坂本貴志のレビュー一覧
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ベストセラー「デフレの正体」と同じく、人口動態の影響が物価トレンドに影響を与える、という視点は共通するが、こちらは、「インフレの正体」と正反対の方向で分析しているので、とても興味深く読みました。
人手不足、賃金上昇のトレンドをいち早く分析した本ではないか。統計データに地方でのヒアリングも加えて、アベノミクスの金融緩和の効果よりも、人口減少の中での労働力の逼迫を主な要因とする立場。
人口減少は消費者の減少、総需要の減少になるという発想に対し、高齢者は介護・医療の需要が多い点から、需要過多になるメカニズムの見解や、労働時間の減少が、経済成長にマイナスに寄与しているという分析は、本書で知りました。 -
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統計を用いて論理的に説明されていたので非常に分かりやすかった。
人口減少社会に入り、労働者と企業の需給関係が変わって来ている、確かにどこも人手不足との話を聞く。すでに、女性や高齢者の労働参加率は他の先進国に比べて高いというのは知らなかった。とすれば、労働人口はこれ以上増えようがない。これから賃金は上昇傾向になるだろう。特にエッセンシャルワーカーが多い業種は、デジタルを用いた生産性の向上が不可欠。
筆者は外国人労働者を増やすことにはあまり賛成していなかったが、今の出生率からすると、人口は加速度的に減少していくので、個人的には外国人を増やす政策が必要と思われる。都市部はまだしも、地方から人がいなく -
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現代の定年後がデータを元にとてもわかりやすくまとめられている。
「定年なんて先のことで、その時に考えればいい」とか「なるようになるだろう」と思っていたけど、逆で、定年を考えることで今の仕事や働き方、生き方を考え直せると思った。
20代や30代でさえ、日々の変化に一喜一憂し、今をなんとか生きようとする。それは定年間近になっても同じで、再雇用されようか、パートで働こうか、でもプライドが、と考えることは多い。でも、この中にある事例やデータでは、勤めていた時よりも幸福であることが記されている。そんな働き方が若い頃からできると思うし、みなが幸せに働くことができれば国もハッピーになる。
『ほんとうの定年後 -
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統計で考える働き方の未来
著者:坂本貴志
2020年10月10日第一刷発行
名著。現在から今後の日本の最大の社会課題として少子高齢化を設定。そこから生まれる年金はじめとした諸問題の解決策は定年退職後の高齢者が、各種の現場労働を担うことと。
現状の社会福祉制度の中で、高齢者が年金を貰いすぎている事で、世代間の仕送り型モデル(現役世代→高齢者)に限界が来ていると指摘。高齢者が消費する分を自ら稼ぎ出すようになればこの問題は綺麗に解決すると。発行は2020年なのだが、直近の税制改革の議論の先を行った論点になっている。
政府機関の統計数値やリクルートワークス研究所の議論が下敷きになっており、説得力高い -
Posted by ブクログ
現代日本における定年後の仕事の実態を、データとケースインタビューを元に描き出し、その実像の解釈と国として向かうべき方向を論じた本。
世代間論争が加熱している昨今、定年後の生活ってほとんどイメージできないし知らないなぁと思い、手に取った。
働き盛りの若者も、定年輪際のベテランも、全員が一読すると世界が良くなる本だなぁと感想を持った。
第1章で述べられるデータはどれもおもしろく、中でも「70歳男性の就業率45.7%」は自分のイメージと大きく食い違い、認識を改めることとなった。仮想敵として描かれる「年金頼み生活の老人」というのは既にマイノリティなのである。
一方、年金とパートタイムワークの両輪の暮