スズキナオのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
毎日を楽しむバイブル。
とにかく1回検索して目次を見てほしい。
銭湯の鏡広告、廃バスラーメン、四つ手網体験記、
厳密割り勘飲み会、動物園飲み、
終電逃したつもり深夜散歩……
ひとつでもわくわくしたらぜひ読んで。
“考え方次第で、なんでもない日々を
少しくらいは楽しいものにすることができる”
というコンセプトが、
わたしの「羨ましい」にぶっささった。
筆者、わたしの生き別れの血縁者なのでは?
と思うくらい、
諸々の事柄に対する感想に共感。
「うんうん」「たしかに」「おっしゃるとおりで!」
と思いつつ、文章力で「ふふ」と笑わせてくれる。
密かに師匠にしよう。
“当たり前すぎてみんなが素通りしていくものや、
忘れられたようにひっそりとあるもの、
いつも一緒にいてくれる友人とか田舎の親戚とか、
そういうところにずっと目を向けたがっている”
という筆者の嗜好や考え方は超似ているんだけど、
決定的に違うところもあって、
店主に「聞いてみる」とか友人に「声をかけ」ることが
私はなかなかできないんだよなぁ、くやしいぜ。 -
Posted by ブクログ
酒というのは不思議なものです。飲んだ事なければ一生不必要だし、ある程度の年になるまでは飲んでも全く美味しくなかったのに、いつの間にやら欠かせない存在になってしまいました。
しかし、どこでもかしこでも飲みたい訳ではなく、楽しんで飲みたいですよね。何も豪華な場所で飲みたい訳ではなく、立ち飲みだったり、いなたい酒場だったり、川辺だったり砂浜だったり。友達とだったり知らない人とだったり。しみじみと噛みしめて飲みたいんですよね。
そんな飲みたい気持ちに寄り添った本を書いてくれるパリッコさんと盟友ナオさん。この安心の二人がコロナにも負けないシチュエーション飲みを100個提唱してくれています。本当は天国酒場に行って飲みたいけれど、今はガマンガマン・・・。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこんなにもひととなりがよく似ていてウマの合う赤の他人がいたものだ。2人のライターが交代で書いているのだがもうどちらが書いているかわからない・・・
単に酒の飲み方が合うというだけではない、2人の間に通底する絶対的な信頼感と安心感、そこからくる機嫌のよさが感じられるので読んでいて心地よい。なんだかとてもうらやましい。
P012 「店で頼んだ800円のチューハイの中身が、明らかに「氷結」でも怒りませんもんね」「まあそう。にやにやしちゃうほうですね。」「うーむ・・おかわり?」「俺、おかわりしたよ!1600円だって!と、なんでも楽しいですよ。まあその店には二度と行かないけれども。一度でいい面白さってある」
P048 父も最近ではめっきり酒が弱くなってきた。親戚たちと久々に集まってもまだ宵の口で寝床に引き上げていくことも多い。なるほど、そうか、と私は思う。私の番が近いのだ。【中略】そこで私ができることといえば酔ってへろへろになること。
P053 酒の会話の一つの究極が「目の前のものの感想を言う」じゃないかと思っています。
P062「最終的に当人たち同士はいい話風にまとめたけど、あとの全員不快なんですけど!っていう、いわば「不快イ話」
P074 (ベテランサーファーが)危なく死ぬところだった友人に向かって「サーフィンをやめないで。この経験で絶対にうまくなるから」と言葉をかけたという。そんなことを思い出した。悪いのは酒じゃない。バランスを取りそこなった自分なのだ。そして酒を飲んでいるとそんなことがたまにある。
P092 大型フェリーこそ最高の居酒屋だと思っている。【中略】缶ビールもスナック菓子もせいぜい地上より50円高いぐらいである。それで海が見放題だ。そしてこの居酒屋もまた信じられないことに勝手に目的地まで連れて行ってくれるサービス付きである。と、安い高いって本当に考え方次第だよなと思うのである。
P154「無意識のうちに行きたい店とあんまり行かなそうな店を仕分けてる。例えば”割烹”とか言われるとちょっと見えなくなりますよ。」「見えないなー。ただ”スタンド割烹”になると見える。」「見える。」
P155「店員さんが座っている店、いい。」「座るって本当にすごいですね。」
P170一生懸命飲んでいると、変なことが起きたりするものである。
P174 撮影用の水にホッピーを継ぎ足したものなんて、この世で一番かわいそうな飲み物じゃないですか。やっぱりここは焼酎で割ってあげないとせっかくこの世に生を受けたホッピーが浮かばれないよ。
P227「ホッピーの外だけってあれはアルコール度数約0.8%なんですね。」「そうなんすよね。わりと酒。」【中略】「カンダ」ってメーカーの一升瓶のエキス。俗にいう「下町ハイボールに入ってる謎のエキス」炭酸水にちょっとたらして
P259(前飲み)このあと生ビールで乾杯するとして、その時点で今日二杯目のビールとなると感動が薄れてしまい「あれ?この人、一杯目のビールに対する感動が薄い人なのかな?それともつまんないのかな?」と思わせてしまう。それは相手に悪い。なのでなるべく素っ気ないチューハイとお新香もしくはらっきょうあたりの軽いもので一杯やる。
P277 (スタンディング鍋)食べ終わったらコンロから鍋を持ち上げ、数秒のうちにシンクにおいて洗い始めることができる。クラブのたとえでいうなら、パーティが終わった!音が止まった!という次の瞬間、もうその床に敷いた布団の中にいるみたいな感じだろうか。
P301 「”粒子とは、比較的小さな物体の総称である。大きさの基準は対象によって異なり、形状などの詳細はその対象によってさまざまである”粒子でした謝ります」「人それぞれでいいのか」「大柄な人にとっては唐揚げだって粒子だろうし。」「”君にとってそれは粒子なの?”そこから開ける世界がある。」
P365 「何かに追われるように飲む」というのも、たまにであれば、スパイスのように人生を彩るものである。 -
Posted by ブクログ
酒エッセイというジャンルは、好きな人にはたまらないけれど、要らない人にとっては存在感が謎だと思います。
人が酒飲んで酔っ払っているところなんて見たってしょうがないじゃん。という事に集約され、全くですねとしか言いようのないジャンルであります。
しかし、これが心癒され、ささくれた心が滑らかになり、人にやさしくなれる素晴らしい代物なのであります。
そんな中で新進の気鋭「パリッコ」「スズキナオ」のユニット「酒の穴」の二人の豪華リレーエッセイであります。
一番にはチェアリングという、好きなところに椅子を持って行って、そこをリビングのように腰を据えて酒を飲む。という誰もやっていなかったけれど、言われてみれば絶対いいだろうと一発で理解できる新しい遊びを開発したことが挙げられます。
柔軟で、権威に踊らされることは無いけれど、豪華なのは豪華で喜びそうで、缶詰でもカニカマでもうまい棒でも、それぞれの良さを感じながら飲んでそうな所が本当にいい。
憧れの居酒屋とかあるはあったけれど、彼らの活動を見ていると自分でいい店や、いい飲み方を見つけて楽しむべきだなと思います。
こうでなければダメとか、渋くないとつまらないとかではない、風流を自分の中から探しだす感じとでも言う感じでしょうか。
二人の文章が交互に読めるので、当然比較になるのですがどちらも柔らかく、断定せず目線に愛情が有るので、どことなく空気感が似ています。二人と一緒に飲んでいるような気持になりながら読める本です。まさによむお酒です。 -
Posted by ブクログ
デイリーポータルZは、名前に「Z」がつく前からよく読んでいた。こんなにSNSが発達?する前のこと。あほくさいことに次々と挑戦して検証していくのがとてもとてもおもしろかった。
いつしかそれも読まなくなっていたのだが、ある時、「?」と思えるようなタイトルの本を出しているライターがいることに気づく。それがこの著者。スズキナオ氏。当然、はちゃめちゃに面白くてくだらなくて、それでいてやめられない文章を期待して読み始めたのだけれど。内容は想像と違った。
一読後は、「この人はものすごく優しい人なんだな」と思った。男性のエッセイっぽいものって最近読まないけれど、松浦弥太郎みたいにスカしてないし(失礼!)、読みやすいし、同年代でもないのに中年の悲哀もわかるし。ほかの本も読みたいな…と思って読み進めたけれど、ごめんなさい。次はない。ちょっと苦しい。悲しい。寂しい。
ここを書くにあたって、デイリーポータルZをあらためて読みにいってみたら、それはとてもよかった。いくつもさかのぼって読んだ。だけど、ほかの本はもう読まないと思う。意気地のない私を許して。
忘れられない試合を見た日
これがすごくいい。泣きそうになる。
p67
*大谷翔平がホームランを打ったのと違って、私が見たものは、ほんの小さな、少しだけの関係者にしか共有されない場面だ。だがあれは、確かに神々しい瞬間だった。少しの人しか知らないからこそ、大事にしなければならない。
p75
私は世界がよりよくなるはずだと思って生きているのだ。病はいつか癒え、年老いて死が近づくにせよ、誰もがそんれになんとか抗い、できるだけ長く生きようと努める。同じように、世界全体が、悲惨な未来に向かわず、いや、最終的にはどうにもならないことが多いにせよ、少しでも平穏な状態を持続させようと努力する。そんな前提に立っているから、まだなとか正気を保っていられる。しばらく会わない人が、私とは別の場所で時を過ごしながらも、毎日食べて、寝て、たまに病院に行ったりして、健康でいてくれる。そう信じているから、「また今度会える」と考えることができる。だから平気な顔で手を振って別れることができる。