濱野ちひろのレビュー一覧
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ネタバレ『聖なるズー』に続き。動物性愛から、無機物の方に移行したのは、時代的にも自然で今後も引き続き彼女が書く本が楽しみだ。
以下好きだったところ
…愛するとは、自分ではない存在と共在すること。そして、その存在の様子を日々、くまなく観察すること。観察を続けることによって、私たちはその相手を知ることができる。そしてその相手に対し、適切な行動を取ることもできる。
また同時に言えるのは、愛とは美しいだけのものではないということだ。…だが愛というものは、ときには暴力の言い訳にさえ使われるほど、危険をも孕む語彙である。愛は巨大な口を開けて多くの感情を呑み込み、ときに横暴に人を説得する。(p.15)
世界中の -
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今回もすごかった〜〜
聖なるズーで心を撃ち抜かれたので待望の第2弾
動物性愛に比べるとそこまでタブー感がないように思える、人形を愛する人たち。
聖なるズーは最終章を読んだ時なぜか涙が止まらなくて、今回はわりと穏やかに締められそうだなと思った矢先の。。新さんと濱野さんのやり取りのところと、供養されるラブドールに読む別れの言葉のところがすごすぎてまたしても泣いてしまった。
人形を愛するって愛なのか?という問いかけからはじまる今回のフィールドワークだけど、本質的なところは、生きることそのものへの問いなんだなあ。
そして、濱野さんを信頼して、たくさんの秘密を共有してくれた調査対象者の方たちにまたして -
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ドキュメンタリーの醍醐味は、自分では聞けない見ることのできない人々の想いや感情の一端に触れること、世界を理解するきっかけになることだと考えている。本作も、「聖なるズー」に続き、性愛について、命がない、つまりは無機的な存在を深く愛す者たちのリアルな声を集めた貴重な論文である。特に印象に残ったのは人間ラブドール製造所でのサービス。人間が無機的なものになる、その後葬られ、また人間に戻る儀式を通して顧客は生まれ変われる、生きるための活力が与えられるのだと思う。愛する、という行為、感情、形とは何かを考えるきっかけになる重要な作品と思う。様々な人たちに読んで頂きたい作品だ。
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ネタバレうーん面白かった。セックスやセクシュアリティについて考えていたことと交差して、思考が刺激され続けた。これはおすすめ。
人間のセクシュアリティやセックスに善悪はつけようがない、と私は思っている。人々が求めるセックスの背景には、さまざまな欲求がうごめいている。…考えるべきは、人間の本能的な部分が社会とのかかわりのなかでどのようにして齟齬をきたすかということ、また、社会の一部分であるはずの私自身が、なぜ特定の性的実践を受け入れられないのかということだ(p.29)
…相手のパーソナリティは自分がいて初めて引き出されるし、自分のパーソナリティもまた、同じように相手がいるからこそ成り立つ。つまり、パー -
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「正欲」(朝井リョウ)の次に読んだ作品。
「正欲」が性を取り扱った作品だからこそ、本書を選んだ。
単に可愛いというだけで犬や猫を飼うが、
どこまで真剣に動物の性を考えているだろう。
自分たちが人を愛するのと同じ感覚で、動物を愛して、動物にも性欲があり、それをどう受け止めてあげることができるか、を考える人たちがいる。
動物性愛。
これを動物虐待と呼んでいいのか。
動物の声や気持ちを正確に分からない人間が、「それ」が愛なのか、虐待なのか、「それ」を法律や社会が決める事はできるのか。
自分にまったく発想もできない価値観に出会えることこそ、読書の醍醐味。
どこまで真剣に自分たち人間の性につい -
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◎最近読んだ本で最もよかった。
動物性愛というテーマで、こんなにも自己と他者の対等性を考えさせられるとは思わなかった。
◎「言葉を交わせない動物との間に合意はない」という非難が出てくるが、言葉が必ずしも対等な関係性を担保するわけではないだろう。
言葉が本当の感情や想いを表すことは少ないわけで、機微を取り零したり、そもそも本心とは裏腹のものであったりすることが多い。
また、言葉を発する前の関係性で、言葉には制限ができる(支配者―被支配者のような関係性では対等な言葉を交わせるわけはない)。
むしろ相手との対等性をおざなりにしてしまうのが、見せかけの言葉によるコミュニケーションなのではないか。 -
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動物性愛だけではなく、人間同士における「関係性」や「愛」、パーソナリティなど、様々なことを改めて考えさせられた。
動物を無意識的に子ども視してしまっていたこと、それ故に、動物にも存在し得る性的欲求やセクシュアリティについて見事なまでに見落としてしまっていたこと。迂闊、というか、稚拙、というか。自分の想像力の足りなさを痛感した。
「動物からは言葉の合意が得られない。だから、実際に動物が人間とのセックスをどう感じているかは想像できない。ゆえに、セックスを含む如何なる動物性愛も許されない。」という言説に対して、「言葉での合意があれば性暴力ではない、なんてことはない。」という著者の返し方には唸ってしま -
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価値観を揺さぶる本。本書中のあるズーが語るように、セックスの話題はセンセーショナルだからどうしてもズーの話を性行為に限って取り上げてしまう。そのために動物愛護団体との対立も生じる。しかしズーたちの問題の本質はセックスではなく「動物や世界との関係性」にある。異種への共感、愛情。人間と動物が対等であるべきとの考え。性愛と対等性というテーマが、著者がかつてパートナーから受けていた性暴力の記憶と結びつき、愛とは何か、性とは何か、関係とは何か、人間とは何か、という問いになっていく。
著者も書いているが本書によって動物の性欲について知ってしまったあとでは、今後の人生で動物を飼うことに抵抗を覚えてしまう。