パオロジョルダーノのレビュー一覧

  • コロナの時代の僕ら
    今も決してコロナが消滅したわけではない。 でも、日常は、たくさんの人達が、通常生活にもどっている。だからこそ、危機感を持たなければなという思いから手にとって読みました。この本が執筆されたときは、コロナ感染真っ只中。著者のイタリア国内では、外出許可書を警察に提出しないといけなかったり、世界中で、コロナ...続きを読む
  • 素数たちの孤独

    久々に読みごたえのある良作

    イタリアベストセラーというのが半分驚き。
    というのも中身がけっこう暗めで、マイノリティの話なので、そんな大勢に読まれるのか、と・・・。

    しかしながら読書好きは東西問わず、重さ、孤独が好きなのかもしれない。
    感情移入しながら読んでしまう。
  • コロナの時代の僕ら
    静謐な文章だ。しかし、訳者あとがきであるように著者あとがきの「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」にはかなりの熱量が込められている。コロナウイルスが過ぎ去った後には、「いったい何に元どおりになってほしくないのか」を考えている。元どおりになってほしいことではない。元どおりになってほしく...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    感染症とは僕らの様々な関係を侵す病だ…

    この災いに立ち向かう為に
    僕らは何をすべきだったのだろう
    何をしてはいけなかったのだろう

    そしてこれから何をしたらよいのだろう


    コロナ時代を生きる人々へ
    イタリアを代表る小説家が送る
    痛切で、誠実なエッセイ集


    何を守り 何を捨て 僕らはどう生きてい...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    ウイルスは変異するもの。ウイルスが変異した責任を問える相手はどこにもいない。ウイルスはただ変異するものなんだから。

    ただ……科学が万能だと信じられていた時代は過去のものだとわかってたけど、どう対応したらいいか、どの情報が正確なのか、どの意見が妥当なのか、そもそも耳を貸すべき専門家が誰なのかもわから...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    なんの話か?と思うような断片的なエピソードが重なり、人物像があらわれてくる。
    エピソードの中にはかなり生理的に受け付け難いものもあり、主人公たちが受ける心の傷を理解できる。
    理解はできるけれど、なんで、もう、そんなにも不器用なの?なんでそんなに、あちこちつまづくの?さらっと流して行けないの???
    ...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    過去の傷を引き摺る男女の人生を辿りながら、その出会い、交錯、別れ、再会を繊細な筆致で綴る傑作。処女作で権威あるイタリア文学賞を受賞し、人口6000万人のイタリアで200万部を売り上げたのも納得。物語全体の完成度の高さはもちろんのこと、一文一文の表現の巧みさまで語り尽くしたくなる作品です。原語が読めた...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら

    新コロナは全生態系の危機

    未だ新コロナの感染が拡がる状況の中で、グッド・タイミングの出版です。物理学出身である著者の数学的な説明も簡潔で判り易く、しかしあまり数学的、或いは統計的なデータの解析を展開する事無く、人類史的・文化的・文明的な洞察に溢れています。今回のパンデミックが国境を超えた全人類の危機というだけでなく、地球上の...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    なかなかおもしろかった

    「素数は1とそれ自身でしか割り切ることができない。自然数の無限の連なりのなかの自分の位置で素数はじっと動かず、他の数と同じくふたつの数の間で押しつぶされてはいるが、その実、みんなよりも一歩前にいる。彼らは疑い深い孤独な数たちなのだ」と本文には書いてある。
    そして、孤独には『...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    コロナ禍(2020年の流行初期)のイタリアにいる著者のエッセイをまとめたもの。
    大学での専攻は素粒子物理学とのことで、冷静に、数学的に今回のコロナ禍を見つめているような文章。

    このようなウイルスは、人間の行う環境破壊や今までにない生物の乱獲などが原因でまわりまわって出現してきたと書かれていて、そん...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    今から2年も前の出版物とは思えないほど、現在の私たちに当てはまることが多く、この2年で随分変わったように思えても、結局は同じことを繰り返しているのだと気付かされた。

    見えないものとの戦いは私たちを疲弊させる。痺れを切らした私たちは、自粛や感染症対策についての「甘い」情報を理由にして規制を緩めてしま...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    心と体に傷を負った少年少女が、苦しみを抱えながらもがきながら成長していく話。
    それぞれの人生が交互に語られ、その孤独の深さにこちらも辛くなるが、微かな光が差し込むラストに心が救われた。人生の様々な局面で選ばなかった答えを、もし、自分が選んでいたら…そんなことを考え余韻に浸っている。
  • 素数たちの孤独
    これでいい。終わり方はこれでいいんだと思う。途中でおそらく誰もが想像する終わり方だったら、安っぽいし、だいたいファビオとナディアが「なんだったの」になってしまうではないか。この終わり方だからこそ、いろいろ考えてしまうし、しみじみとした余韻が残る。
  • コロナの時代の僕ら
    僕は忘れたくない。今回のパンデミックのそもそもの原因が自然と環境に対する人間の危うい接し方、森林破壊、僕らの軽率な消費行動にこそある事を。
  • コロナの時代の僕ら
    自分の損得勘定だけにもとづいた選択はベストな選択とは言えない。真のベストな選択とは、僕の損得とみんなの損得を同時に計算に入れたものだ。(41ページ)

    感染症の流行に際しては、僕らのすること·しないことが、もはや自分だけの話ではなくなるのだ。(44ページ)

    今回のウイルスを季節性インフルエンザと勘...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    昨年4月に緊急出版。2021年7月時点で、日本では、まだコロナ禍のまっただなか。本書あとがきの「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」が、自分にとって何かを考えて、生きていたい。
  • コロナの時代の僕ら
    この本が、2020年3月26日に原書で刊行されていた、こう事実がお見事だな、と思いました。そして、日本語版は2020年4月24日の刊行。うむ。迅速である。お見事ですね。

    今、この感想を書いているのは、2021年5月24日ですので、自分はほぼ一年遅れでこの作品に出会ったのだ。うーむ。もったいないこと...続きを読む
  • 素数たちの孤独
    体に傷を負った少女と心に傷を負った少年の
    孤独な1人と1人の物語。

    2人が出会う前、出会ってから、離れたり
    再会したりする中でそれぞれに「救い」の
    存在を探し求めながら成長していく姿が
    描かれている。

    事故で片足が動かなくなった少女アリーチェと、
    知的障害がある双子の妹を自分の故意による
    行動に...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    イタリア人作家にして、素粒子物理学専攻の博士課程修了という著者による、2020年3-4月頃、つま新型コロナの感染がイタリアでも拡大し始めた頃の病名COVID-19、ウィルス名SARS-CoV-2の感染症に向き合い、コロナ後も忘れたくないことといった視点での科学者・数学者的なエッセイ集。
    CoV-2に...続きを読む
  • コロナの時代の僕ら
    単にコロナ禍でのイタリアの状況を述べたものでなく、コロナ感染拡大の中で、個人の内面と向き合い、そこから人類全体が抱える問題にまで思索を巡らしている点が良かったです。
    また後書きが素晴らしく、コロナ収束後の「忘却」について触れている部分は皆が読むべきでしょう。