牟田都子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
校正という仕事についてそもそも初めて知ったが、
仕事における技術、他者とのコミュニケーション、
信念や学び方(上達法)、仕事選び(天職について)
ーーといったことについてエッセンスに富んだ文章で、読みごたえも学びもあった。
流石校正を仕事にする人(多くのインプットに接してもきた人)ということで、文章自体の美しさや味わい深さも良い。それで難しくない。
何気なく、知人のSNSで知り手に取ったけど、読んでよかったな。
【校正の技術、関わる人とのコミュニケーション】
・人間の脳がノイズを無意識に補正して「読める」ようにしてしまうこと、への抵抗。(p.9)
・校正の技術とは、突き詰めていくと思い込みや先入観をいかに排するかというところに収斂する。「決まっている」「よりによって」「はずがない」が油断を招き、見落としを生む。(p.140)
・校正にかけることのできる時間は有限。最初に作戦を立てるのは最低限何をすべきか、どこまでできるかを考える、優先順位をつけるということでもある(p.167)
・本当に「青い陶板なのか」(p.220)※そんなの著者の責任じゃないの?とも思ったが・・・
・編集者や著者とのコミュニケーション。「採られない」指摘も無駄にはならない(あえてこう書いた、と答えることができるようになる)(p.27)
【仕事術、仕事をする上での信念や学び方】
・「わかんないまま通すな」(p.59)※これは仕事の基本だな。チェックとはどういうことか。昔「舞い込んできた資料はすみずみまで読む(お前が読まないと誰も読まない)」という精神にも接したものだ。
・「上手い人を見る」ーー名人の仕事をそばで見るのは上達へのいちばんの近道。(p.105)会社務めの十年間でたくさんのゲラを見た経験は私の宝。「学びの宝庫」、ひとりで仕事をするようになってからは人の読んだゲラを目にすることが少なくなった、と。(p.120)
【仕事(選び)の軸について】
・「仕事」である以上、「人生において仕事というものをどんなふうにとらえ」るかは人それぞれ。人生の優先順位は人によって、ライフステージによっても異なり、仕事への取り組み方も違うし、違っていていい、ただ「協働する相手が同じ方角を見ているかどうかは、わたしにとっては大事」(p.86)※たしかにこの、仕事を「誰と(どんな人と)するか」という大事な選択軸だ
・マラソンを始めて、人生が変わった。日本中を旅して、友人も増え、世界も広がった(p.232)
・天職を探すことについて。天職が見つかりますようにと神社でご祈祷をあげてもらったことさえ。いまでもこの仕事が天職だとは思っていません。いつか誰からも必要とされなくなるかもしれない。仕事とは「誰かに必要とされることが前提」「校正は求められて始まる仕事」(p.242~245)(※「天職を探す」という表題のついた文章の尊さ!) -
Posted by ブクログ
コロナ自粛期間中に、本に関わる3人の女性が交わした往復書簡。
本や、外食、自分の人生にとっては至極大事な色んなものを「不要不急」と決めつけられ、「自粛」をしないと周りから白い目で見られる、そんな期間。
読んでいて「あ〜、そうだったなぁ」と思う。色々大変だったはずなのに、もう私はすっかり忘れて今の生活を過ごしているのだ。なんだかんだ、しぶといのだ。
p12 わたしは「わたしたち」じゃない。
わたしは「わたし」として生きている。
はずなのに、突然、「わたしたち」にさせられたような、居心地の悪さというか、お尻の座らなさ
p14 なんというか、「わたし」である前に「わたしたち」でいなきゃいけないような「圧」が強くて、自分の頭や身体がうまく使えないような。
p135 社会を揺るがす大きなニュースだけがわたしに重要なのではない。社会全体から見ればちっぽけなことかもしれないけれど、その小さな個人の想いが社会そのものなのだ。こんなことも呟けない社会は、ウイルスなんていなくても生きづらいよ。 -
Posted by ブクログ
心震えました。
校正者・牟田都子さんのエッセイ。
文字を、文章を、読むことが好きであればたまらない世界です。
どのお話も驚きと発見に溢れていて、読み終えてしまうのがもったいなくてひとつひとつ味わうように大切に読みました。
校正の仕事は単に誤字脱字を直すだけだと思っていたら、記述が正確かどうかこんなに徹底的に調べるとは!
思い込みで読み流してしまいそうな一つ一つを調べてみるアンテナに驚きです。
「揚げ物が苦手だと口にした登場人物が居酒屋でポテトフライを注文していたり、間取り図を描いてみると出入り口のない部屋が出現したりする、」
そんなことも見つけなければいけないなんて、なんて大変な仕事なんだろう。
一方、小説において、どこまでリアリティを求めて指摘するか。
読者としては小説なら曖昧でもいいのではないかと思いますが、そのポイントに対して身近だったり専門だったりする人にとっては違和感に感じてしまうこともあるということで、誰にとっても間違いのない完璧な本を作る難しさを知りました。
これからはどんな本も今以上に、言葉のひとつひとつを、文字のひとつひとつを大切に味わって読もうと思います。
帯付きも帯なしもどちらも素敵な装丁。
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Posted by ブクログ
ネタバレ多種多様な著者の、「贈り物」にまつわるエッセイ集。
幼少期や、もう旅立った方からの贈り物の話が多いが、どれも個性豊かで涙をそそる。
その中でも私は以下の2名の表現に惹かれた。
藤岡みなみさん、古賀及子(ちかこ)さんは初めて触れたお二人。藤岡みなみさんの「ふやすミニマリスト」はタイトルからしてもう惹かれる。
エッセイ集は新たな出会いが良いと思う。
以下はお気に入りの文の引用です。
藤岡みなみさん
「汗が目に入って世界が揺れる。」
「そう言われるとなんだかサボりづらい。ここで真剣に作業するか適当に土を撫でるかで、人間性が試されている。」
古賀及子さん
「張り切って三輪車を塗る祖父を思って、もうずっと、心強い。」
「渡せば喜ばれると自信があったことを、かすかに覚えている。私は自分の不器用さが、思えば案外、嫌いではない。」