるのではないかと考えるのである。」と主張している。これは私が強く賛同した第一部の「事実10」につながる。
これからは「定年後は年金でゆったりと暮らす」といった社会ではなくなることは明らかである。定年後の人々は、経済的な理由であっても、身心の健康のためといった理由でも、その人に応じた働き方をしていく必要がある。そして、少子化が急速に進んでいく日本社会としては、そういった方たちの労働力も大変貴重になってくる。現場仕事、生活に密着した仕事、小さな仕事にもきちんとした対価と感謝を示せる社会になっていかなければならない。本書の主張はそういうことだろうと思う。
とても考えさせられる良書でした。定年を見据えつつも、今の働き方をも考えさせられました。主に中高年以上におススメかなと思いました。(私も若い頃に読んでいたら響かなかったかもしれない。)
Posted by ブクログ
定年後に自分の仕事をシフトチェンジすることで、無理なく満足感を得ながらゆるやかに仕事をしていくという生き方を推奨している。
出世や能力を高めるという生き方から、自身が達成感あるいは楽しみながら今までとは違う「小さな仕事」に携わることで人と関わりながら幸せに生きるというライフスタイルがこれからの人口減少の世の中で必要なのではと思う。
Posted by ブクログ
現在、期待した年金額が年々減額され、新たな増税で収入の目減り、生活を凌ぐために仕事をせざるを得ない高齢者が増大してきた。更に少子化、労働者不足、AIの進化など日本社会への対応した人材、高齢者をもっと活用すべき時代になった感がする。 今の高齢者労働者は現役とは違い、低賃金、非正社員での雇用が可能、しかも豊富な経験と知識・人脈など様々な能力の人材活用も忘れてはならない。年齢問わず才能ある高齢労働者が盛んになる社会意識の変化に期待したいし、せざるを得なくなるのがこの少子化対策で無策だった今の姿だと感じる。
Posted by ブクログ
けっきょく、無事に定年を迎えたところで、何らかの仕事は続けた方が良いということになるのか。家の近所で何らかのコミュニティに参加したりして、シニア期でも出来る仕事の目星をつけておいた方がスムーズに定年後の生活に移行できそうだ。氷河期世代には老後に趣味を楽しんだり、優雅に旅行するような余裕はないことがわかった。そういうことはまだ少し余裕がある現役時代にやっておいた方が後悔がないと感じた。
Posted by ブクログ
色々な条件の方々が紹介されていて参考になります。今は多くの種類の仕事がネットで求人にアクセスできるので気軽に短く小さく働くのはいいのかもしれません。ただこの本は少しリクルート事業のための主張が背後に隠れている感じがします。これまで長い間ストレスの高い、やり甲斐のある、心に残る仕事ができた方は、そろそろ体でお金を稼ぐのは卒業にして、貯蓄のお金を投機でなくなるて金融投資に切替え、減らない工夫をして、お金を使うことを意識した方が幸せと思います。貴重な時間は若干の友がいる場所を見つけて落ち着き、多くの時間は若い頃には出来なかった好きな読書三昧がいい。まさしくモンテーニュみたいない老後が理想ではないでしょうか。