濱野ちひろのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・ドイツではかつてユダヤ人への虐殺が行われており、それに付随する形で同性愛者などへの弾圧も激しかった。そのため戦後のユダヤ人差別の撤廃運動に伴い、様々な「性」を背景とする人々の抗議活動が活発化し、ドイツ社会そのものが性に関する活動にも寛容?(ある程度受け止める、認めるための土壌が構成されるよう)になった。
→これまでドイツは性に寛容というか、SMなどを含む性活動に他の国よりも積極的なイメージがあったが、それが戦後の抗議活動を基とするものだとは思ってなかった。
・作者が「暴力は意外にも生産的な行為である(怒り、悲しみなどを産むから)」と述べていたが、上記の性に寛容な文化の形成のように、戦争とD -
Posted by ブクログ
読み終えて、何かを考えるよりも、
動物のパーソナリティ、ペットとしての動物の性といった今まで感じ出なかったけれど、あって然るべきことを感じる感覚を研ぎ澄ますように促されていることを感じました。
動物と人のみならず、人同士の性愛についても新しい視点を提供してくれる作品でありながら、非常に読みやすい作品です。
作者の短い期間でありながら挑戦的で、未知のコミュニテイへ分け入っていく過程に引き込まれます。
人のペットに対する子供視がその性を無視するということに、現代のペットに対する違和感を少し説明してもらえた気がします。
愛における対等性、性愛において言語的同意以前にある意思疎通、、、
旅行 -
Posted by ブクログ
まず文章が素晴らしい。
とても読みやすく、随所に筆者の上品な知性を感じる。
動物性愛というものの真実を筆者なりに理解し、
それを誇張無く伝えようとする情熱が伝わってくる。
この題材を研究テーマにする事自体、かなりの覚悟を必要とするはずだ。研究自体の価値をはなから否定されたり、
研究者自体が差別的な目で見られたりする可能性があるだろう。
調査も容易ではなく、社会から批判的な目にさらされるコミュニティの信頼を取り付け、彼らと体当たりで深く交流する筆者の姿勢には神々しささえ感じられた。そこには明らかに研究者以上の思いを感じた。
ではなぜそれを題材とするのか?
セックス、セクシュアリティにま -
Posted by ブクログ
あまりにも(私の信頼する界隈からの)評判がいいので電子書籍を購入。
だけど、やはり内容から購入を決断するまでに多少時間がかかった。それだけで、私の中に大きな偏見があったことが分かる。
読んでみれば、(少なくともここに紹介される)ズーたちへの間違った偏見はなくなり、それどころか私の中の動物(犬や馬)に対する感情と、バラエティ番組などでの動物の扱いとの間の違和感がスーッと解決されて目から鱗だった。
こうやって、思いもしなかった考え方をくれる本に出会えると本当に嬉しい。
自分の中の性的なマイノリティの部分もまた深く考えるきっかけになった。
また濱野さんの著書が出たら是非読みたい。 -
Posted by ブクログ
衝撃、とともにものすごく興味深い内容だった
“動物性愛”
物心ついたときから家には犬や猫がいて、
いろんなことを教えられた
人間の方が優れてるなんてまったく思ったことはない家族であり、兄姉であり、弟妹であり、先生、ともだち、仲間…愛すべき大好きな存在だけど、彼らとセックスをしたいなんて、彼らから快楽を得ようなんて
一度も思ったことはない
動物とセックスすること=獣姦、それはおぞましい行為だと思ってきた
ほとんどの人がそうだと思う
でも、この本に登場する動物性愛者“ズー”は、大好きな犬とのセックスを崇高な性愛と語る
ズーたちは、犬たちからの「誘い」がわかるという
たしかに犬たちにも性欲 -
Posted by ブクログ
国内外の等身大人形と暮らす人々に取材しながら愛とは何か、性とは何か、パートナーとは何かを問う。
ドールを生きた人間のように見なす「ドールの夫」たちと、フェティッシュ的にドールを所有する「オーナー」の違いが興味深い。ドールメーカーは基本的に修理を受け付けていない。だからメンテナンスは自分でするしかない。それには高度な技術が要る。時間もかかる。「夫」が愛はあってもメンテはできないのに対し、「オーナー」は物体として扱うがゆえに綺麗にメンテできる対比が面白かった。
等身大人形と暮らす人々は現実や社会から逃げているとか、現実の女性に相手にされない負け犬と思われがち。だが実際には違う。彼らは生身の女性 -
Posted by ブクログ
動物にも性があるってことを、今まで考えもしなかった。
ペットとして飼うことはあっても、対等なパートナーとして動物をみたことはなかった。いくら同じ家族だといっても、ペットは子どものような存在、癒してくれる存在でしかない。
読んでいてうっすら嫌悪を感じてしまったけどそれは、子どもとしての犬を性的な目で見ていると思ったから。でも違う、と読み終えた今では思う。ズーは犬などの動物たちを、私たち人間と等しく尊い存在として認め受け入れている。性的な目で見ているのではなく、彼らの性も含めて丸ごと全てを受けとめる。そこにこちら側の期待の押しつけがないとは言えないし、この本の中では綺麗な部分を選んで描かれている -
Posted by ブクログ
あまりに衝撃で
あまりに異種な愛?の形に、誰かとこの本について深く話がしたい
ここでの感想を見てても、
作者のいいたいことについて答えてるようなものがみつけられなかった
獣として、私はペットである愛兎を見ていない
けど、ズーフィリア程には見ていない
障害者や患者の性は、同じ人間として思うこともある
動物に対して、子供視は否めない
けど、生き物として当然とは思う
それを制限しようとは思わない
だって、彼らは逸脱しないから。
問題なのは、
ものの見方としての人間の方だと思う
同様に、
ズーフィリアを否定はしないがそこまでする必要があるのかと思う
動物も人間も気に入ったら、
心許すのは普通だろう
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Posted by ブクログ
ネタバレ最初にこの本について知った時、正直言って気持ち悪かった。
本屋大賞のノンフィクション部門にノミネートされたからには読まなくては、とは思いつつ、気が重かった。
動物性愛者なんて、小児性愛者と同じくらい許せないと思った。
マイノリティの性癖だから気持ちが悪いと排除するわけではない、と思いたい。
許せないのは、合意を得ることのできない相手に、一方的に自分の性癖を押し付け、さらには相手に痛みや苦痛をを与え身体を損なうような行為を強要してまで、自己の快楽を優先するという心理。
ところがこの本を読んで、それは全くの思い込みであったことがわかる。
「動物性愛者」という言葉が呼び起こすイメージが、「性」の