あらすじ
地球の環境問題が深刻なのに、僕は不妊治療なんかに悩んでいる。逃げるよう参加した気候変動会議で会った物理学者とは、世界の終末に逃げるならタスマニアだと話した。そして僕は、何かに駆られて広島と長崎ヘ被爆者の取材に来た。伊人気作家による傑作私小説
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Posted by ブクログ
良書ではあると思うものの、気候変動や紛争、原爆など様々な現代問題を取り上げているとあって期待していた分、肩すかしの内容だった。もう一歩を期待していた。
どれに対しても明確な答えには行きつかないし、原爆については日本人としてはもう少し丁寧に扱って欲しい題材とすら思ってしまった。単なる物語の構成の一つにされているような感覚があった。
"ひとはたったひとりの男の子の物語によって全世界を嘆くことができる。"という帰結は物語への希望を示していて納得感はあるものの、その"物語"が生み出せていないのが現代なのではないか?
物語の力を信じたいと思う一方で、世界を変える物語は生まれていないのではないかという無力感を覚える。様々な問題が未解決のまま、更に悪化したり、新たな問題が次々と生まれる現代では、そのように思えてしまう。
Posted by ブクログ
いわゆる自伝的小説。
英語ではauto fiction というらしい。
半分事実がもとで半分フィクション。
主人公の周りに起こるいくつもの話が進行していくから入り込むのに少し時間はかかるけど、入ってしまうと中々面白い。
読んだ第一印象は「正直な人だなぁ」。
あまり人に語らないような暗い部分をうまく表現している。物語が進むにつれて、本人が抱える不安だったり葛藤だったりが自分にも、そして社会にも当てはまることに気がついて、その機会(気がつく機会)を与えてくれたことに感謝する。
読みやすい読みづらいで言ったら読みづらいけど、良い読書時間だった。