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マリ共和国出身の京都精華大学長、ウスビ・サコ氏の自伝。幼少期、中国留学、日本人との結婚、子育て、学長就任。波乱に満ち「なんでやねん」の連続だった日々をコミカルに回顧しつつ、日本社会や教育の問題点を独自の視点で鋭く批判する。
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Posted by ブクログ
めっちゃおもしろいやん。 一気読みしてもうたわ。 日本国籍を持ち、日本の大学の学長として日本の教育を愁い、一方で大きな希望を持って子どもと向き合うことを続けてきたマリ人のサコさん。 あくまで「異文化」の立場から日本文化を見つめるその視線は、あとがきで内田樹さんが指摘されている通り、日本人として感じ...続きを読むてきたモヤモヤがスーッと晴れていくような気持にさせられる。 今回、特に膝を打ちたくなったのは次の箇所。少し長いが引用する。 「私から見た日本の教育はいわば、『今の社会システムや社会構造を維持したい』という中高年の思いに、子どもや学生、若者が巻き込まれている状態、である。日本の教育は大人目線なのだ。『早く大学を決めて、早く就職活動して早く就職しないと遅れる』などと、大人は学生たちの不安を煽るが、人生百年の時代に、いったい何に遅れると言うのか。留年していもいいし、大学卒業後にアルバイトを経験してから就職してもいい。なんとなく社会に漂っている焦りは、これまでつくり上げてきたシステムが失われることに対する中高年の焦りに過ぎない。」(本書149頁) こういうことって普段から何となく感じてません? でも何かおかしくないかな~と思いながら諾々と受け入れてません? でもそれをはっきり日本人って多くないし、またアイデンティティはマリ人だと言い切り、フランスや中国など多様な国際経験を積んだサコさんに言われるから余計にほっとする(ほっとするという感想はおかしいかもしれないけれど、ほっとしたから仕方ない)。 とにかくおもしろかったです。
マリ共和国出身。京都精華大学学長が反省と日本について語る。貴重な視点から得るところの多い一冊。 中国留学から日本に興味を持ち来日。日本で学び日本国籍取った一アフリカ人。日本の大学では初のアフリカ系の学長となる。 日本語も堪能であるし日本文化に十分に精通しているが、マリの視点ももちろん忘れない。日...続きを読む本人では気づかない日本の長所、短所そして未来の日本国に向けた提言が記されている。 欧米に追いつけ追い越せが従来のアジア、アフリカの立場だったが、現在はそれほとを単純なものではないようだ。 日本の教育の弱点を指摘した部分は特に炯眼。
ーー「誰か私を自由にして」って、何でやねん! 「自由」をラディカルに考え、身体を動かし、人を動かし、社会を変えようとしているサコ学長と学生たち。なんて風通しがよくて、人間味のある大学なんだろう。本当の「リベラル(=自由で寛大で風通しがよく分け隔てのない)アーツ」をサコ学長と学生たちは一緒につくろう...続きを読むとしているようだ。 専門の建築学を学ぶにしても、インドのスラム街から学んで「スラム型集合住宅」を町屋再生計画で提案するなんて、楽しそうすぎる。そんな話をしながらも、「スラム=かわいそう」というテンプレートに嵌まり込んで思考停止する姿勢にはピシッと鞭を入れてくれる、あたたかくも厳しいサコ学長。外国人留学生や労働者を使い捨てにしようとしている政府や企業の姿勢に「超やばい」と警鐘を鳴らしつつ、日本社会で暮らす不自由を自由に変えるべく自ら動いた経験を踏まえて「自由はもらうものじゃない」と諭すサコ学長。息子のイジメに立ち向かうべく、自分の肌の色までもネタにしちゃうサコ学長。 いいなぁ。 かっこいい。 読んだら元気が湧いてきた。 サコ学長に会って、お喋りしてみたくなった。 ナスビタコになりたい、って言った小学生の気持ち、分かるわ。
マリ出身で、学問に目覚め、紆余曲折あって日本で建築(だったっけ?)を学び、日本人の女性と結婚して日本国籍も取得した著者が、マリの価値観をもちながら、フランスの価値観、日本の価値観も理解したうえで、日本の社会や教育に物申す。物申すというより、ここが変だよね、ほんと、理解できない!とストレートに述べてい...続きを読むる。 私も、まったくその通りだよ!と思うことが多かった。一番その通りだよ!!!!と共感したのが、とにかく学校でなんでも引き受けすぎ、ということ。学校は学問をするところでしょう?それが、日本人の子どもは学校が生活のすべてになっているから、そこでいじめにでも遭おうものならもう死にたくなるし、学校に適応できなかったらもう落ちこぼれになるしかない、みたいな。学校で基礎基本を学んだら、あとは自由に一人孤独に思索したり、家庭で手伝いをしたり、地域でクラブチームに入ったり、友達と遊んだり、自然の中で探検したりして、生きる知恵や、思考力や洞察力や、いろんなことを学ぶのが人間というもの。それなのに日本の教育は、学校は、学校で学力以外にも生きるためのすべてのことを教えようとして自滅の道を歩んでいるような気がする。そんなことできるはずもないのに!総合的な学習の時間で「生き方」を学ぶ、みたいなの。何それ?ほんと偽善。 けっこう自分の大学の宣伝みたいになってたけど(笑)、著者の来し方は面白く、行動力に感服させられました。そして日本の教育に対する意見に対しては、本当に、「ごもっとも!もっと言って!」と思いました!
アフリカ出身のサコ学長が、日本を日本の大学をそして日本の文化を語る。おそらく、このタイトル自体が日本的で、アフリカの人が日本で学長をやっているのが極めて珍しいから、だからその人が日本をどうみているのか気になっているということが根底にある。アフリカの人が学長なんてできるのか?という疑問を日本人なら持つ...続きを読むだろうということもこの本を出版する人が考えたポイントだろう。 日本の言わなくてもわかる、なるべく近寄りすぎないでいる距離感、空気を読むということは、実は真の友達、分かり合える関係なのか?という問いは非常に的を得ている。確かに、多民族国家であったり、移民を受け入れたりしている各国では、言わなくてもわかるなんて奇跡なわけで、お互いに主張しぶつけあうことで分かり合える。ニューヨークは、まさにそういうところで、先生がLGBTだろうが、アフリカの人だろうが、アメリカ人であろうが、中国人だけど国籍がアメリカ人だろうが関係ない。実力があれば、それはすなわち認められるのだから、アフリカ出身であることはあまり関係ない。そのサコさんが、アフリカ人で、日本人と結婚して、日本でしっかり仕事するために帰化し、大学の先生から学長にまで抜擢される。想像するだけでも難しいが、サコ学長は人柄、人と向き合って真っ直ぐに話し合う姿勢と明るい性格や、言葉を超えたコミュニケーションで乗り越えてきた。日本の学習は、学校のための子供に見える。決まった教育を、、、というのは学指導要領で決まっているし、外れたことはダメという教育。これは昔から変わらぬ批判と一緒だ。でも、実際の子供たちはそこから抜け出ようとしてもがいている。 教育が根本にある、日本という国をよくするには教育から変えていく必要がある。大前研一氏が、最後のライフワークに選んだのも教育だった。ハーバードの竹内教授も、教育を通して経営者を育てたいという強い思いを学生に伝えている。リカレントも注目されているけれど、日本には人生勉強ということばもあるくらい日々、コツコツと学ぶ文化がある。日本は島国だからと諦めずに、目を見開いて世界を見ることができるような、子供たちが増えてほしい切に思った。
日本人は外国の方から批判されたり、持ち上げられたりすることを有難がる傾向があるように思える。この本もそこを狙っている本かと思っていたが、いい意味で裏切られた。 著者はマンガ家の竹宮惠子氏の後任として、京都精華大学学長を務めており、本物の「教育者」だと感じた。サコ氏はアフリカのマリ共和国の出身で、中...続きを読む国に留学したが留学生と中国人学生との衝突を経験。その後、日本に留学する。日本に来た理由は、「面白さ」を感じたからだという。それは「だらしなさ」や「わけのわからなさ」だという。こんなこという人初めてでしょう。 本書の中盤以降、真摯でユニーク(日本人にとって)な教育論が展開されている。教育とか大学に興味のない方でも、本書の第8章だけは読むと良い。そこに書かれている「政治に関心がないのに政府に依存する」という文にハッとさせられるに違いない。
私が暮らす町の 近所に「小京都」と呼ばれる 昔ながらの町並みと路地を遺している 小さな町がある その町の中に以前はメインストリートであった 細長い商店街がある 麹屋さん、和菓子屋さん、荒物屋さん 魚屋さん、履き物やさんね散髪屋さん つい近くまで鍛冶屋さんもあった ここ30年ほど前から、その昔ながらの...続きを読む 店はほぼ閉めてしまい 閑散としたとおりになりつつあった ところが10年ほど前から その町に その町出身ではない (少し年かさの)若者たちが やってきて 自分たちができる「商いの店」 が少しずつできだした 当初は二、三軒だったけれども すこしづつ増えて 数十軒を超えるほどになり 今では 秋に一度 大きなイベントをするぐらいの 路地になっている その町のこれまでの因習に とらわれない人たちだからこそ できたことのように思っている サコ学長が もし 地域の商店街の活性化を 授業の一環として とらえて 若者たちに 委ねたら きっと このような町になるのだろう と 本書を読んでいて 思いました。
ウスビ先生すごい いつかサインもらえないかなあ すきー あと内田樹、人として好きじゃないけど文章が超上手いんだよな 今度また読むか…
サコ氏は、京都精華大学の学長。 アフリカのマリ出身。 自分自身の半生と学長になった経緯から日本の教育の問題点や提言まて、彼の教育に対する考え方がとても明確で共感できることが多かった。 日本の教育の問題点は、画一的なものであり窮屈な感じで、子供の個性を封じるようなもの。 日本人自身は気付いていないが、...続きを読む多様な文化の中で育った著者にはそれがよく分かる。 日本人は、親たちが受けてきた教育を、子供にも当然の教育として強いるが、そもそもその教育制度は本当に現代社会にマッチしたものなのか、昔ながらのこの制度で育って社会人になっていけるのか、著者は疑問に思うことがあるようだ。 声を上げるだけでなく行動することが大事。 著者はこれを実践している。 素晴らしい考え方の持ち主なので、彼の今後の行動にも注目してみたいと思う。
京都精華大学は、実は現役の時に滑り止めに受けて受かった学校だ。美大生だった私には、この学校へ進学した友人・知人が数人いる。当時は山奥の美大という印象以上のものを抱かなかった。 外国人、西洋やアジア系ではなくアフリカ人の学長というのが一際噂になり、この著作を手に取った。いろんな国の文化やくらしに触れ...続きを読むたからこそ、日本という国のありのままの姿を捉えていて、感じたことを率直に表現できるのだろう。 天災に人災、戦争やコロナ禍、いろいろなことが起きるが、これからの世の中を作るのはこの地に住む人々なのだ。大学は指南を仰ぐところではなく、自身で考えて成長する場所。当たり前のことだが、日本の大学は徐々に経営至上主義と企業ファーストに成り果てた。慣習の良し悪しはともかくとして、学生に慕われ、時に厳しい姿は、学長というより徒弟を育てる親方に見える。これほど希望の持てる教育者が、今の時代日本にどれほど存在するのか。そんなことに思いを馳せた。大学だけでなく、社会での人との出会いで、人は育つ。コロナで人と出会うことも少なくなってしまった現在、非常に危惧されるのがこれからの社会のしくみだ。学生には厳しい現実が付きまとうが、諦めずに時に人を信じて歩める人になってほしい。
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アフリカ出身 サコ学長、日本を語る
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