宇田川元一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
黒字だから安心ではない。現在の日本で増えている緩やかに衰退する企業体質を変革すノウハウが詰まった一冊。
企業変革というと、大きな赤字を抱え、会社が倒産の危機を迎えている時に動くイメージがあるが、ここで取り扱われているのは徐々に勢いが下がり、黒字ではあるがこのままいくと数年、十数年先に危機が訪れる会社での変革。実は多くの日本の大手企業は該当するのではないかと感じた。
特に多いのは、一度出来上がった優秀なビジネスモデルにあぐらをかき、そのモデルを維持するために分業化、オートマチック化をした結果、新たな一手を生み出す構造がなくなった企業。
もちろん、ダウントレンドであるのは理解していても、現業をそ -
Posted by ブクログ
一方的に解決できない4タイプの「適応課題」
・ギャップ型:大切にしている「価値観」と実際の「行動」にギャップが生じるケース
・対立型:互いの「コミットメント」が対立するケース
・抑圧型:「言いにくいことを言わない」ケース
・回避型:痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために、逃げたり別の行動にすり替えたりするケース
これら4つのタイプに共通する点は、どれもが既存の技法や個人の技量だけで解決できない問題であり、もっと言えば、人と人、組織と組織の「関係性」の中で生じている問題だということです。
また、少し俯瞰してこれら4つを見てみると、大事なことに取り組んでいない・できないという共通点があ -
Posted by ブクログ
ナラティブの溝を乗り越えるための対話には痛みが伴う。
それは怖いことかもしれないが、今までもそうやって他者との関係性を構築してきたと思う。そして改めて振り返ってみると、長く深く付き合いがある人たちとはそのような機会を一度もしくは何度か経て今の関係性があるような気もする。
対話から逃げず、向き合い続けていきたい。そんな勇気を大切にしたい。
以下は個人的メモを元にしたまとめ
---
適応課題(≒ナラティブの溝)を乗り越えるためには新しい関係性の構築が必要であり、それが「対話」である。
お互いに「分かり合えないこと」を出発点として、ナラティブの溝を渡れるような橋をかける。
そのためには自分の -
Posted by ブクログ
ネタバレ埼玉大学の准教授である宇田川元一氏の著作。
ありていに言えば、共感やエンパシー(empathy)で乗り越える組織論、といったところ。
・・・
この著者の宇田川氏、エピローグとプロローグがすごい。
人に言いふらすようなことではないけれど、中小企業の父親が銀行に唆されて株取引に手を出し、借金をする。その父が亡くなり、家族総出で借金返済に死に物狂いになるという体験をしてらっしゃる。
死にたいのを踏みとどまり、普通に生きる。亡き父親を怨む。父を騙した銀行を恨む。このような体験を経て、どちらも許したわけではないけれど受け入れるという心境に達した彼の方法論は、ある意味で「悟りの境地」に近いように感 -
Posted by ブクログ
現状認識と提言に分けてまとめると、以下のようになります。
【現状認識】
慢性疾患企業の特徴
・組織全体が無能化し、個々の能力不足ではなく組織の仕組みに問題がある。
・経営層が一致団結しておらず、戦略が曖昧なため、現状維持が続く。
・部門間で対立が生じ、相互の理解不足が改革を妨げている。
戦略の不明確さ
・戦略が具体的な課題解決策として明確化されていない。
・数値目標や方向性の提示にとどまり、実行力を欠いている。
DX推進の課題
・部門ごとにDXの意味合いが異なり、統一した理解がない。
・過去の成功体験が組織の惰性となり、変革の妨げになっている。
コミュニケーションの不足
・部門間や上下関係のコ -
Posted by ブクログ
第2章
p.64 企業変革に必要な4つのプロセス
1. 全社戦略を考えられるようになら:自社の将来的な方向性を示す全社戦略を構築
2. 全社戦略へのコンセンサス形成
3. 部門内での推進
4. 全社戦略•変革施策のアップデート
第3章 構造的無力化はなぜ起きるのか
p.95 組織の断片化が進むと、環境に対する認知の幅は矮小化する。その結果ら現在の事業枠組みの外で起きる環境変化をうまく捉えられなくなり、あるいは何が新しい変化の兆しを捉えてもらそこから新たな事業を構築したり実行したりすることが難しくなる。これを本書では問題の「不完全化」という。
第4章 起業変革に必要な3つの論点
p.116 -
Posted by ブクログ
組織が変わる――行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2
著:宇田川 元一
この本では、組織における行き詰った状態を「組織の慢性疾患」、その状況と自身の関わりに気付き、慢性疾患に一歩ずつ取り組み続けるプロセスを「セルフケア(自分自紙をケアすること)」と捉え、膠着した状況を動かすヒントをつかむ「2on2」という対話の方法を紹介している。
この対話の実践を通じて、組織が変わることを目的としている。組織が変わるとは、自身のみならず、周りのメンバーが見えている組織の風景が変わること、組織の中の様々な出来事の意味が変わることである。
構成は以下の8章から成る。
①組織で対話が必要な理由
②