なんの話か?と思うような断片的なエピソードが重なり、人物像があらわれてくる。
エピソードの中にはかなり生理的に受け付け難いものもあり、主人公たちが受ける心の傷を理解できる。
理解はできるけれど、なんで、もう、そんなにも不器用なの?なんでそんなに、あちこちつまづくの?さらっと流して行けないの???
と
...続きを読む言いたくなるような不器用すぎる人生にイライラしっぱなし。
拒食気味で偏屈なアリーチェと、自閉症気味のマッティア。
他人も巻き込んで、はた迷惑ながんこさ。
拒食で出産を拒否する妻に絶望して去っていく、アリーチェの夫ファビオは被害者とも思う。
その時に、アリーチェは9年ぶりにマッティアに連絡を取る。魂の半分ともいえそうな相手とふたたび会い、今度こそうまく行くかと思ったが、ファビオと破綻したとしらなかったマッティアは、彼女のもとを去る。運命と相手との決定的なすれ違い。
それでも読後感がいいのは、2人が共に前を向いたから。あの時ああしていたら、という思いと決別していく。
お互いに愛しあっていることを、お互いわからずに、それでも、別れることに納得した時に前を向いていける。
運命の相手よりもなお、自分自身と向かい合うことが2人を変えていく。イタリア的なBildungsromanとでも言えそう。