チェ・ウニョンのレビュー一覧
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高校生の時に購入したが途中で離脱してしまったものを数年ぶりに読み返した。今だから理解できるシーン、共感できる心情が多くあったように感じる。
友人、恋人など人との関わりの中で、「愛ほど不公平な感情はない」という。どんなに愛し合っていたとしても、相手よりたくさん愛している人と、相手の方がたくさん愛している人が存在してしまう。愛とはそういうものなのだ。しかし、私も含め多くの人はら自分がこんなに尽くしたのに相手から同じ対価が返ってこないと、知らないうちに不満を感じ始めてしまう。こうした、日常に起こり得る気づきが散りばめられた作品だったと思う。
自分は絶対に人を傷つけるわけがない、と思っている人にぜ -
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今はもう会えない人や帰らない時間を思いつつ今を生きていく人たちの短編集。
著者の「この本を読むことで、私たちのあいだに存在する普遍的な何かに触れると同時に、私たちの違いについても具体的に経験してくれればと思っている」という願いがまさに当てはまった本だった。
名前の覚えづらさや、過去と現在を行き来する構成などもあって、何度も「んん?」となりつつも最後まで読みたくなる、そんな話が多かった。
身近な人に素直に優しくできなかったり、酷いことを言ってしまったり、そういう後悔ってきっと誰にでもあるんだろうな、と感じる。
読み終わってこっちの世界に戻ったときに、外からは分からなくても、誰だっていろいろ乗り -
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「わたしに無害なひと」とはどういう人なのか。
それは時々ふと思い出すような人だと考えます。
多くの人がそうであるようにわたしも中学校や高校の友達とは既に疎遠になってしまっています。
少し悲しくなる時もありますが、人は変わるのは当たり前でたとえ今連絡を取り合ったとしても共通点が無い限りまた頻繁に会うようになることは中々ないでしょう。
しかし、会わずとも時々その時の記憶を思い出して相手の健康と幸せを願うことがあります。
たとえその相手との記憶が少し苦いモノであっても、わたしの人生において印象に残った人としてずっと忘れることはない相手です。
少なからず私を成長させてくれたり、私に新しい感情を与え -
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いろんな、若者が出てきた。
それぞれが、その状況を生きていて、
人間の醜さ、弱さ、頼りなさ、幼さ、やるせなさ、、、
大人になる中で、大人になっても自分は不完全のままだと気づく経験と重なったり。
付き合う人との関係、兄弟姉妹関係、親子関係、
後になって勝手に感じる相手の心の痛みとか、
繊細な心の動きを感じながら、自分の心も動かされる。
タイトルの無害な人、ってなんなんだろう。
傷つかない、と思っていても傷ついていたり、
傷つけない、と思っていても傷つけていたり、
それは本当に自分勝手でもあり、意識ではコントロールできないこともあるからこそ癒えるのにとても時間がかかったり、
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離婚をし、心に深い傷を負った私は、9歳の頃に祖母の家で十日ほど過ごした思い出の地ヒリョンに住む。
祖母と思いがけない再会をした私は、祖母と曾祖母の生きてきた時代を知ることになる。
日本の統治下を生きた曾祖母は、被差別民の白丁出身であり、その娘に生まれた祖母は朝鮮戦争時の避難民だった。
母は、曾祖母と祖母の歴史の被害者となった挙句、今も婚家から軽んじられている。
身分の違いや女に生まれたという理由だけで、ありとあらゆる差別と侮蔑を受けていた時代。
曾祖母や祖母、母、私へと繋がる百年の物語。
我慢すれば事は治ると母は言っていたことを思い出した。
今はそんな時代ではないけれど、それでも婚家と -
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『あの夏』想い合っててもどうしょうもなく育ってきた家や生きてる環境が違うことが浮き彫りにされる感じつらい気持ちになる レズビアンバーでの夜のいたたまれなさ…
『六〇一、六〇ニ』始終むかむかするし暗い気持ちになる終わり方だったな… こういう話見る度に新鮮に憤りを覚えるけど、一方でこういう家庭はありふれてたんだろうなと思う(なぜなら同じような話を映画でも小説でも何度も見かけるから…) タイトルはマンションの部屋番号かな
『告白』ジニにカミングアウトされるくだりのミジュの反応や後悔の内容が自分が書いたんか?ってくらいそのまま自分の経験だったので胸が苦しくなった………