宇田川元一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレどんな企業も、似たような課題を抱えている。自分たちの会社だけではないのだと思うと、少し希望が湧いてくる。なぜなら、この複雑な問題を乗り越えられれば、他社よりも強い組織になれるかもしれないからだ。
企業が抱える課題は、急性疾患のようにすぐ対処できるものではなく、慢性疾患のようにじわじわと組織の活力を奪っていく。みんな真面目に働いているのに、なぜかうまくいかない。そこに単純な悪者はいない。
本書では、分業やルーティン化によって組織の断片化が進み、仕事の進め方だけでなく、常識や価値観まで部門ごとに異なっていく過程が描かれている。ここでの具体例はどれも自分の職場に当てはまるものばかりで、思わず笑ってしまった。
組織変革に必要なのは、多様な解釈を認めること、目の前の課題を掘り下げて戦略を練ること、そして一人ひとりが仕事に手応えを感じられる状態をつくること。特に、自社が何を変えずに守っていくのかを明確にし、対話を通じて共通言語を育てていくという考え方が印象的だった。
また、変革を支援する側は、正解を提示するのではなく、当事者に伴走する存在であるべきだという。相手を治療すべき対象として見るのではなく、本人が感じている苦痛や人間関係など、その人や組織ならではの固有性を認める。著者はこれを「ケア」と表現している。
組織の問題を誰かの能力不足や意識の低さに帰結させるのは簡単だ。しかし、それぞれが真面目に働いているのに、全体としてうまく機能しないことがある。その複雑さを理解し、人と組織に向き合い続けることこそ、変革を進めるうえで大切なのだと思った。バイブルにしていきたい1冊である。 -
Posted by ブクログ
次のキャリアの学びのために手に取ったが、社内の新規部隊にいる今の自分に強烈に刺さった。
信頼関係を築くために、アイスブレイク、笑顔、直接足を運ぶといった表面的な行動は意識してきたものの、根本的な対話の姿勢が見えていなかったと痛感する。
どうしてもすぐ「正論」で返し、自分のナラティブを押し付けてしまっていた。今まで何度溝に落ちたことか。
相手目線でいうと、「正しい説明という暴力」になっていた。
エビデンスの有無に限らず、自分のナラティブは一度脇に置いて、「相手のナラティブが何なのか」を丁寧に観察するところから始めたい。仕事はもちろん、プライベートも含め、人と関係性を築くあらゆる場面で立ち返りたい一冊。 -
Posted by ブクログ
少しずつ収益性が低下し、衰退の道をたどる、企業をどのようにして変革するか?
新規事業の組織を作ったり、エンゲージを高めたり表面的な対応だけでは、組織は変わらない。目先の問題の背後に生じている重要な問題を掘り下げ、地道な対話的実践が必要。
現場の自発性の不足は、リーダーが打ち出す戦略の不明確さや、個々のメンバーがその戦略の中での自分の位置づけを見出せないことが原因。
危機感の有無よりも重要なのは、組織の問題が、メンバー自身の日々の実感と同つながりがあるか、当事者が自分でもできることがあると感じられるか。
戦略を伝える側は、聞き手の言葉で語らなければならない。実践あるのみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現在DXを推進する身としてとても参考になったし刺さるものばかりだった。最低限のポイントを下記のおこしておき、また読み返したいと思う。
この本で語るのは課題がわかりやすい変革ではなく、会社が傾くほどじゃないけど徐々に衰退している感じがあるが、それが何かよくわからない、つまり問題が何かよくわからない状況に対しての変革だ。表層の問題に気を取られて目先の解決策を講じるのではなく、その背後にある、より複雑で重要な問題に取り組もうとすること。改革目線だけではダメで相手の立場に寄り添い一緒に課題を考えることが必要。人事部による片方向のエンゲージメント調査、改善は良くない例と言える。対立してはいけない。
変革を止める問題は多義性、複雑性、自発性の3つ。課題を聞く際には表層的な課題ではなく、その奥を理解すること。そしてそれに至った経緯を聞くことが大事。 -
Posted by ブクログ
リーダーシップやチームビルディングのビジネス本はたくさんあるけれど、そうしたものとは一線を画す、仕事だけでなく他者とのコミュニケーションを伴うあらゆる場面で応用できる考え方。
単なるhow to本ではなく、自分以外の誰かとの協業、共生をナラティブアプローチや対話という切り口でどのように捉えれば良いのか本質的な考え方を知ることができる。人間関係のモヤモヤがとても的確に言語化されていて読みながら自分の思考も整理されていく感覚が得られた。
対話と言われるとなんとなく抵抗感を感じる人も、ぜひ読んでみてほしい。想像してた”対話”とちょっと違って前向きになれる一冊。
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Posted by ブクログ
組織内において「自分と相手のナラティブ(解釈の枠組み)の違い」を認め、関係性を生み出していく方法を説いた本です。
既存のスキルや知識(技術的課題)では解決できない、人と人の関係性や価値観に根ざした問題を「適応課題」といい、それに向き合って解決する手法が「対話」です。
相手をどう見ているかという「自身のスタンス」に気づくことが対話の第一歩。相手を目標達成のための「道具」として見ている【私とそれ】の状態に気づき、相手を、自分とは異なる背景(ナラティブ)を持った「替えのきかない存在」として尊重する【私とあなた】の状態にシフトし、【連帯】を築いていきます。
本書では、準備→観察→解釈→介入の『対話の4ステップ』を指南しています。特に自分のナラティブを一旦脇に置き、相手を「別の物語の主人公」として認める「準備」の段階が、画期的です。どうしても自分の事情・価値観に偏りがちですが、相手を尊重しつつ、自分も蔑ろにするわけではないフラットな視点で見るということを、「一旦置いておく」と表現しているのが絶妙です。
「正しい説明」で相手をねじ伏せるのは対話ではありません。たとえ不快な相手であっても、「もし自分が相手の立場なら同じように振る舞うかもしれない」という可能性を受け入れ、自分と他者のつながりを見出すことが、自分を救うことになると本書ではまとめています。対話の実践で、この感覚を体得したいです。