芹澤連のレビュー一覧
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ユーザーの中で、使っている商品が「差別化されている」と思っている人は10%程度。ほとんどの人はブランドが「差別化されている」とは思っていない、けど使っている。
差別化されていなくても購買時に想起されれば選ばれるが、差別化されていても想起されなければ選ばれない。
「他者と異なる→だから選ばれる」のではなく、「利用文脈のプレファレンスに合う→その文脈で価値として想起される」と言う向きで考える必要がある。
広告は、消費者が「自分なりの買う理由」を思いつくための動線。広告は説得ではなく、パブリシティ(広く知らせる、思いつくきっかけを提供する)である。
ケンタッキーの「今日、ケンタッキーにしない?」もこれに当てはまる。広告を見てブランドを思い出したときに、消費者が好きな連想を結びつけることができる作りになっている。
成分の説明や機能的な説得ではない。
要するに、オケージョンとブランドの話しかしていないが、それを何十年かけて行うことで、あらゆるオケージョンでブランドが連想される記憶構造を構築したのである。
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Posted by ブクログ
ネタバレマーケターは、生活者の習慣を理解し、無関心な顧客と向き合うことが必要である。
顧客が同じ商品をリピートする理由は、商品に対する愛ではなく、新しいことを考えるのが面倒だから。思考停止でリピートしていることが多い。
なぜなら人間は新しいことを理解する際、脳の前頭前野が活性化し、脳には疲労が溜まる。一方で、習慣化されると背側線条体で処理され、負荷が低い。
また、ユーザーがその商品を購入する時には文脈があり、CEP(カテゴリーエントリーポイント)をどう作るかが大切。
目覚めの一杯にコーヒーを飲んで欲しいなら、そのオケージョンを作り上げ、習慣化することが重要。
コーヒーを売るのではなく、オケージョンを創る。
ダブルジョパディの法則から、浸透率が小さいブランドはロイヤルティも小さい。浸透率を増やさずして、ロイヤルティだけ高めることはできない。カテゴリーヘビーのユーザーは、1つのブランドのロイヤルティは低い。
B=MAP(フォッグ行動モデル)
B:行動(behavior)
M:動機づけ(motivation)なぜその行動をしたいかという内的な欲求
A:能力(ability)その行動がどれだけ簡単にできるか
P:きっかけ(prompt)リマインダーやプッシュ通知などの外的トリガーと、不安や期待などの内的トリガー
フォッグ行動モデルは、行動を起こすために何が足りないかを具体的に把握し、改善するための実践的フレームワーク
その行動を引き起こす「プライマー」を読み解く。
行動の後には、報酬が必要。脳が喜ぶような体験は、習慣化につながる。脳が喜ぶ報酬は、「五感」「体験と感情」「行動」の観点から考える。
1.顧客の習慣を観察する
2.新しい習慣を介入する文脈(CEP)を見つける
3.文脈→行動がリンクするようなルールを設計する
4.文脈→から得られる報酬からベネフィットを定義する
5.報酬がセットで連想されるように、メッセージ、売り場、顧客体験を設計する
習慣とロイヤルティは異なる
習慣:特定の文脈を手掛かりに起こり、意識的な評価や本人の意図とは独立して機能する
ロイヤルティ:「このブランドが好きだから」「このブランドは他とは違うから」といった、態度的、意図的な価値判断に基づく -
Posted by ブクログ
ビジネスの現場で“戦略”という言葉が乱用される現状に鋭くメスを入れた一冊です。
著者は、企業の戦略立案や新規事業支援を手掛ける実践派コンサルタント。
彼が指摘するのは、「多くの企業が戦略を語りながら、実際にはデータも根拠もない“ごっこ遊び”をしている」という現実です。
本書の最大の魅力は、戦略を“感覚”ではなく“エビデンス(証拠)”で判断する重要性を、豊富な実例を通じて明快に解説している点です。
市場分析、顧客理解、施策の検証といった一見当たり前のプロセスが、なぜ組織の中で形骸化してしまうのか。
その構造的な問題をリアルに描き出しています。
また、芹澤氏は「戦略は賢そうな言葉を使うことではなく、現場での意思決定を正しく導くこと」だと強調します。
数字やデータを扱うだけでなく、現場の事実を直視する姿勢こそが“本物の戦略”をつくる――このメッセージが全編を貫いています。
理論書というより、現場を知る実務家が書いた“戦略のリアル”。華やかなフレームワークの裏側にある地道な思考の積み重ねを再認識させてくれます。
戦略を語る立場にあるすべてのビジネスパーソンに、ぜひ一度手に取ってほしい一冊です。 -
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購入意向は過去の購買傾向を表すものであり、必ずしも将来の購買行動を担保しない。しかし、人は事前の意向がなくても買う時は買う。市場の大部分は未顧客が占めている。つまり、いくら少数の購入意向が高かろうと、市場の大半を占める未顧客層が少し変化する方がビジネスインパクトは大きい。
ここから、未顧客のメンタルアベイラビリティを事前に高め、意向が生まれた時に自社ブランドが想起されるようにしておくことの重要性が伺える。
差別化は「全く需要がないところに需要を生み出す打ち手」ではなく、「需要があるにも関わらず機会損失されている消費を呼び起こす打ち手」
行動ロイヤリティが高いのはヘビーユーザーではなくライトユーザー。彼らは態度的ロイヤリティが高いからリピートするのではなく、単に思いつくそこにあるから買うだけである。マーケター側から見たらリピートしてるように見えるが、実際は毎回がトライアルのようなもの。
ターゲティングする場合は顧客層を限定せずにするべき。大部分のカテゴリーユーザーが直面するオケージョンやタイミングをターゲットにする。
広告弾力性の平均はおよそ0.1であるとき、限界利益率が50%の事業であれば、0.5×0.1=0.05で売上の5%を広告費に回せばよさそうだのように考える。
使っている広告弾力性がわからなければ目安として、粗利の10%程度を広告に使うのが妥当 -
Posted by ブクログ
・ダブルジョパディの法則:「ロイヤルティを高めればブランドが成長する」と思われているが、向きが逆。浸透率を増やさずにロイヤルティだけを高めたりはできない。顧客数が増えるほどリピートや利用額も増え、高い価格も受け入れやすくなっていく。
・離反とは、他の変数と独立して、マーケターが任意にコントロールできる変数ではないのです
・新規も既存も「両方別々に」対応する必要がある。短期でわかりやすい成果を出しやすいのは既存顧客なので、マーケターやプランナーなど実務者側の実感としては既存顧客が成長の中心にいるように見えるわけです。しかし、個人の経験や実感を超えた時系列・規模のデータで確認すると、既存顧客中心の成長には限界があり、持続的な成長を遂げているブランドのメインドライバーは浸透率やブランド構築であることもまた事実なのです
・大きなブランドになるほど既存顧客のロイヤルティやマージン成長(WTPやLTVの向上など)が相対的に重要になっていきますが、小さなうちは顧客基盤の拡大によるボリューム成長が何より重要だ
・カテゴリーのライトユーザーほど同じブランドを利用することが多く、カテゴリーのヘビーユーザーになるほど色々なブランドを利用してカテゴリーニーズを満たしている。ライトユーザーは基本的には無関心層であり、カテゴリーに対する知識が少なく、商品やサービスの違いについても詳しくない(知りたいという動機もない)ので、いつもと違うものを買って失敗したくない、それなら大きな有名ブランドの方が良い、となるわけです。「そのブランドが好きだからリピートする」のではなく、「よく知らないし、特に興味もないから同じブランドで”済ませる”」のです。
・レパートリー市場とサブスクリプション市場では「ロイヤルティ」の意味も違ってきます。レパートリー市場では、毎回の購買が独立しており、消費者はその場その時の購買文脈に応じて、様々なブランドを利用することでカテゴリーニーズを満たしています。したがって、チェックすべき主なロイヤルティ指標は、購入頻度、SCR、ブランドに100%ロイヤルな顧客の比率などです。逆にレパートリー市場でリテンションや離反率だけ見ていてもあまり意味がありません。なぜなら複数のブランドを利用することが「普通」であり、スイッチして「当たり前」だからです。
・レパートリー市場では、その名の通りいくつかのレパートリーの中から確率的にブランドが選ばれます。つまり、リピートされなかったとしても想起集合には入っている、購買頻度が低いだけで潜在顧客ではあるということです。こうした一時的な離反(平均への回帰)と本当の離反(想起集合に入らない)を混同しないようにしましょう。必要なのは後者のケア、つまり想起すらされなくなるのを防ぐことです。
・英国IPAによると、消費財カテゴリーにおける最適なマーケティング予算配分は、長期的なブランド構築に60%、短期的な購買喚起に40%とされています。
・態度が行動を決めるというベクトルだけでなく、行動が態度を決めるというベクトルも考慮する必要がある。何かを経験して、その後、その経験に対する意見なり態度なりが形成される
・購入意向というのは、過去の購買習慣や利用経験によって内生化された従属変数(結果)であり、将来の行動変化を予測する独立変数(原因)ではないのです。
・水平的差別化:人によって好みや評価の分かれるような属性に付いての差別化です。価格を大きくかえるというよりも、価格帯は同じで競合にはない特徴を備えるという方向性が比較的多い
・垂直的差別化:カテゴリーユーザー全てに好まれる機能や性能を強化したり、訴求したりすること(燃費の向上、ユーザビリティの向上など)。基本品質の向上に伴い、高価格帯にシフトするケースも多くなる
・差別化は「まったく需要がないところに需要を生み出す打ち手」ではなく、「需要があるにも関わらず機会損失されている消費を呼び起こす打ち手」である。商品の差別化や価格変化に反応するのは、すでにブランドに対して興味や関心を持っている既存顧客やカテゴリーユーザーであり、未顧客はブランドに興味が薄いので、なにか変化があっても気づきません。プレミアムラインに価値を感じるのはレギュラーラインを知っているからですし、低価格のサブカテゴリーやディスカウントに反応するのも、過去の経験や記憶に基づく内定参照価格があるからです。
・シェアが大きくなると浸透率が伸びにくくなり、相対的にロイヤルティ寄与が大きくなる。シェアが小さいうちはとにかく浸透率、シェアが大きくなってからは「浸透率+ロイヤルティ」が重要。
・消費者の中で最初に知覚されるのはブランドの差異ではなく「文脈の差異」です。その場その時のプレファレンスに合致した特徴を持ったブランドに「気づく」のです。
・マクロな視点で意識しておくべき基本的事実として、企業がどれだけエクステンションしようが、カテゴリーの総需要が増えるわけではありません。
・行動ロイヤルティ:行動が変化する分岐点を見つけ、それは誰か、それはなぜかと調べていく。(ドロップボックスの「写真や動画をバックアップするための保管庫として使う」という行動は有料プランにアップグレードする可能性が低く、「仕事で使うようなドキュメントやプレゼン資料などを共有し、ネットワークを介してコラボレーションする」という行動は価値が高いことを発見した
・カスタマージャーニーの中で習慣として確立されている文脈と、習慣が確立しきっていない文脈を分け、後者の文脈に狙いを定めて認識変化を集中させる取り組みを行う
・ブランドイメージもダブルジョパディの法則に従う。顧客数が少ないブランドほどブランドを好きだという顧客も少なくなる
・ゼロの想起をわずかにゼロではないレベルに引き上げる「広く薄いパーセプション」の浸透が大切になってくる
・例えばコカ・コーラは海でも山でも想起されるでしょう。それは数十年にわたって、様々なオケージョンとブランドを結びつけてきた結果、そういう記憶構造になっているわけです。1つのオケージョンである程度の想起を獲得したら別のオケージョンでの想起獲得に取り組むべきです。
・広告をしたからといっていきなりシェアが伸びることはなくても、広告をしておかないとシェアを維持することすら困難になる
・広告を見てブランドを思い出したときに消費者が好きな連想を結びつけることができる作り
・Point of Differenceの前にまずPoint of Parityを達成することで、「どこが違うか」の前にまず「何であるか」を先にわかってもらうことが大切。PODばかりを訴求するとライトユーザーが置き去りになってしまう
・購買プロセスをスタートさせる起点を作りたいなら感情側面を訴求すべきであり、売上に対する直接的な効果を高めたいなら経験側面を強調した広告にするのが良さそうです。
・効率を優先するとマーケティング活動が小規模になり、結果的にリターンの絶対額も小さくなっていく
・ROIは短期的なリターンを過大評価する一方で、持続的なキャッシュフローを生み出す活動にペナルティをかけるため、最終的にはビジネスを破壊してしまいます。短期成果の積み重ねで長期成果が達成できるわけではない
・自分の知っている当たり前は当たり前ではないかもしれない。実はあたりの前ではなく、ハズレの前位にいるかも知れない ことに気づく -
Posted by ブクログ
◾️マーケティングは依然として数のゲームである。ブランドの成長は主に浸透率の増加によってもたらされるのであって、ロイヤルティではない。
(1)ヘビーユーザーは絶対数が少ない
(2)ヘビーユーザーにさらに購入してもらうのは難しい
(3)既存顧客の認識や行動を広告で変えることは難しい
(4)既存顧客へのアクティベーション施策は効果期間が短い
(5)ROIを成果指標として追っても売上のトップラインが増えるわけではない
(6)ロイヤルティは、ロイヤルティ施策によって高まるのではなく、浸透率の増加に伴って高まる
先の保育士さんの方法は、お風呂の機能をただ伝える(体をきれいにする)のではなく、子供の欲求(遊びたい)を満たすように、お風呂の特徴(水回り)を生かした体験(髪を泡で変形させる遊びの楽しさ)を提案しています。これにより、遊びたいという「欲求」、お風呂に入るという「行動」、楽しい水遊びという「報酬」の間に新しいループ(利用機会)が生まれ、そこにブランド(お風呂)を位置付けているわけです(図表1-5)。このように再解釈したブランド(お風呂)の価値を効果的に伝えるためのメッセージが、「お庭で土遊びをしたら、次は、お風呂で水遊びしよう」「泡で変身しよう」といった声掛けです。ブランド(お風呂)が未顧客(子供)にとって、どんなシーンでどんな報酬になるのかを端的に表す良いキャッチコピーです。
もちろんこれだけで、全員がお風呂を好きになるわけではありません。大事なのはそこではなく、「ブランドへの入り口が1つ増えれば、それだけ浸透率も高まる」ということです。繰り返しになりますが、未顧客に対してはまず手数を増やして、ブランドへたどり着く確率を高める必要があります。ですからこのように、ブランドへのミクロな入り口を生活の中に作っていくことが市場拡大のカギになるのです。
未顧客をこのようなペルソナで理解しようとすると失敗します。まず、人となりとブランドへの無関心は関係ありません。関心がないとは、特定の価値観や考え方をしている「から」関心がないのではなく、「ただ」関心がないのです。自分の価値観に合う合わない以前に、合うか合わないかの検討対象にさえならないから無関心なのです。ですから未顧客のペルソナを作ったり、未顧客をプロファイリングしようとしたりしても徒労に終わります。
ブランドのフォロワーやファンコミュニティなどで購買率が高くなるのも同じ理屈です。もともとブランドに興味関心があるからフォローもするし、購買率も高いというだけの話であって、それをもって興味関心が薄い別の集団、つまり未顧客の興味喚起ができるとは言えないわけです。詳しくは4-5で解説しますが、これはロッサー・リーブスの誤謬といって、広告効果測定の分野では何十年も前から「やってはいけないことリスト」のトップに来る間違いです。
・NBDディリクレ
ブランドがどれだけ売れるかは、
1)そのブランドが属する商品カテゴリーがどれだけ利用されるか
2)そのときに自社ブランドがどれだけ選ばれるか(購買の選択肢に入るか)
という2段階で決まる
CEPとブランドを結び付ける施策を作り出すフレームワーク「未顧客理解の5原則」
原則1:文脈が変われば意味が変わり、意味が変わると価値も変わる 再解釈の重要性
原則2:未顧客は本来戦うべき市場を見通すための「レンズ」である 市場の再解釈
原則3:行動の背後にある欲求、抑圧、報酬から「顧客の合理」を理解する ターゲットの再解釈
原則4:「ブランドの特徴」×「顧客への報酬」=文脈最適のベネフィット ベネフィットの再解釈
原則5:モノの売り方ではなく、モノが使われる行動の増やし方を考える ポジショニングの再解釈
・新しいCEPの仮説を立てるためのアプローチ
(1)現在の用途から新しいCEPを見つけるアプローチ
(2)便益競合から新しいCEPを見つけるアプローチ
(3)未顧客の行動から新しいCEPを見つけるアプローチ
・着目すべき未顧客 (少数派)の行動例
▶不合理、矛盾:マーケターから見ると説明がつかない、合理的と思え ない行動
▶想定外の使い方: マーケターが想定していた用途や利用シーン以外で の使われ方
▶工夫や自助行動: 専用の商品やサービスを採用せず、自分なりの工夫や代替品を用いた問題解決が行われる行動
▶極端な購買行動:利用額や利用人数、購買量や間隔、時期など、特定の側面が極端に偏った行動
▶イベントやシーズン: ある特定の時期や季節に集中する行動
▶繰り返される行動: 特定の時間や場所など、同じ条件下でのみ繰り返 される行動
▶準拠集団への帰属意識:特定の文化や集団への帰属意識が表れている 行動。その集団の価値観やルールが色濃く表れている行動
しかし未顧客は、その場で思い付いたブランドの中から、最も簡単に手に入れられるもので済ませます。こうした傾向は一般的に「利用可能性ヒューリスティクス」として知られています(Tversky and Kahneman,1973)。この視座に立つと、先ほどの式の分母(商品にたどり着くまでのコスト)の重要性がうかがわれます。コストと言っても価格だけの話ではありません。どこで買えるか、どんな種類があるのか、どういうときに使うのか、どんな体験が得られるのかなど、処理する情報が増えるほど未顧客にとっては負担になります。お分かりかと思いますが、差別化するほど未顧客に処理させる情報は増えます。
一度原点に立ち戻ってみましょう。そもそもブランドの役割は消費者に「考えさせない」ことです(Binet,&Carter,2018)。なぜこのプランドを買うべきか、他と比べてどこが優れているのかといった情報収集、理解、比較や検討などのプロセス(コスト)を省略し、「こういうときはこれ」と選ばれるからこそ「ブランド」なのです。であれば、知覚できない差別化や競合のまねごとをするのではなく、いかに「自社ブランドから文脈に適した報酬が得られる」と思ってもらうかを突き詰めるべきです。
マーケターの合理:SNSやファンコミュニティ強化→未顧客もブランドを好きになってくれ るのでは?
しかし、そうはなりません。ファンの間では「ブランドが好き→だからブランドを買う」が成り立ちますが、未顧客では成り立たないからです。「ある変数間の相関が高くなるのが当たり前の集団」からデータを集めて相関が高いことを確認しても、それ以外の集団に外挿できる(当てはまる)因果関係を証明したことにはなりません。ファンはもともとブランドが好きな人たちですから、ファンヘアンケートを実施し、「コミュニティやイベントなどの施策(ファン施策)に魅力を感じたか」「それらの施策が購買につながったか」と聞けば、肯定的な答えが返ってくるでしょう。しかしそれをもって、「ファン施策」が未顧客に対しても効果があると言うことはできません。例えば、釣りが好きな人ほど天気予報には敏感になるでしょうが、天気予報を見たからといって、釣りに興味がない人が釣りを始めたりはしないですよね。
ひゅうこれは「ロッサー・リーブスの誤謬(Rosser Reeves Fallacy)」と呼ばれ、半世紀以上前から知られている間違いです。大事なことなのでもう少し詳しく説明しましょう。図表4-24を見てください。ファンの合理には「ブランドが好き」という交絡因子が存在するため「ファン施策→ブランド購入」が成立します。このとき、データとして残るのは「ファン施策→ブランド購入」という事実だけです。そこだけを切り取ると、未顧客にも「ファン施策→ブランド購入」が通用するかのように見えますが、未顧客の合理には「ブランドが好き」が存在しないので、バックドアの経路がありません。その結果、「ファン施策→プランド購入」の相関は消失する、つまり未顧客には効果がなくなるわけです。
逆に、このループを利用して行動変容を促したり、強化したりすることもできます。ここで、英国ロンドンのごみリサイクルを活発化させる「One bin is rubbish」というキャンペーンを紹介しましょう。
もし皆さんが、ごみのリサイクルを促す広告を考えてほしいと言われたら、どんな施策を考えますか。例えば、生物への影響や環境被害の深刻さを説いて、「今、自分たちにできることから始めよう」といったメッセージを思い付くかもしれません。環境意識を高めることでリサイクルをしてもらおうという図式ですね(図表4-26)。
ロンドンで採用された案は、「なぜリサイクルすべきか」を説得するのではなく、「どうしたら家のごみ箱周辺がきれいになるか」に着目したキャンペーンです。ごみ箱が1つしかないと、入り切らないピンや缶、小分けのごみなどが周辺にたまっていきます。それならごみ箱をもう1つ置けばいいわけです。つまり「One bin is rubbish (ごみ箱はすぐあふれる)」とは、「だから、もう1つごみ箱を置こう」という行動を促すメッセージなのです(Sutherland,2019 金井訳,2021)。
このメッセージが秀逸なのは、考え方や価値観を変えて行動を変えるというやり方ではなく、行動が起きやすい状況を作り出すことにフォーカスした点です。理由を説明して行動してもらうという視点だと、「環境や生き物を守るためにごみを分別しよう」「環境への責任があるからリサイクルすべき」というメッセージになります。しかし、行動の理由に納得してもらい、かつ行動も起こしてもらうというのは2段階の行動変容になります。
それに対して「もう1つごみ箱を置こう」というのはシンプルです。ごみ箱が2つあれば人は自然と分別するようになります。その結果、友人や近所の人に見られても恥ずかしくないという報酬が得られます(図表4-27)。それが次のリサイクルにつながります。つまり、ごみ箱をもう1つ増やすことが、行動経済学でいう「ナッジ」になっているわけです。 -
Posted by ブクログ
いわゆるマーケティングの通説的なものが、エビデンスによりばっさばっさと斬られていく本。
こうもはっきりエビデンスを突きつけられるとそうよなあ、むしろなんで今までその法則が全てだと思っていたんだろう・・・と思う。
マーケティングにおいて普遍的な法則はない。
書いてある通り、やや商材が消費財よりなので自社ビジネスで使えるかどうかはケースバイケースだなあと思ったけど、繰り返し読んできちんと消化したい。
実務に落とすのはまだまだ難しそうだけど。
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・ダブルジョパディの法則
・新規と既存、どちらが大事か→「両方、別々に」対応する必要がある
・ロイヤルティには上限がある(購入頻度や利用額は”変数”ではなく、上限がある”定数”)
・サブスクリプション市場は新規獲得が大事(そもそもベースのLTVが高い)
・態度が行動を決める、だけでなく行動が態度を決める、もある
・未顧客の大半は無関心層(ペインはない)
・広告の質や解像度で「リーチ不足」をカバーできるのか
・事業成長は効果が先、効率は後
・事業成長とROIの最大化は別物
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Posted by ブクログ
●私が考えるこの本の結論
数式が示唆する規則性や法則性に基づいて文系的なアイデアを発揮することが大切
ブランドの成長はロイヤルティではなく、浸透率を増加させること
企業の合理ではなく、顧客の合理に目を向けること
①この本を読んだ目的
よりマーケティングを深掘りすること
②学んだこと
<はじめに>
・ペルソナ設定ではなく、顧客の行動原理(顧客の合理)を理解することが重要
・顧客が不合理に見えるのは、マーケター自身が慣れ親しんだ既知の枠組み(ex; 平均的な顧客像)の中で顧客の行動を解釈しようとするから
→今自分が陥っている点
・未顧客に購買してもらうにはまず -
Posted by ブクログ
マーケティングの専門家による、マーケティングの「無知の知」を説く1冊。
基本的にはマーケターやブランドマネジャー向けに書かれていて、専門外の自分には横文字用語+アルファベットのスープに浸かった感じで、しかもトリ頭(鳥に失礼)のせいで「STPって何だったっけ?」となることもしばしば。後ろに用語/略語集つけといてほしい(笑
とは言え、マーケティング的発想とは無縁でいられない世の中。ちょっと背伸びして読む価値はあったかなという読後感です。
1. 理屈とは上手く付き合わないといけない
2. 因果の向きが違う、はヤバい
3. 6W1H
1. 理屈とは上手く付き合わないといけない
本著冒頭の「現実と理屈が異なるとき、間違っているのは理屈のほう」として、企業内にありがちな風潮をバサッと切ってから始まる本著、様々なエビデンスを示して思い込みを斬っていきます。
良い意思決定のあり方として、「コインとサイコロのどちらかを投げる。コインは表、サイコロは6が当たりだとして、どちらを選ぶ?」に対して、「何回裏が出ようが、コインを投げ続けるのが良い意思決定」、「『良い結果』と『良い決定』は違う」、「だからエビデンスが必要(裏が出る理由があるならアジャストが必要)」というのは覚えておきたいと思いました。
2. 因果の向きが違う、はヤバい
大昔、ある小説で「英雄色を好むという言葉があるが、色を好む者が全て英雄って訳じゃないぞ」という主旨の話がありましたが、マーケティングにもこの種の因果の向きの違いがあるんだなと。。
本著で挙げられていたものの1つは「ヘビーユーザーは購入頻度が高い、ではなく、購入頻度が高かった人をヘビーユーザーとしてカウントしているだけ」「ファンと、カテゴリーヘビーユーザーは違う」というもの。
自分の購買行動でも思い当たる節があり(笑、なるほど単なるカテゴリーヘビーユーザーにお金をかけても仕方なさそうだなと感じました。
3. 6W1H
さて本著、AIDA/AIDMAといった有名なフレームワークも出てきて、ここにまつわる認識間違いなども触れられていたのですが、個人的におぉ…と思ったのは、6W1H。
Customer Entry Pointを探すツールとして使えるようなのですが、5W1Hじゃないんだ…と思って、Wikipediaを見てみたら6W1Hとか5W3Hとか色々載ってましたね。。ここでも、必要に応じて自分のアタマで考えて足し引きは要るんだろうなぁと思いました。
※ちなみに、Why/When/Where/While/with(for What)/with(for Whom)/How feeling -
Posted by ブクログ
引用が多く難解 ただ読み応えあり
マーケターとしてある程度の事前知識を持った上で読みましたが、それでも難解に感じたのは、おそらく他文献からの「引用」が多かったからだと思います。
要は、「マーケティング戦略とか言ってるけど、その逆の検証はした?バイアスかかってない?」というのが本書の主張(と私は感じました)。
例えば、
・LTVを重視したマーケティングが重要
・パレートの法則があるからロイヤルティ重視がベスト
といった、よく言われるマーケティングの鉄則があります。ですが、著者は「それがどんな状況でも正しいとは限らない」と指摘します。鉄則にとらわれず、その業界や現状に即した方針になっているのか、そもそも「戦略」の前に考えるべきことがあるのでは?という問いかけです。
実際、私自身もマーケティング理論をもとに仮説を立て、施策を作り、検証するという流れでやってきました。しかし、企画を立てる際には理論ベースで構築することがほとんどだったため、知らず知らずのうちにバイアスにかかり、ある意味「思考停止」していたのではないかと、過去の自分を振り返って考えさせられました。
マーケターとして「確かに」と思う場面が多かった一方で、高単価サービスの営業という難易度の高い環境で戦う以上、いかにバイアスを排除し、論理的に思考できるかが問われると感じました。「戦略」という言葉の本質を見誤らないよう、日々意識していこうと思います。 -
Posted by ブクログ
良い結果と 良い決定は違うもの
エビデンス 事実に基づく知識=視点=選択肢
新規と既存 両方、別々に
離反はマーケターがコントロールできない 既存は短期で効果が出やすい
シェア小さいと浸透率が成長に影響し シェア大きいと購入頻度の上昇が成長源
成功事例の再現性
パレートの法則 80%の利益は上位20%の顧客から =長期スパンでの話
ヘビーユーザー安定性50% 半分が入れ替わる 同じ人でも波がある
未顧客に1回、ライトユーザーにもう1回を考える
カテゴリーのヘビーユーザー=多数のブランドを購入
同じブランドリピーター=ライトユーザー :よく知らないから同じブランドで
大きなブランド みんなのカテゴリー需要を満たすためロイヤリティが高くなる
競合するブランド間の顧客構成はほぼ同じ ライトユーザーを増やして成長いく
ニッチ戦略や高ロイヤルティは悪い結果 ヘビーユーザーの伸びしろは小さい
決定論的なマーケティング 態度や評価 →購買行動 AIDA
確率論的なマーケティング 行動の一定の規則性
購入意向=過去の経験による結果
購入したのは 購入意向のない大半の人
NPS 推奨意向 未顧客層の変化に着目する
買わない人が買うのは 理由ではなく 想起の問歳 大半は無関心層
差別化 マージン(高い値付け)の要因になるが ボリュームへの寄与は少なめ
水平差別化 価格帯は同じで特徴を備える
垂直差別化 基本的品質を差別
ニッチ? 気分転換? 利用文脈に合う?
消費者にとって値段を付けられる価値 一般的に10%値下げで25%の販売量増加
価格プロモーションに反応するのは既存顧客のみ
ボリューム戦略:カテゴリーユーザー全員、特に未顧客に
マージン戦略 :既存顧客
軸をずらす 「購買文脈×商品属性×価格」の組み合わせ
ブランドイメージ? シェアや浸透率で決まる
良いイメージから買うのではない 購入したことで良いイメージを持つ
ポジショニング? STPだけでない
目立った広告だけでなく様々な文脈(間口が浅く広い)による 想起頻度の高さ
カテゴリーメンバーシップのないブランド どこにいるのか知られていない
相違点PODより 類似点POP を訴求する 未顧客は無関心
ROI=効率の指標 効果の指標ではない