パオロジョルダーノのレビュー一覧
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ネタバレ体に傷を負った少女と心に傷を負った少年の
孤独な1人と1人の物語。
2人が出会う前、出会ってから、離れたり
再会したりする中でそれぞれに「救い」の
存在を探し求めながら成長していく姿が
描かれている。
事故で片足が動かなくなった少女アリーチェと、
知的障害がある双子の妹を自分の故意による
行動によって失ったマッティア。
同じ場所にいてもそれぞれの孤独が明確に
存在していて特にマッティアの孤独は深くて
救いはどこにあるのかと感じる。
たとえ神様が妹を蘇らせてくれても彼は救われ
ないのかもしれない。
これだけ孤独を書いているのに物語のそこかしこに
瑞々しさを感じるのは若い2人が主人公だからか -
Posted by ブクログ
ネタバレイタリア人作家にして、素粒子物理学専攻の博士課程修了という著者による、2020年3-4月頃、つま新型コロナの感染がイタリアでも拡大し始めた頃の病名COVID-19、ウィルス名SARS-CoV-2の感染症に向き合い、コロナ後も忘れたくないことといった視点での科学者・数学者的なエッセイ集。
CoV-2には、まだ感染させることができる感受性人口が(当時で75億人近くと)大きいことから、感染を避ける生活行動でアールノート(R0:基本生産数)を1より小さくすることが大切であること、そして感受性人口から感染を経ずに(もう感染させることができない)隔離人口に移行させることなど、感染症対策の基本的な精神が伝わ -
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ネタバレこの「まさかの事態」を忘れないために。
誰が何を言って、誰が何を言わなかったのか。すでにもうかなりのことを忘れかけている。間違いなく世界の歴史に重大な出来事として刻まれるだろう、新型コロナウイルスによる感染症の全世界的な拡大。それぞれが、それぞれの場所で、それぞれの日々を生きている。その、イタリアの一人の作家の声。
著者の声は極めて冷静で、真面目。楽天的すぎず、悲観的すぎない。わからないことに対して、性急な結論を求めない。書かれた時期もあるのかもしれないが、ひたすら待つ姿勢だ。
考えよう、家にいよう、自分を見つめよう。この「まさかの事態」に耐え、この経験から学ぶために。それがよりよく生き -
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いろいろあってあんまり読書が進まずで感想文もサボってました。ということで話題になったこれ、読んでみました。作者は素粒子物理学の博士課程をでているイタリアを代表する作家さんだそうな。コロナがかなりきついタイミングのイタリアで書かれたエッセイだけどページ数も少なくてさらっと読めてしまう。内容に特に目新しい言説もなくだいたい世間で言われている内容のど真ん中、という感じではあった。ではどこが優れているのかというと日本語版に特に収録されたという「あとがき」が良かった。noteの早川書房のサイトでまだ公開されているみたいだから興味持たれた方は一読されても良いかもしれない。(リンクつけときました)特に自分が
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素数とは1とその数字以外に約数を持たない数字。つまり他の数字と共通点がないということになるだろうか。
アリーチェは幼い頃に習っていたスキーの練習中の事故で足に傷を負い、引き摺って歩かなければならなった少女。
マッティアは幼い頃に双子の妹を亡くしてしまった事に責任を感じている自閉症気味の少年。しかし、数学については天才的な才能がある。
この一見、何の共通点もない二人が出会い、お互いに強く惹かれだす。しかし、反発も生まれる。
双子素数というものがある。一つの偶数を挟んで隣り合う素数だ。11と13とか。
隣り合い、同じ素数という惹かれ合う関係でありながら、素数であるが故にそれ以外に共通項がない二人 -
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ネタバレ免疫が必要なのは身体システムだけじゃない。社会システムも、感染症に対する免疫が必要だ。
リモートワークが定着し、業務システムが急速にDXを推し進め、世界は
狭くなったと感じる人も多いだろう。しかし、僕は全く逆の視点から、世界は狭くなったと感じる。(対面営業じゃないと成約率が悪いと危惧する部長、オンライン会議だと議論が活発化しないと危惧する部署が例)コロナ化を通じて、逆に人は目の前の人や物事にしか本当に向き合うことはできないのだと感じた。家族との時間が増え、自宅の環境が整い、休日はいつもは通り過ぎていた公園に本とコーヒーを持って出かけるようになり、近場の飲食店で食事を済ませるようになった。公園の -
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良書ではあると思うものの、気候変動や紛争、原爆など様々な現代問題を取り上げているとあって期待していた分、肩すかしの内容だった。もう一歩を期待していた。
どれに対しても明確な答えには行きつかないし、原爆については日本人としてはもう少し丁寧に扱って欲しい題材とすら思ってしまった。単なる物語の構成の一つにされているような感覚があった。
"ひとはたったひとりの男の子の物語によって全世界を嘆くことができる。"という帰結は物語への希望を示していて納得感はあるものの、その"物語"が生み出せていないのが現代なのではないか?
物語の力を信じたいと思う一方で、世界を変え -
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いわゆる自伝的小説。
英語ではauto fiction というらしい。
半分事実がもとで半分フィクション。
主人公の周りに起こるいくつもの話が進行していくから入り込むのに少し時間はかかるけど、入ってしまうと中々面白い。
読んだ第一印象は「正直な人だなぁ」。
あまり人に語らないような暗い部分をうまく表現している。物語が進むにつれて、本人が抱える不安だったり葛藤だったりが自分にも、そして社会にも当てはまることに気がついて、その機会(気がつく機会)を与えてくれたことに感謝する。
読みやすい読みづらいで言ったら読みづらいけど、良い読書時間だった。