チェ・ウニョンのレビュー一覧

  • わたしに無害なひと

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    高校生の時に購入したが途中で離脱してしまったものを数年ぶりに読み返した。今だから理解できるシーン、共感できる心情が多くあったように感じる。

    友人、恋人など人との関わりの中で、「愛ほど不公平な感情はない」という。どんなに愛し合っていたとしても、相手よりたくさん愛している人と、相手の方がたくさん愛している人が存在してしまう。愛とはそういうものなのだ。しかし、私も含め多くの人はら自分がこんなに尽くしたのに相手から同じ対価が返ってこないと、知らないうちに不満を感じ始めてしまう。こうした、日常に起こり得る気づきが散りばめられた作品だったと思う。

    自分は絶対に人を傷つけるわけがない、と思っている人にぜ

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    2025年05月24日
  • わたしに無害なひと

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    今はもう会えない人や帰らない時間を思いつつ今を生きていく人たちの短編集。

    著者の「この本を読むことで、私たちのあいだに存在する普遍的な何かに触れると同時に、私たちの違いについても具体的に経験してくれればと思っている」という願いがまさに当てはまった本だった。
    名前の覚えづらさや、過去と現在を行き来する構成などもあって、何度も「んん?」となりつつも最後まで読みたくなる、そんな話が多かった。
    身近な人に素直に優しくできなかったり、酷いことを言ってしまったり、そういう後悔ってきっと誰にでもあるんだろうな、と感じる。
    読み終わってこっちの世界に戻ったときに、外からは分からなくても、誰だっていろいろ乗り

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    2025年05月21日
  • 明るい夜

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    大きな物語だった。
    苛烈な生涯に翻弄されながらも生きて、生きて、生き抜いた女性たちの物語。
    どの世代の彼女の物語にも「私は絶対に、なにものにも侵されない」という強い意志があり、静かな筆致ながらとてもパワフルだった。
    日本占領下の韓国のパートなど、読んでいて辛い部分もあるのだけど日本人こそ読むべきではないだろうかと思う。そこで生き抜いた人たちが存在していたこと。

    高祖母、曽祖母、祖母、母、そして私と、いろんな代名詞が出てきてそれが複雑に入り組むときがあるのでたまに今の話は誰?となるのだけどそのうち慣れる。

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    2023年07月23日
  • わたしに無害なひと

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    ヒリヒリする本だった。執拗なまでに確固たるものとして現前する家父長制、そこで生じる理不尽な暴力。無関心を装った自衛に、心の内側に抱え込んだトゲのある気持ち。愛ゆえに互いに寄りかかれないもどかしさ、やり切れなさ。本当なら目を背けたい事実や感情が、淡々と活字を追うごとに剥き出しになっていく。自分の中で忘れたいような気持ちが、時おりグイッと引き出される感覚があった。

    近年の韓国映画のあらすじで見たような短編がいくつかあった。そこらへんの映画も観ようと思った。

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    2025年03月31日
  • わたしに無害なひと

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    なかなかよかった。
    人と人は違う個体で所詮他人。近しく大切なはずの人と、本心とは別に望まぬともすれ違い、心に距離ができてしまう時がある。そんな瞬間を、あるいはその後を短編を繋ぎながら丁寧に描いていると感じた。韓国と日本。その感性も当然ながら違うところもあれば、同じところもあるね。

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    2021年12月11日
  • わたしに無害なひと

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    「ショウコの微笑」の著者とは。

    あとがきにある〝差別に物語で立ち向かいたい〟という姿勢のごとく強く沁みる短編7篇。

    ハンガン、ファンジョンウンに続き、ずっと追い続けたい作家がまたひとり。

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    2021年11月30日
  • わたしに無害なひと

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    繊細で切ない、映画のような描写。
    若くて、無知で、傷つけてしまった人たちへの祈るような思いに泣きそうになってしまった。

    まえがき、あとがきからも著者の誠実さが痛いほど伝わってきて、ファンになってしまった。

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    2021年01月22日
  • わたしに無害なひと

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    「わたしに無害なひと」とはどういう人なのか。
    それは時々ふと思い出すような人だと考えます。

    多くの人がそうであるようにわたしも中学校や高校の友達とは既に疎遠になってしまっています。
    少し悲しくなる時もありますが、人は変わるのは当たり前でたとえ今連絡を取り合ったとしても共通点が無い限りまた頻繁に会うようになることは中々ないでしょう。

    しかし、会わずとも時々その時の記憶を思い出して相手の健康と幸せを願うことがあります。
    たとえその相手との記憶が少し苦いモノであっても、わたしの人生において印象に残った人としてずっと忘れることはない相手です。
    少なからず私を成長させてくれたり、私に新しい感情を与え

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    2020年08月09日
  • わたしに無害なひと

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    「アーチディにて」◎
    真面目にではなく、自由に生きられたらどんなに楽か。人は簡単には変われない。真面目にしか生きられないハミンにも救いがあってほしい。

    「わたしに無害なひと」タイトルにとても惹かれました。人と関わる限り、自分に「無害なひと」はいない。それを受け入れること、乗り越えることのつらさ、尊さ。

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    2020年08月01日
  • わたしに無害なひと

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    この本で出会う人たちは「わたし」を慈しみ、守り、愛しこそすれ誰もわたしを傷つけなかった無害な人たち、そのひとたちを害してしまった「わたし」の物語たちなのだと気付くとき、書名に込められた深い祈りを見たような気がした。
    通り過ぎてきた過去の悔恨へ祈る静謐な文章。

    なかでも「あの夏」に一番心臓を掴まれたけれど、他の物語にもそれぞれの祈りがあって、程度の大きさはどうあれ誰しもに覚えがあるであろう過去の後悔の形が丁寧に丁寧に切り取られていた。
    疎遠になった人、もう会うことはないであろう人たちのことを思った。

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    2020年07月31日
  • わたしに無害なひと

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    "寂しさはどうすることもできないのだと考えていた。人に執着するようになると傷つくし、ぐちゃぐちゃになるし、ひねくれると思っていたから。ねちねちして歪んだ人間になるくらいなら、いっそのこと超然としている孤独な人間になるほうを選びたかった。"(p.122)


    "どうして理解しなきゃいけない側は、いつも決まっているんだろうか。"(p.131)


    "あんたになにがわかるのよ、あんたになにが。それは心のねじれた人間特有の誇示の仕方だった。"(p.140)


    "あなたはあなたの人生を生きるはず。"(p.333)

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    2020年06月13日
  • わたしに無害なひと

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    たまには韓国文学にも触れてみようと思って。スラスラと読めて面白い。ずっと心の奥でモヤモヤしていた若かりし頃の後悔や自己嫌悪が、ストレートに言語化されている。当時は自分で自分が何を考えているのか分からず、昔のことを思い出しては嫌な気持ちになってしまう背景には、こういう感情や思考があったからなのかも…と、遅ればせながら自己理解を深めている。

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    2025年10月19日
  • わたしに無害なひと

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    いろんな、若者が出てきた。

    それぞれが、その状況を生きていて、

    人間の醜さ、弱さ、頼りなさ、幼さ、やるせなさ、、、

    大人になる中で、大人になっても自分は不完全のままだと気づく経験と重なったり。

    付き合う人との関係、兄弟姉妹関係、親子関係、

    後になって勝手に感じる相手の心の痛みとか、

    繊細な心の動きを感じながら、自分の心も動かされる。

    タイトルの無害な人、ってなんなんだろう。

    傷つかない、と思っていても傷ついていたり、

    傷つけない、と思っていても傷つけていたり、

    それは本当に自分勝手でもあり、意識ではコントロールできないこともあるからこそ癒えるのにとても時間がかかったり、

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    2024年09月01日
  • 明るい夜

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    夫の不倫で結婚生活を終わりにした私は、祖母の住んでいるセリョンに引っ越しをした。祖母とは長いこと交信をしていなかったが…。セリョンの天文台が職員を募集しているのを見つけて応募した。採用されると、住まいを探し、小さな車に荷物を積んで引っ越しをした。これからセリョンで生活が始まる。そして祖母のことや、曾祖母のことなどを聞く。曾祖母、祖母、母、そして私の四世代の話。女性にとって厳しかった時代を過ぎてきた祖母の話…。祖母の視点か、祖母を見ている人の視点か、誰の話をしているのか、時々戸惑ってしまうことがあった。

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    2023年10月25日
  • 明るい夜

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    離婚をし、心に深い傷を負った私は、9歳の頃に祖母の家で十日ほど過ごした思い出の地ヒリョンに住む。
    祖母と思いがけない再会をした私は、祖母と曾祖母の生きてきた時代を知ることになる。

    日本の統治下を生きた曾祖母は、被差別民の白丁出身であり、その娘に生まれた祖母は朝鮮戦争時の避難民だった。
    母は、曾祖母と祖母の歴史の被害者となった挙句、今も婚家から軽んじられている。
    身分の違いや女に生まれたという理由だけで、ありとあらゆる差別と侮蔑を受けていた時代。
    曾祖母や祖母、母、私へと繋がる百年の物語。



    我慢すれば事は治ると母は言っていたことを思い出した。
    今はそんな時代ではないけれど、それでも婚家と

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    2023年10月04日
  • わたしに無害なひと

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    人は人との関係で影響を受けたり
    影響を与えたりする。
    他人との関わりの中で良いことも悪いことも
    無害でいることなんてできないんだなぁ。

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    2023年04月07日
  • 明るい夜

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    日帝時代から朝鮮戦争、軍政下を経て現代まで、声をあげられなかった女性4世代の物語。

    耐え忍び我慢することが、次の世代によりよく生きてもらうための最良の道と信じるのが親であれば、その姿に我慢できないのが子供なのかもしれない。

    いつか夜が明るく照らされますように。

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    2023年02月20日
  • わたしに無害なひと

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    相手のことを思っているはずなのに自分のことを優先に考えていることが、自分にも相手にも分かってしまう。他人の話に思えるが、自分にも当てはまることがあるかもしれない。

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    2021年11月01日
  • わたしに無害なひと

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    ここ最近立て続けに読んでいる韓国文学。こちらは短編集。過ぎ去った過去に置いてきたものを、あらためて目の前に置かれるような感覚。あの夏は、誰にもあったんじゃないのかなぁ。

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    2021年10月28日
  • わたしに無害なひと

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    『あの夏』想い合っててもどうしょうもなく育ってきた家や生きてる環境が違うことが浮き彫りにされる感じつらい気持ちになる レズビアンバーでの夜のいたたまれなさ…
    『六〇一、六〇ニ』始終むかむかするし暗い気持ちになる終わり方だったな… こういう話見る度に新鮮に憤りを覚えるけど、一方でこういう家庭はありふれてたんだろうなと思う(なぜなら同じような話を映画でも小説でも何度も見かけるから…) タイトルはマンションの部屋番号かな
    『告白』ジニにカミングアウトされるくだりのミジュの反応や後悔の内容が自分が書いたんか?ってくらいそのまま自分の経験だったので胸が苦しくなった………

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    2021年07月06日