ターリ・シャーロットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
説得の鍵は「共感」。勉強のために再読したい
The Influential Mind が原題。直訳すると「影響される心」。読後、しっくり来る題だと思った。邦題の「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」は意訳にしても手ぬるく感じる。ちょっと古くないか。それはさておき、本の内容は非常に面白い。人間は自分で思っている以上に共感を重視して生きている。目の前に数字や事実を突きつけられても、案外と心を動かさない。脳がそういう構造になっている。人を説得するのは共感が鍵である。「皮肉な話だが、人間はより正確な結論を導き出すためではなく、都合の悪いデータに誤りを見つけるために知性を使っているのではないだろうか。だからこそ、誰かと議論するときに、相手に不利で自分に有利な事実や数字を突き付けたくなる衝動は、最適なアプローチではないかもしれない」 こう指摘するくだりには、肯かずにはいられなかった。議論が建設的な方向に向かわず反論のための反論が繰り返されるのは、まさに人間らしい行為の表れなのだな。我が身を振り返る。子供が妻に叱られている。でも、もう大きいので、聞いてもいない。ははあ妻に対して共感していないのだなと思う。妻はブチ切れている。想像する。私が妻にこう言ってみるところを。「あんた、人間は共感が大事なんだよ。ただ叱るんじゃなくて、この本を読んでみたら」と。でも、こんどは妻がこちらの言うことを聞かないだろう。言葉が耳に入ったとしても、従うことはない。日頃から共感してくれていないのは、まさに私に対する妻の姿勢である。かくして、反省するのは私だと気づかされる。本書を再読して勉強を深めたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ話が長い
なんの話かわからなくなるのは翻訳本で良くある話なので我慢
知識としてはなるほどと頷ける話
・事前の信念 相手の信じていることを否定したり、自分の信じてることを押し付けるだけではダメ
・感情 感情は伝染しやすい
・インセンティブ 快楽で動く、恐怖では動かなくなる(変化させたくない時は恐怖が良い)
・主体性 自分でコントロールしてるという感覚が満足感に繋がる
・好奇心 知りたくない情報は目に入りにくい、心地よい情報ばかりを受け入れてしまう
・ストレス ストレスがあると正確に情報が判断できなくなる
・他人 人は真似る、他の人に流される -
Posted by ブクログ
面白い。
訳者の以下の文が、この本の良さを伝えている。
「読み進めるうちになるほどと思うのは、著者シャーロットが率先して、それらのポイントを活用している点だ。簡単に言えば、読者は次第に影響されていく。事実なデータの羅列で読者の主体性を損なうのではなく、たとえば研究論文をストーリー仕立てにすることで、読み手はどんどん先を知りたくなる。著者自身の生き生きとした私生活のエピソードに惹きつけられて、いつのまにか感情が同期してしまう。随所に散りばめられたユーモアに頬も心も緩んでしまうから、著者の話を受け入れやすくなるし、自分にもできるかもとポジティブな気持ちが湧いてくる。」
自分自身も他人も、取り扱いは適切に丁寧に行なって、最大のプラスの効果を狙っていこうと思わせてくれる本。
なお。この訳者は芸術系の演劇学部出身。意外なキャリアも面白かった。 -
Posted by ブクログ
実のところ、今日の私たちは押し寄せる大量の情報を身に受けることで、かえって自分の考えを変えないようになってきている。マウスをクリックするだけで、自分が信じたい情報を裏づけるデータが簡単に手に入るからだ。むしろ、私たちの信念を形作っているのは欲求だ。だとすれば、意欲や感情を利用しない限り、相手も自分も考えを変えることはないだろ
ハイライト (黄)位置No. 281新しいデータを提供すると、相手は自分の先入観(「事前の信念」と呼ばれる)を裏づける証拠なら即座に受け入れ、反対の証拠は冷ややかな目で評価する。私たちはしょっちゅう相反する情報にさらされているため、この傾向は両極化の状況を生み出し、それは時を経て情報が増えるたびに広がって
ハイライト (黄)位置No. 285実のところ、自分の意見を否定するような情報を提供されると、私たちはまったく新しい反論を思いつき、さらに頑なになることもある。これを「ブーメラン効果」と
ハイライト (黄)位置No. 379自分の意見を裏づけるデータばかり求めてしまう傾向
ハイライト (黄)位置No. 379確証バイアス」と呼ばれて
ハイライト (黄)位置No. 386分析能力
ハイライト (黄)位置No. 386高い人の方が、そうでない人よりも情報を積極的に歪めやすいことが判明しているの
ハイライト (黄)位置No. 408認知能力が優れている人ほど、情報を合理化して都合の良いように解釈する能力も高くなり、ひいては自分の意見に合わせて巧みにデータを歪めて
ハイライト (黄)位置No. 430新しい信念が形成されるとき、四つの要因が関与する。もともともっていた信念(事前の信念)、事前の信念に対する確信、新しい証拠、そして新しい証拠に対する確信で
ハイライト (黄)位置No. 544もとの考えを根絶やしにするのが難しい
ハイライト (黄)位置No. 544は、新しい種をまくのが正解なのかもしれ
ハイライト (黄)位置No. 830た。 自分が何かしらの気持ちを抱いただけで、人々の感情を変えられるという事実を、心にとめておくべきだろう。同様
ハイライト (黄)位置No. 831他人の感情が私たちの気持ちを変えることもある。私たちは常に相手と、そして周囲のすべての人々と互いに同期し合っているの
ハイライト (黄)位置No. 940自然は人類を苦痛と快楽という、二人の主権者の支配のもとにおいてきた。われわれが何をしなければならないかということを指示し、またわれわれが何をするであろうかということを決定するのは、ただ苦痛と快楽だけである。……苦痛と快楽とは、われわれのするすべての
ハイライト (黄)位置No. 943われわれの言うすべてのこと、われわれ
ハイライト (黄)位置No. 943考えるすべてのことについて、われわれを支配して
ハイライト (黄)位置No. 1333コントロールを失うというのは心を乱される感覚だ。 自分のいる環境をコントロールする能力が奪われてしまったら、たくさんの人がストレスや不安を感じる
ハイライト (黄)位置No. 1351コントロールすること」と「影響を与えること」は密接に関連して
ハイライト (黄)位置No. 1355他人に影響を与えるためには、コントロールしたいという衝動を押さえ込み、相手が主体性を必要としているのを理解することだ。人は自分の主体性が失われると思ったら抵抗するし、主体性が強まると考えたら、その経験を受け入れ報酬とみなすものだから
ハイライト (黄)位置No. 1540自分の人生をコントロールしていると感じられる人は、より健康で幸せだ(
ハイライト (黄)位置No. 1581コントロール感に必要なのは「感じること」なの
ハイライト (黄)位置No. 1582命令するのではなく、「主体性」を大切にしながら相手を最終的なゴールへ導く方が
ハイライト (黄)位置No. 1592イケア効果というのは、「自分が作ったものには、他人が作ったまったく同じものよりも価値を
ハイライト (黄)位置No. 2295人間は怖じ気づくとリスクの高い
ハイライト (黄)位置No. 2295を避け、無難な手段を選ぶ傾向があるから、チャンのような賭けに出ることはあまり -
Posted by ブクログ
感情に訴えたり、ダメな部分を批判せずポジティブなところを評価すると相手を説得しやすいんだなぁ、とか、まあごく当たり前の結論に行くのだけど、そこに至るまでの論理のプロセスが非常に丁寧。難点を挙げるとすればタイトルだろうか。これはちょっとネガティブな印象があるし、「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」という問いの理由に直接的にこの本は答えてはいないんだよね。変えられないよ、と言ってはいるけど。The Influential Mindから直接とって、「影響される心」としてもよかったのではないか。ワクチン反対派にリスクを説明するよりも、ワクチン接種すると子供の命が守れますよ、と言うと説得される話とか、今大事な話だと思うんだけどねぇ。
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Posted by ブクログ
取引で一番損をしているのは自分で銘柄を選ぶ人というワードに深く刺さってしまう。分かっていながら私は選択をする。私のお金だから私で選択したくて仕方ない。支配したい。たとえ損する可能性が高くてもやめられない。
他の人の選択に自分が惑わされる話はなぜだろう協調性かなと思っていたけど前の人の方が自分の知り得ない情報を持っているかもしれないから選択に倣うというのは確かに生存戦略として正しかったのだろうな。事例を挙げつつ説明してくれるので腑に落ちやすくとても良かった。翻訳も良い。
人に権限を与えると行動を促すことができるし、説得するには感情を同期したほうがいい。バイアスから逃れるには日をあけて繰り返し見直すと良い…
文明の速度に体の進化がついていかないからバイアスが時にマイナスになることもある。それを頭に入れつつうまく自分をコントロールしていきたい。 -
Posted by ブクログ
Twitterで見かけたので読んでみた。人の意見に影響を及ぼす要素として、事前の信念、感情、インセンティブ、主体性、好奇心、心の状態、他人がある。これら「脳の働きを決定づける中心的要素」がそれぞれどのよう影響を与えるか明快な例えを用いて解説してくれる。
なるほどと思うことや身に覚えのあることが多く書いてあった。車よりも飛行機のほうが怖いというのはわかる。飛行機の浮遊感が苦手なのだと思っていたが、それはコントロールできないからなのだろう。アンダーパスは楽しいまである。
科学が発達して人間はどんどん賢くなっている気になっているけれど、脳は槍を持って野を駆け回っていた時代からあまり変化していない。論理的な思考で行動できることは存外少なく、感情が行動の大きな指針であることは変わっていないのだろうと感じた。そこの認識と実際のギャップが大きいゆえに本書の内容が意外に感じる気がする。
本書を読むように外部から見ると人間は単純だと感じるが、他人ごとではないのだろう。その単純さは良くも悪くも利用されている。
社会の中で人として生きていく以上、すべてを拒否して生きていくことは難しい。もし仙人のように霞を食って生きていければ可能かもしれないが。それでも人生のなかで大きな決断をするとき、本書を思い出したい。
頭のいい人ほどデータを(意図せずとも)歪曲しやすいのは皮肉だなと思った。