パオロジョルダーノのレビュー一覧
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まずタイトルがいいです。理系が大好きな素数ですよ。タイトル買いでした。
幼少期のスキー事故で足が不自由になり、拒食症の少女アリーチェと、ある過去の罪を背負い、自傷癖のある数学の天才少年マッティアの幼少期から大人になるまでの物語です。
マッティアが数学専攻なので、双子素数という話がでてきて、間に一つだけ偶数をはさむ素数のペアのことらしいですが、まるで主人公の二人のようでした。
二人を取り巻く周りの人たちも苦しんでいる素数たち。心理描写が美しい。分かり合えない苦悩を数学にかけてるのがおしゃれだなあと思います。
孤独な二人がお互いを必要としながらも、不器用な接し方しかできない、二重螺旋のよう -
購入済み
久々に読みごたえのある良作
イタリアベストセラーというのが半分驚き。
というのも中身がけっこう暗めで、マイノリティの話なので、そんな大勢に読まれるのか、と・・・。
しかしながら読書好きは東西問わず、重さ、孤独が好きなのかもしれない。
感情移入しながら読んでしまう。 -
Posted by ブクログ
感染症とは僕らの様々な関係を侵す病だ…
この災いに立ち向かう為に
僕らは何をすべきだったのだろう
何をしてはいけなかったのだろう
そしてこれから何をしたらよいのだろう
コロナ時代を生きる人々へ
イタリアを代表る小説家が送る
痛切で、誠実なエッセイ集
何を守り 何を捨て 僕らはどう生きていくべきか
2020年春ローマにて
非常事態下で綴られたイタリア作家の叫び
今読むべき傑作エッセイ
物理学を専攻した作家パオロ・ジョルダーノ氏は
この危機を「忘れたくない」と繰り返す
ウイルスの不安や驚きに満ちた
緊急事態の今だから
ヒリヒリと感じる事を…
落ち着いた私たちはたちま -
Posted by ブクログ
ネタバレなんの話か?と思うような断片的なエピソードが重なり、人物像があらわれてくる。
エピソードの中にはかなり生理的に受け付け難いものもあり、主人公たちが受ける心の傷を理解できる。
理解はできるけれど、なんで、もう、そんなにも不器用なの?なんでそんなに、あちこちつまづくの?さらっと流して行けないの???
と言いたくなるような不器用すぎる人生にイライラしっぱなし。
拒食気味で偏屈なアリーチェと、自閉症気味のマッティア。
他人も巻き込んで、はた迷惑ながんこさ。
拒食で出産を拒否する妻に絶望して去っていく、アリーチェの夫ファビオは被害者とも思う。
その時に、アリーチェは9年ぶりにマッティアに連絡を取る。魂の -
購入済み
新コロナは全生態系の危機
未だ新コロナの感染が拡がる状況の中で、グッド・タイミングの出版です。物理学出身である著者の数学的な説明も簡潔で判り易く、しかしあまり数学的、或いは統計的なデータの解析を展開する事無く、人類史的・文化的・文明的な洞察に溢れています。今回のパンデミックが国境を超えた全人類の危機というだけでなく、地球上の全生態系の危機と捉えなければならないと考えさせられます。
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当然ではあるけれど、陽気な人が多いイメージのイタリアにも内向的な人はいるはずで。
内向的な二人が出会う恋愛小説。ストレーガ賞受賞作。
410ページで、全7章の構成。半分の200ページを5章(20歳くらい)までで使い切ってしまう。
二人の人格がどうやって形作られてきたか、
それをさっと書いて、その後後半でくっついたりすれ違ったりが、書かれているイメージ。
アリーチェとマッティアがそれぞれ語り部となって2人の出会いを物語っていく。
一人称で語って行くから、
二人それぞれの主観的、独りよがりな感じをを明確に感じさせる構成。
読者の価値観や年齢によって、感じ方が分かれそうな作品。我儘ねぇ、とか、そ -
Posted by ブクログ
なかなかおもしろかった
「素数は1とそれ自身でしか割り切ることができない。自然数の無限の連なりのなかの自分の位置で素数はじっと動かず、他の数と同じくふたつの数の間で押しつぶされてはいるが、その実、みんなよりも一歩前にいる。彼らは疑い深い孤独な数たちなのだ」と本文には書いてある。
そして、孤独には『積極的な孤独(Solitude)』と『消極的な孤独(Loneliness)』があり、原題では前者が使われている。
主人公はふたり。アリーチェという少女と、マッティアという少年。
アリーチェは拒食症で、マッティアは数字の天才。
子どものころ、アリーチェはいじめにあっていた。そしてマッティアは発達障害 -
Posted by ブクログ
コロナ禍(2020年の流行初期)のイタリアにいる著者のエッセイをまとめたもの。
大学での専攻は素粒子物理学とのことで、冷静に、数学的に今回のコロナ禍を見つめているような文章。
このようなウイルスは、人間の行う環境破壊や今までにない生物の乱獲などが原因でまわりまわって出現してきたと書かれていて、そんなことは考えてもみなかったので驚いた。
自分が生きている間はもう、このような世界的ウイルス流行はないと勝手に思っていたけれど、全くそうではない可能性があると知り危機感を覚えた。あまりに表面的なことしか見ていなかったなぁと反省…
全ては人間の行いに繋がっているという側面で、コロナ禍が過ぎたあとに、何 -
Posted by ブクログ
今から2年も前の出版物とは思えないほど、現在の私たちに当てはまることが多く、この2年で随分変わったように思えても、結局は同じことを繰り返しているのだと気付かされた。
見えないものとの戦いは私たちを疲弊させる。痺れを切らした私たちは、自粛や感染症対策についての「甘い」情報を理由にして規制を緩めてしまう。一方で「厳しい」情報もあり、なにが正しくてなにを信じたらいいのか定まらない。
科学は日進月歩だから、情報には新しいものも古いものもある。それを私たちはどう見極めればよいのかというと、なかなか難しい。
この作品はわかりやすい比喩と、わかりやすい数字を用いて私たちの行動や気持ちに訴えてくる。
また -
Posted by ブクログ
自分の損得勘定だけにもとづいた選択はベストな選択とは言えない。真のベストな選択とは、僕の損得とみんなの損得を同時に計算に入れたものだ。(41ページ)
感染症の流行に際しては、僕らのすること·しないことが、もはや自分だけの話ではなくなるのだ。(44ページ)
今回のウイルスを季節性インフルエンザと勘違いして語る者も多かった。感染症流行時は、もっと慎重で、厳しいくらいの言葉選びが必要不可欠だ。なぜなら言葉は人々の行動を条件付け、不正確な言葉は行動を歪めてしまう危険があるからだ。(103ページ)
僕は忘れたくない。家族をひとつにまとめる役目において自分が英雄的でもなければ、常にどっしりと構えてい -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本が、2020年3月26日に原書で刊行されていた、こう事実がお見事だな、と思いました。そして、日本語版は2020年4月24日の刊行。うむ。迅速である。お見事ですね。
今、この感想を書いているのは、2021年5月24日ですので、自分はほぼ一年遅れでこの作品に出会ったのだ。うーむ。もったいないことしたな。と思うのが正直な感想です。あの、一年前の、新型コロナウイルス禍がまだどれほどのものか分からず、恐れとともにほぼ家から出なかった、あの時期に、読みたかったな。真にリアルタイムで、と思いました。
一年経つと、状況は、やはり変化しているものです。まさに「あの時」の、あのリアルタイムな雰囲気。あの