宇田川元一のレビュー一覧
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何だか心が温かくなる不思議なビジネス書。
戦略という言葉には、「戦略を考える人」と「それを実行する人」という支配関係を、無意識的に組織の中に創り出す作用があるかもしれないことに気を付けるべきという警鐘を鳴らしてもらった感じ。
本書の骨格である下記を、時折自分の中で噛み締めるだけで、得られるものはたくさんありそう。
準備:溝に気づく
・自分から見える景色を疑う
・あたりを見渡す
・溝があることに気づく
観察:溝の向こうを眺める
・相手との溝に向き合う
・対岸の相手の振る舞いを良く見る
・相手を取り巻く対岸の状況をよく見る
解釈:溝を渡り橋を設計する -
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ネタバレ著者は宇田川元一氏。1977年生まれ、経営戦略論や組織論が専門で、現在は埼玉大学の准教授。同じく宇田川氏の「他者と働く」とても良かったので、こちらの本も読みました。
感想。いい本だ。私の現実に最適だ。
備忘録。
・それぞれの仕事の範囲で正しいことをしている人たちが集まることで、結果として、新しいことを生み出せないことが起こる。やがて企業は停滞する。
・組織の断片化、思考の幅と質が制約され、各部門が目先の課題解決を繰り返し、徐々に疲弊。合理的に分業していく先に、硬直化、組織劣化が。これを本書では「構造的無能化」と表現。
・問題の全容がはっきりとわからない、風土の問題や意識の問題と、整理 -
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宇田川元一、企業変革のジレンマ(2024)、日本経済新聞出版
読む前から、今年一番心に響く本になるだろうな思ってましたが、その通りでした。この本をベースに壁打ちをしたい!
----本文より-----
「構造的無能化」とは何か
組織の断片化が進む中で思考の幅と質が制約され、それぞれの部門や部署で目先の問題解決を繰り返し、徐々に疲弊していく企業の姿である。現在の事業をより効率的に、合理的に実行しようとするために分業化が進む。ルーティンが定まってくることが、結果的に組織内の視点の硬直化をもたらす。
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「構造的無能化」とは、慢性疾患的なものと表現されています。慢性疾患な -
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「企業変革とは、経営層、ミドル層、メンバー層によらず、組織に集う一人ひとりが、考えて、実行する力を回復すること、そしてそれぞれが、その企業をよりよいものにしていけるという実感を持てるようになることである」「企業変革には様々なジレンマがある。変革は未来から求められるが、私たちは今日の仕事の成果を求められる。未来と今日の間のジレンマは避けられない。そのような中で、私たちはどうすれば、変革を進めることが出来るのか?」―本文より
その答えを知りたくてこの本を読みました。最後に著者は、「変革することには合理性がなく、未来の利得のための幻をおうようなことだから困難である」と書いています。私は変革の合理性を -
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ナラティブを客観視する方法として、1on1を発展させた2on2という手法を学んだ。
運用する側・実施する側のスキルもある程度必要になるとは思うが、有効な方法のように思えた。自身の周りでは1on1による問題発見から始めてみようと考えているが、本書にあるような壁にぶつかった際は2on2の技法も取り入れてみたい。
前著の「他者と働く」から引き続き感じることは、問題解決は当事者が主体的に取り組むから意味があるということ。そのためには問題やその背景を自分事に引き寄せる必要があり、また職場の仲間等の周囲の人間ともその文脈は共有する必要がある。これが、他者のナラティブを理解し、また他者とともに新たなナラティ -
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2025.12.06 2回目
緩やかに進む構造的無能化により会社は危機を迎える。自分が役員になって改めて向き合う。
これまで立ててきた戦略、やりたいことを再整理し、
問題の二重性(表層的な課題の裏側にある本質的な問題)を多義性を踏まえ捉え直す。なぜ上手く行かないのか?
プロのデザイナーであることは顧客の課題ジョブを解決できることと等しいのか?プロのデザイナーとは?
何をすべきか?統合的戦略と実行への道筋。道筋は部門長と協議。
浸透させようとするのではなく、その人にとってどのような意味があるのかを伝える。
自分の成功体験の分析、営業とデザイナー、同居する価値の検討。
現状を乗り切りたいだけか? -
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ずっと気になっていた一冊。
「構造的無能化」に陥っている事例の解像度が高過ぎて、ハッとさせられることが多かったです。管理部門の人が読んで「わかるわぁ」と感じる度合で言ったら過去に読んだ本の中でも群を抜いている気がします。
一方で、そこの打ち手については、別の書籍で学んだことが多く記されており、私の場合は「なるほど!」と新しい気づきを得るというより、「あ、ここと繋がってくるのか」と再確認するような感覚で読んでいました。
(それを私が普段の業務で実践できているかどうかはまた別の話)
かなり網羅的に語られている分、打ち手についてはこれを読んだ後に「じゃあ何から始めようか」と考え始めてもいいかもし