パオロジョルダーノのレビュー一覧

  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    体に傷を負った少女と心に傷を負った少年の
    孤独な1人と1人の物語。

    2人が出会う前、出会ってから、離れたり
    再会したりする中でそれぞれに「救い」の
    存在を探し求めながら成長していく姿が
    描かれている。

    事故で片足が動かなくなった少女アリーチェと、
    知的障害がある双子の妹を自分の故意による
    行動によって失ったマッティア。
    同じ場所にいてもそれぞれの孤独が明確に
    存在していて特にマッティアの孤独は深くて
    救いはどこにあるのかと感じる。
    たとえ神様が妹を蘇らせてくれても彼は救われ
    ないのかもしれない。

    これだけ孤独を書いているのに物語のそこかしこに
    瑞々しさを感じるのは若い2人が主人公だからか

    0
    2021年04月28日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    イタリア人作家にして、素粒子物理学専攻の博士課程修了という著者による、2020年3-4月頃、つま新型コロナの感染がイタリアでも拡大し始めた頃の病名COVID-19、ウィルス名SARS-CoV-2の感染症に向き合い、コロナ後も忘れたくないことといった視点での科学者・数学者的なエッセイ集。
    CoV-2には、まだ感染させることができる感受性人口が(当時で75億人近くと)大きいことから、感染を避ける生活行動でアールノート(R0:基本生産数)を1より小さくすることが大切であること、そして感受性人口から感染を経ずに(もう感染させることができない)隔離人口に移行させることなど、感染症対策の基本的な精神が伝わ

    0
    2021年03月25日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    単にコロナ禍でのイタリアの状況を述べたものでなく、コロナ感染拡大の中で、個人の内面と向き合い、そこから人類全体が抱える問題にまで思索を巡らしている点が良かったです。
    また後書きが素晴らしく、コロナ収束後の「忘却」について触れている部分は皆が読むべきでしょう。

    0
    2021年02月27日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    この「まさかの事態」を忘れないために。

    誰が何を言って、誰が何を言わなかったのか。すでにもうかなりのことを忘れかけている。間違いなく世界の歴史に重大な出来事として刻まれるだろう、新型コロナウイルスによる感染症の全世界的な拡大。それぞれが、それぞれの場所で、それぞれの日々を生きている。その、イタリアの一人の作家の声。

    著者の声は極めて冷静で、真面目。楽天的すぎず、悲観的すぎない。わからないことに対して、性急な結論を求めない。書かれた時期もあるのかもしれないが、ひたすら待つ姿勢だ。

    考えよう、家にいよう、自分を見つめよう。この「まさかの事態」に耐え、この経験から学ぶために。それがよりよく生き

    0
    2021年02月21日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    この本は2020年2月、3月のイタリアで書かれ、4月に日本で出版された本である。
    そこから1年近くが経過し、まだ私たちはコロナの時代の渦中にいる。終息の目処さえ立っていない。

    忘れたくない、とコロナ禍の初期段階で終息後の私たちに投げかける言葉を記した著者。
    コロナ疲れなんていう言葉が生まれる私たち、にだ。

    0
    2021年02月08日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    イタリアの物理学者が描く恋愛小説。繊細過ぎる二人のすれ違いが、もどかしくて仕方がなかった。最後は、二人ともがそれぞれの道に進んでいくことになり、残念だけど、ひとまず安心すべきなのかもとも感じた。二人はまさに素数に象徴されるような孤独を生きている。スクールカーストのような関係や親子関係とか、万国共通だなと思った。
    もっと他の作品も読んでみたい。

    0
    2021年01月26日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    不謹慎かもしれないが、人類史の中でこういった特殊な出来事に遭遇できたことはある意味貴重な経験だと思っている。この騒動が収まったあとに、渦中の出来事を記しているものは自分にとっても、家族にとっても価値が出るだろと思って購入。
    公的なデータを引用していたり、事実と推測はある程度分かるように明言されていたり、印税の一部を医療従事者に寄付することが明言されていたり、随所で作者の思慮深さを感じることができた一冊だった。

    0
    2021年01月03日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    冷静な科学の視点と、小説家らしい感性に訴える文章で、今の状況とどう振る舞うかを分かりやすく分析している。良い本だった。

    0
    2020年11月21日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    いろいろあってあんまり読書が進まずで感想文もサボってました。ということで話題になったこれ、読んでみました。作者は素粒子物理学の博士課程をでているイタリアを代表する作家さんだそうな。コロナがかなりきついタイミングのイタリアで書かれたエッセイだけどページ数も少なくてさらっと読めてしまう。内容に特に目新しい言説もなくだいたい世間で言われている内容のど真ん中、という感じではあった。ではどこが優れているのかというと日本語版に特に収録されたという「あとがき」が良かった。noteの早川書房のサイトでまだ公開されているみたいだから興味持たれた方は一読されても良いかもしれない。(リンクつけときました)特に自分が

    0
    2020年11月16日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    これが書かれた2020年4月から11月の今までの間に、それでも、かなりの進展があったのだなあと思いながら読んだ。イタリア的なものと、科学への揺るぎない信頼と。

    0
    2020年11月02日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    素数とは1とその数字以外に約数を持たない数字。つまり他の数字と共通点がないということになるだろうか。
    アリーチェは幼い頃に習っていたスキーの練習中の事故で足に傷を負い、引き摺って歩かなければならなった少女。
    マッティアは幼い頃に双子の妹を亡くしてしまった事に責任を感じている自閉症気味の少年。しかし、数学については天才的な才能がある。
    この一見、何の共通点もない二人が出会い、お互いに強く惹かれだす。しかし、反発も生まれる。

    双子素数というものがある。一つの偶数を挟んで隣り合う素数だ。11と13とか。
    隣り合い、同じ素数という惹かれ合う関係でありながら、素数であるが故にそれ以外に共通項がない二人

    0
    2020年07月13日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    1と自分の数字以外では割ることができない素数になぞらえた、それぞれが深い闇を抱えた男女の、運命的な出会いから、時に交わりながら歩んでいく孤独な人生譚。
    独特なトーンで進んでいく物語は、不思議な吸引力を放ち、決してハッピーではないのに、なんともスッキリとした読後感を与えてくれる。

    0
    2020年06月21日
  • コロナの時代の僕ら

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    免疫が必要なのは身体システムだけじゃない。社会システムも、感染症に対する免疫が必要だ。
    リモートワークが定着し、業務システムが急速にDXを推し進め、世界は
    狭くなったと感じる人も多いだろう。しかし、僕は全く逆の視点から、世界は狭くなったと感じる。(対面営業じゃないと成約率が悪いと危惧する部長、オンライン会議だと議論が活発化しないと危惧する部署が例)コロナ化を通じて、逆に人は目の前の人や物事にしか本当に向き合うことはできないのだと感じた。家族との時間が増え、自宅の環境が整い、休日はいつもは通り過ぎていた公園に本とコーヒーを持って出かけるようになり、近場の飲食店で食事を済ませるようになった。公園の

    0
    2020年11月26日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    最初の数章は、独立した短編小説のよう。物語が繋がっていくのが謎解きみたいで、知らず知らず引き込まれる。

    0
    2019年11月16日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    どうして人は誤っていることを承知で間違った選択肢を選んでしまうのでしょう。
    誰だって孤独は辛いものなのに。

    0
    2014年01月15日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    タイトルに惹かれて手にとった。読み終えて双子素数という言葉を噛み締めジンワリ。終わり方好きだなぁ。
    ハヤカワepi文庫はいい本多い。

    0
    2013年09月23日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    とにかくふたりがつらい。ずっとつらい。20年近くもつらい。それでも読まずにはいられなくて読み進むのですが途中本当に凹みました。ラストも、こうしか無いだろうな……という感じ。面白かったと言っていいのかよく分からない。とにかくすごい引力を感じる物語でした。

    0
    2013年09月18日
  • 素数たちの孤独

    Posted by ブクログ

    なんか淡々と感情に流されずに話はすすむ
    素数なので交わることはないのだろうか
    最後がなあ、やっぱり素数だからかなあ

    結婚式の写真のエピソードは痛快
    その後のフォローはどうなったんだろうか

    0
    2013年09月16日
  • タスマニア

    Posted by ブクログ

    良書ではあると思うものの、気候変動や紛争、原爆など様々な現代問題を取り上げているとあって期待していた分、肩すかしの内容だった。もう一歩を期待していた。

    どれに対しても明確な答えには行きつかないし、原爆については日本人としてはもう少し丁寧に扱って欲しい題材とすら思ってしまった。単なる物語の構成の一つにされているような感覚があった。
     "ひとはたったひとりの男の子の物語によって全世界を嘆くことができる。"という帰結は物語への希望を示していて納得感はあるものの、その"物語"が生み出せていないのが現代なのではないか?
    物語の力を信じたいと思う一方で、世界を変え

    0
    2025年05月08日
  • タスマニア

    Posted by ブクログ

    いわゆる自伝的小説。
    英語ではauto fiction というらしい。
    半分事実がもとで半分フィクション。
    主人公の周りに起こるいくつもの話が進行していくから入り込むのに少し時間はかかるけど、入ってしまうと中々面白い。
    読んだ第一印象は「正直な人だなぁ」。
    あまり人に語らないような暗い部分をうまく表現している。物語が進むにつれて、本人が抱える不安だったり葛藤だったりが自分にも、そして社会にも当てはまることに気がついて、その機会(気がつく機会)を与えてくれたことに感謝する。

    読みやすい読みづらいで言ったら読みづらいけど、良い読書時間だった。

    0
    2025年02月03日