ウスビ・サコのレビュー一覧
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マリ出身で、京都精華大学の学長のウスビ・サコ氏による「日本の文化論」といえると思います。
タイトルから類推できるように、日本独特の「空気」についての考察がその中心。
「空気」が生まれた背景の考察を通して、背景の妥当性には理解を示しつつも、硬直的な「空気」には鋭い批判が述べられています。
科学的な意味での「空気」と同様に、「場」を表す「空気」も、更新がなければ淀み、状態が悪化するので、「空気」の背景を抑えた上で、新たな流れを作ったり、入れ替えたりして更新することが大切、ということかと思います。
それにしても、ウスビ・サコ氏から見ると、日本には暗黙のルールがとっても多いのですね。
そういったも -
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著者は、京都精華大学の学長。アフリカ・マリ出身で日本在住30年。著者が感じた日本の不思議な習慣を「なんでやねん」と突っ込みながら比較考察する。
読んでみて、日本人の暗黙の了解の事柄(説明しなくても判る習慣など)が、外国人には判り難いものであること。日本人は言う事とやる事が違っていたり、理屈が通らない慣習があったりして、外国人が理解するには時間が掛かる。著者が体験したエピソードが色々紹介されていて、とても面白かった。
しかし、タイトルの「空気が読めない」のは、外国人に限ったことではない。日本人だって「空気が読めない」人はたくさん居る。かく言う自分も、九州の田舎から東京に来た時、場の空気が読めず、 -
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相変わらず学びがあり、相変わらず溜飲が下がり、相変わらず少しだけ希望が湧いた。日本や世界の、現状が現状だけに少しだけだが(笑)
【親切】
帚木蓬生の「ネガティヴケイパビリティ」で、「親切」ということがこれからのキーワードだと思ったが、内田樹もまた、親切という美徳をアカデミアの世界でも重んじるべきだと言う。「正直」「親切」「愉快」!
「学校教育で1番大事なことは『歓待する』ということだと思います。教室に入ってきた人たちに対して『ようこそ、あなたの席はここにあります。あなたの存在は固有名において承認されています。あなたはここに座って学ぶ権利があります。私はあなたがここで学ぶことを望んでいます。 -
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内田樹と京都精華大元学長のウスビ・サコさんの対談集。サコさんの話は初めて聞いたけれど、マリから中国を経て日本に来て大学の学長にまでなられている日本では異色のキャリア。でもこういう外の視点を持った方が日本の中枢にもっと入ってこないと日本はいまの旧態依然とした価値観の中での椅子取りゲームに興じて、全体の椅子は減り続けるということになってしまうだろう。
内田さんもサコさんも極めて真っ当なことしか言っているとは思えないんだけれど、悲しいかなそれができないのがいまの日本で狭い価値観のなかで汲々としているという感じ。
いよいよ日本に働きに来てくれるような外国人がいなくなり、外国に出稼ぎに行かなきゃいけない -
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ネタバレ著者は京都精華大学学長でマリ人。
日本人は外国に行って、たくさんの異文化体験をするんだけど、なるほど日本へ来た外国人もまた、当然なんだけどとんでもない異文化体験=日本文化体験をしている。
日本とは異なる文化をルーツに持つ人々にとっての日本文化、日本人の行動様式は摩訶不思議なものであった、ということ。僕らは日常すぎて言語化も出来ていないことが、言語化されて、なるほどと理解する。僕らが日本文化を客観的に理解するための優れた一冊。
でも、著者の住んでいる京都に日本を代表させることはできない。京都人以外にとって、京都人の「空気」は絶対に読めないだろう。
著者は書く「日本では「にぎやかでよろしい -
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サコ氏は、京都精華大学の学長。 アフリカのマリ出身。 自分自身の半生と学長になった経緯から日本の教育の問題点や提言まて、彼の教育に対する考え方がとても明確で共感できることが多かった。 日本の教育の問題点は、画一的なものであり窮屈な感じで、子供の個性を封じるようなもの。 日本人自身は気付いていないが、多様な文化の中で育った著者にはそれがよく分かる。 日本人は、親たちが受けてきた教育を、子供にも当然の教育として強いるが、そもそもその教育制度は本当に現代社会にマッチしたものなのか、昔ながらのこの制度で育って社会人になっていけるのか、著者は疑問に思うことがあるようだ。 声を上げるだけでなく行動すること